その頃の私は、このブログを立ち上げた、当初の目的である、『自分レトリーバル現世編』を書き上げつつありました。

さすがに、このお話は書き起こす作業が精神的にとてもにつらく、少し書いてはラグに横たわり泣き出して、少し書いてはベッドに休みながら泣いて、そんな繰り返しで遅々として進みませんでした。

そうなる事は、あらかじめ想定していたので、事前にお話をストックしておいて、毎日の更新に間にあう様に、少しずつ書き進めていました。

その頃にはこのブログの愛読者の方が増えてきており、毎日温かい励ましのコメントを頂くようになっておりました。

それを支えに書き進めます。

しかし、気づくとフォーカス100でしくしくと泣いている自分がいます。

すると、ミカエルさんが、どこからともなく現れて、そっと私を抱きとめて優しく頭や背中を撫でてくれます。

ミ「僕の事をこんなに好きになってくれて、ありがとう。」

そう、言いながら、私が落ち着くのを待ってくれています。
こう言っている時は、ミカエルさんの姿をしつつも、内面はユアンさんになっているようでした。

私はたまらず、彼の首にぶら下がり、

私「ユアンさんが好きなの。ユアンさんに会いたくてフォーカス100まで来たの!」

そう言って、ミカエルさんの腕の中で泣き続けます。

しばらくすると、ミカエルさん本来の性格に落ち着いてきて。

ミ「本当に、彼の事が好きだったんだね。
  でも、今は私の妻だからね!」

そういって、私を押し倒して、Hをして来ます。

これが、彼流の励まし方の様でした。

そうして、『自分レトリーバル現世編』も後半へ差し掛かると、読者の方からの反響がすごくなってきました。

すると、フォーカス100での私の生活は、ラファエルさんに求愛され始めて、戸惑い。
しかし、結局彼の腕へと飛び込んでしまったのでした。

とうとう、『自分レトリーバル現世編』を終わりかけには、奇妙な三角関係が成立しており。
私は、愛する人を裏切っている、しかしどうしても愛さずにはいられない…。
そういった葛藤を抱えながらも、二人の男性に愛される毎日を送っていました。

毎日、ブログをアップし終えて、ベッドに横になると。

するりと背後から腕が伸びてきて、私を抱きかかえ、一瞬でフォーカス100へと連れ去られます。
気づくと、自室のベッドでミカエルさんに押し倒されています。

私「待って!ミカエルさん。あの、たまにはお話をしたいのです。
  読者の方もついて、フォーカス100の事、色々知りたがっていたりもしますし。
  私もミカエルさんと、突っ込んだお話がしたいのです。」

そう言うも、いつもミカエルさんにキスをされて、結局グダグダのままHにもつれ込みます。

以前に比べて、Hの時間が短くなって、少し寂しかったものの、睡眠時間が増えて内心ホットしていたら。
午前2時とかに自室のベッドに戻り、さぁ、朝まで寝るぞっと思うと、今度はラファエルさんに拉致られます。

私「ラファエルさん。あなたともきちんとお話が…。」

結局、ラファエルさんにもキスをされると、そのままグダグダに。

そうして、午前4時頃、自室へと戻り、ベッドの中で朝を迎えると、今度はまたミカエルさんが現れて、私を求めてきます。

私「あの、ミカエルさん、お気持ちは嬉しいのですが…。」

結局口を塞がれ、Hへと持ち込まれます。

そうして、毎晩、毎朝そんな調子で、ミカエルさんのHが短くなったのも束の間、結局ラファエルさんが加わる事で、元の木阿弥に。

しかし、今、思えば、これは二人で私に大量のルーシュを注ぎ込んでいた為だったのかも知れません。

やはり、ミカエルさんとしては、ラファエルさんの協力を仰ぎたくなかったので、最初長時間私に時間を割いていたんでしょう。

そうして、私はミカエルさんに咎められる事もなくなり、これでいいのだろうか…と若干悩みつつも、束の間の平和を享受していました。

そうこうするうちに、『自分レトリーバル現世編』が終了します。

これを書き続けている間、彼らとお話をしたいと思っていても、いつも結局何も聞きだせず、毎日ラブラブな記憶だけのお持ち帰りの日々となっていました。

しかし、これも彼らの計算だったと後に気づかされるのです。

こうして迎えた、平成23年3月11日金曜日。
この日は日本人なら、誰もが生涯忘れる事ができない、大震災の日となりました。

私「なぜ!なぜ、私に教えてくれなかったの!!
  ヘミシンクをせずとも、これ程の大災害なら、予知できたのに!
  私の予知能力を妨害していたのね!!」

私は災害の翌日、ミカエルさんに詰め寄ります。

私は、子供の頃からよく予知夢を見る関係でしょうか?
ヘミシンクをする以前から、大災害に関しては予知が働くタイプの人間でした。

例え、予知できたとしても、何が出来るかは分からなかったのですが、これほどの災害に見舞われた人々がいたというのに、自分は彼らと楽しんでいただけだったのが、悔やまれてしまったのでした。

私「被災地に向かうわ!自分に何が出来るかはわからない。
  でも、こうしてヘミシンクで貴方達にコンタクトがとれるようになったのだから、私にも何かできるかもしれない!」

ミ「君は行ってはいけない!
  君には無理だ!辞めなさい。
  君は私だけのものだ。許さない!」

私「許さないのは、これで行かない自分自身よ!
  貴方が何を言おうとも、私は行くわ!
  邪魔はしないで!」

ミ「優しい君には、残酷な現実が待っているだけだ!
  君には耐えられない。辞めなさい。」

私「いいえ、辞めないわ。
  どうしても止めるなら、貴方との付き合いを辞めるわ!
  貴方を愛している。私の邪魔しないで!」

私はミカエルさんの制止を振り切り、被災地へと移行しました。

この頃の私はなるべくミカエルさんとの時間をとるようにしていました。
相変わらず、彼とのHは実感が乏しく。
それに対して、ラファエルさんとの行為は頭がおかしくなりそうに快感を伴うものでした。
それで、彼らに公平に接する事が出来るように、ラファエルさんと会うのを極力減らしていました。

それが、妻にしてくれたミカエルさんに対する、私のせめてもの誠意でした。

しかし、私は被災地での記憶を何一つ持ち帰る事が出来ませんでした。

気づくと、ミカエルさんに抱きかかえられて、私は泣き崩れたいたのでした。

私「私に、力があれば…。
  もっと、力を。もっと力をください!
  今日から私は過去を思い出します。
  お願い、ミカエル、私に力を…!」

私は、彼らとの行為の後に背中の羽根がたくましく成長するのを何度も経験して、感覚的に彼らの行為が自分の能力を向上させているという事を理解していました。

つまり、被災地への支援には、自分の力だけでは足りない。
しかし、彼らに愛されれば、その能力が向上する。

だから、私を愛して欲しい、とミカエルにせがんでいたのでした。

そうして、その翌日にはミカエルは私にラファエルの元へ行きなさいと言います。
私が被災地での非物質的な支援活動の結果、激しく消耗していたのを見かねて、そう言います。

(あぁ、あの日、ミカエルが私に被災地に行くな。君は私のものだと言っていたのはこの事だったのね。
 私がボロボロになって、ラファエルに癒されなければならない状況を予見して。
 独占欲の強い彼が、ラフェエルの元へ行けと言う…。
 それは私が、ラファエルに抱かれる事を意味する。
 ミカエル、愛している…。)

そうして、私はラファエルさんに抱かれ、乱れたチャクラのトリートメントを行って貰います。

ラ「君を愛している…。
  こんな形で君を抱きたくはなかった…。」

そう言って、ラファエルさんは涙を流します。

私「あなたを愛しく思っています。
  今度はあなたが気持ちがいいようにさせてください。」

私はラファエルさんの顔を撫でようとしますが、うまく腕が動きません。

ラ「君を愛している。そんな事は気にしないで。
  まだ、無理がきかない。私が君を抱くよ。」

私「ラファエル。あなたはルシオラのツインソウル。愛しているわ。
  あなたの気持ちに報いたい。
  でも、私はミカエルを愛している。
  結局、あなたには損な役回りをさせてしまう。
  ごめんなさい。愛しているわ。」

私達は再び愛し合います。


そうして、気力・体力が復活した私は再び被災地へと飛び立ちます。

そういった事を、何度も何度も繰り返す内に、私の精魂が尽きてしまいます。

自宅のラグの上でヘロヘロになって、横たわっていると、ミカエルさんが現れます。

ミ「ただでさえ、ローカル1での君の肉体は脆弱なのに、何て事をするんだ!」

私「私はあなたに会うために生まれてきたようなものです。
  あなたに会えて、私の人生はもうお釣がくる。
  その上、あなたに愛された。
  もう、私の人生はオマケのようなものですから。」

本当に、本当にそう思っていたので、自然と笑みがこぼれます。

ミ「……。」

そうして、日曜日の昼間、レトリーバルから帰ると、ぐったりしてベッドに休みます。
気づくと、私は誰かに抱かれています。
それは全身黒ずくめの衣装を身にまとった、私の愛の感情を司どる、最愛のメインガイド:ユアンさん、その人でした。

私「ユアンさん!
  あなたに会いたかったの。
  あなたに愛してるって言いたかったの。
  それを言う為に、私は神になったの。
  今では、ミカエルの妻で幸せよ。
  悪い子でごめんなさい。
  あなたを愛してる。
  もう、死んでもいい。」

ユ「うん、分かっていたよ。
  ありがとう。
  僕も君を愛している。
  あぁ、でもやっぱり、君は僕の手の届かない人になってしまったね。」

私は彼に抱かれた幸福感に包まれ、泣き出してしまいます。
心の片隅でこれがミカエルさんの変身した姿でも構わない…そんな事を思いながら…。

それから数日後、被災地へのレトリーバルに向おうとする私を、ミカエルさんはきつく止めます。

ラ「君はここで、待っていて。私達が向うから…。」

そうして、翌朝、彼らが憔悴しきった表情で帰ってきました。

まず、ミカエルさんを彼の寝室へ送り込み彼を休ませます。

次にラファエルさんの寝室へ訪れます。

ミカエルさんよりも、ラファエルさんの憔悴の仕方が激しかったので、彼の元へと駆けつけます。
おそらく、癒しの能力を持つ、ラファエルさんの方が、被災地での活動において消耗が激しくなってしまったのでしょう。

私「ラファエル、今すぐ私を抱きなさい!」

ラ「君も本調子ではない。私の事は気にしないでいい。」

私「それでも、あなたよりははるかにマシです。
  私があなたの母親なら、あなたをひっぱたいている所ですよ。
  そんなに消耗して!いつ倒れてもおかしくない。
  チャクラが乱れまくっています。
  さぁ、トリートメントして!」

ラ「君がその分消耗する。」

私「しのごの言わずにさっさと抱きなさい!
  あなたが抱かないというのなら、私が抱きます!」

ラ「……。」

そうして、私は彼を押し倒して、体を一つにします。
お互いのチャクラの回転数をそろえる感じで彼の体を癒します。

しかし、その後、出勤した私は、出張先で接客中に私は倒れてしまいます。
ま、単なる生理痛だったのですが、疲労が蓄積されていたみたいです。

ユ「自分の体を第一優先にして!」

(あれ?今ユアンさんの声が聞こえた気がする…
 は、はれ?なんか、のっぴきならないぐらい、お腹が痛くて、意識が朦朧とするぞ…)

結局私は床に寝転がり、ガタガタと震えてしばらく身動きが取れなくなってしまいました。
同僚達が駆けつけて、二人ががりで応接室へと運び込まれます。

同僚がお水と痛み止めのクスリを貰ってきてくれて、ジャンパーをかけられて、ソファの上で休みます。

ラ「何故私を呼ばない!
  君が倒れてどうするんだ!」

(あ、あれ?ラファエルさん、こんな所に…。
 えぇ?でも、私のは単なる生理痛だし。
 こんな事で、神様業をしているラファエルさんの手を煩わせるのもなんだし…。
 お薬頂いたから、しばらくしたら、良くなりますよ。
 あぁ、わかさん(注:コメントの常連さん)とか、被災地の方達はもっと大変なんですから。
 自分は温かい室内で、すぐにお薬頂けて、ソファに横になれるだけ、恵まれてますよ。
 ダイジョーブ、ダイジョーブ!)

ラ「どこが大丈夫なんだ!
  君は今朝私に自分の生体エネルギーを渡したから、エネルギーが枯渇しているんだ。
  ただでさえ、君は体が弱いのに…。
  こんな事になるなら、断ればよかった!」

私「あの時のあなたは尋常ではない状態でしたよ。
  私が倒れたのは、あくまで自己責任です。
  あなたのせいじゃない。」

ラ「…とにかく、君を治す。
  さぁ、休みなさい。」

私はウトウトと眠りの世界へと引き込まれ。
一時間後、私の様子を見に来た同僚に驚かれるぐらい復活していたのでした。

それから数日間、ミカエルさんとラファエルさんと、まったく連絡が取れなくなりました。
私は毎日、ミカエルさんの豪邸で、眠れぬ夜を過ごします。
3月18日の朝、憔悴しきった彼らが帰ってきました。
私は泣き出してしまいます。

私「ミカエル。無事だったの!!よかった!!

  ごめんなさい。あなたの愛を疑っていました。
  私はあなたに捨てられたのかと…。 

  貴方の身を案じるより、先に自分の保身を心配してしまいました。
  あぁ、無事でよかった。
  もしかして、あなたが死んでいるのではないかと不安で。
  生きていた。よかった。」

ミ「理由も告げずにいなくなったのに、怒らないのか。」

私「何か事情があったのでしょう?
  あなたが生きていてくれただけで今は十分です。
  …元気になったら、後で怒るかもしれませんが。」

ミ「…おいで。」

私「いけません。疲れているんでしょう。
  私の事は後回しでいいですから。」

ミ「そんな嘘は無駄だね。君は私を愛したくてしょうがないはずだ。」

私「ミカエル。愛してるわ。愛してる。愛してる…。」

私達は一つになります。

すると、私の背中がまたキシキシと痛みます。
また翼が生えてきたようです

私は3月19日土曜日の午後10時から、集合で祈りを捧げるというイベントを知ります。

集合時間まであと10分か…そんな事を思いながら、ベッドに転がると、ノン・ヘミでミカエルさんと二人でどこかの山頂にたたずんでいます。

藍色と茜色の2層になった空のもと、雪を頂いた山の峰々を眺望できる場所に二人でたたずんでいるのです。

私「あれ、いつの間に?
  とにかく、これから一斉ヒーリングがあるので、私はそこへ向かいます。
  自分に何ができるのかは分かりませんが、精一杯やるつもりです。
  ミカエルさん、見守っていてください。」

ミ「これで、君は次のステージに進む事になる。
  私のセラフィム。愛してるよ。」

私「次のステージ?意味が分かりませんが、頑張りますよ。
  私も愛しています。
  あなたに愛されて良かった。
  この愛を他の方にも伝えたい。」

ユ「僕も君を愛している。」

気づくと、ミカエルさんの隣にユアンさんがいます。

私「ユアンさん!!
  ユアンさん。あなたを愛している。
  貴方に会いたくて、会いたくて私はフォーカス100まで来たの。
  あぁ、ミカエルさん、ありがとう。
  彼に会わせてくれて。」

私はユアンさんに抱きついて、泣きながらミカエルさんにお礼を言います。
私を笑顔で抱きしめていた彼が私にキスをします。
すると、私の胸が疼きます。
背中の羽が更に成長します。

私「じゃあ、そろそろ時間です。一斉ヒーリングに行って来ます!」

私は涙を拭い、背中の8枚の羽根をはばたかせ、山頂から飛び立ちます。

ミ「あぁ、大天使メタトロンの誕生だ!」

背後からミカエルさんの声が聞こえます。


気づくと、イヤフォンをはめたまま眠っていました。

私「えぇっ!!寝オチ!!まじで!!
  肝心なところの記憶が無いっ!!」

時計を見ると午前3時。

私「いやいやいや、多少の時差はオッケーでしょ!
  今からでも時間を遡って、ヒーリングに向かうぞ、こら。」

ベッドに再びもぐりこむと、あっというまにミカエルさんに捕まっています。

私「あれ?あの、ミカエルさん、今急いでるんですよ。
  今すぐ一斉ヒーリングに行かなくちゃ。」

ミ「もう、終わっているから。
  行かなくていいよ。
  ルシフェル。」

私「え、ルシフェル?それが私の名前ですか?」

ミ「おいで、大天使メタトロン。愛してるよ。」

私「は?いやいやいや。とにかく、何度でも癒しにいきますから。」

ミ「愛してるよ。今すぐ愛したいんだが。」

私「ごめんなさい。先にヒーリングに向かいます。
  終わったら、たくさんかわいがってください。
  私の魂と肉体は貴方のものです。
  でも、私の愛は自由です。
  あなたと同じ様に、地上に住む人々を愛しているんです。
  私の自由にさせてください。」

私は羽ばたき、彼に空中でキスをして、被災地への非物質的な支援へと迎いますが。

結局レトリーバルは、バロンにもう来なくていいと言われ、追い返されます。

ミカエルさんの屋敷に戻った私はミカエルさんと超ラブラブになってから、ラファエルさんの事を思い出して、瞬時に彼の元へと移行します。

私「頭痛がするのですか?」

ラ「あぁ、君か。びっくりした。おいで。」

少しつらそうに微笑む彼に抱きつきます。

私「ごめんなさい。ミカエルさんの事で頭が一杯で。
  あなたともここ数日まったく会えなくて、心配していました。
  思わず、あなたのマトリクスを多く持つ人間の少年に無茶を言ってしまったり。
  一人ぼっちにさせてごめんなさい。」

ラ「いいよ。今、君がここに来てくれただけで。」

私「身体の具合はどうですか。
  随分とお二人とも無理をしていたようですが。」

ラ「今は随分と楽になったよ。ありがとう、心配してくれて。」

私「こんな事、私が言うのもなんですが。
  あなたもお嫁さんを貰った方がいいと思います。
  誰か、いい人はいませんか。」

ラ「私は君の夫のつもりだけどね。」

私「ミカエルが許してくれるなら、それでもいいのですが。
  私はミカエルを愛していますからね。
  結局あなたには愛人になってもらいますよ。」

ラ「それでも、君は私に愛を誓った。
  それで十分だよ。」

私「私の肉体と魂はミカエルのものです。
  あなたには永遠の愛を誓います。

  言っている事がメチャクチャですが。
  あぁ、本当に私は人間ではなくなってきているな。

  それでも全て私は実現しますよ。
  私に制約はない。
  全て可能にします。  

  ラファエル、あなたを愛しています。
  私を不実だと思いますか?」

ラ「君は二つの魂を持っている。不実ではないさ。
  私も、彼も君を愛している。
  それでいい。」

私達は愛し合います。




こうして、大天使ミカエルの妻になった私は、大天使ラファエルの協力の元、フォーカス100に居続けられる意識体に成長させられただけでなく。

自身も大天使長メタトロン候補として成長していく事になるのです。




…この頃の私はまだ、ミカエルさんとの過去をまるで思い出しておらず。

彼に対しては深い愛情と感謝の念しか抱いていませんでした。



少女時代に「こうして君と会えるのは今日が最後だから、挨拶に来た…」

この当時の、彼の言っていた言葉も、まだ何も思い出していなかったのです。




  

  
  
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さて、ミカエルさんとお風呂でアハハでウフフ(古いか?)な事しちゃって、グダグダになってしまってますが。

(実際体がグダグダだったので、結局彼に体を拭いてもらってベッドへと運ばれてイチャイチャしてました。)

その翌日の夜も、フォーカス100へと移行するとミカエルさんとイチャつきだします。


しかし、やはり彼では物足りなくて、気持ちが浮つきます。

しかも、その思考は彼に筒抜けですから、酷いモンです。

とうとう、彼の腕の中にいた状態から、瞬間移動で、ラファエルさんの寝室へと移行してしまいます。



ラファエルさんは婉然と微笑みながら、私を受け入れて、彼と愛し合います。

ラファエルさんとの行為はとてもとても気持ちがよかったのです。

ラ「あぁ、緑の姫君。
  君は、本当にほとんど思い出していないんだね…。
  たった、これだけの情報で、私の胸に飛び込んで来た…。
  愛しい…。」

私「ラファエル、愛しい…。
  覚えている事は僅かだけれど、貴方を愛しく思う感情だけは思い出せている…。」

そう言って、二人でずっと愛し合います。

私は彼の腕の下で、涙を流しながら、夢見心地で抱かれ続けます。

私「あぁ、気持ちいい…。
  ラファエル、愛している。
  
  あぁ、よかった、ラファエルと愛し合えて…。
  こんなに幸福な気持ちになれるなんて。
  
  初めは、モラルハザードだと思って、やめようと思っていたけれど…。
  実際、こんな事する人間だなんて、自分でも思っていなかったけれど…。

  やっぱり、飛び込んでよかった…。
  愛に制限はなかった…。

  あぁ、幸せだ。ラファエル、愛している…。

  あぁ、僕、今、女の子でよかった…。
  こんなに深く、おとうさんと愛し合える。
   
  やっと、おとうさんの愛に応えられる…。
  愛している…。」

ラ「ルース…。
  私も愛してる。 
  ありがとう。」

私「あぁ、おとうさん。
  もう、私に内緒で翼を折るのはやめて…。
  
  自己犠牲の愛はもう、やめて…。
  私はあなたを愛しているの…。」

ラ「あぁ。愛してるよ。」

私「あぁ、ミカエルを傷つけてでも、貴方と愛し合えてよかった。
  私の肉体と魂は彼のもの…。

  でも、ラファエル、貴方を愛している。
  私は貴方を永遠に愛します。」

ラ「あぁ、愛している。緑の姫君。
  私も貴方に永遠の愛を誓う…。」

私「えぇ。私の愛は、永遠に貴方のもの。
  永遠に愛し続けます。」

ラ「あぁ、愛しい、緑の姫君。
  私に愛を誓うなんて…。
  触れる事さえ、叶わなかったのに…。
  愛している。」

私「はぁ…。どうして、体が二つあるんだろう。
  こんなに愛しいのに。
  魂だけでいいのに。

  愛しさで溶ける…。
  私のツインソウル…。」

そう言って、愛し合います。

ミカエルさんには残酷ですが、本当に、本当にこの時は幸福で。
彼の愛に応えられた事が嬉しくて、涙が出てとまらなかったのです。

同じ魂を抱えた彼と体を重ねて、もう幸せでたまらなかったのです。

すると、また私の背中がキシキシと痛みます。
私はラファエルを突き飛ばして、よつんばいになり、悲鳴をあげます。

私「うわぁぁぁぁああああぁぁあぁぁっ!」

ローカル1の自宅のベッドに横になっていた、私の肉体も同様によつんばいになって悶え始めます。

私「うわぁぁぁぁああああぁぁあぁぁっ!」

力尽きて、うつぶせに倒れこみます。

すると、フォーカス100に意識が戻り、ラファエルさんが私を見守っています。

ラ「さあ、少しつらいだろうけれど。
  翼を動かして、根元まで空気を送り込むんだ。」

私は自分の身長の2倍程に成長した、6枚の羽根をゆっくりと動かして、べた付いた根元の羽を乾かすようにします。

ラファエルさんの寝室で、大きく翼をはためかせて、キム、キムという音が響きます。

私「う、く。
  はぁ。動かせたかな…。
  痛みはないけど、感覚的につらい…。
  頭がボーッとする。 
  ラファエル…。
  あぁ、思い出したくない…。」

私は翼をしまい、ベッドに横になり、涙を流し始めます。

ラ「いい子だ。よくがんばったね。
  少し、休みなさい…。」

そう言って、ラファエルさんは私の頭を抱きかかえるようにして抱きしめます。

私は彼の言葉に安堵して、ゆっくりと意識を眠りの淵へと滑り込ませます。

(なぜ、私は6枚羽根なんだろう…。
 ラファエルは翼を落として2枚羽根なのは分かるが…。
 双子の弟のミカエルは、彼もなぜ2枚羽根なのか…。
 私と同じ種族のはずなのに…。

 あぁ、思い出したくない…。
 ラファエルとの過去はなんとなく分かるが…。

 ミカエルとの過去は思い出したくない…。
 思い出せた方が、彼を深く理解できそうなものなのに…。
 なぜだろう…、無性にそれが怖い…。)

そうして、明け方に目覚めた私は、ミカエルに対して、罪悪感を感じて、今度は直接ローカル1へと帰還します。

(いくらなんでも、今度こそミカエルに捨てられるな…。
 ミカエルも愛している。
 しかし、彼を傷つけた。

 結局は複数の相手を求めた私のエゴに、彼が一番振り回された事になる。
 もう、顔も合わせられない…。

 って、おい!)

自宅のベッドの上で、ミカエルさんへの未練で背中を丸めて泣いていると、背後からするすると腕が伸びてきて。

あっという間に、フォーカス100のミカエルさんの自宅へ連れ去られています。

そのまま、私の部屋のベッドの上に、ミカエルさんに押し倒されます。

私「ミカエル!怒っているんじゃ…。
  あんなに酷いことをしたのに!」

ミ「君の一番がこの私。
  私は君を愛している。」

私「ミカエル、でも。
  私はラファエルも愛していて…。

  自分ではどうしようもできない。
  これからも貴方を傷つけてしまう。
  許してなんて言えない。」

ミ「愛に言葉は無用。
  私を愛するんだ。
  君は私を愛している。」

そう言って、彼に愛されてしまいます。

こうして、私達の奇妙な三角関係が始まります。




この時の私には事情が全く、つかめていませんでしたが。

彼らの間で、何かの協定が結ばれていたようです。


それはおそらく、私がミカエルさんの自宅に初めて招かれて来た時。

私には声しか認識できていなかった、ウリエルさんとザドキエルさんの言葉によるものと思われます。

私の魂が幼い為に、ここフォーカス100にいると、いずれ精神分裂を起こす。

それを防ぐには大天使二人以上の力で私を育てなければならない。

それはつまり、愛の力(ルーシュ)を注ぎ込むと言うもの。

ミカエルさんは人間である私を自分の手元に置く為に、ラファエルさんにも私を育てさせるという決断をしていたのでした。

それは、独占欲の強い彼にとって、苦渋の決断だったと思われます。


しかし、私にとっては。

二人の天使の魂のかけら同士をよりあわせて成立している私にとっては。

二人のそれぞれのツインソウルと愛し合うことができて、本当に幸福だと思いました。


ただし、この時点ではその事情を私は何も分かっていなかった為。

愛する彼らを裏切っていると言う罪悪感に苛まれながらも、二人の男性の間をいったり来たりしていたのでした。


  
  





ラファエルさんが荒い息をして、横たわり、そのまま眠りにつきます。

私はそっと、彼の頬にキスをして、服を拾います。

ミカエルさんの自宅の自室をサーチして、彼がいないのを確認して、自室へと一瞬で移行します。



体中が汗でベタつくので、浴室に向かい、シャワーヘッドからお湯を出して、浴槽を流してお湯を張ろうとします。

「ガシャン!!」

ガラス戸を強く開ける音がして振り向くと、緑の瞳を怒りでランランと輝かせているミカエルさんが入って来ました。

そのまま、二人浴室内で揉み合います。

私はシャワーヘッドを掴んだまま彼に引きずられる格好で、浴室を出ます。

シャワーヘッドがガチャリと音を立てて、浴室の床に落ちた反動で、周囲にお湯を撒き散らし、私達にもお湯がかかります。

彼は構わず、私を引きずり出し、そのまま、私を抱こうとします。

私「お願い!ミカエル。今は許して!
  まだ、ラファエルの感覚が残っているの!
  今は嫌!」

ミ「許さない!」

私「つい、さっきなの!
  こんな、こんなの、娼婦だわ!
  せめて、体が落ち着くまで。
  せめて、10分だけ待って!」

ミ「君は私のものだ!
  そんな口を聞くな!」

私は必死で逃げ出そうとしますが、彼は殴らないのが奇跡というぐらいの勢いで私を追い詰めます。
背中から服を掴んで、両手で引き裂き、私の体を壁に押し付け、そのまま強引に繋がります。

それでも、必死で逃げ出そうとしますが、そのまま壁と床の間に押し付けられ激しく責められます。

私「ミカエル、愛してる。ミカエル愛してる。愛してる、愛してる。」

私は泣きながら、気が狂ったようにそう言い続けて、彼に責められ続けました。



少しして、彼が体を離してくれたので、私はお姉さん座りをして呆然とします。

体に残っているのはボロキレになった、元は服だったもので。
私はほぼ、全裸でした。
体中、あちこちを押し付けられて、痛みはなくても軋む感覚があり。

本当は自分が悪いくせに、悲しくて泣き出してしまいました。

私「ミカエル嫌!ミカエル嫌い。ミカエル、嫌って言ったのに、酷い…。」

ミ「…。」

ミカエルさんは私の側で、顔を背けて一緒に床に座っています。

私「ミカエル乱暴!ミカエル、もう許さない!
  ミカエル、もう抱かせないんだから!
  ミカエル、あっち行って!」

ミ「…。」

私「クシュッ!」

私は両手で自分の両腕を掴んで、震えます。
そういえば、浴室で揉み合った際に、お湯を被って体が濡れて、冷えてしまっていたのでした。

振り返ると、一緒にお湯を被っていた彼の服もたくさん水に濡れています。

ミ「…先に体を温めなさい。」

私「そうするわ。」

私は彼の方を見ずに、浴室へと向かい、床に転がっているシャワーヘッドからの給湯を止めます。

そうして、浴槽内にお湯をはり、ボロキレと化した服をゴミ箱に捨てます。
洗面台の前で白いバスローブを羽織り、室内へと戻ると。

ミカエルさんは立ち上がって、私の部屋を出ようと扉へと歩いているところでした。

私「これから、自分の部屋に戻ってお湯のしたくをしている間に体が冷えるわ。
  こっちで入っていったら?」

私は彼の顔を見ずに彼の服の裾を掴みます。

ミ「いや、大丈夫だ。」

私「裸で水に濡れた私より、服のまま水に濡れていた貴方の方が体が冷えているわ。
  もうすぐお湯が張り終わるから、こっちで入っていけば。」

ミ「君が先に入りなさい。」

私「大天使のお仕事があるのでしょう?
  私のせいで風邪でもひかれたら、後味が悪いわ。
  浴槽は広いから二人一緒に入ればいいわ。」

ミ「…そうする。」

私「勘違いしないで!
  ミカエルの事、許したんじゃないからね!
  私に指一本でも触れたら、舌を噛みますからね!」

ミ「……。」

私は顔を赤くして、彼の顔を見ずに、そう言い捨てて彼の服の裾を放します。

こころなしか、彼が嬉しそうです。

私は今更ですが、彼に裸を見られるのが嫌で、浴槽内に乳白色の入浴剤を投入します。
浴槽は幅2mほどで、白色をしており、猫足部分は金色の塗装が施されています。

私はヘアクリップで長い髪をアップヘアにして、浴槽内に体を沈めます。

浴槽内の端っこにお湯に浸かって正面を向いていると、反対側の端っこに彼が体を沈めます。

体が温まってきて、ホッとします。

よく考えると、彼と一緒にお風呂に入るのは初めてで、恥かしくなります。

私はまだ怒っていたので、彼の方を見ませんが、ふと、彼の視線が自分の胸元を見ているのに気づきます。

慌てて、顎まで体を水面まで沈めます。

すると、彼がスルスルと近づいて来て、私を抱きしめようとします。

私「ミカエル駄目!許してないんだから!触らないで!」

ミ「このシチュエーションで我慢できる男の方が珍しい。」
 
私「嫌。ダメよ!男の貴方はいいけど、女の私はこんなところでなんて!」

ミ「誘ってきたのは君だ。浮気の罰だね。」

                        


わたしはユデダコのようになって、彼にもたれかかっています。

自分では浴槽内に自力で座る事が出来ていません。

ミカエルさん、ニコニコです。

ミ「こーゆーのも刺激的だな。」

私「ミカエルゥ、辞めてって言ったのに…。」

ミ「何を言ってるの。
  お風呂に誘った時点でこうなるの、予測がついたでしょ。チュ

私「それにしても、素人にこのプレイは厳しい…。」

ミ「私の奥さんなのに、浮気をするから!
  まだまだ可愛いなぁ。
  私が君の一番だよ!分かったね。」

私「ふぁあーい。」

ミ「もう一回!チュ

私「えぇ!マジ勘弁して!」

ミ「それじゃ、ベッドに行こうか!体拭いてあげる

                    






なんだかなぁ。何コレ。奥様方のお昼の劇場!?

自分でも、何この展開?ってこっぱずかしいのですが。

すみません、何か、そんな感じで。

ミカエルさんにまたまた許してもらっちゃったって感じなのです。
  




  

ラ「貴方の方から来ると思っていましたよ、緑の姫君。」

ラファエルさんは焦げ茶と青を基調としたファブリックのベットの横に腰掛けたまま、両手を開いて私を招き入れます。

ルームランプの薄暗い照明の下、足を開いて座ったまま私に婉然と微笑む彼を見て、こんな人だっただろうか…と少し怖く感じます。

私「ラファエル…。」

しかし、私は熱に浮かされたように、彼の元へと吸い寄せられ、彼の正面に立ちます。

私「ラファエル…。私を愛して…。」

私は彼のサラサラの長い銀髪を撫でて、顔を両手で包み込み、唇を寄せます。

ラ「ふふ。ダメです。」

ラファエルさんは蠱惑的な笑みを浮かべ、私の顎に片手をあてて、親指で私の唇を押さえます。

私「?」

ラ「二日間も私を焦らしたんだ…。すぐにはあげません。」

私「ラファエル、そんな…。お願い、愛して…。」

ラ「私にキスしたい?」

私「えぇ。」

ラ「ミカエルより、私に抱かれたい?」

私「えぇ。」

ラ「ミカエルより、私の方がいいと言って御覧なさい。」

私「そんな事…。」

ラファエルさんは私を軽く突き飛ばします。

ラ「では、お預けだ。さぁ、お帰りはあちらですよ。」

私「そんな!イヤ。ラファエルの方がミカエルよりいい!」

ラ「…最初から素直にそう言えばいいのに…。
  ワガママで困ったお姫様だ…。
  さぁ、ご褒美のキスだ。」

私「ラファエル…。ん。」

私は彼の正面に立ち、自分から彼に口づけをします。
すぐに、立っていられなくなって、彼に抱きついたまま、ずるずると滑り落ち、床に膝をつきます。

ラ「私に愛されたい?」

私「ラファエル、意地悪言わないで…。」

ラ「それなら、自分から服を脱ぎなさい。」

私は床に座り込んだまま、震える体でなんとか、服を脱ぎ捨てます。
そうして、また両膝をついたまま、ベッドサイドに腰掛けている彼のウエストに両腕を回します。

ラ「ふふ。自分から服を脱いだんですからね。
  今日は貴方から私を誘ったんだ…。
  嘘や誤魔化しは一切なしでお願いしますよ、姫君。」

私「ラファエル、早く。」

ラ「慌てないで…。
  この二日間、気が狂いそうに待たされたんだ。
  少しくらい仕返ししてもバチは当たりませんよね。

  さぁ、平凡でつまらない男とのセックスをしたい?」

私「そんな事言わないで!私だけ裸で恥ずかしいのに…。」

ラ「恥ずかしい…。恥ずかしいね…。
  それでは、私を昂ぶらせてから、好きにしてもいいですよ。」

私「………。」

ラファエルさんは私の頭を撫でながら続けます。

ラ「そう、上手だ。無理に口に含めなくてもいい。
  歯を立てないで、優しく…。

  ふふ。聖女面した貴方が、こんな事に耽るなんて、いやらしい…。
  まさに堕ちた聖女ですね…。
  覚えていないか…。

  ふふ。貴方も言葉責めに弱いですね。
  もう、足腰が立たなくなっている。

  いいでしょう。
  おいで、私の姫君!」

ラファエルさんは震える私を抱きかかえて、ベッドの上に横たえました。

私「ラファエル、ラファエル!!」

ラ「私が欲しい?緑の姫君」

私「えぇ。早く。早く。」

ラ「ふふ。ダメです。そんなに早くあげませんよ。
  これだけ待たされたんだ。
  一晩だけでは済ましません。
  貴方が、私に溺れるように、今夜はたっぷり可愛がってあげますからね。」

私「ラファエル、ラファエル!!」

ラ「あぁ、可愛い。私を求めて、おかしくなっている。
  さ、私の上に乗って。」

私「ラファエル、服を脱がないの?」

ラ「後で、貴方に脱がしてもらいますよ。
  今は、私のいう事を聞いて。さぁ、いい子だ。」

私「ラファエル、ラファエル!!」

そうして、私達は一つになって。
二人の体が離れても、私は彼を求めて。


ラ「あぁ、私だけの緑の姫君…。」

再び一つになった後、彼は私の上で、そう呟きます。

ラ「ふふ。おかしいと思った…。
  この間はすっかり騙されましたよ、姫君。
  貴方は私に抱かれるまで、本当の女の悦びを知りませんでしたね?
  この間と同じ反応だ…。

  あんなにも情熱的に私を誘っておいて、体はぎこちなくて素直な反応だった。
  今日も私がつけた、癖がとれていない。
  今までミカエルに抱かれても、ほとんど何も感じていなかったんでしょう?
  だから、私が欲しくてたまらない…。

  かわいい…。私の女だ。
  これからは、私が貴方を育てますよ。
  
  父親としてではなく、男として、貴方を育てます。
  今まで感じてこなかった快感を味あわせてあげますよ。
  私が貴方を開発します。
  あぁ、私の緑の姫君。

  大切に、淫らに育ててあげます。
  どのみちあなたは一人では足りない体だ。
  私におとなしく抱かれていなさい。
  私が調教してあげます。」

私は顔を紅潮させながら、彼の言葉を聴いています。

ラ「…長い歳月、封印してきた感情をこじ開けたのは貴方だ…。
  責任は取ってもらいます。
  その体でね…。

  愛しい姫君。
  私に溺れなさい…。」



私達はお互いを求め合って、一晩中交わり続けました。

ミカエルさんを待たせながら…。


  
  
  

翌朝、ふと目覚めるとミカエルさんに抱きしめられています。

夕べは険悪な雰囲気で別れていたものですから、彼に求められて嬉しくなります。

私「ミカエル、愛している。ミカエル、私をお嫁さんにしてくれてありがとう。」

ミ「君は私のものだ。私を一番に愛して欲しい。」

私「えぇ、ミカエル。貴方を一番に愛しているわ…。」

そんなやりとりをしながら、愛し合います。

心の片隅に、愛する者に、こんな欺瞞的なセリフを言わせるなんて…と感じて胸が痛みます。

そうして、しばらくして、出勤の時間が迫ってきたので、彼と別れて、ローカル1へと移行します。

そして、相変わらずの朝。

毎日同僚達が入れ替わり、立ち代り各自の持ち場へと移動していきます。

私も毎日あちこちへと移動しつつ、昼は接客業をこなし、夜は事務処理に追われます。

そうこうしていても、やはり気持ちはラファエルさんへと傾きます。

(ラファエル。ラファエルが恋しい。彼も恋しがっているのだろうか…。
 呼ばないで…。もうあなたの胸には飛び込めない。私はミカエルの妻だから…。)

一日に飲むブラックコーヒーの量が増えていきます。

忙しいにも関わらず、本当に気がそぞろで、仕事のミスを連発します。

そうこうして、仕事をこなし、帰宅し。ブログをアップしてベッドに横になります。

フォーカス100のミカエルの豪邸へと現れた私は、ミカエルと自分の部屋で愛し合います。

(やはり、つまらない…。
 ほとんど、何も感じない…。
 この腕が、ミカエルではなく、ラファエルだったら…。
 ラファエルなら、もっと違う。)

ミカエルさんは私を乱暴に扱い始めます。
何度も何度も私を抱き、何時間も解放しません。

ミ「君の一番は私だ!私無しではいられないようにしてやる!」

そう言って私を愛するのですが…。

(はぁ。ラファエルに抱かれたい…。
 ほら、そう考えるだけで、ミカエルのは具合がよくなる。
 …でも、やはりラファエルには敵わないな…。)

ミカエルさんの心を嬲るように私は彼に抱かれ続けます。

そうして、お互い疲れ果てて、ベッドに休みます。

(ミカエルを傷つけている。それも酷く。
 この調子でどうにか、ラファエルを諦める事が出来るのだろうか…。)

そう、微かに思いながら、眠りにつきます。

翌朝、また彼から求めれて、嬉しくなります。

私「私の一番は貴方。
  ミカエル、愛しているわ。
  私を愛して。今晩また会いに来るわ。」

そう言って、彼と別れて、再びローカル1へと戻ります。

そうして、日常業務をこなしつつも、やはり体が疼いて、ラファエルさんを求めています。

(もう、ダメ。もう、限界!ラファエルさんが欲しくて堪らない!
 でもダメよ。せっかくミカエルさんが許してくれたんだから!
 我慢しなきゃ!あぁ、ラファエル、私の名前を呼ぶのは辞めて!!)

そうして、ギリギリの精神状態で仕事を終えて。
帰宅してブログをアップし、ベッドに横になります。



行き先は、ラファエルさんの寝室でした。

私はミカエルさんに待ちぼうけを食らわせたのです。

ローカル1では仕事が私を待っています。

相変わらずの激務の中、昨日とは打って変わって、ミカエルさんに許してもらえた安堵感で、私はウキウキと仕事をこなします。

(ミカエルが許しくれた!あぁ、よかった!
 これからも、彼の元に通う事ができる。

 でも、ちょっと、彼らしく無い様な…。
 あっさり許してくれたけど、もっと怒るかと思っていた…。
 あぁ、でも、もういいか!彼を愛し続けることができるんだから。)

そうして、平和な関係になれると思っていたのですが。

ふと、ラファエルさんとの夜を思い出します。

(………。)

恥ずかしい話、彼の事を思い出すだけで、体が疼いてきてしまい、頭がおかしくなりそうです。

慌てて、小銭入れを掴んで、食堂に向かい、ブラックコーヒーを飲みます。

(しっかり、しなければ!
 せっかく、ミカエルが許してくれたんだから。
 ラファエルさんとの事は、ここで断ち切らなければ!)

しかし、ミカエルさんに許してもらえて、気が緩んだ結果なのでしょうか。
今度はラファエルさんが恋しくて恋しくて、頭と体がおかしくなりそうになります。

(まずい。以前、仕事中にも意識が彼の元に飛んで、キスをしに行っていたものだけれど。
 キスをした後、今の無しって、言って、彼を突き飛ばして逃げ帰ってきていたものだけど。

 一晩だけ、という約束で、彼とああなったんだから。
 これ以上、深みに嵌ってはいけない。

 しっかりしないといけないのに。
 意識体があちらに行くという事はないようだけれど、ラファエルさんに呼ばれている気がしてならない。
 これでは、以前よりひどくなっている気がする。)

なんとか、日中をやり過ごし、夜になると、フォーカス100のミカエルさんの豪邸へと移行します。

彼とベッドルームで仲直りをします。
彼に捨てられなくて、私は嬉しかったのですが。

(物足りない…。ミカエルとのセックスは、つまらない…。)

気づくと、そんな事を考えているのです。

その直後、ミカエルさんは、私を激しく責めるのですが…。

(ふふ。ミカエルのセックスが激しくなった。
 さっきより、格段によくなったが、それでもラファエルには遠く及ばない…。
 …退屈だ。あぁ、ラファエルに抱かれたい…。)

ミカエルさんは、私をベッドに放り投げて、ガウンを掴んで、部屋を出て行きます。

私「ミカエル…。」

ミ「…。」

彼が激しく音を立てて、私の部屋の扉を閉じます。

(ふっ。私の思念を読むからだ…。
 聞かなければいいものを…。

 しかし、聞かなくても、腕の中の女の反応で、分かりそうなものか…。
 どのみち、誤魔化しようがないか。

 いくら言葉で取り繕ったところで、あれが本音。
 …ミカエルを傷つけたな。

 意識体の中の魂の比率の問題だろうか…。
 ミカエルとのセックスは、ほとんど何も感じていなかった。
 彼のせいじゃないのだが、私がつまらないと感じるのも、とめられない。
 
 あぁ、ラファエルに抱かれたい。
 しかし、二度はないと言って、ミカエルの元に戻れたのだから。
 我慢するしかない。
 
 ラファエルの顔が見たい。
 ラファエルの声が聞きたい。
 ラファエルにキスをしたい。
 ラファエルと肌を重ねたい。

 あぁ、もう、出来ないんだな。

 ミカエルを傷つけて。
 ラファエルを傷つけて。

 もう、どうしたら、いいんだろう。
 どうしようもないか…。

 何も考えたくない。

 これでは、余計関係を悪化させただけなのかも…。

 もう、眠ろう。)

私はミカエルさんが出て行った、広いベッドで、鬱々としながら、涙を流しつつ眠りに落ちていったのでした。



ローカル1に戻り、仕事に行きます。

仕事は大変忙しく、色々悩んでいる場合ではありません。

それでも、ふと、ラファエルさんと愛し合えた幸せや。

ミカエルさんに謝らなければならない、許してもらえないだろうという悲しみや。

二人とも幸せにしてあげられないのだろうかという切なさや。

色々な感情が、押し寄せてきて、まるで酔っ払ったみたいに日中を過ごしていた。

とにかく、ミカエルさんに、誠意を見せなければ。
会えるのは、今日が最後かもしれないという不安を抱えつつも、夜になるとフォーカス100へと飛びたちます。

いつもの、彼の豪邸に着いて、子供天使達に訪ねます。

私「ミカエルは?話があるのだけれど…。」

子供「ミカエル様は所用で、まだご帰宅なさっていません。」

私「そう。遅くなるの?」

天使「そこまでは…。姫君、お茶になさいますか?」

私「そうなの…。えぇ、よろしくお願いね。」

私は自室のソファに深く沈み込むようにして、腰をかけ、じっと自分の両手を見つめています。
すると、子供天使二人がワゴンを押して、紅茶を運んで来てくれました。

私「いつも、ありがとう。
  こうして、お茶を飲めるのも楽しかったわ。
  今まで、ありがとうね。」

子供「姫君、何を!まさか…。」

私「うん。ちょっと、自分の都合でね。
  こうして、ここに来れるのも、多分、今日が最後なの。
  アンタ達の長くて立派な名前、覚えられなくてごめんね。」

天使「そんな!そんな事、言わないでください、姫君。」

そう言って、泣き出してしまう子がいます。

私「ごめんね。優しいアンタ達に迷惑ばっかかけて。
  いい子だから、あちらで休んでいなさい。
  ありがとうね。」

子供天使達はしゃくりをあげながら、ワゴンを押して、部屋を出て行きました。

紅茶のカップを手に取り、じっと、湯気を見つめます。
上等なカップ。
初めてここで飲んだ時も、特別なお客様扱いをしてくれていたのを思い出します。

(大切に扱われていたのに。
 ここに来るのも、今日が最後なのね、多分。)

お茶を飲んで、しばらく彼を待ち続けます。

なかなか彼が帰ってきません。

外が騒がしくなり、ようやく、ミカエルさんが帰宅した模様です。

私はドキドキしながら、自分の部屋を出て、ミカエルさんに声をかけようとします。

私「ミカエル…。」

彼は私とは目を合わせず、足早に通り過ぎ、自分の書斎にこもります。

私「ミカエル、話があるの。聞いて。」

彼の部屋の前でそう、呼びかけるも、応答がありません。

私は隣の自分の部屋に戻り、彼が出てくるのを待ちます。

すると、子供天使が部屋のドアをノックして、夕飯の支度が整ったと知らせてきます。

私「あ、いや。食事は…。
  ミカエルに話が終わったら、帰るから…。」

子供「ミカエル様は先に食堂にいらっしゃいます。」

私「そうなの。それじゃ、食堂に行くわ。」

私が、食堂に向かうと、彼が食事をしているところでした。

そうして、いつもの、彼の差し向かいの席に着席して彼に声をかけます。

私「ミカエル、あの。」

ミカエルさんは私とは目を合わせず、飲みかけのポタージュスープの皿に大きなスプーンをガチャンと音を立てて、落とし、そのまま退席します。

私「ミカ…。」

ミカエルさんは、バタンと大きな音を立てて、食堂の扉を閉めて出て行ってしまいました。

子供「姫君、お食事はいかがなさいます?」

私「…食欲がないの。ごめんね。」

天使「そうですか。
   ミカエル様から二人分、用意するようにと言付かっていたのですが。」

私「…あぁ、うん。それじゃ、頂くわ。」

私は一人で食事をします。味も何もありません。

そうして、また自室に戻ります。

(ミカエルは怒っている。
 当然か…。

 でも、私に謝らせるタイミングを取らせない。
 そして、出て行けとも言わない。
 夕飯まで用意してくれている。 
 きっと、今晩だけは泊まっていってもいい、という事なのだろう…。

 この素敵な部屋。
 彼が、私の為に、用意してくれていた。
 お姫様扱いしてくれていた。
 今日で、ここも最後か…。
 
 ミカエルに謝りたかったけど。
 目もあわせてくれない。
 
 でも、私も、彼がもし、年下のかわいい女の子とイチャイチャしているのを見たら。
 多分、女の子を突き飛ばして。
 彼を何発かぶっ飛ばして怒っちゃう。

 彼が怒るのも当然で。
 私を殴りたいのを堪えているのかもしれない。

 そうだよ、ミカエルが浮気したと想像しただけで、涙が出てくる。

 私は彼に本当に酷い事をしたんだ。
 捨てられて当然だ。

 今晩泊めてくれるのは、彼の精一杯の優しさなんだ。
 あつかましいかもしれないけれど、ここは名残惜しいから。

 最後に一泊だけさせてもらおう。

 そして、明日、彼に謝ろう…。)

私は泣きながら、ベッドに横になり。
悶々と悩みながらもいつのまにかウトウトと眠りに落ちていったのでした。



ふと、気づくと、部屋の中は白んでいて、夜が明けています。

目の前に彼の背中が見えます。

私から1mくらいはなれた位置に、私に背中を向けて横になっています。

(ミカエル!ミカエルが同じベッドに寝ている!!
 これは、許してくれるという意味なのね!!)

私はたまらず、彼の背中に取りすがります。
彼のフワフワした金髪に顔を埋めて、声を殺して泣き出してしまいます。

(ミカエルの背中だ!ミカエルの髪の毛だ!大好き。
 ミカエル許してくれてありがとう!
 許してもらえるなんて、思ってもみなかった!!)

私は、うっく、うっくと言うだけで、彼の背中で泣いています。

しかし、彼は微動だにしません。

(寝てるの?いや、寝たふりをしている。
 彼も、どうやって許したらいいか、分からないんだ…。
 ミカエル、愛してる…。
 この気持ちをどうやって伝えたら…。)

私は彼の背後から、彼の腰にするすると手を伸ばします。

ミ「…っ。」

彼は無言で、横になったまま、何も言いません。

そのまま、私は彼の腰を撫で続けます。

(あんなに嫌がっていたのに!何も言わないなんて!)

私は彼の前に移動して、今度は口で彼を愛します。

ミ「…っ。」

相変わらず、彼は何も言いません。

(ミカエル愛してる!ミカエル大好き!

 あぁ、嫌がっていたこれを私に許して。
 私に身を任せている。
 仲直りの為に、我慢してくれているのね!

 あぁ、愛している。
 彼が気持ちよくなるように、頑張るわ!
 愛してるわ、愛してるわ、愛してるわ!)

ミカエルは相変わらず、無言です。

しばらくそうして、彼を愛撫し続けていると。

彼の息が荒くなるのを感じます。

彼の手が、私の頭に触れて。

押しのけるやいなや、私を押し倒して。
思い切り、私を強引に抱きました。

私は彼の腕の中で泣き出してしまいます。

そうして、二人の体が離れても、彼は何度も何度も乱暴に私を抱きます。

私「ミカエル愛してる。ミカエル愛してる。ミカエル愛してるわ!」

私はうわ言のように、そう繰り返し、嬉しさのあまり泣きながら彼に抱かれ続けます。

しばらくして、彼がガウンを羽織ながら、ベッドから立ち上がります。

彼はこちらを見ずに、私に言い捨てます。

ミ「二度はない。」

私「えぇ。」

私はベッドの中で、泣きながら、そう彼に答えます。

彼はそのまま、部屋を出て行きました。

彼は、私を許してくれたのです。




それなのに、私は、また彼を裏切ってしまうのです。



 

私達はお互いを見つめ合って、胸の前で両手をつなぎベッドで横になっています。

もう、どれくらいの時間が過ぎたかは分かりません。
二人とも、疲れきっているのに、口づけを交わし続けます。

私「あぁ、ラファエル、愛してる。愛してるわ…。」

ラ「緑の姫君。私も貴方を愛している…。」

そういって、ずっと手を繋いでいると。

私の胸が、キューンと痛みます。

すると、私は突然、ラファエルさんの手を離し、彼を突き飛ばします。

私「うわぁぁあああああぁあぁあああっ!!」

私は四つんばいになって、苦しみ出します。

私の背中の皮膚がピシリッと裂け、肉が蠢き、骨が軋む音がします。

メチメキッっという、嫌な音がしたかと思うと。

私の背中に大きな6枚の翼がそびえたちます。

私「うぁぁあぁぁあああぁあぁっ!!」

ローカル1の私も、自宅のベッドの上で、四つんばいになって、悲鳴をあげます。

ミリミリッ、メチメキッという音と共に、さらに背中の翼が成長します。
視界の端に、紅い雫が飛び散るのが見えます。

私はお腹をへこませる格好で、四つんばいになり、体をブルブルと震わせます。
真っ暗な自宅の中で、背後を振り返ると、いつもの光景が広がるだけで。
朝、目覚めの時間にセットしておいた、エアコンのタイマーランプだけが、緑色に小さくポツリと光って見えるだけです。

そのまま、力尽きて、うつ伏せでベットに倒れこむと。
瞬時にフォーカス100に意識が戻って、ラファエルさんの側で倒れこんでいます。

何か衝撃を受けた様子ですが、痛みは無く、肘で顎を支えながら、頭を上げると。

ラファエルさんが興奮して、こちらを見ています。

私「ラファエル、何が起こったの?」

ラ「君の翼が成長したんだよ。」

私「翼?」

私が背後を振り返ると、以前より、大きく育った6枚の翼が目に入りました。

一番上は純白、真ん中は上半分は白く、下半分は白地に黒のストライプ。
そして、腰に近い一番下の2枚は漆黒の翼で、自分の身長の1・5倍以上の長さがあります。

(翼…6枚羽根の翼が大きく…。)

私はフラつく頭を抱えながら、自分の背中を見つめていると。
頭にズクンッと鈍い衝撃が走ります。

そして、フラッシュバック。

かつて私が少年兵だった時の最後の瞬間。
かつて私が彼の娘だった時、血に染まった4枚の純白の羽根を見た瞬間。

私「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

ラ「あぁっ!!」

ラファエルさんは慌てて、私を抱きかかえます。

私「うわぁぁぁぁ!!!」

かつて、私が欠けた魂だけの状態で帰って来た時。
ラファエルさんは私の再生を願って、世界樹の幹に私を埋めて。
私が他の天使と融合して再生されていったのに。
彼はたった一人で晩年を世界樹の番人として過ごし。
誰にも弔われる事なく、世界樹の根元に遺体は放置され。
枯葉に埋もれて、朽ちていって…。

かつて私が彼の娘だった時。
私が2枚羽根の天使だと思わせる為に。
彼は一人で自分の背中の4枚の羽根を切り落とし。
私は悲鳴をあげて、手に持っていた、白い花を床に落として。

私「うわぁぁぁあぁぁ!!」

ラ「もう、もういいから!思い出さなくていいから!!」

私は悲鳴をあげて、涙を流します。

私「もう、もう辞めて!!おとうさん!!
  僕の為に、たった一人で死なないで!!

  もう、もう嫌!
  私の為に翼を折らないでっ!!」

ラ「違う。それは過去の事だ!!しっかり!!」

私「あぁ、ラファエル。
  それだけじゃない!

  私が地上で人間として生活していた時も。
  私が歴史の表舞台に立っていた時。
  あなたは私に交わらず、裏でいつも支えてくれていた。
  錬金術師として、私を助けてくれていたのに。

  私にその存在を知らせる事も無く。
  私と言葉を交わすことも無く。
  いつも影から私を愛してくれていた。

  それなのに、あなたを置いて、私は先に死んでしまって。
  またしても、あなたを置き去りにしてしまった!!」

ラ「いいから!私の事はいいから!」

私「あぁ。嫌!
  私の存在があなたを苦しめる。
  貴方は私をこれほど深く愛しているのに。
  いつも、私の為に、その身を犠牲にする。
  そして、いつも、何も求めない…。」

ラ「落ち着いて。」

私「嫌、イヤ!
  あなたの愛は深く、重すぎる。
  私の存在が貴方を苦しめる。
  私には耐えられない…。
  それほど深く愛した相手に見返りを求めないなんて…。」

ラ「君が気に病む事じゃない!」

私「いいえ!私には無理!
  見返りを求めない愛なんて…。
  私なら、愛した相手に愛されたい…。」

ラ「それでいいんだ!私の事は気にしないで。」

私「嫌よ、イヤ!
  貴方の愛は悲しすぎる…。
  私は貴方を愛している。
  それなのに、貴方は悲しい選択を一人でしてしまう。

  私の為に、孤独な番人になって…。
  私の為に一人で翼を折って。
  私の為に言葉も交わさずにいて…。

  私は、もう子供じゃない!
  私がロストしかけた時…そのまま消滅させても貴方には非がなかった…。
  私が2枚羽根の天使だと信じたがっていたとしても、その為に翼を折ることは無かった。

  誰かに相談すれば、とめられると知っていたから、あなたはいつも一人で決めていた…。
  それが、私を追い詰める。

  それほどまでに、一途に相手を思い続けている貴方が報われないなんて…。
  そんな相手に愛されていながら、振り向きもせず、私一人、幸せになんてなれない…。

  もう、そんな悲しい愛し方は辞めて…。
  私はもう、大人なの…」

ラ「まさか、それで、君はミカエルとの関係を壊してまで、私の元に…。」

私「いいえ!勘違いしないで!!
  私も貴方を好きだというだけよ!!
  ミカエルを傷つけてでも、貴方と寝たかっただけ!
  見返りを求めない、無償の愛なんて、高尚な事はできないわっ!
  私は自分勝手な人間の女なのよ!」

ラ「緑の姫君…。」

私「うっ!!頭が…。」

ラ「翼の急激な成長に、君の意識体が追いついていかないんだ。」

私「ラファエル、もう、悲しい選択はやめて…。
  私はそこまでされる女じゃない…。」

ラ「分かったから。落ち着いて…。」

私「愛している。ラファエル。私が存在していて、ごめんなさい…。」

私は彼に頭を撫でてもらいながら、涙を流しつつ、意識を失いました。






ふと、目を覚ますと、私はラファエルさんに抱きかかえられていました。

彼は瞳を閉じて、深い眠りに落ちています。

私はそっと、彼の腕を外します。

彼のサラサラの銀髪をそっと掴んで口づけをし。

彼の顔をそっと撫でて、静かに口づけをし。

私はそっと、彼の側を離れました。


床に落ちていた、自分の着ていたものを拾い上げて身に纏い。

瞬時にラファエルさんの自宅を飛び出します。





空にはオレンジ色の太陽が輝き、雲海の中で神々しく光っています。



(ここに来るのも、今日が最後かも…)



私は涙を流しながら、朝日を眺めています。


(もう、ラファエルさんから、離れられない…。
 ラファエルさんに抱かれる為に、彼の元へやって来たけど。
 一度は怖気づいて、逃げ出そうとしたけれど。

 彼にばかり失わせる事を強要しておいて、自分だけミカエルの元へ戻ろうなんて、最初から虫が良すぎたんだ。

 ここまで、ラファエルに溺れてしまっては、もうミカエルの元へは戻れない…。

 彼の性格からすれば、大切な友人と争ってまで、その妻を獲得する為に諍う事はないだろう。
 そんな事ができるくらいならば、とっくに私を奪っていたはずだ。
 
 彼は、何も望んでいなかったのに、私は自分の熱情のままに、問題を蒸し返したんだ…。

 私を愛しているミカエルが、私と寝たラファエルを許すとは思えない。
 ミカエルを愛している私が、ラファエルといる事を自分に許さない。

 私と寝た事で、ラファエルは友人と愛する者を失う事になる。

 その張本人の私が、ミカエルだけは失わないなんて、最初から無理があったんだ。

 そして、私の裏切りで、ミカエルは友人と私を失う事になる。

 私がやった事は、ただ、彼らを深く傷つけただけなのだろうか…。

 あぁもしも、ミカエルが許してくれるならば、彼の元に戻りたいが、それは彼が決める事。
 私が望んでも、叶えられる問題ではない…。

 あぁ、私は二人とも愛している。
 それでも二人同時には愛せないのか…。
 結局3人とも、不幸にしただけなのか…。

 それでも。
 それでも、一途に人を愛し続けている彼の想いを成就させてあげたかった…。
 あれ程までに、深く人を愛し続ける彼の願いを叶えてあげたかった…。
 何も望まない、彼に、彼の奥底に眠る願望を実現させてあげたかった…。
 
 最初から、彼には失う事ばかりだったから。
 彼に残るのは、ずっと恋焦がれていた想い人と、一晩だけ両想いになれたという事実だけ。

 彼に悔いが残らないようにと、わざと扇情的に振舞ってはいたけれど。
 ミカエルの言うとおり、私には娼婦の才能があったのかもしれない。
 とても、一月前まで、男性を知らなかった女とは思えない態度だったから。

 「君は娼婦だ。…君が本気になれば、大天使さえも篭絡される。」

 あぁ、ミカエルは、私がラファエルの元へ飛び込むのを予見していたんだな…。

 そうして、結局私は何も非がない、ミカエルを裏切ってしまった…。

 彼は今頃、どうしているんだろう。
 仕事で遅くなるから、別室で休むと言っていたけれど。

 きっと、眠る前にでも私の寝顔を覗きに来て…。
 あるいは、私が目覚めるのを待って、求めに来て、全てを理解するだろう。

 しかも相手は自分の親友だ…。
 私を深く愛している彼の事だ。

 たった一月足らずでの、妻の裏切りを知って、激しく苦しむだろう。
 それはまるで煉獄の焔に身を焼かれる様なものだ…。
  
 そして、私を抱きしめて眠っていたラファエルは。
 瞳を開けて、腕に抱いていた愛するものがいないと気づいて…。
 冷たくなったベッドの上に落ちている私の羽根を拾った時の、彼の胸に去来するものはなんだろう。

 あのベニトアイトの瞳のように、以前よりも深く、深く心を、感情を冷たく凍らせてしまうのだろうか。

 体の関係を持ってしまっただけに、余計に彼を苦しませるだけなのだろうか…。

 二人を愛している。
 でもそれは…。

 もう、戻れない…。

 後は、ミカエルに謝ろう…。
 許してもらえるかどうかは、別問題だ。
 それが、妻にしてくれた彼に対する、せめてもの誠意だ。

 今晩、彼に会いに行って…。
 あぁ、フォーカス100で、朝を迎えるのは、これが最後かもしれない…。

 それでも。
 それでも、不思議だな…。

 何かの終焉に向かっていると感じながらも。

 なぜか朝日を見ると、ホッとする。
 
 まるで、何者かに許されているような…。

 清清しい気持ちにさせられる…。

 美しい。格別美しいな、フォーカス100の夜明けは…。

 眩しいな…。

 あぁ、頬が涙に濡れて、反射しているのか。

 だが、私に泣く資格はない。

 私は自分の好き勝手にしたのだから。

 自分の熱情のままに、愛する彼らを嵐に巻き込んでしまったのだから…。

 帰ろう、ローカル1へ。

 私は地上に住む人間なのだから…。

 もう、戻れない。

 こんなに、愛しているのに…。

 愛に制限はあるのか…。)


私は6枚の翼をはためかせ、オレンジ色の朝日を背に受けながら、雲海の中を滑るように降下して。

ローカル1へと涙を流しながら、帰還したのでした。