私「…カピラワットゥには、戻られないのですか、王子。」

私は、石造りの階段を降りながら、先に室内にいた人物に対して、不機嫌に声をかけた。
ここは瑠璃色の壁で、王族以外は立ち入れない特別な部屋。

このお城の中で一番静かで涼しく、落ち着く場所で、自分のお気に入りの場所を、
ごくまれにしか訪れない人物に先に占領されていたのを不愉快に思ったのだった。

師「今でも、私の事を王子を呼ぶのは、あなたぐらいですよ、従兄弟殿。」

私の嫌味になにも動ずることなく、朗らかに言葉をかけてきたのは、30代半ばの僧侶。

私「それは、失礼。今は覚者とお呼びした方がよろしかったでしょうか?」

師「いいえ、私は一介の僧侶にすぎません。
  今は王族を捨てた身です。
  王子のお好きなようにお呼びくださって構いませんが、王子と呼ぶのだけはご遠慮願います。」

私「ご謙遜を。父者も目覚めた人だと歓喜しております。
  あなたこそ、シャカ族の誉れだと。
  この城じゅうの人間が、上を下への大騒ぎだ。」

師「クスクス。それはご迷惑をおかけしております、王子。
  さては、お気に入りの場所を、お邪魔してしまいましたか?」

私「そんなこと…。
  それより、あなたは私より年長なのですから、坊主などと呼び捨てにするわけにはいきません。」

師「いいえ、あなたは王族なのですから、一介の僧侶に遠慮は不用ですよ。」

私「…子供だと思って馬鹿にしているのですか?」

師「いくつになられました、王子。」

私「今年で11になります。」

師「神童の呼び声が高いと、私の耳にも届いておりますよ?
  父王も、お喜びでしょう。
  あなたこそ、この国の誉れです。」

私「…なぜ、国を捨てられたのです。
  王太子の身分でありながら。

  求道するのなら、国を治めながらでもできたのではないのですか?
  そもそも、真理なぞ、バラモン達に任せておけばいいものを。

  国を、民を束ねる事こそ、王族に課せられた義務ではないのですか?
  どうかしているとしか、思えない。
  私はあなたが悟った者だとは到底信じられない。」

師「私も最初は悩みました。

  しかし、人はいつか、必ず死にます。

  私は自分を突き動かすものに従ったまでの事。
  私は、人の生きる道を見つける為の修行の道を選びました。

  王子とは価値の基準が異なるというだけの事ですよ?」


私は、頭に血が上ってしまいました。
そして、自分が知る限りのバラモンの教えと、その疑問点、矛盾点などをことごとく目の前の人物にぶつけてしまいます。

師「王子。
  あなたは神童の呼び名にふさわしい並外れた知識をお持ちだ。
  しかし、あなたの持つそれは、知識であって、智慧ではありません。

  私への質問も、あなた自身の役に立つものではなく。
  まるで、麻の穂に風が吹き込み、ざわめく様な物。

  指向性というものが、欠如しております。
  論理を整えてから、また私に質問をなさってください。」

私「そのように、もっともらしい事を言って、森羅万象を悟ったと言えるのか?」

師「あなたを煙に巻こうとして言った言葉ではありませんよ。
  物事には筋道というものがあります。

  事実に基づいたお話と、寓意や伝承から導き出された結論を混同している、という事に気づいておられないから、そう言ったまでです。

  私どもの言葉でいえば、六道というものがあり。
  まずは正しく物事を見定めることから始まります。」


そうして、彼は六道という概念をよどみなく説明し始めた。
初めて聞く、それらの概念は、私の理解を完全に超えていた。


私「…バラモンの教えが間違っていると?」

師「古い教えです。

  意義深いものもありますが、知らずに因習にとらわれているという事もある、と考えて頂きたい。

  すべてバラモン教の教えが正しいとは限らないという事です。
  例えば、身分の高いものが、身分の低いものを導くことが絶対ではないとも言えるのですよ。」

私「王政を批判するのですか?あなたが?」

師「例えば、のお話ですよ。

  聡明な王子、あなたは最初にバラモン教の矛盾点を突かれた。
  そして、司教の怠慢さを批判した。
  その若さで世襲制の悪癖にも気づいておいでだ。」

私「…司教達が、癒着しているのは、知っている。

  だが、王族と言えども、司教達の言う事には従わねばならない。
  しかし私の方が経典を覚えてしまっていて、彼らの方が能力が低い事が歯がゆいのだ。
  彼らより、よほど能力のあるものがいるのに、出自が名門でないというだけで表に出れない者もいるのも知っている。

  年齢や出自に関わらず、能力のある者へ役職を差し替えるべきだ。

  そんな者たちを立場上とはいえ、敬わなければならない。

  …特に、私は子供だから。」

師「クスクス。
  能力に応じて、役職を与えた方がよい、という考え方は合理的ですね。

  子供だとおっしゃる割に、実に本質をついている。

  この国の将来が楽しみです。」

私「…大人になっても、私には周りの大人を動かす力が無い。
  王位継承権が4位だからだ。

  弟の方が、継承順位が上なのだ。
  母上が名門の生まれでないから…。

  いつも母上は周りの者に気を使って、窮屈な思いをしている。
  母上が少しでも顔を上げていられるように、必死で勉強をしているんだ。

  父王も、母上を放っておくぐらいなら、最初から品にしなければよかったのだ。」

師「王子、お優しいですね。将来王子の伴侶となる女性はきっと幸せでしょう。」

私「女など!話しかけても、ハイ、とイイエ、と、さようでございますか、しか言わない。
  遠くでキャーキャー言うだけで、まともな返事が期待できない。
  面白くもなんともない!」

師「クスクス。なんとも可愛らしい。

  いや、やはり将来王子の伴侶となる女性に同情します。
  あなたの隣では、並大抵の美姫ではかすんでしまいます。」

私「女顔だと馬鹿にしているのか?」

師「可愛らしいという表現は王子には失礼でしたね。

  女性に喜ばれる顔だちをしているというお話ですよ。
 
  ふふ。

  冗談はさておき、王子。
  あなたは、将来、きっと立派な大臣におなりだ。

  この国の宝です。」

私「…私は、王太子に万が一の事があった時の為の、念の為の、さらに補完用の人材だ。」

師「王子、あなたはその若さで卓越した能力をお持ちです。
  必ず、この国の要になる事でしょう。」

私「…王族を棄権した人間に言われたくない。」

師「お母様の事があるから、私に突っかかって来ていたのですね。」

私「関係ない!」

師「同じ父王の子供であるならば、能力のある子供が王位に就けばよいとお考えなのではありませんか?」

私「それは!」

師「バラモンの教え、この国考え方とは違いますよね。
  しかし、理に適っていると私は思いますよ。

  ですが、王族とはなんなのでしょう?
  王の子供に生まれたから、王族。
  王族に仕える家臣の子に生まれたら家臣。
  召使の子に生まれたら召使。
  乞食の子に生まれたら、乞食。
  これが、延々続きます。

  ですが、全員目が二つ、鼻が一つ、口も一つ、耳が二つ。
  どれも、同じ人間ではありませんか?」

私「茶化して煙に巻く気か!?」

師「王子、あなたが今王子であるのは、たまたまです。
  この国に生まれたのもたまたま。

  そして、周りの者にかしづかれているのも全時代からの影響であって。
  もし、戦争が起きて、国力が衰えたならば、誰も王族をかしづかなくなります。

  あなたの立場とは、お盆の上に乗った器にそそがれた水の様な物。

  周りの人間の力添えがあってのものです。

  それに気づくのが怖くて、現実を直視できないのではありませんか?」

私「な…。」

師「王子は民を束ねるのが王族の義務だとおっしゃいました。

  どのようにして、束ねますか?

  あなたはまだ、お若い。
  知識だけではまだ、未熟なのです。
  
  まずは事実をありのままに認める事。
 
  拙僧でよければ、いつでもお話をお聞きしますよ?
  ただし、論点をまとめられてからお願いいたします。」

私「道化るつもりか!?」

師「いいえ。
  私の言う、人の生きる道とは、人を慈しむ事。

  私達は価値基準が異なるだけだと申し上げましたね。

  今は信じられないでしょうが、あなたは私と同じなんですよ。

  困った事に、僧侶の資質がおありです。」



  
  

  
  

    
  
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金曜日に友達とファミレスでおしゃべりしたんです。

私のブログの事を知っている人で、ヘミシンクはやっていません。

で、ちょっとプラユキ・ナラテボーさんの瞑想会に参加したお話をしたり。
(相手はFC2の記事を読んでいるので、それ自体は知っている)

裏話なんかを話していたら、ふと気になった事を話しました。

私「なんか、自分の過去生で仏教徒があったんだけど。
  最初、王子様だったのね。
  で、お城にブッダが来ると、それまでちやほやされていたのが、門前の小僧扱いで、父王も全然こっちを見なくてむかついて。

  そんで、ブッダに問答をふっかけるの。
  バラモン教を引き合いに出した、小難しいことを言うんだけどさ。
  難しすぎて、日本語に変換できないんだけど。

  結局ブッダに軽くあしらわれてさ。

  いくつの時かはよく覚えてないんだけど、結局お城を出て、ブッダに着いて行ったの。

  で、どういう経緯かは覚えてないんだけど、やっぱ女性にも仏教を教えた方がイイって思って、ブッダを説得して。

  そしたら、めちゃくちゃ女の人に追い回されて、苦労したのよ。」

友「へぇ。」

私「ほんと、すごかったのよ、ラブアタック!
  元々王族だから、還俗させて、貴族になりたいって玉の輿狙い?

  1対1なら、男だし、突き放せるんだけど、既成事実って感じで複数で迫ってこられるときの怖さったら…。」

友「同時に複数?」

私「うん、一人は腕を押さえてっていうか…。
  (もう一人は服を脱がす感じ)
  もう、必死のバッチで女の人から逃げ隠れしてたの覚えてるわぁ~。
  女の人の目が油を流したみたいにギラギラしていて、怖くて茂みに隠れたり。
  滝つぼの裏側に潜んだりして、やり過ごしてたの。」

友「いいじゃん、今自分、肉食系なんだから。」

私「いやいやいや、肉食系なのは、フォーカスエリアだけだから。
  こっちでは、草食系だから。

  そういえば、会う人会う人『普通の人ですね。』とびっくりされたよ。
  っていうか、ホッとされたって感じ?
  ブログでも『普通の人です』って言ってるじゃないですか?と答えていたけど。

  逆に、私の外見をまったく知らない人が、私の記事を読んでアクの強い人だと思うって事は、やっぱり私の潜在的な人柄はアクの強い人って事なのかしら?」

友「アレだろ?こう、ビン底メガネかけて、髪の毛ぶわさぁ~て、ボロボロの格好して、同人誌を抱えているイメージだと…。」

私「あ、ソッチ?そっか、オタクっていうと、そういうイメージなのか…。
  そういえば、コスプレしたしな。」

友「コスプレ?」

と、言って、その記事を読んでいなかったらしく、携帯のデータを見せる。

友「ノリノリやないか。」

私「あぁ、やりだしたら、面白くなってね…。
 今、こういうのレイヤーって呼ぶらしい。」

友「へぇ。レイヤーねぇ。」

私「ヘミシンクでF35に行きたいとか悩む暇があったら、こっちで意識の改革をした方が手っ取り早い、と思う。
ちょっと手間だけどこれ全部で1万円かかってないし。

 この年でコスプレするとは思わなかったけど、人様に迷惑かけなければ、ただの趣味だからイイの!」

友「そうそう、ただの趣味!ところでブログでの評判はどうだった?」

私「一部の人達に大変評判が良かった。」

友「もっとやったれ。」

私「機会があればね。
  
  で、話は戻るけど、僧侶は結婚しちゃいけないらしいから、無駄にモテていたんだけどね。
  そういえば、覚えていないけど、その時自分結婚していたらしい。
  本で読んで知った。」

友「ん?日本でも昔の人で、親鸞だったかな?
  彼も悟った後、妻帯、肉食を実践した人だったぞ?」

私「親鸞上人?詳しくは知らないけど有名な人だよね、妻帯、肉食かぁ。
  まぁ、生き物としては自然だよね。」

友「うん、確か悟ってから、そういう行動にでたと思う。」

私「まぁ、異性に惹かれるのは生き物として自然だから。
  変に抑圧すると、歪んだ欲望に変化するといけないしさ。
  男同士だけならいいのかもだけど、小姓とかさ…。」

友「仏教といっても、日本に入ってきた時点で、最初の教えから大分変質してるだろ。キリスト教もさ、言い方は違うだけで、おんなじ様な事を言ったと思うぞ?
 今じゃ、クリスマスにサンタが来るって話になってるし。」

私「あぁ、完全に商業主義に染まっているしね。さすが資本主義国家日本。」

友「クリスマスケーキを食べた後、年末にはお寺に行って、百八つの鐘をついて煩悩を追い払うんだろ?
  で、12時過ぎたら、初詣に行って、神社でお参りするんだな。」

私「キリスト教、仏教、神道ときて、お正月には子供たちはお年玉をもらう。これで儒教となるから、一般的な日本人は年末年始で4つも宗旨替えをしている訳だ。
  このちゃらんぽらん具合が日本らしくて、私は好きだ。」
  
友「儒教は儒教できちんとスピリットがあったと思うんだが^^」

私「スピリット!久々に聞いたよ、その言葉。
  スピリチュアルのブログランキングに参加しておきながら、久しく聞かない言葉だ!」

友「仏教も、キリスト教も伝え方が違うだけで、それぞれスピリットがあったと思うぞ。」

私「だよね。プラユキさんのお話を聞いて、いろんなスピリチュアルで語られている、原型だと思ったよ。
  なんか、人とうまく付き合う、気持ち良く生きるための人生哲学だと思ったね。」

友「多分、キリスト教も同じ事言っていたと思うぞ。」

私「そうだろうね…。最初に行った人のキャラクターが違うだけで伝えたかったお話はそうなんだろうね。

  で、仏教徒になったはいいけど、全然自分悟れない訳よ。
  周りの人達は次々と悟っていく中で、自分はなぜ悟れないんだって焦るわけ。
  そのうち、ブッダが亡くなって。

  なんか、ウィキを読むと、自分、ギリギリで悟った事になってて。
  その後、先輩たちに交じって、今のお経を作ったらしいんだけど…。」

友「悟れてなかったか?」

私「しっかり覚えていないんだけど。
  悟れていなかった気がする。

  他の先輩たちに、お前ブッダのそばに居て、なんで悟れていないんだよ、とか言われて、総スカン喰らって。

  焦ってたら、一人だけ自分の事、気にかけてくれる先輩がいて。
  そのアドバイスを受けて頑張るんだけどさ。

  会議の当日、ぶっ倒れて頭打って悟ったって事になってるけど。
  なんか、ただ単に記憶力の良さでカバーして悟ったふりをしていた気がするんだよね。
  もしかして、そこを買われて、参加させてもらっていたのかなぁ。」

友「いや、違うだろ。
  悟ったフリしただけだと思うぞ。
  悟りってのはその人の内面の事だから外側からは分からんだろ。」

私「そっか…。
  つまり、はったり?

  で、その後、老人になってさ。

  そしたら、万引きしている少年を捕まえて、仏の道を教えるの。
  
  そしたら、その少年に『ウゼー。そんな教えダセーよ。シね。』とか言われて、心が折れて。
  
  ガンジス川に入って自殺しちゃったのね。

  プラユキさんのお話を聞きにいった前後、こういう人生を思い出して、凹んじゃったの。」

友「…ほぉ。そういう人生もあるもんだなぁ、という感想。」

私「ん?」

友「2分で語る、仏教徒の人生^^;」

私「あ、たった2分?」

友「たった2分。
  アレだろ?王族に生まれて、神童扱いされて育って。」

私「うん、神童の呼び声が高かったし、ブッダにもそう言われた。
  異常に記憶力が良くて、共感能力が低かったらしい。
  今の私と同じでASの素質があったんじゃないかと思う。」

友「で、悟った人が身近にいて、問答を吹っ掛けて。
  相手にされないものだから、プライドが傷つけられて、何度もぶつかって行って。
  それで、彼の魅力に魅かれて、結局僧籍に身を置くわけだ。」

私「あ、そうなの!何度かお城に来るうちに彼に問いかけるのが楽しみになっちゃって。」

友「で、僧侶になって、身近にいたのに、周りの人がどんどん悟っていく中、自分はただの古株になっていくわけだ。」

私「う。」

友「で、年老いて、万引き少年を捕まえたら。
  なら、代わりの食べ物を寄こせと言われて、これが何も出せないんだな。」

私「う。そうだった。ボロボロの乞食同然の格好をしていて、自分も何も食べ物なかったんだった。」

友「まぁ、そういう人生になったのも、自業自得と言えるが。
  そういう人生もあるんだな、という感想。
  ブッダのせいじゃないよ。」

私「…そうか、ブッダのせいだとどこかで思っていたのかも?」

友「ブッダがいたとしても、それはそれ。完全にその人自身の自己責任だ。」

私「そうだよね…。」

友「しかし、人ってのはそんなに変わらんもんなんだな、と思う。」

私「え?」

友「千年や二千年では人は変わらないと思う。
  縄文時代の人間が猿みたいだっていうのも無いんじゃないかと。
  今の人間とそう、変わらないんじゃないかと思うぞ?」

私「なるほど。」

友「その仏教徒さんが悟ってなかったから、今のしんじゅ☆♪さんが、やっぱり悩んでいるんだろう?
  人ってのは、そんなに変わらないと思う。」

私「なるほど。やっぱ悟って無かった気がするんだよね…。

  で、ブッダが亡くなった後、一人焦っている中で、一人親切にしてくれた先輩がいるんだよね。」

友「ほう。」

私「で、その先輩がOさんだと思うんだよね。根拠はないけど。」

友「俺?」

私「いや、前世拝見とか、した訳でないんだけど。
  ウィキを読んだとき、あ、これOさんだ、と思ったんだよね。」

友「へぇ。」

私「私、職場で、嫌われ者の人と隣の席に座っていた時あったじゃない?
  あの時、彼への罵声が周りから飛び交っていて。
  その人が席を立つと、さっき聞こえていた事をみんなが一斉に話し出したから。
  みんな、大人だなぁって感心してたの。
  で、そういう騒音みたいなのはしょっちゅうだから、なんにも気にしていなかったんだけど。

  私の人生で、この声が聞こえない人って、OさんとTさん(かつての職場の上司)だけなんだよね。
  だから、ホッとすると言うか。」

友「人の心の声が聞こえるって事か?善し悪しだな。」

私「あ、いつもいつも聞こえるわけじゃないよ。
  ただ、ラジオのBGMみたく、わんわん聞こえるから、それが普通って言うか、慣れだよね。

  ただ、子供の頃はつらくて、人間不信になるね、確実に。」

友「何も考えていないだけだぞ、多分。」

私「それもあるかもね。
  思った事をその瞬間に口に出しているから聞こえないだけかもね。
  そういう人は、一緒にいると、気が楽だよ。」

友「そっか。」

ま、その後もつらつらおしゃべりをしておりまして。

友「ま、人間は頑張らないといけない時は必ずあるし。
  その時は頑張らないとな。」

と言ってくれました。

あーなんだ(私)さんのお話です。






 

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数日前、マイミクさんの記事に触発されて、書いたタイトルです。

たまには、へミシンカーらしい事も、記事にしないとね。

さて、私のブログ、最近はすっかり、合同レトリーバルがメインに(あるいは、しょうもない日常話)なりつつありますが。

ヘミシンクCDには、レトリーバルのメソッドとかは、無いです。(多分)
ヘミシンクやるからには、レトリーバルができないと、とか考える必要はないですよ。

レトリーバル=魂の解放ですね。

聞いたことない言葉だよね、基本。
ここらへんが、ヘミシンク用語が難しいと敬遠されちゃうところかしらね…。

あ、脱線してました。

ヘミシンクCDを聴きこんで、慣れてくると、ガイドとアクセスできるようになります。

そこで、ガイドに向かって、自分にとって、必要な過去生を見せてください、とか。
理由の分からない、生きにくさを感じています。
その理由を教えてください、と伝えると、自分の過去生を探索することになる場合があります。

もう、ここでは、過去生(前世)はある、という前提でお話していますから、無理でもなんでも、ついてきてくださいね。

で、そこで、人生につまずいている過去生を観たりします。
人によっては、過去生でなくて、自分の幼少期だったりします。
(もっというと、未来世の場合もあります)

そして、現在大人になっている自分が、過去の自分を癒す事、それを自分レトリーバルと言います。


ヘミシンクでの醍醐味の一つが、この自分レトリーバル。
(参考記事→レトリーバル現世編


言い方を変えると、自分自身を癒すこと、なんですね。

このレトリーバルは基本、自分のガイドと一緒に共同して行います。
そして、これは必ず自分にとって、最適なタイミングで、最適な知覚で体験することになります。

だから、魔法のステッキで、光を振りまいたら、泣いていた子供が笑顔になった、なんていう体験だったり。

死んだおばあちゃんが迎えてきて、幼心が癒された、というファンタジー交じりな体験になったりしても。

ヘミシンク中に体験した事は、判断せずに、とにかく体験を受け入れる事が大切です。

どんな体験もガイドさんが采配しており、その人にとって受け止めきれない情報は与えたりしません。

無理せず、自然に、自分の過去を癒せる…。

これって、催眠療法による、前世療法とよく似ていると思うのです。

催眠療法は、ヒプノセラピストがクライアントに対して、誘導催眠を行い、記憶を退行させていき、幼児期や、生まれる前へと導いていくのです。

こうして、第三者を挟むことによって、クライアントは客観的に過去の体験を受け止めやすくなる、そして、過去の傷をいやすことができる…というメリットがあるのですが。

ぶっちゃけ、ヒプノセラピストを探すのって、難しいと思うのです。
見つけれても、通う為の時間や費用が、ねぇ…けっこう大変だと思うのですが。

ヘミシンクだと、CD分のお金で、それに近い体験ができちゃう、という次第。
ま、安上がりですよ、といいたいのです。

そんな私の過去生探索では、覚えている所だとこんな感じ。
(注:私の場合はフォーカス21フリーフローを使っての体験です)


①バカンス中に川原で足を滑らせて、溺死したフランス人男性

②生活の為に、可愛がっていた牛を泣く泣く屠殺した農夫のドイツ人男性

③厨房でこき使われて、過労死した貧民層出身の中国人男性

ってのがありました。

①は旅行の苦手意識が解放されたのか、ここ数年結構頻繁に一人旅にでております。

②は肉嫌いがここらへんから来ていたかもしれません。結構お肉食べれるようになりました。

③は働けど、我が暮らし楽に為らざり…的意識がなくなった気がします。


まぁ、なんていいますか、この頃は、メインガイドのユアンさんと会うのが楽しみでしょうがなかったものですから。

彼らの人生の機微みたいなものは、うっちゃって、ドドーンと緑の光を一発ぶっこんで一気に片を付けて。

①フランスコースフルコース

②ドイツビールでドイツソーセージとチーズとジャーマンポテトと、ドイツパンに舌鼓を打ち。

③赤い円卓で、中華会席をデザートお替りでユアンさんにおごらせてたらふく食べていた、という甘酸っぱい思い出があります。


アレ?何が言いたかったんだっけ???

無理に霊能者みたく、他人の未浄化霊を成仏させようとか、考えないで。

自分自身を癒す事に、重点をおいてもらいたいな、と思った事と。

なんか、体験が嘘っぽい、自信ないわぁ、という人は。

知覚アップの為にもぜひ、共同探索で知覚クイズにチャレンジしてみてね!

合同レトリーバルはできる人がやればいいものなので、無理に参加しなくてもいいですよ。

もちろん、ここでやっているイレブン・スター☆だけでなく、いろんなグループでの共同探索にもぜひ、参加なさってくださいませ。



注:過去生探索様に、Hemi-Syncによる過去生(別の人生)探究というCDもあります。
 このCDを使った場合の体験だと2足歩行の知能の高い白色の爬虫類型人類の過去生が出てきました。食べ物の事でもめて、杭に打たれて、仲間に殺されていますね。

アレ?そういえば、この人生のレトリーバルってできたのかしら???









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悲しい夢を見たようだった。

内容はまったく覚えていなくて、目が覚めた時、相手の名前を呼んでいた。


なんとなく。

自分が死んで。

地上に残った、大好きな仲間が。

次々と人を殺していっていたのを。

上から見ていて。

私は泣いていた。


彼が犯した罪が。
彼が背負う業を。

一つでも減らしたくて、自分は不条理な世界に生きる事を決めた。

それでも、たった一人分。

彼が殺した命は無数。

追いつかない。


でも、それでも。

彼が大好きだったんだ。


私「大好きだ、レイ。」


そう言って、目が覚めて。


もう、ずいぶん、昔の事で、出会う事も無いだろうな。




そんな事を、ちょっと思ったので、記事にしてみたら。

夢の内容は覚えていないといいつつも、記事にすると、涙がこぼれて困ってしまった。


ここで言っているレイという人物は、多分、ジル・ド・レイという人だと思うのだけれど。
私が勝手に好きだと思っているだけという話で。

事実かどうかは、怪しい話。

それでも、涙がこぼれてしまうのは、なぜなんだろうね…。













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レ「よっ!隊長。」

私「アレ?レイモンさん?あなたがここにいるって事は…。」

レ「そっ。熱出しているって訳。」

私「あぁ…。」

私は自宅のベッドの上で、昼間からウトウトしていた。
先週末、はしゃぎ過ぎたみたいで、日曜日から体調が思わしくなく。
今週は3日が休日だという事もあって、平日、体が重くても休まず出勤していた。

もう、残業はしていないので自分の時間はたっぷりある。
しかし、ミカエルの手がかりを求めて、仕事が終わると、自分の過去記事を深夜まで読み漁っていた。
自分で思う以上に疲れていたらしい。

木曜日の今日は、過去記事を読み返しながら、やはりミカエルとのやりとりを思い出して、落ち込んでいた。

私「…この間のレトリーバル以降。
  レイモンさんの気配がなくなったので。
  もう、あなたと交わらないと思っていましたよ。」

レ「ふふ。残念でした。」

私「…Rayさんのへミ知覚がある程度戻ったようですね。
  私の翼も減って…。ガイド達にも、遭えなくなって…。
  ある意味、元通りか…。」

レ「うぅん?まだ熱あるみたいだな~。」

レイモンさんが、ベッドに横になっている、私のおでこに手を置く。」

私「レイモンさんと、ジャンヌが仲よくなって…。
  これで、私とRayさんが交わることもなくなるかと思いましたが…。
  レトリーバルの時のレイモンさんは、本人ではなくて、ヘルパーさんだったのですか?」

レ「いや?まぁ、難しく考えない。
  疲れてるんだからさ。」

私「しかし、体調を崩すたびに、レイモンさんを呼び出して…。
  情けない…。」

レ「あんま、その意味、分かってないみたいだけどな…。
  ま、俺の事は気にしなくていいから。
  それより俺は、隊長が心配なの。
  人に頼らず、ガイドに心を開いてばかりでさ。」

私「ガイドに心を開いてばかり…。」

レ「そ。人間不信になってもしかたない育ち方してるけどさ。
  一人じゃないって、他の奴らからも言われてるだろ~?
  もう、頑固なんだから。」

そう言って、レイモンさんは私の頭を撫でる。

私「一人じゃない…。」

レ「そ。
  ガイドに会えなくなって。

  今は甘える相手もいなくなって、一人で頑張って。
  気を張っていたから、今疲れが出てるんだよ。

  意外と隊長は繊細な人だって周りからは見過ごされがちだよな。
  ま、無理もないけど?あんだけ暴れてりゃ。(笑)

  普通に旦那が突然いなくなったら、そりゃ落ち込むわ。
  あんなに愛し合っていたなら、なおさらだよな。」

私「あぁ…落ち込んでいたのか…。」

私がため息をつきながら、瞳を閉じると、瞼の上にレイモンさんがキスをした。

レ「俺が、C1に肉体を持っていたら、隊長を嫁さんにするんだけどな。」

私が瞳を開いてレイモンさんを見上げると彼が歯を見せて笑っている。

私「あぁ…。ありがと。」

レ「あぁ、こんだけ言っても心を動かさないのか。
  リップ・サービスだと思ってる。
  ホントに隊長って頑固。」

私「あぁ、人の話を聞かないし。我慢ができない人間で。
  もう、どうしようもない人間だよ…。」

レ「あぁあぁ、すごい落ち込んでる。
  調子悪いんだっけ。(笑)

  それと、なんかへミ知覚が落ちて、自分はこのままって考えているみたいだけど。
  残念ながら、隊長には、まだ役目と役割があるから。
  新しい能力もね。
  Rayと同じく、自分で見つけなね。
  とにかく、このまま他のヘミシンカーと交わらずには終わらないから。」

レイモンさんは、私の頭を軽くポンポンと叩きながら快活に話し続けた。

私「このまま、終わらない…?」

レ「そ。Rayと一緒で、俺から教えたりはしない。

  でも、ジャンヌの時は色々思い出してつらかっただろ?
  今は、まぁ、体を休めて。」
  
私「…レイには、迷惑をかけたし。
  私が捕まった後、つらかったろう…。
  申し訳ない…。

  あんな記事を書いて、胸を痛めさせてしまったかな…。 
  あなたには幸せになってもらいたかった…。
  この間のレトリーバルで、肩の荷が降りたよ。」

レ「俺はもう、この世の人じゃないから。
  細かいことは気にしない!
  過ぎてしまえば、どんな事も宝物だよ。」

私「…私も、そういう気持ちになれたらいいのに…。」

レ「生きている間からそんな気持ちでいたら、生きづらいだろう?
  隊長は隊長のままで、いいんだよ。
  俺は、ローカル1で隊長に幸せになってもらいたいんだよ。」

私「あぁ…。」

レ「隊長、美人さんだし?
  東洋人で、胸が小さいことを差っ引いても、俺、かわいいと思うし。」

私「胸は余計だ。」

レ「隊長がその気になれば、すぐにでも恋人が作れると思うけど。
  この性格じゃ、結婚は難しいよなぁ~。」

私「…他人のガイドにまで心配される私って…。」

レイモンさんが、どういう加減か私を背後からそっと抱きしめる。
私は彼に背中を預けて、ぼんやりしている。

レ「俺にできるのは、こうして抱きとめるだけ。
  熱があって、つらいんだろう。
  今ぐらい、甘えても大丈夫だよ。
  何もしないから。
  本当は、人間に甘えた方がいいんだけどな。」

私「…うん…。」

レ「…隊長を嫁さんにしたいってのは、本気だよ?

  永遠に愛し続けるって言っただろ?
  って、あぁ、ここで寝るぅ?
  俺、隊長に片思いしっぱなしじゃん!」

私は自分の肩にレイモンさんの金髪がシャラシャラとかかってきて。
なんだか、安心して、意識が眠りの世界に引き込まれたのでした。









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前回までのあらすじ。

ガイドとアクセスができなくなったという体験談を探すうちに、一人の男性ヘミシンカーのブログにたどり着く。
過去記事を読み進めるうちに、彼のガイドにルシフェルがいて、彼の知覚能力を私が受け継いでいたことに気づく。
しかも、自分達がかつてフランスで関わりのある人物だと気づいた私は、過去生であるジャンヌ・ダルクの記憶を克明に蘇らせるのだが、その内容は過酷なものだった。

自分が逆賊として捕えられた後、悲劇的に処刑されることで、フランスの歴史を変える目的をもった私は。
土壇場で死の恐怖におびえ、自分に好意を持っていた男性と恋愛関係を持つ。
しかし結局魔女として投獄された私に待ち受けていた現実は、看守たちに性的暴行を受け続ける、というものだった。


前回の記事、『夜明け前42』をいったん書き上げたのですが、なぜかほとんどのデータが消えてしまいました。
涙を流しながら、2時間半ほど時間をかけていただけにショックでした。
しかし精神的、肉体的にも疲労が激しかったので、しかたなくその日は休む事にしました。

ベッドに体を横たえながら、鬱々と考え込みます。

(そうだ、よく考えたら、Rayさんのガイドというか、彼の過去生の事を記事にするのだから。
 彼に了承をとってから、記事にしておかなきゃならなかったぞ。
 まぁ、でもレイモンさんとのやりとりなら、未成年でもOKか…。
 問題はその後だな。
 また、但し書きをつけておかなきゃならないな…。)

そんな事を考えながら、横になっていると、涙が後から後から流れてきます。

(みんな、過去生の記憶を蘇らせた時、こんな風になるのかな?
 事実のみが見えて、感情は蘇らないような…。

 いや、普通、ブロックがかかって、受け止めきれないような内容は思い出せないはず。
 それじゃ、私には受け止められる、と判断されたんだろうか…。

 あの記憶が蘇った時はショックだったな…。
 5か月近くたった今頃記事にしてみても、改めてショックを受けている…。
 これじゃ、前世がジャンヌ・ダルクだとしても、ありがたくないというか。
 あまりにつらい記憶だな…。
 
 彼女の最期を7月にレトリーバルしたけれど…。
 これだけ苦しいんだ。
 まだレトリーバルが必要なのかもしれない。

 そうだ、なぜ気づかなかったんだ!
 今から、レトリーバルすればいいんだ。

 ほんとアタシってヘミシンカーの自覚が薄いわぁ~。
 魔法学校に入ったばかりの、ハーマイオニーみたいじゃん!

 よし、今からレトリーバルだ!)


意識を牢獄に捕えられているジャンヌにフォーカスします。

(いた!ジャンヌが膝を抱えて一人で泣いている!)

真っ暗な牢獄で彼女は顔を伏せて泣き続けているようでした。

(ここが、捕らわれ領域か。
 フォーカス26くらいだな。)

奇妙な空気圧を感じる世界に私は足を踏み入れます。
私の意識体は金色の髪に金色の瞳、背中には一対の純白の翼を持つ、古代ギリシャの神様風の白いドレープがたくさんあしらわれたドレス姿をしています。

私「ジャンヌ、泣かないで。
  もう、終わった事なのよ?
  大丈夫。悲しまないで、あなたは安全なのよ…。」

そう言って、彼女の前に降り立った私は、体操座りをしている、彼女の肩を抱きかかえます。

ジャ「………。」

私「ジャンヌ?安心して…。」

私が彼女の顔を両手で包み込むようにしても、彼女の瞳は虚ろでした。

私「ジャンヌ、私はあなた。
  あなたは、もう、苦しまなくていいのよ?」

ジャ「…ミカエルと約束した…。
   まだ、死ねない…。」

私「ジャンヌ、もう終わった事なの。
  心配しないで。」

ジャ「レイ…助けて…。
   死にたい…。
   死ねない…。」
   
私「ジャンヌ?」
 
ジャ「ミカエル…声が聞こえない…。
   死ねない…。」

私「ジャンヌ!」

(これは正気を失っている!
 無理もないか…。
 過酷すぎる環境では、仕方ない…。
 私の声が聞こえていないし、姿も見えていないようね…。
 それでは、ヘルパーを呼ぼう。)

私がヘルパーを呼ぶことを意図したとたん、空中に金色に輝くドアが出現します。

彼女は顔をそちらへ向けて、目を細めます。
ジャンヌには、その扉が見えたようです。

私「さぁ、ジャンヌ。
  私は天使です。
  迎えに来ました。
  あの扉の向こうにあなたの会いたい人が待っていますよ。
  立ち上がってあちらへ進みましょう。
  温かいお湯を用意しています。
  体をさっぱりさせたいでしょう?
  飲み物もありますよ。
  さぁ、立ち上がって、歩いてごらんなさい。」

私がそう言って、彼女の背中に手をあてると、彼女はその声を聞いてか聞かずか、フラフラと立ち上がり。
その扉に向かって歩き出しました。

私はドアノブを掴んで、扉を押し開けて、彼女の背中をそっと押します。

すると、真っ暗な空間に、ざぁっと緑の匂いを含んだ風が吹きこんできました。
ドアノブを掴んだまま、扉の向こう側に行った、ジャンヌの様子を窺うと。

そこは、突き抜けるように爽やかな青空の元、真っ白なマーガレットの花々が咲き誇る、花畑でした。
ちょうど、私のブログのプロフィール写真の様です。

風に揺れる無数の白い花びらの、その花畑の中に、一人の人物が立っています。
甲冑を着込んだ、金髪にアイスブルーの瞳をした青年、レイモンさんです。

ジャンヌの瞳に生気が宿り、頬がバラ色に変わります。
彼は花畑の中に立って、彼女に向かって大きく手を振っています。

彼女は、走って彼の元に駆けつけます。

レ「やぁ!隊長!」

ジャ「レイッ!」

レイモンさんが大きく両手を広げます。
そこに彼女が抱きつきます。

レ「あはは。隊長!俺の嫁さんになる?」

ジャ「うん!なるっ!レイのお嫁さんになるっ!」

レイモンさんは彼女を抱きしめて、キスをしました。

ジャ「レイッ!会いたかった!大好き!」

レ「あはは。俺も!」

ジャンヌは嬉しそうに彼の首に抱きつきながら微笑んでいました。

私は涙を流しながら、ドア越しにその様子を遠くから眺めていました。

ふと、みると、ドアの扉を押しやっていた私の手の、数十センチ上にもう一つ男性の手があります。
真っ黒の長そでを着た、その人物は、私の愛の感情を司るメインガイド:ユアンさんでした。

いつの間にか、私の背後に寄り添う格好で、彼が佇んでいました。

気づけば、私は滝のように涙を流していて。
後ろに体重をかけて、私は顎を上げて、彼の肩に自分の後頭部を預ける格好でつぶやきました。

私「…これでよかったのかな…。」

ユ「どうして。」

私「…ジャンヌに幸せになってもらいたかった…。」

ユ「彼女は幸せそうだよ?」

私「…そう、彼女に人間の男性との幸せな結末を与えたかった…。」

ユ「君はどうしたい?」

私「…人非人だと思われてもいい…。
  私の一番大切なものは、ミカエル。
  ミカエルだけ。

  …私を一番想っているのは。
  …分からない。
  私を愛している人間の男性かもしれない。

  それでも。
  それでも、やっぱりミカエルを愛している。

  私がこの生を終えれば、きっと彼に会えるだろう…。

  私の来世は約束されているのかもしれない…。
  魂の系譜を見れば、おそらく恵まれた来世になるだろう…。

  過去生の歴史を紐解けば、歴史に名を残す人物が多い。

  しかし、今世では。

  私は死ぬまで、彼を愛し続ける。
  死んだ後も、彼を愛する。

  例え、今後、彼に会えないとしても。
  私は生涯、彼を愛し続ける。

  約束された来世より。
  偉大な過去生よりも。

  大切なのは、いま、ここだけ。」

私は人間としての一つの可能性を消す決意をしていた。

ユアンさんは私の顎から滴り落ちる涙を吸い取るように、横からキスをしてきました。

ユ「君を愛している。君の思う通りに…。」

私「…すまない。」

ユ「僕は君の守護竜。
  君を生涯護り、愛すると、かつて約束した。
  君が何度転生を繰り返しても、僕は君を護り続ける。」

私「私はミカエルを…。
  そして、人として間違った選択をしているかもしれない。」

ユ「ドラゴンとの友情は永遠だ。
  君を愛している、僕の緑の姫君。
  僕は君についていくだけ。」

私「…ありがとう。
  そして、ジャンヌ、お幸せに…。」

晴れ渡った青空の元、風に揺れるマーガレットの花畑の中で笑顔で抱き合う恋人達の姿を目に焼き付けた後、私は静かに扉を閉じた。

私「さぁ、ローカル1に還ろう。」

ユ「イエス・マイ・ロード。」

私は涙を手の甲でぬぐいながら、彼にそう告げた。



ミ『帰ってきたら、今後の二人の事を話し合おう。』

私の手の甲に口づけをして、そう、ミカエルが言ってから既に5か月以上が経っていた。

私は毎日泣いていた。

その後、ほとんど彼と会うことが無かった。

今後出会える保証はない。

10月生まれの私は、38歳になっていた。




  

  
  



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レ「よっ!隊長!元気になったか?」

私「あ、レイモンさん、昨日はどうもすみませんでした。」

レ「いいってことよ!俺と隊長の仲じゃん。遠慮するなって!」

陽気に微笑んで挨拶してくれたのは、過去生で私と戦友だった、レイモンさんである。
見た目年齢は30前くらい、長い金髪にアイスブルーの瞳、がっしりとした顎の青年で、甲冑を着込んでいる。
職業は傭兵、600年ほど前のフランスで私の部下をしていた人物だ。

先週、陰のガイドである、ルファさんの忠告を無視してしまう格好で、朝まで扇風機にあたり続けてしまった私は、3連休のうち2日間を寝たり起きたりして過ごしていた。

そして、初日は熱が高くて、辛かったらしい。
私は体調が悪い時に無意識で彼を呼び出してしまう癖があり、昨夜も何かやりとりをしたはずなのだが、細かい事はよく覚えていない。

レイモンさんは屈託なく笑ったかと思うと、おもむろに私の肩を抱き、声を潜めて囁いてきた。

レ「でさ、隊長。夕べの話しなんだけど、考えてくれた?」

私「え?あれ、本当にやるの?」

私はベリーショートの金髪に痩せ型の白人女性の姿をして、彼の問いかけに疑問系で答える。
見た目年齢は20歳前後。白い肌にはそばかすがあり、瞳の色は薄いグリーンとも茶色ともつかない淡い色をしている。

レ「マジマジ、本気。ね、隊長から言ってやってよ、アイツに。」

私「う~ん。でも本人が乗り気じゃないなら、他から言っても意味無いんじゃない?
  嫌がっているのを無理やりやらせるのも、どうかと思うし…。」

レ「分かってないな~、隊長!
  隊長から言えば一発だって!」

私「えぇ~?そうかなぁ??それこそ、ガイドのあなたから言うべきじゃない?」

レ「ダメダメ。アイツ、俺の言う事なんて、聞きゃ~しないの!
  そこんとこ、隊長からなら、いう事聞くって!」

私「うぅん?そうかな~?」

レ「だ~いじょうぶだって!アイツ、隊長の事、認めてんだからっ!
  それに、そういう事は男からは言い出しにくいものなの!
  なんだかんだで、男ってのは、女から言い出してくれるのを待ってるものなの!
  繊細なんだよ?」

私「や。男とか女とか、関係なくないか?
  へミシンカー同士の話だろ?」

レ「…俺、隊長が美人さんなのに、モテない理由が、今分かった気がする。」

私「一体、何の話をしている?」

レ「とにかく、アイツにバシッと一言言ってやってよ!
  今、アイツいい感じに流れてんだよ。
  そこんとこ、もう一押し、背中押してやってくれない?」

私「ん、あぁ。分かった。一応言ってみる。
  それで相手が動くかどうかまでは、保証できないけど、それでもいいか?」

レ「わ。隊長ありがと!いいって、いいって!サンキュ~!」


ちなみに私がレイモンさんに頼まれている事とは、別に色っぽい事ではないと思うのだが。
まぁ、要するに彼が守護、指導しているへミシンカーに一言言って欲しいと頼まれていたのだ。

私「そうそう。
  夕べは熱が高くて、なんだかまた呼び出しちゃったみたいで。
  レイモンさんにはご迷惑をおかけして、申し訳ないです。」

レ「ふふ。いいよ、元気になったみたいだし。
  今日は顔色も良さそうだ…。」

私「ありがとうございます。」

レ「隊長、女の子なんだしさ、もうちょっと可愛い格好しない?」

ふと、俯いて視線を落とすと、綿素材と思しき、簡素な味も素っ気もない服を着込んでいる。
まるで、幼稚園児のスモッグのような格好だ。
しかも、裾が少し裂けて、貧乏ったらしい事、この上ない。

私「そうだな。もうちょっといい服着ても良いか。」

レ「隊長、本当はお姫様だったんでしょう?
  ドレスになってよ。」

私「わかった。」

そういうと、薄い水色のシンプルなドレス姿に変身する。
ディズニーのシンデレラのドレスをさらにシンプルにした感じだ。

レ「やっぱりいいねぇ。着飾った女の子は。
  ねぇ、ねぇ、髪型も変えてみせて。」

私「うん。」

金髪が伸びて、つややかな髪が胸元まで広がる。
ゆるくウェーブをしていて、華やいだ印象に変身する。

少しドレスが素っ気ないので、胸元に大きな花のコサージュを追加する。

レ「うわぁ、やっぱり可愛いなぁ。
  俺、隊長の事、絶対可愛いと思っていたんだよね。」

私「…。」(←照れている)

レ「ね、隊長。踊ろうよ。」

そう言って、レイモンさんは私の両手を握って、引っ張り出す。

私「ちょっと、いいけど、ステップ知らないよ?」

レ「良いって、良いって。俺も知らない。」

私「あはは。そうか。それじゃ、ミュージック・スタート!」

私がパチンと指を鳴らすと、どこからともなく、ブンチャッチャッ、ブンチャッチャッ♪と3拍子の音楽が流れ始める。
いつの間にかレイモンさんも燕尾服を着こんで、正装としゃれこんでいる。

しかし、私達はステップを知らないので、まったく適当にグルグルと歩き回る。
あたりは暗くなり、二人の頭上からスポットライトが追いかけてきている。

私「あはは。レイモン。おもしろいな。」

レ「あぁ、楽しいな、隊長。」

私達はひとしきり踊りまわり、陽気な音楽を背景に、両手を繋いだまま話し始める。

私「レイモン、生まれ変わりっていいなぁ。」

レ「あぁ?何?」

私「こうして生まれ変わると。
  生きている間は仲が悪くても、仲直りできるじゃないか?

  フランスでの私達の最期は悲惨だったが。
  こうして、今、楽しくステップが踏める。

  生まれ変わりなんて、アテにしない主義だったが。
  これは楽しくて、いいなぁ。」

レ「あはは。でも隊長は特別だけどな。
  普通は人のガイドと踊ったりはしないよ。」

私「なぁ。レイモン。
  楽しいな。

  生まれ変わりの意義なんて、固苦しく思っていて。
  どっかの本で立派な事書かれていて、頭で分かった気がしていたけど。

  こうして二人で踊っていると、本当に素敵だって実感できる。
  レイモン、ありがとう。」

レ「…隊長、やっぱり俺の嫁さんにならない?」

私「うふふ。ダメだよ。私はまたミカエルの妻になったんだから。」

レ「ミカエルの旦那か。
  俺の割り込む隙はないって訳?」

私「残念ながら、そうだよ。うふふ。」

レ「なぁ、隊長。
  ミカエルの旦那の所在はまだみつからないのか?」

私「ミカエルの所在…。」

思わず、涙が零れる。

レ「うわ~!待った!待った!
  涙無し!
  ダメだって!女の武器使っちゃ!
  今だって俺色々ガマンしてんだからっ!
  惚れた女の涙なんて、もう凶器だからっ!」

私「…うっ。」

私は思わず彼の手を離して、自分の顔にあてる。
気が緩んだ関係だろうか。
私の意識体はメタモルフォースして、絶世の美女の金髪に金色の瞳の天使の姿に変化した。

レ「うわぁ~。
  ダメだって!
  その顔も凶器!
 
  その顔で、涙浮かべて俺の事見ないでっ!」

私「…ごめん、レイモン。
  また迷惑かけて。」

レ「いや、迷惑って言うか…。
  あぁ、もう、ホントこの人、天然だわ。」

私は瞼を手の甲で拭って、空中に羽ばたく。

私「ごめんね。
  でも楽しかったよ。
  ボーイフレンドでいてね。
  また遊ぼう。」

レ「ダメだって!
  そんな神々しい格好になったら、余計に手が出せないでしょ!
  
  何?何が天使なの!?
  この小悪魔っ!!」

私は背中の純白の16枚の翼を羽ばたかせて空中に浮遊し、背後を振り返りながら彼に手を振る。

私「ゴメンネェ?」

レ「あぁ~、もう、俺、隊長に振り回されっぱなしっ!!」

レイモンさんは頭を抱えて、顔を真っ赤にしながら、楽しそうに笑っていた。







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まるで、沸騰した湯の中にいるようだ…。
視界が涙で歪む。
耳の後ろの血管がじゅんじゅんと音を立てて流れているのが分かる。

もう、もう何も考えたくない…。

怖い、怖い。もう、どうでもいい。怖くてたまらない。

男「さっさと歩け!」

両手に木の板をくり抜いて作られた錠をかけられ。
縛られた手首にさらにつながれた縄で引き立てられる。

大勢の観衆がざわめいて、自分を見つめる中、ガクガクと足が震えてうまく歩く事ができない。

私「嫌!イヤ!死にたくない!死にたくない!イヤー!」

半狂乱になって、騒ぐ私を複数の男達が取り囲み押さえつけて、石畳の上を引きずるようにして広場の中央に引き立てられる。

私「ヤダ。嫌!怖い!死にたくない、死にたくない!助けて!」

男達にもみくちゃにされながら、泣き叫ぶ。

大勢の人の目なんか、気にする余裕なんて無い。

なんで、なんでこんな事になっちゃったんだろう。
この日をあんなに待ちわびていたと言うのに…。

怖い・怖い・嫌・死にたくない。

この朝、処刑されると聞いた時は、これで神の元へ召される。
もう、この牢獄での暮らしは終わる。
自分の魂は安寧の中に行ける、と安堵したはずなのに。

私「イヤー!!助けてっ!誰か助けてっ!!お願いっ!!」

もう何もかも、構っていられない。なにもかも、どうでもいい。
ただ、助かりたい、その一心だけ。

あぁ、もうあの牢獄での暮らしと決別できるなら。
一刻も早く処刑されたい、と切望していたはずなのに。

蛆虫どもに自分の体を好きにされる苦痛から、やっと解放されるというのに。
男女一緒の牢獄だった…。
看守達も好き放題していた…。
あの苦痛から解放されるなら、いっそ自死したい…。

暗闇の中、ミカエルの声も届かない…。
孤独で気が狂いそうな数年間…。

もう、誰も信じられない…。実の兄でさえ、私を見捨てた。
荒んだ心のまま、ただただ、生き続けていた…。

私が磔刑される事でしか、フランスは救えない、という彼の言葉を信じて…。


泣き叫び暴れる私をよそに、男達の手によって、木の板の側に引っ立てられる。
木製の台座が設えられており、その中央がくり貫かれ、そこを大地に突き刺すように十字架が立っている。
両手を広げて手首を縄でくくりつけられる。
男が両手に金属の杭と金槌を持って私の手元を見定める。
その前に手の平を差し出して、行動を制止する男が言う。

男1「…やめよう。せめて、痛みを無くしてやりたい…。
   杭を打つな。そのままにしてやれ。」

男2「これから処刑される囚人だってのに?」

男1「…この人はそんな人じゃない。
   やめてやれ。どうせ死ぬんだ。」

男2「ちぇっ。お前が責任とれよ。」



男達の手によって、両手首と両足首を十字架に縄でくくりつけられる。
足元の台座が取り外され、その中から姿を現したのは十字架を取り囲むようにくべられた大量の薪。

私はがくりと頭を垂れて、涙と鼻水とよだれを流しながら、私を見守る群集を呆然と見つめる。
その中で、ひときわ背の高い灰色のローブを頭からすっぽりと被って着た男に目が留まる。

その人影が、すっと群集から離れていく。

足元の小枝に火がつけられ、次第に薪に火が移っていく。
パチパチと薪が炎ではぜる音が響き、足元から灰色の煙を巻き上げる。

熱と煙の中、息が苦しくなる。


もう、もうお終いだ。
こんな事なら、神の声など聞かなければよかった…。
死にたくない…死にたくないのに…。


パチパチと薪が炎にはぜる音が響くなか、煙は量を増やしていく。
額に汗が滲み、足元を炎がチラチラとなぜて皮膚がひりつく。


虚ろになる意識の中、ふと視界に金色のものが見える。
私の肩に、すこしゆるくウェーブした、灰色がかった豊かな金髪がふわりとかかっている。


(ミカエル…。)

気づくと、十字架に磔にされながら、私は彼に背後から抱きしめられていた。

ミ「終焉の時だ…。」

緑とピンク色の光の揺らめきを感じて、顔を上げると、空中に精霊がいる。
長い黒髪に緑色のドレスを着ている。

(マグリット…。)


気づくと、苦痛は無くなっていた。
意識が拡大する。
深遠な、何かと一体化する。


眼下を見下ろすと、先ほど私の手に杭を打ち込むのを止めさせた男が薪をくべている。


(可哀相に…。彼は○○○○の地で師を裏切っただけでなく…。
 こうして再び、私を十字架にかけている…。

 私はこれで、生を終えるが、彼は終生私を手にかけた事を悔いて生きていく。
 これから彼は十字架を背負って生きていく…。)

ふと、視線を泳がすと、私を見つめる群衆の中から、光を放つ人がポツリ・ポツリと見える。
その内の一人がその場を後にする。

(あぁ、同胞たちよ…。
 同じ星に来た仲間達…。

 私の死を悲しんでいる…。
 泣かないで…。

 私は今、夢から目覚める。
 あなた達は、まだ悪夢の中…。

 愛しい仲間達…。
 私は、また人として生まれてくる…。
 還ってくるよ…。)

ミ「さぁ、ラ・ピュセル。」

(その前に、彼らの為に一言だけ。)

私「主よ。全てを委ねます。」

そう、微笑んだ気がした。
涙と汗を流しながら、頭を垂れる。
意識を失いかける前に、眼前に金色の光が振りまく。

肉体は死んで、意識体だけするりと頭と上げると、目の前に見たこともない天使がいた。
金色の長い髪と、金色の瞳の美しい女性の天使。
背中には縦横無尽に翼がたくさん生えている。

(あぁ、あれは、私だ。
 遥か未来の私の姿…。)

彼女は私に近づき、私を抱きしめて、額にキスをした。

「泣かないで、ジャンヌ。」

するりと肉体から意識体が抜け出す。
私と金色の天使が融合し、振り返ると緑の瞳のミカエルが微笑んでいる。

ミ「還ろう…。」

そう言って、彼は私に手を差し伸べた。

私「還ろう…。」

私は彼の手を取り、互いに抱きしめあった。

私「やっと会えた…。
  私の緑の瞳の天使…。
  私だけの…。」















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