私「そう?」



兄「あぁ、控え目に言ってみたけど、ダメな大人の見本には変わりない。

童心を持っているだけかもしれないが、お前がそいつと遊ぶのは断固反対するからな。」



私「うぅん、遊ぶ事はないと思うから、大丈夫だよ?」



兄「なら、いいが…。

ふぅ、油断がならないな。

本当なら義政と遊ぶのも禁じたいぐらいだが、もう、俺もあいつと同じ通学団ではないし、もともとの近所づきあいもある。

無理には引き離せないしな、仕方ない。」σ(^_^;)



私「くす。

なんだかんだとヨッちゃんの事も心配しているのね?(笑)」



兄「あぁ、アイツも俺にとっては弟分みたいなものだしな。」



私「クスクス。」



兄「アイツはなかなか筋がいいぞ?」



私「え?」



兄「ぽっちゃりボディとは裏腹に頭の回転は悪くない。

語彙が少なくて、乱暴な言葉遣いが目立つが、物事の本質、基本を押さえている。


勉強に活かしきれていないのは残念だが、見込みのある男だ。

お前、アイツを大事にしろよ?」



私「クスクス、ヨシ君も下に弟が二人いて、お兄ちゃんタイプなのよね。

やっぱり長男はしっかりするものなのかしら?(笑)」



兄「あぁ、そうだな。

かなりぽっちゃりだが、面倒見がよくて、根はいいやつだ。

それに着眼点もいい。

気が短くて、やや気性が荒いのが難点だが、基本いい人材だな。」



私「クスクス。

それにあぁみえて繊細なところもあるわ?


こんなかしこまった言葉遣いをしてしまったら、緊張させてしまうでしょうから、彼の前ではわざと粗雑な言葉遣いをしているしね。(笑)

クスクス。


私、いつも男の子みたいな口をきいてじゃれているのよ?

楽しいわ。」(´∀`)



兄「あぁ、そうだろうな。

きっと緊張して本音を話しづらくなってしまうだろうから、普段からそのような言葉使いをしておいた方がいいだろうな。

気のおけない幼なじみというのも貴重なものだ。

大事にしろよ?」



私「うふふ、そうね。

男気があって、一本筋の通った気持ちのよい男の子だから、大事なお友達だわ。(笑)」(^∇^)




兄「…お友達ね!

義政、不憫なやつ。

こいつはまだまだ子どもだからなぁ。」(;^_^A



私「どうかした?」



兄「いや、別に、何も。」



私「そういえば、以前から常々気になっていたことがあるのだけれど、聞いてもいいかしら?」



兄「なんだ?」



私「どうしてお兄ちゃんは、そんなしゃべり方をするのかしら?

まるで小説かなにかみたいに、文章を読み上げているかのような印象を受ける、説明的なセリフなのよね。

それが気になっていて。」



兄「おかしいか?」



私「おかしいことはないけれど、ちょっと違和感を覚えるわね。

家族の間での会話にしてはよそよそしいというか、観察的で、感情がこもっていなさすぎるというか…。

聞いている分には、分かりやすくていいのだけれど、言い回しがやたら説明的に感じるのよね。」



兄「これはな、わざとだ。」



私「え?」



兄「俺がこんな話し方をするのは、お前の為なんだよ。」









いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  
スポンサーサイト

続きを読む

兄「コホン、まぁ、つい、俺も自分の世界に熱が入ってしまったがな。

まぁ、お前をシカルベキ機関に預けるとか言ってても実際にはどこに預ければいいのかは不明だしな。

お前がいなくなったら、ちょっとだけさみしいし。

ちょっと面白がって言ってただけだ。」



私「うん。」



兄「それにしても、もうちょっと早く止めて欲しかったな…。」



私「うん。これからはそうする。」



兄「俺が自分の世界にこもっていた間、お前は何をしていたんだ?」



私「ん?さきいかを口の中で転がして、ベロで結べないかやってた。」



兄「あぁ~…。」



私「私、さくらんぼの枝ではできるんだよ?

それで、さきいかでもできないかなって、やってた。」



兄「あぁ~…。子供らしい遊びしてるな、うん。」



兄は私のおかっぱ頭のてっぺんに手をぽんぽんと手を置いたのでした。



兄「俺も昔やったわ。

さくらんぼの奴。」( ̄▽ ̄)=3



私「さくらんぼの枝で口の中だけで結べるといいことあるらしいよ?」



兄「あぁ~…。なんか根拠なく、そういうの信じちゃうよな?子どもって…。」



私「外人とキスするときに役に立つらしい。」



兄「ブッ!!どこのニュースソースだっ!!」( ̄□ ̄;)



私「?にゅーすそーす?」



兄「情報源はどこだと聞いているっ!」( ̄^ ̄)



私「ヨッちゃんから。」



兄「義政、アイツ…。」



私「なんで、キスするのとさくらんぼの枝が結べるのと関係するのかな?」



兄「さぁ…。義政にでも聞け。」(-""-;)



私「それとさ、私、少し疑問があって、最近悩んでいることがあるのよ。」



兄「なんだ?俺でよければ聞いてやるぞ?」



私「アイちゃんがね、初キスはレモンの味だとか言うのよ。」



兄「ぶっ!あいつらもそろそろそういうお年頃か…。」( ̄_ ̄ i)



私「で、なんでレモン?なんでキスするとレモンの味がするの?

お兄ちゃん、なにか知ってる?」



兄「知るか。」( ̄^ ̄)



私「そうなんだ。

じゃぁ、お兄ちゃん、まだ初キスしてないんだね。」



兄「ぶっ!お前俺はまだ中一だぞ?」( ̄∩ ̄#



私「そうなんだ。

だって、アイちゃんが得意そうに言うしさ。

私、頭を悩ませてて…。」



兄「おいおい、微妙に不穏な発言だぞ?

お前の交友関係は把握しているつもりだが、まだなにか俺に隠し事をしているんじゃないだろうな?

男の子の友達とか新しくできたのか?交際しているのか?

言ってみろ。」



私「だって、口と口をつけたら、レモンの味がするんだよ?

それって、キスする前にレモンを食べていたんじゃない?」



兄「…あ、そっち。」( ̄ー ̄;



私「それってさ、すごく苦いと思うの!」



兄「レモンを皮ごとかじる奴いないだろっ!」



私「えっ!じゃ、レモンの味ってどゆことっ!?」( ̄□ ̄;)!!



兄「だから、酸っぱいとか、さわやかとか、そういう…。」



私「えっ!人と口つけて、酸っぱいとか、気持ち悪くないっ!?」( ̄□ ̄;)



兄「いや、だから、それは比喩であって…。」



私「それでね、他のおしゃれ女子たちが言ってたの。

レモンじゃない、甘酸っぱいんだって。」(@_@)



兄「あぁ、だから、それが比喩なんだって…。」



私「それでね、ミオちゃんなんかも、はちみつの味がするって…。」



兄「まさに比喩だろうが。」



私「それって、キスの前にはちみつ舐めていたって事?」



兄「プーさんかっ!」



私「どういうこと?

酸っぱいレモンやら、はちみつを普段から舐めているって事っ!?」



兄「いや、だから…。」



私「そこで、私は考えた。

はちみつとレモンが一緒なら、美味しい。」



兄「おい、ズレてるぞ?」( ̄_ ̄ i)



私「つまり、キスをする前にレモンキャンディーを舐めていたのよっ!

これなら甘酸っぱいの説明がつく!」



兄「いや、そんな得意そうに言われても…。

まぁ、いいんじゃないか?」



私「でも、まだ疑問が残るのよ…。」



兄「今度はなんだ。」



私「他の子はミントの味がするって…。」(@_@)



兄「振り出しか。」



私「だって、ミントって苦いと思うのよ。」



兄「だから、葉をかじるやついねーって。」



私「ならばどういう事?」(@_@)



兄「だから、ミント系のスーっと爽やかな香りがしたとか…。

とにかく、イメージ、比喩なの。」



私「ということは、ミント味のガムを噛んでいたと考えられるわね…。」



兄「お前もそこから離れないな…。

まぁ、いいんじゃないか?

エチケットとして、ミント系のガムを噛んでからキスするとかはアリだと思うし。

はちみつレモンキャンディーを舐めていたとかで。」



私「そこで、レモンキャンディーやミントガムを直前に口にしていたのはヨシとしても!」



兄「まだ続くか。」



私「なら、直前にハンバーガーを食べていたら?

ラーメンを食べていたら?

餃子を食べていたら?

キスはハンバーガーの味がするの?

ラーメン?餃子?焼肉もありなの?」(((゜д゜;)))



兄「お前どこまで考えを広げるつもりだ…。

初キスの初々しさが皆無だぞ?」( ̄_ ̄ i)



私「だって、スパゲティを食べてたら、キスしたらナポリタンの味がしたとか…。

嫌じゃない?」。(´д`lll)



兄「それは普通に嫌だけどな?

お前にはまだ情緒が足りていないらしい…。」



私「そう、寿司とか、酢飯の味がしました…。

そんな相手と口をくっつけるなんて…。」(´□`。)



兄「お前、頭いいんだけどな?

完全に迷走しているぞ?

豊かな想像力がマイナス方向に働いている。」



私「焼肉!ノー焼肉っ!

エバラ焼肉のたれの味がするなんてっ!

考えたくもないっ!!」。(;°皿°)



兄「俺だって、初キスに焼肉食べたばっかの女子とかはやだけどな?

もう、お前、そこから離れろ。」



私「ノーキムチっ!ノー納豆!」(((( ;°Д°))))



兄「おい、戻ってこい。」






いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  

兄「あっ!!」



兄は手をワナワナと震わせて興奮していたかと思ったら、今度は息をつまらせ、みるみる顔を赤くしていったのでした。



兄「…お前、止めるなら、もっと早く止めてくれよっ!!

元に戻ったとき、恥ずかしいじゃないかっ!?(><;)」



私「ん?だって、気持ちよさそうに話してたから、途中で止めちゃうの、悪いかなと思って。」



兄「それなら、それで、最後まで…。

いや、あそこらへんでフィナーレかっ!

くぅ~、恥ずかしい…。((>д<))」



私「別にいいんじゃない?

誰に迷惑かけるでなし、好きに話しても?」



兄「いや、なんていうか、その、イメージがっ!

学校では堅物の優等生のイメージがあるしっ!

それを崩すのは、みんなの期待を裏切りそうで辛いしっ!」



私「ここは家なんだから、好きにくつろげばいいんじゃないかな?

そんなの気にしないで、リラックス、リラックス(笑)」



兄「え、あ、でも…。

なんか、俺、子供っぽくて恥ずかしいよ…。(/ω\)」



私「いいんじゃない?まだ子供だし。

私も空想して遊ぶこと、よくあるよ?」



兄「そんな、だって、俺がそんな空想好きだなんて知られたら、学校でやってけない…。」



私「そぅお?

空想が好きな子どもっていると思うし、そんなに変じゃなくない?

楽しいじゃない。(笑)」



兄「そうだけどな?そうなんだけど、優等生の仮面があってさ…。」



私「うん、そうなんだ。

優等生も大変なんだね。

でも、お兄ちゃんがそういう楽しいことをキラキラした目で語っているところを見たら、もっと友達できるかもしれないよ?

ちょっと近寄りがたい雰囲気があるらしいけれど、なんだ戦闘物が好きなんだってなったら、男子とか親しみわくと思うけれど?」



兄「え、あ、そうかな…。」



私「うん。

実際に試すのはお兄ちゃんが決めればいいけれど。

ここは自分のお家なんだから、そんなに人目なんて気にしなくてもいいんじゃないかな?

みんな家族だし、好きなことに没頭するのを馬鹿にする人はいないよ?」



兄「そっか…。

そうかもな…。」



私「うん、そう。

好きにしたら!

ここは家で、くつろげる場所だから。

外で緊張しちゃう分、お家でリラックスしとかないと、バランスとれないよ?

大丈夫、大丈夫!(笑)」



兄「うん。

なんか、お前のほうが年上っぽいな?」



私「うぅん、私も家でのんびりしたいから。

それに、私も空想するよ?

プリンスエドワード島にある、『雪の女王』ってどんな樹なんだろうって。」



兄「いや、なんか、それだと、まだ一般ウケしそうな感じ…。」



私「大丈夫大丈夫!

頭の中で、何をやっても許されるって!

気にしない、気にしない!(笑)」



兄「そうか、ありがと(笑)」







いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  

私は黒いテーブルの上に置いてあるコップに手を伸ばして、水を飲みます。

兄の独白は続いていました。



兄「これだけの才能を持った生物を俺好みにカスタマイズする。

そして、どれだけの成果が出るかを検証し、立証する。

ククク。

コイツはおあつらえ向きに、疑うということを知らないっ!

なにせ生まれた時からのつきあいだからなっ!!

俺の命令をすべて信じて実行する!」



私「……(こくんこくん。)」



兄「くくく。

いいぞ、この調子だ…。

こいつに俺の流儀を叩き込み、全ての感性を鋭敏化させる。」



ガサガサと音と立てて、ふたたびさきいかを一つ口に運びます。



兄「そして、この並外れた運の良さっ!

奇跡的な忌避回避能力っ!」



私「……。」



私「くくく。

鈍臭そうにみえて、さすがは俺の妹。

なにげに俊敏で、実は運動神経も良い、動体視力もバッチリだっ!」



兄「この、これといって、何も特徴もない。

しかし、それでいて、どこにでもいそうな外見とは裏腹に、ずば抜けた身体能力を持つ。

こんなモルモット、他には無い!」



私「……(もごもご)」



兄「一見、無学そうにみえて、一度見聞きした物事はすべて記憶する。

そして、すばやく理論武装をし、大人でも対等に戦える。」



私「……(もごもご)」



兄「そして、平凡そのものの容姿とは裏腹に実はサイキック!

予知能力に、サイコメトリーに、受信型のテレパス。

そして、驚異的な暗算能力に、非凡な悪運の強さっ!」



私「……(もごもご)」



兄「俺はこいつに人体にいかにダメージを与えれば瞬時に撃退できるかの術を伝え。

そして、あらゆる状況においても、自分の生存を確立させる術を叩き込んだっ!」



私「……(もごもご)」



兄「くくく。

できる、できるぞっ!

この調子なら、生存確率99・9%の無敵のソルジャーがっ!

俺はこの手で作り上げるっ!

史上最強の無敵の戦士をっ!」



私「お兄ちゃ~ん、そろそろ戻っておいで~?」








いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  

私「ふぅん?」



兄「あぁ、おそらくは、という注釈付きだがな…。

俺は気づいているが、姉ちゃんも、父ちゃんも気づいていない。


母ちゃんは何も言わないけれど、きっと気づいている。

一番身近で見守っている存在なんだ、母親が気づいていないとは思えない。

しかも、父ちゃんみたいにマヌケな頭脳の持ち主でもないしな、ワザと黙っているんだろう…。

くくく…。」



私「わざと?なんでかな?」



兄「それはもちろん、母ちゃんなりに、なにか考えがあってのことだろう。

おそらく周りが大騒ぎして、まだ幼いお前の人格に悪影響を与えかねないのを危惧してのことと思われる。」



私「大騒ぎして、きぐ?」



兄「あぁ、心配しているって意味だよ。」



私「心配されるようなことなの?自分ではよくわからないけれど。」



兄「あぁ…。心配いらないよ?(笑)」



私「なぜ?」



兄「だって、家族で黙っているから。」



私「そう?それじゃ安心なのね?」



兄「そうだよ?安心していいんだよ?しんじゅは。」



私「?ではなぜ、さっきお前は騒がれないんだ?なんて言ったの?」



兄「くすす。

よく覚えているなぁ(笑)」



私「うん。」



兄「お前は何も心配いらないんだ…。

俺たちがしっかり守ってやるからな?」



私「…うん。うん?なんか変な感じがするけど?」



兄「何も心配いらない。」



私「???なんか、ひっかかるような気がするけれど…。」



兄「なぁんにも、心配いらないよ?

だって、お前は俺の大事な妹なんだもの。」



私「???うん?」



兄「そう、お前はごく普通の女の子だ。

何も気にしなくていい。」



私「うん。」



私は手元に持っているさきいかの袋に手をいれて、一つつかみ、自分の口にほおりこみます。



兄「そう、例え相手が30歳年上だろうと。

例え相手が教育免許を取得できる大学を卒業している高学歴者だとしても。

例えそれが自分を担当している教諭だとしても。

それを論破する小学生なんて、この世の中にそうそういない…。」



私「……。(むぐむぐ。)」



兄「そう、未だかつてこれほど論理構成力と言語能力の優れた小学生がいただろうかっ!(笑)」



私「……。(むぐむぐ。)」



兄「くすす、家庭教師も塾にも通っていない無学な小学生が。

たかだが10年の歳月しか生きていない無力な子供が。

極端な言いがかりに差別的扱いで無闇に圧力をかけられても、それを乗り越えて論破する。」



私「……。」



兄「そんな小学生がこの世の中のどこにいるっ!」



私「……。」



兄「これだけの能力を持った子供なら然るべき機関へと預ければきっとその才能を開花させ、華々しい未来は約束されたも同然だっ!」



私「……。」



兄「それを黙って見過ごすのか?

いいや、そうじゃない。

俺は、神に感謝したい気分だ!」



私「……。」



兄「これだけの才能を持った、まっさらな状態の生物を俺の前に与えてくれた!」



私「なまもの?」



兄「いや、神ではなく、両親に感謝しよう!

こんなおもしろい生物を俺の妹として与えてくれた!」



私「せいぶつ?」



兄「こんな面白いモルモットを公的機関などに渡してたまるものかっ!」



私「もるもっと?」



兄「こんなおもしろい生物を自分好みに染め上げて、洗脳するっ!

こんな楽しい生身のオモチャ、他にはないっ!

神よっ!感謝しますっ!!!」









いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  

私「れこーど・きーぱー?

え、れこーどってコレ?」



と、私は手を両手を弧を描くように丸く動かして見せました。



兄「そう、レコードはレコード盤のレコードでもあるんだが、記録とか記憶という意味で俺は使っている。」



私「え?キーパー?」



兄がうなづくのを見上げて、今度は両手を素早く上につき出す仕草を繰り返します。



兄「あぁ、サッカーのキーパーの真似か。

キャッチするという意味ではそうなんだが、今のは保ち続ける、保持する、という意味で使っている。」



私「ん?記録保持者?ギネスみたいな?」



兄「あぁ、ギネスの事を知っているのか。

お前意外と物知りだな…。」



私「前テレビでやってた。

生ガキを一度にどれだけ食べれるかって記録更新したとか。」



兄「あぁ、記録更新の方に主眼が置かれているな、ギネスは。

そうじゃない、俺が言いたいのは、記録、いや記憶保持者、という意味で言っている。」



私「記憶保持者…。

ん、でも、普通じゃない?」



兄「あぁ、人間の頭脳は本来、物事を一度記憶したらそのまま永久に消えたりはしない。

ただ、再度同じことを思い出そうとしても、うまく引き出しが開けられない。

それが忘れた状態として通常言われている。」



私「うん。私も忘れるよ?」



兄「いや、人間は一度体験したことを、忘れたりはしない。

ただ、思い出せないだけ、と言ったほうが正確なんだ。

この思い出せない頻度が多いか少ないか、それが個人差があるというだけなんだよ。」



私「ふぅん?」



兄「通常の人間の記憶力では、反復することで記憶が強化される。

ただ、一度体験しただけでなく、その後も思い出して感情を味わったり、どんな意味があったのかと因果関係を思索するなど、繰り返し思い出すことで、記憶の引き出しに瞬時につながりやすくなるものなんだ。

これが一般的な記憶の強化、いわゆる勉強の成果にもなるんだが…。」



私「あぁ、復習ってことね?」



兄「そうだ。予習復習することで、授業の内容を強く印象づけて記憶に長時間留めるように努力する。

それが一般的な記憶力の強化となるんだ。

だが、お前の記憶の仕方はこの枠にとどまらない。

お前は俺が言ったセリフを一言一句違えずに何度もスラスラと答えることができる。

それも一日、二日にとどまらない。

何ヶ月、いやあるいは何年も前の事も、まるで昨日のことのように話しだしたりする。

例えるならお前の脳をコンピューターとするならば、ケタ外れの容量を持っているようなものなんだよ。」



私「容量…体積が大きいって事?」



兄「イメージとしての話だ。

実際にお前の脳みそがでかいってわけじゃない。

おそらくミューロン細胞の結合が複雑でいくつもの経路を複数備えている。

だから、瞬時に必要な情報にアクセスが可能で、一瞬で過去の出来事をまるで今、見てきかたかのように再現する能力を備えているんだ。」



私「う、うぅん…。

それが何か?」



兄「『それが何か』か…。

それがどれほど貴重なことなのか、自覚がないんだな。」



私「うん、だって、それが当たり前だから。」



兄「そうだ、お前にとっては当たり前だし。

お前のまわりの人間にしたって、コイツはちょっと物覚えがいい人間なんだなってくらいにしか感じていないから、誰にも騒がれない。」



私「あぁ、うん。」



兄「違うんだ。

お前のような能力を持った人間はおそらく全人口の数パーセントしか存在しない。」



私「そうなの?」



兄「あぁ、お前が今はまだ子どもだから余計に目立たないだけだが。

お前が成長し、大人になればもっとその確率は低くなる。

おそらく1%未満、いや千人に一人ぐらいになるだろう。」



私「んん?麻小学校に一人いるかいないかぐらいになっちゃうの?」



兄「そう、お前の記憶力はそれだけ稀有な才能なんだ。

今、俺がお前に話している内容も、大人になったお前が再現することは可能だ。

お前は今10才だが、おそらく10年20年30年経っても可能だろう。

俺はそう、予測する。」



私「?へぇ~?」



兄「お前は自分のすごさがまるで分かっていない。

それは誰もお前が稀有な才能の持ち主だと認めていなかったからだ。」



私「うん、ちょっとよく分かんないや。」



兄「お前の才能を理解しているのは、ごくわずかな人間のみ。

それは俺と、俺たちの母親、実質この二人だけなんだよ。」






兄「お前には予知能力があるな。」



私「うん。」



兄「俺もあるが、さらにおまえには動物や植物の声が聞こえる。」



私「鉱物も聞こえるよ?」



兄「そう、さらにサイコメトリーも使える。」



私「使いこなせるわけじゃないよ。

勝手に見えてしまうだけだもの。」



兄「そして、他人の考えている事も分かる。」



私「これも自分で選べないよ。

勝手に頭に浮かんでくるんだもの。」



兄「読心術みたいなものだ。

ふぅ~む、面白い。」



私「心を読んでいるわけじゃないよ。

その時のその人の気分や気持が分かるだけで、それが本当にその人の本心とは限らないんだからアテにできないよ。」



兄「そして基本、お前は現実主義だ。

まぁ、俺がそう、仕向けたのもあるが。」



私「うん、用務員のおじさんにも同じこと言われた。」



兄「そして、その記憶力。

ふぅ~む、おもしろい…。

ざっくり言えば、霊能力がそなわっていて、かつ、言語能力の高い現実主義者か。

そうそういないキャラクターだ。」



私「ふぅん?」



兄「しかしお前の最大の特徴は、その記憶力だ。

その他のはただのオマケに過ぎない。

まぁ、今の時点では、という意味で、今後、どんな伸び代があるかは未知数だがな…。」



私「うん?」



兄「霊感や霊能力なんていう、あやふやなものは成長期を経て消えてしまう可能性があるからな。

しかし、お前の記憶力はおそらく加齢に関係なく持続されることが予想される。」



私「そうなの?」



兄「あぁ、お前の記憶の仕方は、通常とは異なる。

なにかに関連付けて記憶する、紐づけ記憶、という方法があるのだが。

どうもお前を見ていると、それとは性質が異なるように思えるんだ。


まるで、鯨が大きな口をあけて海水を飲み込んで、プランクトンを摂取するように、膨大な量の情報を丸呑みしているように見える。


お前はきっと、レコード・キーパーなんだよ。」






いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪