私「…寒い~夜だから~、明日を待ちわびて~、ふふふ~んふふふふふふふふ~ん♪…」

私はペンをとめて、パソコンの奥に置いてある、たっぷりと汗をかいたペットボトルに手を伸ばす。

その隣には空になった、自宅から持ってきた1リットル入の水筒が置いてある。

グビッと水分を補給し、さらに書類にペンを走らせる。


30分後。


パタリとペンをとめて、パソコンの奥に置いてある、たっぷりと汗をかいたペットボトルに手を伸ばす。

その隣には空になった、1リットル入の水筒と、500ccのペットボトルが置いてある。


係長「うぉ~い、今、席に残っている奴、こっちこいや~。」

ぞろぞろと係長に向かって、何人かの社員が集まる。

係長「ほい!新しい資料。これを再来週までにやっつけてくれ。

今いないやつには明日朝一番で説明すっから。」

残っていた社員たちがざわつく。

新しく配られた資料に目を通し、口々に端的に感想を言い出す。

つまり、また仕事が増えたのだ。


私「…なるほど、新規事業で、これは将来的には我が社がとりっぱぐれない、という話ですね。」

係長「そうだ~、法改正が起きて、それに伴い、親会社が決めたことだ~。

みんな仕事を抱えて忙しいと思うがよろしく頼むよ。」

私「だが断る!

こんな決まりごとを作ったのは、どうせ市民の血税で私腹を肥やす、無能な役人に違いないっ!

私は忙しいんだっ!そこに名を名乗れっ!そして切腹しろっ!なんなら国家公務員がやれっ!!」

係長「お前が言うなっ!

一番仕事の進捗状況が遅いだろうがっ!!

サラリーマンが仕事を選べると思うなよっ!!」

タイルがはがれかけた床を指差して叫ぶ私に、係長が資料を丸めて、私の頭頂部をパコーンとはたく。

側にいたチーフが、「この人は疲れているので大目に見てやってください」とか言って私の腕を引っ張っていって、自席に戻った。


私「ちっ!ジョジョネタが通じないとは、ユーモアの通じない上司だっ!」

Sさん「ププ。岸辺露伴ね。」

Fさん「ぷ。それを上司に求めちゃあ…。係長、ジャンプ読んでないでしょ!」

チーフ「ほら!またなんかオタクな発言をしていると思うけど、俺にはわかんないからさ。
ともかく、今あるリストをやっつけようぜ。」

隣の席に座ったチーフになだめられて、目の前にあるリストに取り掛かる。


30分後。


パタリ。


パソコンの奥にあるコーヒーの缶に手を伸ばす。

その隣には空になった1リットルの水筒と500ccのペットボトルが2本ある。

口元に持ってきた缶には、もう液体は残っていなかった。


バンっと、リストに手を叩きつける。

私「もう、やってられっか!!」

チーフ以下「うぉっ!どした!?」

私「心頭滅却すれば、火もまた涼しとか言った奴、出てこいっ!
全然涼しくないっ!暑いわっ!」

係長「ど、どしたの?」

私「アレ見てくださいっ!
もうすぐ8時になろうってのに、室温計30℃ですよっ!!

空調切れてんですよっ!
そんで暑いんですよっ!

で、扇風機もダメだって言われて、我慢してんですよっ!
そんなら、窓でもフルオープンにしろって話ですよっ!

それが、間違って書類が飛んだりしたら、個人情報が漏れて課長の首が飛ぶってんで、窓もちょっとしか開けちゃダメってどういうことですかっ!」

係長「あ、そこは僕もなんなら飛ばしてもらってもいいかなって思うんだけど?
色々風通しがよくなって、いいんじゃないかな?」

私「そんで、こうして汗だくで残業しても、一円もつかないんですよっ!
やってらんないって話ですよっ!」

係長「うぐ。それを言われると…。
ごめんね?予算がなくてさ~。

関係課から予算回してもらっても、もう使い切っちゃったし?
その分、他の課の人にも、残業代つかないの、我慢してもらってんの。

うちの課がめっぽう残業が多いってので、同情してもらって、協力をお願いしているところでさ~。
そこんとこも含めて、我慢してやって~?」

私「同情するより、金をくれって話ですよっ!」

係長「お?往年のドラマの名台詞?」

私「ウチの課が残業が多いのは、今に始まった話じゃないですよっ!
毎年の話ですよっ!

業務の進捗具合も、個人の資質の問題じゃないんですよっ!
キャパシティーの問題ですよっ!

仕事量に対して、明らかに人員が足りていないんですよっ!
仕事を減らすか、人を増やせって話ですよっ!

こんなに毎日残業続きじゃ、疲れ果てて、出会いも無いし、婚期も逃すって話ですよっ!
どうしてくれんですかっ!」

係長「う~ん…。それを僕に言われてもねぇ…。
仕事にかまけて男漁りするヒマも無いってか?
今まで坊主なのは、自分の腕のせいでしょぉ?

実は気づいてないだけで、周りにいいのがいるんじゃないのぉ~?
ホラホラよく見て~。

そもそも、もうそろそろ選り好みができる立場じゃないよねぇ。
なんなら、僕の2番目の人でもいいと思うけどぉ。エヘ。

ほら、僕、ストライクゾーンも心も広くて、いつでもウェルカムだし?

僕とならしんじゅさん、かなり年下だし、僕と結構お似合いかも?って…。
アレ?顔怖いよ?ここ笑うところだと思うけど?

あっ!?しんじゅさん、生理?」

私「セクハラだっ!死ねっ!!
第一仕事の話だろうがっ!すり替えるなっ!」

係長「お~、怖っ!
う~ん、そこまで言われちゃあ、ねぇ。

なるほど、なるほど。
僕達上司が立てた業務計画に問題がある、と、そう言いたいわけね。

それじゃ僕も考えないと。

ところで、やっぱりしんじゅさん、もしかして今生理?」

私「違うわボケェ!」

係長「ごめんねぇ、女の人だしさ、気が立っているからさ、もしかしてって思ったの!

さて、こうして問題提起されたわけだけど、それならみんなの意見もきかないとね。

残業が多すぎる、さて、この問題をどうするか?
皆で解決していこうじゃないか。

ねぇ、君たち、どう思う?」

チーフ「ん、そうですね…。」

Sさん「急には…。」

Fさん「ん…。」

私「…電波来た。さぁてぃわんだ。今、サーティーワンが熱い…。」

係長「はい?31がどうかした?」

私「アイスが食べたい。」

係長以下「は???」

私「これからアイスを食べに行く。」

Oさん「あ、僕も行きまーす!」

Fさん「え?それだとリストの処理が進まなくて、明日以降に業務が食い込みますよ?
逃げちゃダメです。」

私「これは逃げじゃない。戦略的撤退だ。
明日の事は、明日の私が考える。」

チーフ「ほぉ。」

Fさん「え?なんかカッコイィ。」

Oさん「僕、しんじゅさんについて行きま~す!カッコイィ!」

Sさん「F君、しっかりしろ!言い方を変えているだけで同じことだ!」

係長「うん!ナイス!そうだね、どうせ疲れきっちゃっているんだ。
仕事もはかどらないだろう。

もうここは店じまいして、帰ろう!そうしようっ!
僕も帰ろうっ!みんなお疲れ様っ!!」

Oさん「係長、おつかれさまで~す!」


「お疲れ様です。」「お疲れ様です。」「お疲れ様です。」「お疲れ様です。」

Oさん「あ、僕アイスより、妻子のが大事なんで!
やっぱり先に帰りますねっ!
みなさん、おつかれさまで~す!」

と、係長と、少し離れた席にいた、Oさんがそれぞれ階段を使ってそそくさと帰って行ってしまいました。

残された四人で仕事場の施錠、消灯をして、皆で、エレベータに向かって歩き出します。

Fさんは足が悪い人なので、みんなでゆっくりゆっくり歩いております。


Sさん「しかし、さっきはビックリしたな…。」

Fさん「えぇ、僕、かなりビビってましたよ。どうなることかと…。」

私「アイス、アイス…。」

チーフ「そうか?しんじゅさん、口のききかたはアレだけど、全部正論だぞ?
しごくまっとうな意見だ。」

Sさん「しかし、普通、面と向かって言えんだろう、上司にあんなこと。」

Fさん「ですよね?怖くて言えませんよね?」

チーフ「いや、正論だよ。
俺たちの仕事は書類をペラペラしているだけのように見えるが、この会社の基幹業務だ。
うちの会社の収益の半分を俺たちが叩き出している。
その分、業務が煩雑で量も半端ない。
残業が多いのは例年のことだし、こうして残業を続けているのも今年の一月からずっとだ。

少なくとも40~50時間は毎月残業をしているし、多い時は100時間を越える事もある。
だからこそ、体力も気力もある、給料の安い若手が集められているのさ。

それで残業代がつくならまだしも、ここ数ヶ月はタダ働きだ。
腐るのも当然だし、第一俺たちも生身の人間だ。

今月だけは無理をしてくれ、とかならまだわかるけど半年以上残業続きなんだ。

残業中は冷暖房も不可、こんな劣悪な環境で文句を言うなという方がおかしい。
繊細な労使交渉に発展してもおかしくない話なんだよ。」

Sさん「なるほど、確かに。」

Fさん「それはそうだ…。でも。」

チーフ「そう、普通は人事査定が怖くて上司に言えない。」

Sさん「それが、この人言えちゃうんだよな。」

Fさん「しんじゅさんは、査定、怖くないんですか?」

私「ん?査定?何それ?」

Sさん「そこからっ?え?何?今までそれ気にしたことなかったの!?」

チーフ「人事考査だよ。普通は管理職が審査している、社員の働き具合を評価してんの。」

私「真面目に仕事をしていれば問題ないでしょ?なにか問題でも?」

Sさん「え?それはそうだけど、上司の心証が悪くなると思うと、ちょっと遠慮しちゃうよね?」

私「関係ないね!」

チーフ「この人は失うものが無いだけに、強いんだよ。」

Fさん「なんか、カッコイイ。」

Sさん「なんか、俺も…。しかし、さっきのやりとり、まずかったんじゃないか?」

チーフ「あぁ、それは問題ない。
幸か不幸か、しんじゅさんの発言は軽い。
係長にしたら、一番やりやすい相手なのさ。

この課で一番のやり手のH君とかに詰め寄られたら、なにか対策を講じざるを得ない。
もしくは、そのフリをするだろう。

同じ説明でも、男性から受けるのと、女性から受けるのでは印象が違う。
女性からだと柔らかい感じがするし、しんじゅさん自身のキャラクターもある。

見た目とか声とか雰囲気が、相手に嫌な印象を与えない。

本人的には正論を唱えても、相手にされない、というデメリットがあるが。
係長にしてみれば、最初から本気で業務を改善するつもりもない。

女の子がギャーギャー文句を言っただけ、という感じで収められるし、多分、彼女の査定にも悪くは影響しないだろう。」

Sさん「ふむ、なるほど。
確かにしんじゅさんはうちの課のマスコット的存在で、なにかブーブー言っているだけ、という感じに見えるしな。
男が言ったらシャレにならんだろうが。」

Fさん「しかし、しんじゅさんすごかったですね。」

チーフ「あぁ。だが、あの係長、海千山千のくせものだと思うぜぇ。
しれっと課長の失脚を狙ってたし。

生理かって聞いたのも、ワザとだ。
しんじゅさんの発言にウラがあるかどうか試したんだと思う。」

Sさん「え?」

チーフ「あれは明らかに暴言だ。
わかってて言ってる。
下手したら、女性、泣くだろ?」

Fさん「間髪入れず、死ねって言ってましたね。」

チーフ「あれはしんじゅさんが根に持たない性格だとわかってて言ってる。
あの返しは正解だ。
あの反応で、こいつは組合に駆け込まないって判断しているんだよ。」

Fさん「そうかぁ…。
それにしても、僕、平社員が上司に死ねって言うの、初めて目にしました。」

Sさん「俺も。ちょっと、いや、かなりスカッとした。」

チーフ「俺もだ。
おそらく、今後一生見ることはないだろう。
俺たちは貴重な瞬間に立ち会えたんだ。」

Fさん「おぉ、なんか凄い瞬間にいたんですね、僕たち!」

Sさん「そうだよ!普通ありえないよっ!なんであんな風に言えんのっ!?」

私「こっちは裏表無し、ど真ん中ストレートよ!
ってか、エレベーター遅いっ!!連打っ!」


私はおんぼろエレベーターのボタンをカチカチカチカチと乱暴に押す。


Fさん「連打なんてワザワザ言って…。
今日もTRFの『寒い夜だから』をボソボソ小声で歌ってて。
僕も疲れてたんであえて突っ込まなかったんですケド。」

Sさん「あぁ、出だしのワンフレーズしか覚えてないらしくて、ずっとフンフン言ってたな…。」

チーフ「俺もあえて聞こえないフリをしていたんだがな…。
あれは彼女なりのイメトレだろう。

少しでも涼しく感じるための工夫だと思われる。
残念ながら、あまり効果はなかったようだがな。

まぁ、つまり、彼女は思ったことを全て口にしているんだ。
言い換えれば、心の声がダダ漏れとも言える。」

Fさん「確かに、係長への主張の中にも、一部個人的な私情が混ざってましたけど、全部本気で言ってるなって思いました。」

Sさん「うん、俺、ちょっとかわいそうに思ったもん。」

チーフ「俺が驚いたのは、その後だ。
一瞬、しんじゅさんは天才じゃないかって俺は思った。」

私「あ、やっとエレベーター来た。」

消火栓の小さな赤い光源のみの、真っ暗な廊下に四角い光が差し込んだ。

エレベータのドアが開いて、四人で乗り込む。


Sさん「どこらへんが?」

チーフ「係長、問題を皆で解決しよう、とフッてきただろう?
あれは業務を外部委託にするか、人員を増やすかのどちらかしかありえない。

それは予算や人事権を持った管理職にしかできないことで、俺たちにはなにも権限がない以上どうしようもないのさ。
そして、もし改善できたとしても、それは来年以降の話で、今現在はどうしようもない。

問題を共有しようと、公平な雰囲気を出しつつも、実際は打開策の出しようがない状況に俺たちを追いこんだ。

あぁして、時間だけが経過して、焦らせた結果、俺たちに諦めさせる、という手法に出たわけだ。
せいぜい、課題を持ち帰りましょう、とか、飲みでコミュニケーションとりましょう、そんな位だ。

係長は自分の任期中にはそんな改善をするつもりはハナからないのさ。
結局俺たちに惨めな思いをさせる、というオチしかない、と俺が思っていたら。」

Fさん「サーティーワン、ですね?」

チーフ「あぁ、俺が想定しうる範囲内では到底導き出せない答えを言い出した。
ほんの一瞬の間に。
俺は驚愕したね!」

Sさん「悪いが、そこまで彼女が深い考えを持っていたとは俺には到底思えないのですが。」

Fさん「確か、電波来た、とか言ってませんでした?」

チーフ「何を言う、完璧だぞ!?
俺たちの疲れた体に、甘くて冷たいアイスクリームが口の中に飛び込む。
それを想像しただけで癒された気がしなかったか?」

Sさん「した。」

Kさん「僕も。」

チーフ「あぁ、現時点で解決するはずもない膠着状態に一瞬で見切りをつけて、俺たちの疲れた体に癒しの目的を与えてくれたんだ。

労使問題に発展するか?という丁々発止(ちょうちょうはっし)から一転、全てにおいて完璧にフォローしてくれているんだぞ?

あの瞬間、俺たち全員、しんじゅさんの『アイス食べたい』発言に完全に人心掌握されていたんだ。

あのシチュエーションで、頭の中にアイスクリームを想像しないやつなんていない。
猛暑の中での作業中だったんだ。

あれはたんなる言葉以上の効果だ。
言葉の力を借りた華麗なるイマジネーションの世界。
もはやマジック!

頭に血が上りかけていたのが一気にクールダウンしたし、係長もほくそ笑んだだろう。

この発言で場が一気に和んだし、女の子が疲れて何かわめいただけ、で済ませられると。
そして、俺たちを連れ出して飲みに行かなくてもいいし。
または俺たちが飲み屋に行って、結託して係長を悪く言うという可能性も消える。

きっとあの瞬間、係長の頭の中には、30分後、涼しいアイス屋から出て、笑顔でおつかれ~と言い合っている俺たちの画(え)が浮かんでいたんだ。

あ、こいつら明日もケロッとして出勤してくるな、と。
だから、しんじゅさん自身の査定にも、なにも響かないと思う。」


チーン…。


エレベーターが人気の無い、一階フロアに到着して、薄暗い建物に、四角い光が差し込む。

体感気温が2度ほど下がったような気がする、生ぬるい空気の中を四人で出口に向かってテクテク歩く。


私「ん?俺たちのエ?」

チーフ「画像の画と書いて、エと言ったんだ。」

私「あぁ、ビジョンね。」

Sさん「ふむ、結果お咎め無しか、なるほど、しんじゅさんとりあえずセーフだな。」

Fさん「よかったですね、しんじゅさん。」

Sさん「しかし、どうしてあぁいう発言ができるのかな?不思議だ。女性だからか?」

チーフ「女性だから、というより、きっとしんじゅさんだから、だろう。」


Fさんが顎に手をあてて、ピタリと足を止めたので、全員、つられてその場で足をとめる。


Fさん「う~ん、僕が思うに…。
僕たちの場合は、『できるかできないか』で発言を決めると思うんです。

彼女は『できるかできないか』ではなく、『やりたいかやりたくないか』で発言を決めているように思えます。
ロジックが異なるというか、男女の精神構造の違いかもしれませんが…とにかくタフです。

僕からすると、それだと非合理的で、非効率的にならざるを得なくて、無駄も多いと思うのですが、他者の思惑に惑わされずに、独創的でもあると言えます。

チーフの言うとおり、これは女性だからというより、しんじゅさん個人の特質のように思われます。
この会社では珍しいタイプなんじゃないでしょうか?」

Sさん「いや、この会社というより、どの職種でも珍しいんじゃないか?
俺、こういう人種初めて見たもん。」

私「何を人を珍獣みたく言ってんのよ。」

チーフ「まぁ少数派なのは確かだろう。

組織というのは多様な人種がいるのが自然だと思う。
優秀な人材だけを集めて、右向け右で、全員同じ考え方を持っていればいい、というのでは硬直して廃れていずれダメになる。

しんじゅさんのような人がこの会社にいる、ということは、長い目で見れば有益に働いていると俺は思うぞ。
それこそ俺たちが想像する以上にな。」

Sさん「えぇ~?ホントに~?」

チーフ「あぁ、意外とこういう人の影響力って計り知れないものなんだ。
知らない間に、いつのまにか、俺たちの方が助けられていたりするもんなんだよ。
今は俺らが助けてばっかりだけどな。
まぁ、あの場所で一番賢かったのは、遠くの席にいたO君だろう。

しんじゅさんがわめきだした時、もう今日は仕事にならないと思っただろうし。
彼女の発言がいくら正論でも、今時点で係長に言ってもどうしようもないとわかっていた。

だから、しんじゅさんの『アイス食べたい』発言が繰り出された瞬間、係長が俺たちをやり込めなくてもいいというスキを掴んだと察知して、ワザと『しんじゅさんについて行く』と言って係長を逃がす為の援護射撃をしていたんだ。

彼にとっては、アイスなんて、どうでもいい。
全体的に仕事が進むことの方が大事なんだ。」


薄暗いフロアの中を、また全員で宿直室へ向かって、ゆっくりゆっくり歩き出す。


Sさん「なるほど、抜かりないなO君。きっとそこは係長も分かってる。これで係長の心証もよくなるしな。」

Fさん「え?それじゃ、しんじゅさんの言った事は無駄になるんですか!?」

チーフ「いや、全然無駄じゃない。むしろ必要なことだ。
係長だって、部下が不満を抱えていることぐらいわかっていたはずなんだ。
そんな時、しんじゅさんが正論を言ったことで、うまくガス抜きができているんだ。

あれは俺たち全員、内心同じことを思っていたんだ。
しかも、根に持たないしんじゅさんだ。

これ以上の人選はないし、むしろ俺はもしかしたら全員のためを思って、彼女が言ってくれたんじゃないかとさえ思えてくる。」

Fさん「どうですか?しんじゅさんは?」

私「しゃらくせぇ!人のことなんて構ってられっか!
自分のことを話したまでよ!」

Sさん「そこは嘘でもみんなのタメって言っておけばいいのに!(笑)」

Fさん「あーこの人、本気で正直者だ。(苦笑)」
他の事は頭の中にないんだ。」

私「私の頭の中は、今、抹茶かチョコか、レモンシャーベットか、はたまたラムレーズンか、チーズケーキかで、いっぱいよ!」

チーフが首をフリフリ私の肩に、力強く、ポム、と片手を置いた。

チーフ「よし!いくつでもいっとけ!俺が半分出してやる!」

Sさん「しんじゅさんの勇姿にほだされた!俺も半分出してあげよう!」

Kさん「僕も女性にならおごってもいい気分です。半分出しますよ!」

ポム、ポムと同僚たちが私の肩に手を置く。

私「マジで!?」

チーフ「それじゃ、みんなで100円ずつ出そう!明日頑張って出勤するんだぞ!?」

私「やった~っ!!わぁ~い!!」









皆様、よい週末を♪

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仔猫の名づけ辞典的なものをみて、ネーミングしたってだけの話ですけど、今日は猫のネタでも。

私が高校生3年の時、体育祭の準備で、全学年で草むしりをしていたんですね。

街中にある高校だったものですから、グラウンドは少し歩いた郊外にあって、普段は使用されていない場所でみなジャージ姿で清掃活動していました。

そこで、仲の良い子と、こんもりと除草されたものを入れ物に入れてゴミ捨て場に運んでいたら、ある場所にくると、私の膝の力が抜けて、カクン、となるんです。

そして、なんとも悲しい気持ちになってしまいます。

どこからか、子供の泣き声が聞こえてきたので、同級生になにか聞こえないか?とたずねても、誰も何も聞こえない、と言われます。

私「ねぇ、小さい子供の声でお母さんって泣き声が聞こえるんだけど?」

友人Y「いや?何も聞こえないよ?ここには子供なんていないし?」

というやり取りを何度も繰り返しておりまして。

ゴミ置き場に草の塊を運ぶたびに、膝の力が抜けて、涙ぐむような、悲しい気持ちになってしまいます。


私「ねぇ、やっぱり聞こえるよ、お母さんって子供の声が。」

友人M「イヤ?全然聞こえないけど?お前の耳がどうかしてんじゃね?」

私「う~ん、イヤ、こっちの方から聞こえる。ちょっとついて来て。」


と言って、向かった先が、気分が悪い女子生徒がビニールテントの中にゴロンと背中を向けて横になっているだけの場所でした。

友人M「ほら、どこに子供がいるってんだ。」

私「おかしいな…。確かにここから聞こえた気がするんだけど…。」


と、またみんなと一緒に草むしりを続けながら、それまでのいきさつをしゃべっていると。


友人K「しんじゅにだけ聞こえる声?それって霊感なんじゃね?」

友人M「なになに?浮かばれない赤子の霊でも察知したのか、お前(笑)」

私「えぇ~?そんなの知らないよ。でもなんだか涙が出そうに悲しくなるんだ。」

友人Y「でも、たしかにしんじゅ氏、あのテントの前を通るたんびにヒザカックンになるんだよね~。」

友人K「もうそろそろ除草の時間もおしまいだ。最後のゴミ捨ての時にでも確認するんだな。

よし、みんなで行ってみるか。」


と、ゴミを捨てに行くと、友人Kもなにか雰囲気が違うような気がすると言い出します。


友人K「う~ん、しかし不成仏霊の気配はしないんだよな…。

しんじゅが感知できるモノと、私が感知できるものに差があるのかもしれないが。

友人M「でも、ここには女子高生しかいないぜ?」


とか話しながら救護テントに向かうと、先ほどの女子生徒が体を起こして体操座りをしていました。

その膝の上には、生後1ヶ月にも満たない感じの小さな子猫が眠っていました。


私「これだ~、ここから声が聞こえていたんだ!」

友人M「ナニお前、動物の言葉が聞こえんの?」

友人K「なるほど、どうりで私には感知できないはずだ。

 しんじゅの方が純粋なのかもな~。」

友人M「っていうか、しんじゅの方が動物的ってことじゃね?」

友人Y「あ、あの人も猫を持っている。捨て猫ちゃんだったんだ。」


どこからか、他の女子生徒が困惑気味に子猫を抱えてテントの方へと歩いてきて。

誰かから、ここにも猫がいると聞いて、とりあえず持ってきたと言います。


私「ほら~、この子もだ。さみしい寒いって言ってるよ。」

友人Y「言ってない言ってない!聞こえないから。でもこの子達どうしましょ?」

友人K「こうしてここで出会ったのも何かの縁だ。お前が持って帰ってやれよ。」


ってな訳で、里親探しするつもりが、結局情が移ってしまい。

可愛らしい二匹の黒猫とキジトラ猫の兄弟猫を我が家で飼うことになりましたとさ。


以後、ウチの家族は猫好きとなってしまった、というお話。






いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
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今週はかなり忙しくて、帰宅するとバタキュー。ガーン


なんかブログどころではない毎日を過ごしておりまして、逆に週末にゆっくりさせてもらっています。


で、昨日、貸本屋の店長とちょっとおしゃべりしておりまして。


いろいろ個人的な事もよくお話しているんですけど、とてもいいアドバイスをいつも頂けます。


最初は友人絡みの悩み事相談から、ちょっと話がずれて、学歴の話になりましたよ。


店長「知り合いの人でね、短大卒の自分と、高卒の女性が自分と同じ仕事をしていて、まったく同じお給料だというのが、どうしても許せないって人がいてね?


そういうのって、ずっとこだわり続ける人もいるものよ?」


私「あぁ~、そうなんですかぁ。


そういえば、私も高卒で今の会社に就職してね。

24才の時に、4つ年上で大卒の男性と同じ職場になって、お付き合いをしたんですよ。


私は就職して6年目で、その部署では2年目、彼は2浪してから入って、よその部署から異動してきたから、初めての後輩で、張り切って仕事を教えようとしたら、『君の仕事の仕方は効率が悪い』とか言われて、全然先輩らしくできなかったんですよ。」


店長「えぇ。」


私「それがね、結局おつきあいをすることになって、デート中に、つい言ってしまったんです。

出入りの業者さんに対して横柄な態度をとるのは、どうかと思う。

周りの期待が高いだけに、もったいない。

大人になってから注意する人ってあまりいないし、耳が痛いことを言うのは、自分なりに愛情をかけているつもりだ、と。」


店長「そうね。」


私「それがね、怒らせてしまって。

この会社で最低学歴の人間にとやかく言われたくない、自分は東京の歴史と由緒ある大学卒の人間だから、発言の重みが違うって、言われてしまったんですよ。」


店長「まぁ、それって、学歴だけじゃなくて、女だからじゃない?」


私「えぇ、そうなんです。それも言われました。

私は、そんな学歴の話をしていたつもりじゃなかったし、頭にきたから、つい『あなたしょせん私学でしょ?』とか言っちゃって。

彼を余計に怒らせちゃったんです。」


店長「それはね~そういう人もいるわよね。

男ってプライドだけでできているから。」


私「私、このことを夕飯の席で兄弟たちに話したら、兄が同じことを言っていました。


『男というのは見栄とプライドでほとんどできている。

それが四つも年下の、いちおう彼女である、アホっぽいお前に痛いところを突かれたら、思わず噛み付いてしまう気持ちもわからなくもないって。

お前がほんとうに会社で役に立っているかどうかもわからないからなって。』


店長「クスクスお兄さんの言うとおりね。」


私「えぇ、弟はそいつ殴ってもいいんじゃね?とか言ってました。」


店長「クスクスそれで?」


私「兄は、『お前のしょせん私学でしょ発言は、そいつのコンプレックスをかなり抉ったぞ?

恨まれてもしかたないけど、でも、まぁ、いいんじゃないか?

それだけの暴言を吐いたんだから、お前に振られてもストーカーにならずにすむだろうって。』


店長「まぁ、お兄さん、クスクス。」


私「で、その時、業者さんとの間にちょっとしたトラブルがあったんですよ。

そして、彼と話している最中に、私はその原因が彼にある、と気づいてしまったんです。」


店長「まぁ。」


私「それで、彼は怒って、いつ、何時、何分にそんな事があったのか言ってみろと怒られました。

私は先月の会議の冒頭の雑談で話した数字と、翌月の会議で発表した数字を言い間違えていると指摘してしまいましたし。

中間報告で気づくチャンスもあったのに、在庫確認しなかったのは、彼がデータをなくしたのが原因で、それは先週の水曜日の午後2時10分頃に彼が自分で置いた、彼の座席の後ろの青いファイルにデータがある、と言ったんです。」


店長「そんな事言って大丈夫だったの?」


私「えぇ、デタラメを言って、言いがかりはやめてもらおうって言われました。

私は明日職場に行って、確かめれば、私の言った事が嘘かどうか分かる、と言いました。」


店長「正論で追い詰めてはダメよ?


そういう人は他人から間違いを指摘されても、絶対に認めないわ。

自分より立場の強い上の人に言われたら、渋々動く、というていどよ?

あなた、その人から嫌がらせとかされなかったの?」


私「それが、結局その後3年間同じ職場でしたから。

じわじわと圧力をかけられて、いつのまにか、すっかり私は自信を失ってしまいました。

気づかない間に自分はダメなOLなんだと、無気力な人になってしまっていたんです。」


店長「まぁ…。そういう人には関わらずに逃げるのが一番ね。」


私「えぇ、兄が言うには、その男だけじゃなく、お前の職場全体に男尊女卑の風潮が根強いんだろうって。

そうは言っても、最初から電話番とか、会議録作成とか、裏方仕事を命じられていますから。

実力をつけようにも、ハンデがあるし。

それを受け入れないことには仕事が回らない部分もありますから…。」


店長「あなたの会社だけでなく、この国全体の風潮がそうね。

男尊女卑の考え方をする人間の方が多いと思うわよ?

あなたの彼氏だけでなくてね。」


私「えぇ~、なんかショックです…。」


店長「何を言ってるの、小説とか漫画でもそうでしょ?」


私「そうか…。

それでですね、その時、相手に、なぜ私を好きになったのか尋ねたんですよ?

私たち、付き合っているんだよねって。」


店長「顔でしょ。」


私「えぇ、顔以外、何がある?と言われました。」


店長「そこまで…。」


私「顔だけじゃなくて、スタイルもいいって言われました。」


店長「人間性じゃなくて、連れ歩いた時に自分が得意になりたいだけなのね。

アクセサリーぐらいにしか考えていなかったわけね。」


私「そうみたいですね。

私は、内面を無視された事にショックを受けてしまって、気分が悪くなってしまいました。」


店長「それで相手はなんて?」


私「彼は『この会社で5本の指に入る美人だ。顔のいいやつは他人を見下してくるが、君は素朴でかわいい。話してみると純だし、自分につくしてくれると判断した。』と言われて、私は、気分が悪いからもう帰らせて欲しいと言いました。」


店長「アラ?相手は不機嫌になったでしょ?」


私「えぇ、『褒めているのに、なぜ不機嫌になる?失礼だぞ。だが、顔色が悪いようだから仕方ない、送っていこうと。』

私は、『これだけ心を砕いて話しても会話がかみ合わないことが悲しい』と言いました。」


店長「アラ?むこうさんも同じことを言ったんじゃないかしら?」


私「えぇ、私も『奇遇ね、私も今、同じことを考えていたところよ、私はいったいあなたの何を見ていたのかしら…』ってね。」


店長「皮肉にもお互いの言い分がそのまま同じだったのね。

しかし、純だったのね~。やはり若いから(笑)」


私「えぇ、純だったんでしょうね、人生経験が少ないから。

今だったら、そんな男性に会っても、『アラ?ごきげんよう~?』と言って関わらないですね。」


店長「その男性、どうなったの?」


私「スイスイ出世して早い段階で係長になりましたよ?

上には可愛がられても下には慕われない人ですから、多分ここからは長いでしょうね。」


店長「アラアラ。

でも、女の人をアクセサリーみたいに考える男の人って多いわよ?

あなたも見抜けなかったのね。」


私「えぇ、なんだろう、惚れていましたから。

今、思えば、兄の言うとおりだったんですけど。

彼だけは違う、と自分に都合よく思い込んじゃったんでしょうね。」


店長「まぁ、惚れていると、そうなりがちかもね。」








世の大和撫子の皆様、お気を付け遊ばせ~^^;



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姉「しんじゅ~!アレ~?いないの?おかしいな…。」

階段をキシキシときしませながら姉が独り言を言いながら部屋に入ってきました。

階段の薄暗い照明を頼りに、部屋の中央に入り、電気をつけるつもりだったようですが…。

私「ぎゃっ!!」

姉「うわっ!」

姉が驚いて飛びずさります。

私は畳の上の布団の中に潜り込んでいて、見えていなかったのです。
思い切り姉に踏みつけられてしまいました。

私「いた~…。」

姉「アンタ、何やってんの?いるならいると言ってよ。」

私「…。」

姉「何真っ暗な中で布団かぶってんの?見えへんじゃん。カマクラごっこ?」

私は掛け布団を頭から被り、黙っています。

姉「ちょっと、電気つけるよ?」

私「げふっ!」

勢いよく姉が私を飛び越えようとして、そのまま足蹴りを喰らいます。

姉「あ、ごめん~。」

私「いた~…。」

電気がともされた和室の中で、私は頭からすっぽりと掛け布団を被って、出てきません。
姉がいぶかしんで声をかけてきました。

姉「おかしいと思ったんだよね、玄関に靴あるし。
何?具合悪いの?なんで頭出してないのよ?
それじゃ、私も気づきにくいじゃない。
布団出しっぱなのかなって思うじゃん。」

私「…。」

姉「何?なんで文句も言わないの?
アンタ、なんかあったの?」

にゃ~…。

そこに飼い猫が通りかかって、姉はすかさず、ハシっと捕まえると。
そのまま勢いよく、私の布団めがけて猫を投げ飛ばしました。

姉「うりゃっ!」

ぼふっ!ジャリジャリッ!!

私「ぎゃっ!!」

どどどど…。

突然姉に投げ飛ばされたクロネコは驚いて、尻尾をパンパンに膨らませて、一目散にふすまの隙間から勢いよく走り去っていきました。

その合間に私の頭を踏みつけています。
爪を出していたので、痛みが強く、思わず大声を出してしまい余計にクロネコを驚かせてしまったようでした。

姉「おりょ?猫アタックが効かない?なに、でんでんむしごっこなの?」

姉が私の正面に座り込んで、掛け布団を引っペがします。

姉「ナニナニ?元気ないじゃん、何があったのさ~。」

私「…会社行きたくない…。(涙目)」

姉「えぇ?登校拒否?あっ、会社だと出社拒否か?
どしたの、いったい。」

私「会社で不倫とか、中絶していたとか、噂流された…。」

姉「は!?誰が、いつ、一体、何のために、誰から聞いたの!?」

私「今日、会社の同期の男の人に、こんな噂を聞いたから、気をつけてって…。」

姉「噂の出処はどこなの!?」

私「同期のM…。こないだア○ウェイの勧誘断った時に、悪口言ったから、恨まれた…。」

姉「何ぃ!あのピグモンがっ!?」

私「ぷっ!ピグモンって…(笑)」

姉「あいつ、ちんちくりんの怪獣みたいなツラして、アタシの妹をそんな風に言うなんてっ!
それで、会社の人は何て言ってたの!」

私「同期の男の人、二人から言われた。
一人は、酒の席の話だから、聞かなかったことにしてやるって言っておいたって。

もう一人は、その場にいない人の噂話を、しかも悪口を聞いたふうに話す人の品性を疑うから、自分はそうは思わないけれど。

つきあう人間を考えたほうがいいって、忠告された。

二人共、私がそんな事しているとは思っていないけど、噂を広められたら困るだろうからって…。

それに、ちょっと前に、全然知らない会社の人から誘われた。
男の人の誘いなら100%ついていくって聞いたからって…。

なんか、もう、ヤダ…。(泣)」

姉「よし!姉ちゃんに任せなっ!
しんじゅ、Mの家知っているね!?」

私「知ってるけど、ちょっ、ちょっと、ゴミ箱つかんでどうするの!?」

姉「知れたことよっ!今からアイツの車にぶちまけてくるっ!」

私「ちょっと、ちょっと!それはこっちが犯罪になっちゃうからっ!
それにそのゴミから犯人がバレちゃうでしょ!?」

姉「よし!それなら、いやがらせの王道で台所の生ゴミにしておいてやるっ!
しんじゅ、行くよっ!」

私「待て待て待てっ!落ち着けっ!
気持ちはわかるが、それじゃ、こっちが犯罪者だからっ!」

姉「これが落ち着いていられるかってのっ!

アイツ、怪獣みたいなツラして、その上性格まで最悪でっ!
うちの妹の評判に泥を塗るような真似しくさって、天誅だっ!!」

私「ウェイトウェイト!ジャスト・ア・リトゥ!

こんな時間にやっちゃ、人目について、警察に通報されちゃうよっ!」

姉「それなら、深夜に決行だっ!家中のゴミをかき集めろっ!」

私「不法侵入に、器物損壊、計画性もあるし、相手に噂を流した証拠は無いって、すっとぼけられたら逆恨みの犯行だと思われて、情状酌量の余地もないから、警察から厳重処罰だよ。
もし捕まったら、嫌がらせに対して、割が合わないからっ!落ち着いてっ!」

姉「アンタは一体、どっちの味方だっ!?」

私「ここで、私たちが喧嘩して、どうするのっ!
意味無いでしょっ!
お腹すいてるね、姉さん。
落ち着いて、先にご飯でも食べようっ!?ね!」

姉「…ふーっ。それもそうか…。
アンタ、意外と冷静だよね?
部屋のゴミから犯人の足がつくとか踏んでさ。」

私「いや、だって、でも、ちょっと嬉しかったよ。^^;」

姉が床に置いたゴミ箱を、私はすかさず遠くに置き直して、布団の上に二人で座り込みます。

姉「で、だ。
アンタは何も悪いことしていないんだから、明日からも堂々と会社に行くの!
そんで、Mのやったことは同期の仲のよい子にも話さないでおいて。
少なくとも、十年は内緒にしてね。
これ、命令!監督の指示に従いなさい!」

私「監督って…(苦笑)」

姉「どうして、アンタがそんな不名誉な噂を流されたか、分かる?」

私「え?そりゃ、マルチ断ったから…。」

姉「アンタに忠告してきた、同期、仕事できるやつじゃない?」

私「そうだね、一目置かれている人だね。」

姉「Mってやつは顔が悪いだけじゃない、性格も悪くて品性も最悪。
人間としてダメだけど、生物学的には正しい行動をしているのよ。」

私「え~?人間としてダメで生物学としては正解ってどういう意味?」

姉「女として、Mの行動はある意味立派よ。そしてアンタの方が生物学的に優秀だってことよ?」

私「意味が分からない??」

姉「そいつはね、いい男に甘えるフリして、アンタの悪口を刷り込んだ。
被害者ぶってね、きっと泣き真似もしていたんでしょう?」

私「よく分かるね、私からひどいことを言われたからって、泣いていたって話だよ。
ちょっと二人きりで相談に乗って欲しいからって、バーに行ったとか。」

姉「アンタの評判を落とすだけじゃない、それを機会にいい男とお近づきになれるチャンスに変えている。
女として、非常にアグレッシブなタイプよ。
そこはアンタも見習わないと…。」

私「えぇ~?」

姉「アンタの評判を落とすことで、自分の立ち位置をよくすることを画策している。
弱肉強食の原理にかなっているわ。

いい男を仕留めれるのは、魅力のある女性と相場が決まっている。

つまりアンタの足を引っ張るって事は、アンタの方が魅力があるってわかっているから。
自分の方が負けていると思っているから、アンタを標的に攻撃しているのよ。

アンタの方が女として上だと思っているから、そんな真似をする。
そんなことをされる自分を誇らしく思いなさい!」

私「私の方が上…。」

姉「本人は、そんな事、プライドがあるから絶対認められないと思うけどね。

ずぅずぅしくて、ふてぶてしい女だから、アンタから金を巻き上げることしか考えていないから、マルチも勧めてくるし。

逆恨みして、アンタの評判を落とすマネをしている。
あくまで自分が被害者ヅラをしてね、慰めてくる男を狙っているのよ。

なかなかやるわね!」

私「全て計算ずくか…。
でも、私、怖くて会社行きたくないよ…。(涙目)」

姉「そこよ!アイツの真の目的は、ソレ。
アンタをけなして、傷つけて、どんよりさせるのが本当の狙い。

そうすれば、自動的に自分の順位が繰り上がるし、恨みを晴らせて一石二鳥でスッキリって算段よ。

いい?アンタは何も悪いことをしていない。
堂々としていればいい。

アンタのことをよく知っている人なら、誰もそんな噂を信じないわ。
信じたところで、そんなやつはどうでもいいカスよ。

ほっときなさい。
噂を否定して回るのも、無し。
同期にボヤくのも、無しね。

会社って狭い世界なんだから、アンタの肩身が狭くなるだけ。
同い年の同期がそんなことをしでかしてくるんだから、大卒の子たちもどういう人物か見極めないとね。」

私「私がどんよりすることが、相手の思うツボって事なのね…。
でも、なんか、怖いよ…。
私、何も悪いことをしていないのに…。(泣)」

にゃー…。

そこにキジトラ猫が通りかかりました。

姉は、その猫をハシっと捕まえると、仰向けにさせ、足元を私に向けて、尻尾の根元から首筋に向かって毛を逆立てるようになでたかと思うと、次にお尻に近い背中をポンッ!と叩きました。

姉「ヨシッ!神の名を持つ猫の愛のムチっ!行けっ!猫キックだっ!」

ニャーッ!!

ゲシゲシゲシゲシッ!

カンガルーのジャンプよろしく、猫が高速で私の胸もとを連続キックをしてきます。
この猫はしっぽから逆に撫でられるのが、嫌いなのです。

私「いでででででっ!何するのっ!」

姉「アンタの弱気をくじいて、強気を助けてんのよっ!」

私「弱きをくじいて、強きを助けてたら、いじめに加担しているでしょお!?
逆逆!
弱っている人を余計にへこませて、どうするのっ!
まったく、弱り目にたたり目よっ!」

姉「あれ~?なんかちょっと違うなぁって思ったんだ、てへ。(笑)」

私「もう、猫ちゃんも、得意げに鼻を膨らませてんじゃないのっ!」

姉の腕に抱かれている、キジトラ猫の額を、私は人差し指でコツンと軽く叩きました。

瞳をランランと輝かせた猫は、ムッとして、ヒゲを扇のように広げて、んふーっ!と息を吐くと、ストンと畳の上に飛び降り、そのまま去っていきました。

私「もう!姉さん、この部屋に入るときも、私のこと踏んづけたり、蹴っ飛ばしたり。
文字通り踏んだり蹴ったりだよ(笑)」

姉「アハハ、ごめ~ん!しんじゅ笑った!よかった!

アンタは素直ないい子なんだから、気にしない気にしない!
人の噂も八十八夜って言うでしょ!?

馬鹿なことを言う人は信用されないから、勝手に自滅するって!」

私「うふふ、言いたいことはわかるけど、それ、お茶の話ね!
噂話は七十五日ね!」

姉「あれ?間違えた?普段使わない言葉だからしょうがないよね^^

そうそう、それじゃ、いっちょ、M神社に行きますかっ!」

私「ん?なんで?」

姉「アンタの会社のすぐそばでしょ?
神社に行って、ニワトリとかカラスの羽根を拾って、夜のうちにアイツの更衣室のロッカーに仕込んどくのよ!
血文字で「シネ」「バカ」とかもいいわね!
朝、ロッカーを開けると、バッサ~って黒い羽が飛び散るのよ?
扉を開けた時の、ピグモンの慌てふためく顔が目に浮かぶわっ!!」

私「何それ~!?お姉ちゃん、すごいおもしろい~。
よくそんなに、ポンポン思いつくね~^^
想像しただけで、笑っちゃった!」

姉「イメトレ・イメトレ!
さ、スッキリしたら、ご飯食べに行こうか!

姉さんが、ご馳走してやる。
ドライブ・デートとシャレこもうか!
男どもはカップラーメンでもすすってりゃいいのよ。」

私「えぇ?いいの!?」

姉「アハハ、給料日前だから、外食っていっても、ラーメンかもな~?
さ、出かけるよ!?」

私「わ~!ありがとう~。お姉ちゃん大好き~♪」














猫からも踏んだり蹴ったり…。

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土曜日には、大阪で午前中に星導学のセッションを受けた後、マイミクさんと合流して3人でランチを楽しみまして、午後からは京都に出向きまして、QHHTのセッションを受けております。

この模様は、また後日改めて記事にしたいと思いますが…。

今日の話題は、ほんとにあった怖い話。


この数日前、自宅で寝ておりますと、『ピンポーン!』とドアのチャイムの音が鳴り響きます。

『ガチャガチャガチャ』とドアノブを掴んで揺さぶる音も聞こえ、ドアポストをいじっているような気配もいたします。

枕元の携帯を見ると、午前3時、及び何も着信もメッセージも入っていないため、深夜に緊急事態が起きて、身内が迎えに来たとかではなさそうです。

ドキドキ言う胸をなだめて、息を潜めて、ドアの覗き穴から外の様子を伺うと、眩しくて何も見えません。

こそ~りと、足音を立てないようにして、元いたベッドに戻りますが。

『ピンポーン』『ガチャガチャガチャ』

再び、ドアの外の人が、私の自室に入ろうとなにやらしております。

観念した私は、部屋の照明を付けて、インターフォンにて対応します。

私「なにか御用ですか?」

男「ラーメン、ラーメンが食べたい。」

私「…変な人ですか?」

男「そうです、変なひとです。」

私「失礼します。」

と、やり過ごしごしまして、部屋の外にいた男性も立ち去った模様。

やれやれ、酔っ払いか、と寝直した、という事件がございまして。

覗き穴から見た景色が眩しいというのは、私がへっぴり腰でレンズを覗いたため、アングル的にマンションの階段上の蛍光灯を直視した形となり。

さらに、私は裸眼だと極度の乱視及び近視のため、光が乱反射して感じてしまっていたためと思われます。

ちなみに、これ、ホントにあった、リアルなお話。

警察に通報しろって話ですが…。


さて、ここからが、一般的なほんとにあった、怖い話。

私の姉は和歌山県の新宮市の出身の男性と結婚しました。
当初、姉は結婚式も、披露宴もしない、と相手のご家族にお伝えしたのですが。
それならば、費用はこちらで持つから、身内だけで、こじんまりと行いましょう、という事にあいなり。

私たち家族の予定を聞かれる間もなく、日取りを決められまして。

それで、あちらの家族が用意してくださった、ご自宅そばの式場に向かうのですが。
なんて言いますか、愛知県と和歌山県って直線距離的には近いんですけど。

高速道路とかなくて、父の運転する自家用車で向かうと5~6時間かかります。

どうりで、なかなか和歌山県に遊びに行ったことなかったんだわ…と到着するも、ぐったりしました。

それで、前泊して、翌日、神社で挙式という事で、あちらのご家族が用意してくださった、ビジネスホテルに、姉妹で一泊させていただいたのですが…。

(兄と弟は予定があったので、当日未明に出発して、朝一でこちらへバイクや車で合流する事になっていた。)


これが…これが、実にボロっちぃホテルでして全体的にタバコ臭い。
しかも、陰気な感じです。

そして、私は振袖を持参しており、相手のご家族の方が予約してくださっていた美容院で翌朝着付けをしてもらえる手はずでしたが。
そこでは髪の毛のアレンジはしてもらえないと、前日に判明。

そこで私はホテルにチェックインする前に、百円均一でヘアピンや、造花、ブレスレットなどを購入、及び解体して、即席髪飾りを深夜まで、せっせと作成しておりました。

すると、姉が先にお風呂借りるね、と言ってシャワーを浴びております。

私があーでもない、こーでもないと、いろいろなヘアアクセを鏡の前で作っていると、背後を人が歩く気配がします。

視界の端に写っている鏡には、白いワンピースを着た、長い黒髪の女性がふーっと音もなくよぎる姿が見えて、当然にそれは姉だと思っていたのですが。

しばらくすると、バスタオルを体に巻いた姉がお風呂から出てきました。
髪の毛にもタオルをぐるぐると巻いております。


私「え!お姉ちゃん、今、出たの?」

姉「は。っていうか、あんたバスルームのすぐ外で待たれても、私も困るんだけど。」

私「いや、だって、私ずっとここで細かい作業をしていたよ。」

姉「あんた、柄物の服、着てるね。
白いワンピースに着替えたとかは、ないよね。」

私「それって、二人して、同じものをみていたんじゃぁ…。
私もさっき、お姉ちゃんが白っぽい格好をしているなって思ったんだけど、バスタオルだしね。」

姉「ぎゃーっ!怖いっ!それ以上、話さないでっ!!」

私「そんなぁ、これからお風呂入る私の方が怖いって!」

姉「このホテル、入った瞬間から、ヤバイ気がしていたんだよね!」

私「だよね、だよね!絶対いるって思ったけど、気のせいだって思いたかったのよ!」

姉「いったい、なんの嫌がらせよ~!!
花嫁にこんな安ホテルを用意するなんて、お義母さんの嫌がらせにちがいないわっ!!」

とか、なんか言いながら、お風呂入って、寝たんですけど。

部屋の中で、ビシバシラップ音が鳴り響くわ。
金縛りに合うわ、体が重くて、辛いわ、眠れんわ、頭痛いわで。

私は割と、よく金縛りにあう体質なんですけど、いつも比較的姉は軽いんですよね。

それが、今回は姉の方が、ひどかったらしく、ほとんど眠れず、朝から体調が悪そうで。


姉「一生に一度の結婚式で、こんなコンディションで望まなければならないなんて。

遠慮して、こんな安ホテルに泊まらされるなんて、悪意を感じる…。

あんたの美容院の手配の雑さ加減といい、うちらのことをなんとも思っていないよね。

こんなことなら、自分たちでお金を出して、もっとマシなホテルに泊まればよかった…。」

と、嘆いておりましたとさ。

もしかして、嫁・姑問題の方が一番怖いかしら?



おしまい。










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実は昨日、以前お世話になった方がもうすぐ定年って事で、送別会に参加してきました。

それは、最近記事にしている、あの元彼さんと一緒に働いていた部署のOB,OGでの送別会だったのです。

なんか、昼休みに友達に、実はね~元カレとこんなやりとりがあってさ~、とかぼやいておりましたので。


友達「クスクス、元彼氏、しんじゅちゃんが結婚していないのは、俺の事を忘れられないからとか思っていそう。」

私「クスクス、あぁ、俺って悪い男とかロマンを感じていそう。」

とか、笑っていたのですが、実際飲み会の席で顔を合わすと、なんか気まずい。


いや、気まずくなくてもいいんですけど。

そんな、こんなで送別会スタートです。

この方、私が高卒で一番最初の職場でも主任さんとして、お世話になった方で。
今回、部長となっての退職(もう少し残りあるけど)です。

すごく人望のある方で、こうして個別に音頭を取っての送別会をされる方って、うちの会社、ほとんどない。

で、OBの方々とお話していても、顔と名前がまったく一致しないのですが。
(実は私は人の名前を覚えるのが非常に苦手なのです。社員数もかなり多い。)
最後の方になって、やっと課長補佐とか、課長さんだったりして。

実は、あの部署はうちの会社の花形部署で、エリートの登竜門でもあったのですよ。

シンクタンク集団なので、まぁ切れ者ぞろいで、うわぁ、なんでアタシ、こんなところにいるんだろう…と恐縮してしまいます。

聞いてみると、その部署に配属された女性は今まででたったの3人。
で、今回参加したのは、私一人ということで、紅一点ですわ。

突然、部長へのプレゼント贈呈係に指名されたりしましたけどね、いい会でした。

なんか、元彼さん、あの頃、偉そうにふんぞり返っていましたが、このメンツの中では霞んでいる…。

彼も、私も若かったんだなぁ…などと思いました。

さて、部長さん、ホノルルマラソンに今度出場するんだとかいって、まぁ若いし、素敵。

人とお話するのが、大好きで毎日窓口に出ると、難しいお客様をどうやって笑わせようかと、毎日ワクワクしながら出勤していた、と実にほがらかです。

私にも、楽しんでいかんと~、サービス業は笑顔だよ~♪とどこまでも朗らか。

他の方もほがらかで、まぁ、素敵な方たちばかり。

私もちっこい世界に閉じこもっていたら、もったいないなぁと。

もうちょっと、間口を広げて、いろんな事にチャレンジしたいな、と。

そんな事を思いましたとさ。










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弟「しかし、いいなぁ、姉ちゃん。
特殊能力、俺も欲しい。」

兄「まぁ、役に立てさせることができるかどうかが問題だけどな。」

私「う~ん、今のところ、特に役に立ってないしなぁ。」

兄「お前、予知能力あるだろ。それで宝くじとか馬券とか当てられないのか?」

私「う~ん…。その宝くじが当たるかどうか、この馬が勝つかどうかなら、なんとか分かるんだけど。
そういうのって、金色に光って見えるんだよね。」

弟「マジで!」

兄「ほぅ。」

私「でも、どうやったら、当たりくじを買えるか、とか。
勝負を知りたいと思いながら馬を見ると、何も見えないんだよね。
欲がからむと、見えなくなっちゃうみたい。」

弟「使えね~!」

兄「なるほど、なんとなく理にかなっている気がするな。」

弟「兄ちゃん、なんかフツーに話しているけど、なんで?」

兄「俺も予知能力はある。
道の混雑具合とか、飛び出しとか、交通事故防止に役立てているかな。」

弟「なんだよ、俺も欲しいじゃん。」

兄「何言ってるんだ、うちは全員サイキックだぞ?」


ジリジリジリ、リーン、ジリジリジリ、リーン…。

自宅の黒電話が鳴り続けています。

台所の扉近くに座っていた弟がイライラしながら扉を開けて、奥の部屋に向かってどなりだします。


弟「父ちゃん、電話~!
本家の叔父さんから、仕事早くしろって催促だから、早く出ろよ!

ったく、アイツ知っててしらばっくれてやがる。」


席に戻った弟がぼやいています。

兄「だから、お前もサイキックだって。
今、電話出ないで、どこから誰に、どんな要件か先に話していただろ。」

弟「え?そんなん、普通じゃん。」

私「ウチでは普通だけど、世間じゃ違うんだよ。」

兄「姉さんもできる。」

私「うん、会社勤め始めたら、みんな自分にかかってきた電話でないから、ビックリしたよ。
誰々さんから電話ですから、出てくださいって先輩に言ったら、変な顔された。」

弟「え?これがサイキックなの?全然気付かなかった。」


トトトトトト…。


と、猫が2階から階段を降りる足音が聞こえました。

私「あ、姉さんが帰ってくる。」

私は立ち上がって、味噌汁の鍋に火を灯して、丼にご飯を大盛りよそい始めます。

弟「え、なんで?」

私「今、猫が姉さんに気づいて玄関までお出迎えに行ったから。

あの子、家から西へ100m位行ったところの喫茶店の角を姉さんの車が曲がると、気づいて移動するんだよ。

猫ってスゴイよねぇ。」

兄「それをトレースしているお前もすでに普通じゃないけどな。」

弟「え?何、それ、車のエンジン音に気づいて猫が待っているってこと?」

すると、姉の車が車庫に駐車する音が聞こえてきました。

弟「マジでF姉ちゃん、帰ってきた!
何、この家、猫までサイキックなの!?」

姉「ただいま~!猫先生今日もかわいい~!
キュート!キュート!ラブリー!!」

ニャーニャーと姉の足元に絡みつくように猫が歩きながら一緒に台所に入ってきます。

姉「ヘイ!ブラザーズただいま~。

しんじゅ、ご飯大盛りねっ!」

私「もう、つけてあるよ。」

弟「ほわぁ~、しんじゅすげぇ~。」

姉「以心伝心、いただきま~す!うぐうぐ。ん、何?どったの?」

弟「いや、なんか、しんじゅが彼氏に酷い事言われたとか話してたんだけど。」

姉「あぁ、アイツね!

ウチみたいな肥溜めに、こんな綺麗に育った白鳥を捕まえて、なにほざいてんのよ!
綺麗な白鳥は水面下で足をバタつかせているんだからねっ!
あのマザコン!」

私「姉さん、気持ちはわかるけど、今、食事中だから。

それに多分、『掃き溜めに鶴』って言いたかったんだと思うんだけど。

『みにくいアヒルの子』と『巨人の星』が混ざっているから。

なんか、私が悪あがきしているみたいに聞こえるから。
花形満が言いたかったのは、そういうことじゃないと思うよ。

白鳥じゃなくて、鶴で。

ガッチャマンで一つよろしく。

あ、あんたたち、お茶飲む?」

兄「頂く。」

弟「飲む。」

私が席を立って、急須にお茶っ葉を入れてお湯を注ごうとしています。

姉「アハハ!そっかぁ、ちょっと違うかなぁと思ったんだ!

しんじゅ、賢い~!
よく気づいたねぇ。

鶴なら鶴の一声でアイツを左遷させろ~!
なんなら、クビだ、クビ!

アタシの可愛い妹を馬鹿にしやがって、バチあたれ~!!
うぐうぐ、うまっ。」

弟「確かに、かなりちゃんぽんだったのに、さすがの記憶力だな。」

兄「まぁな。知識がかなりアニメに偏っているのが少々気になるが。」

姉「そうよぉ、しんじゅは賢くて気のつく良い子なのよぉ!
へい、おかわりプリーズ!」

弟「もう喰ったのか。」

兄「どんだけ食うんだ。」

弟「でぇ、さっきまで話していたのは、しんじゅが意外とすごいって話しなんだよね。」

私「はい、どんぶり半分でいいよね?」

姉「オッケー!」

姉にご飯を渡して、振り返り再びポットに向かって、急須にお湯を注ぎ始めます。

弟「それで、実は猫先生がすごいって事に気づいたんだ。」

姉「そうよぉ、ウチの猫先生の愛らしさ、セクシーさは世界一よぉ!」

兄「あぁ、事実上、ウチのヒエラルキーのトップに君臨していると思う。
また、一説によると、猫とは非常に霊性の高い生き物だそうだ。」

私「はい、お茶。

ん?なんで?」

弟「だって、猫なのに、サイキックだよ?」

姉「キャット隊員だね!カウンターアタックテロリストの略~!
女の子しか隊員に入れないんだよ~。」

兄「新谷かおるの漫画か。

つまりだな、ウチの兄弟の中で一番サイキックなお前のメインディッシュをすでに猫先生が頂戴しているってことなんだな。」

私「あぁ~!私のアジの開きがっ!
なんでとめなかったのよぉ~!」

兄「俺たちはもう、食い終わったし。」

弟「姉ちゃんもほとんど食べてんじゃん。」

私「私は魚の身をひとつ残らず、綺麗に食べたいのよ~!
きぃ~!」

姉「アハハ!猫先生、最強~!」

ニュー、ヴルヴルヴルとか鳴いて、トラ猫がテーブル下の床で、アジの開きをくわえています。

弟「さすが、キャット隊員、しんじゅへのみごとな個人テロ攻撃だな。」

私「違うでしょ!キャット隊員はテロリストをやっつける方なの!
ミイラ取りがミイラになっちゃダメでしょ!」

兄「しかたない、しんじゅ。

猫とは古代エジプトでは、神聖な生き物とされていたんだ。
可愛い猫は、我が家では神に等しい。

ヒエラルキーの最下層のお前はおとなしく捧げものを供えるのが役目なのさ。」

弟「なぁ、ひえらるきーって、なんだ?」

兄「インドのカースト制でいえば、猫とはバラモン。
俺はクシャトリア、しんじゅはスードラより下といったところだな。」

私「江戸時代の日本で言えば、士農工商・エタ・非人。

なんだよ、なんで私がハリジャン、不可触賤民なんだよ!」

弟「あぁ、ピラミッド構造の奴ね!分かった。猫先生が一番天辺なんだ!」

姉「しょうがないよね!可愛い猫ちゃんは、猫神さまだもんね!」

私「もう、なんなの~、なんで家でも虐げられないといけないのよっ!
あたしは飯炊き女かっ!この猫好きどもめっ!!」

















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弟「姉ちゃん、スゲーな。俺だったら、キレてるとこだぞ?」

兄「ふむ、やはり人間の直感は侮りがたいな。興味深い。」

私「んん?なに、その感想。お兄ちゃんのは、なんかズレてるぞ?」


私たちは台所で、コの字型に着席して、ご飯を食べていました。

私が、彼氏に暴言を吐かれた顛末を話し終えた後の彼らの感想が先ほどのものだったのです。

どんぶりにご飯をたっぷりとよそい、自分の席に座り、私は料理に箸をのばします。

私の兄弟たちは、先に食べ始めていて、背中越しに語る私の愚痴を聞いていたのでした。


兄「あぁ、お前の主張は概ね賛同するが、一部彼氏の気持ちも分かるからな。」

弟「そうか?かなりヒデー事言われてるぞ、姉ちゃん。怒ってもいいところだ。」

私「ん。で、なんで直感の話しになんの?」

兄「あぁ、その前に質問させてくれ。

お前、会議の内容を覚えていると言っていたが、どれくらいの頻度でどれくらいの時間のことなんだ?そしてどれくらい以前の分まで覚えていられる?」

私「えっと、業者さんとの会議は隔週で3~4時間かな?
長いと5~6時間に及ぶ時もあるけど。
毎週2~3日は小会議があって。

ん~、そうだな、2~3ヶ月前の会議ならほぼ覚えていられるから。
だいたい50時間かな~。
思い出せと言われれば、1年~半年前ぐらいなら、大まかな流れは思い出せる。」

弟「はぁ?なにそれ。すげーな、姉ちゃん。」

兄「ふむ、なるほど。
つまりな、このトラブル、お前、最初から、自分たちの手落ちのような印象を持っていただろ。」

私「そうだね。」

兄「お前の意識していない部分で、最初から彼氏のミスだと直感していたんだよ。
それは、お前の頭の中の膨大な情報から導きだされた結論を、漠然と『直感』という形で認識していたんだ。

だから、人間の能力はすごいな、と改めて認識させられた事例として興味深い、と言ったのさ。」

私「へぇ~。でも、なんで彼氏の気持ちが分かるとかいうの?
なんか、あの人の言っている事、おかしくない?」

弟「俺だったら、殴ってるね、ソイツ。」

兄「あぁ、それはな。
まず、一つ目は俺はお前の仕事のことをよく知らないから、一方的にお前の肩を持つ真似はできないな、という判断からだ。

お前の主張はいわば、正論、精神論的な綺麗事だ。

他業種の人間と渡り合う際に、高圧的に出る、という手法は、アリだと思う。

実際に仕事を回している人間からしたら、実務的に役に立っているかいないか分からない人間の言うことを受け入れるかどうかは、その人物の判断に委ねられても当然だろう、と思うからな。

まぁ、お前、ほんとに役に立っているかっていう疑問が残るからだよ。」

私「ぐ。それは、専門的な事は、よく分かんないよ…。」

兄「だからといって、そこまでの暴言を吐いてもいい、というわけでもないがな。
まぁ、普通に聞いても訴えられてもおかしくないレベルの発言だ。

その点は否めない。」

弟「それで、他にはどんななの?」

兄「お前の彼氏、年いくつだ?」

私「28。」

兄「俺と変わらんか…。

つまりな、そんなに若いのに、典型的な男尊女卑の発言をしているが、それはお前の職場全体に蔓延している風潮なんじゃないのか?

お前の会社、男女で給料の差がない割に、お前の仕事、お茶くみや電話番なんだろ?
最初から女を重用する気がないんだよ。

だから、女の発言を軽んじられても致し方ない部分がある。
お前も悔しかったら、その男並みに知識を蓄えて、折衝でもしてみろって話だよ。
前線で戦っている人間に、外野で綺麗事を並べられたら、そりゃ、気も荒くなろうってもんだ。」

私「ぐ。でも、電話番を指示するのは、上司だから、こちらで選べないよ。」

兄「それはそうだろうな。
それじゃいつまでたっても、女が実力をつけることが難しい。
最初からハンデがあって、お前もそれに甘んじていたんだ。

そりゃ、歯を食いしばって働いている奴からしたら、腰掛けの分際で甘ったれたことを言ってやがるって、虫唾が走るのも無理はないのさ。」

私「そんな…。」

弟「それでも、ありゃ言い過ぎだろ。」

兄「あぁ、相手が出来の悪い俺の妹でも、さすがに言い過ぎだと思う。

だけどな、まだ若干、彼氏に同情の余地がある。」

私「何が?」

兄「俺は子供の頃からお前を知っているから、お前が嘘を言っていないとわかるんだが。

普通の人間にしてみたら、お前の記憶力は信じがたいのさ。

彼氏がデタラメをほざいて馬鹿にするのか?と気色ばむのも、無理はない。」

私「え?」

弟「そうだよ、姉ちゃん、スゲェ記憶力いいもんな。」

兄「あぁ、話を聞く限り、選民思想の強い、上昇志向の男だと思うが。
おそらく、凡人の努力家だ。

少しつつかれたくらいで、ささくれだって、お前を攻撃しているあたり、器が小さい。

自分より優れた人間なんていない、という発想自体が滅びの思考パターンでもある。

真に優れた人間は、自分より優れた人間はいないなどとは考えないものだ。
自分はまだまだだと考えて研鑽を積み続ける。

事実、常に技術は進歩しつづけ、新しい人間が生まれ続けているのだから、そんな事はありえないと気づきそうなものだしな。

その男は、なにか一点においては、優れているかもしれないが、完全に視野狭窄を起こしている。
エリートになりたいようだが、おそらく無理だろう。
悲しいほどお粗末な精神と頭脳の持ち主ともいえるな。」

弟「なかなか手厳しいね。」

私「私の話が信じられない…。」

兄「あぁ、お前の記憶力は特殊能力といってもいい部類だ。
凡人には信じがたい話しなのさ。

しかも、どこから見てもアホっぽいお前が口にすれば、誰だって信じがたい。

その上、脛に傷を持つ人間が、耳に痛い話を聞かされれば、それは拒絶反応を起こしても致し方ないとも言える。」

弟「確かに姉ちゃん、アホっぽいしな。」

私「ちょっとぉ…。」

兄「次は心情的な問題だな。

男というのは、成分のほとんどが、見栄とプライドでハリボテを作った内実は繊細な生き物なんだ。

実際の実力がどうかはともかく、女に良く思われたいと常に考えている。

それが、四つも年下、しかも、いちおう彼女である、アホっぽいお前に痛いところを突かれたら、思わず攻撃してしまう心情も理解できない事はない。」

弟「確かに。」

私「ちょっとぉ…。」

兄「それと、学歴の話しだな。

お前、サクッと『しょせん私学でしょ?』とか言っているが、さすがに大学受験をしたことがない人間にそれは言われたくないだろう。

しかも、2浪か?かなりのコンプレックスを抱いていると見た。
お前の発言は、彼氏の精神を十二分に打ちのめすのに値する、クリティカルヒットと言える。

そこは、謝ってもいいと思うぞ?
まぁ、もし、関係を修復したいと考えているのなら、という前提だけどな。」

私「だって、ひどい事言うから、つい…。」

弟「その人の理屈だと、俺たち兄弟全員ダメじゃん。
全員高卒だしな!あ、姉ちゃんは短大卒か!
ヨッ!ウチの出世頭!
俺から見ると、あっちのほうが人として全然ダメじゃん?」

兄「あぁ、確かにお前の『しょせん私学』発言は言い過ぎだが、明らかに相手の言い分の方にもっと過大な問題がある。

まぁ、いいんじゃないか?

それだけの暴言を吐きまくったんだから、もしお前に振られても、自分に非があると感じて、ストーカーにならずに済むだろうしな。」

私「むぅ…。」

弟「姉ちゃん、災難だったな、そんな目にあって。
そんな男、ポイだ、ポイ!」

兄「っていうか、身近な人間にそれだけ人格を否定されときながら、それをサラッと夕食の話題に持ち出す、お前の精神力の強さに俺は驚きを隠せない。」

弟「言われてみれば…。俺だったらショックで寝込むよ。」

私「さすがの私もその日は夕飯が喉を通らなかったよ。
悲しくて。
次の日も落ち込んだよ。
なにせ、職場が一緒だから、気まずいのなんの。」

兄「ふむ、職場も一緒か、それは気まずいな。
しかし、お前、そいつの人間性を見抜けなかったのか?

そこらへんは、お前も人を見る目が無かったな…。」

私「だって、普段優しかったし、私の事、可愛いって言ってくれたんだもん…。」

兄「安心しろ、そいつの人を見る目はかなり不確かだ。

お前が暴言を気にする必要はまったくないぞ?

どこから、どうみても、お前が特に美人だという事はないからな。
せいぜい、中の上だ。
それに、意外も何も、賢くもなんともないぞ?

やはり、恋愛中の男というのは、どこか目が曇っているものなんだから、真に受けるな。」

弟「そうだよ!姉ちゃん、そんな奴の言うことなんか、気にすんな!
姉ちゃんは、どこからみても、まったく普通だからな。
ソイツ、適当な事言って、姉ちゃんの気を引こうとしていただけだよ!

姉ちゃんは、もっと怒ってもいいんだからなっ!
姉ちゃん、沸点高すぎ!」

私「ちょっとぉ…。
なにここ、スキー場?ゲレンデ?

さっきからボーゲンで滑りまくってくれちゃってるけど。
なによなによ!私の清らかな真っ白な乙女心にシュプール描いて冷水どころか、ガンガン氷雪を浴びせかけているわよ!
私の心象風景、青空の中、兄ちゃんに雪をおっかぶされている感じよ!」

兄「お前の心が純白なわけないだろ。
どうせ、泥混じりだ。」

弟「姉ちゃん、今の表現、ナイス!
想像できたわぁ、おもしれ~。」

私「アタシの沸点がチョモランマ並に高いのは、絶対お兄ちゃんのせいだと思うっ!
この温厚な私を怒らせて、どうするつもりっ!」

兄「お玉を持ち出してなにするつもりだっ!」

私「お兄ちゃんなんて、味噌汁の具なしでけっこう!
お椀にくっついたワカメでもしゃぶってなっ!」

兄「やめろっ!温厚な人間がこんな事するかっ!非暴力なんだろっ!?横暴だっ!」


と、兄の味噌汁の椀に、お玉を突っ込もうとしたり、兄がそれを阻止しようとしたり。

皆で交互に話しながらも、箸は止まりませんでした。


兄「しかし、その彼氏、どこをどう育ったらそんな性格になるんだろうな。」

弟「あぁ、男尊女卑?エリート志向?俺、ワケ分かんねぇ。」

私「あぁ、彼の親御さん、○○って会社の取締役なんだって。」

弟「マジで!なに、それ、姉ちゃん、まさかの玉の輿!?」

兄「ふむ。事実上の独禁法無視の会社だな。
たしか、そこは財閥系ではなかったと思うが…。
社長はこの市の出身だったかな?」

私「いや、役員なだけで、社長じゃないよ。
取締役って大勢いるんでしょ?
だから、関連子会社のいくつかの社長をやっているだけで取締役社長ではないよ。」

弟「姉ちゃん、別れるのはちょっとガマンしろ。俺もおいしい汁が吸えるかもしれん。」

兄「ふむ、大企業の重役の子息か。なるほど。」

私「何言ってんの。
おいしい汁なんて、吸えるわけがないじゃない。」

兄「いや、待て。それだけのレーベルなら、お前嫁に行ってもいいんじゃないのか?」

弟「俺も就職世話して欲しい…。」

私「何言ってんの。親が大企業に勤めているからって、本人がウチの会社にいるんだよ?
同じ会社に勤めていれば、なにか旨みがあるかもしれないけど、うちが薄給なのは、知ってるでしょ?無理だって。」

兄「それも、そうか。」

弟「え~、がっかり。」

兄「それで、ソイツなんでお前の会社に勤めているんだ。」

私「なんでも、その会社で出世するには、親と同じ有名大学を卒業していないとできないんだって。」

兄「学閥か。ふむ、それで2浪したのか。
いや、待て、結局就職していないって事は、志望校に3回連続して落ちて、別の大学に入ったという事か…。」

私「あ、そっか。」

兄「それは、お前の『しょせん私学』発言は堪えるわ。
お前、そいつのコンプレックスをかなりえぐったぞ。

ふむ、子供の頃から期待されていたが、実力が伴わず、挫折して屈折しまくったと。

やめといて、正解かもな。
まぁ、お前の恋愛に口出しをするつもりもないが。」

私「でも、彼から謝ってきたから、もうちょっと付き合う事にしたよ。」

弟「えぇ?あれだけ酷い事言われたのに、なんで?
姉ちゃん、人が好すぎない?
ってか、あっちのほうが虫が良すぎる感じがするけど!?」

兄「あちらから折れてくるとは意外だな。
てっきり、お前も憎まれているかと思ったんだが。

ふむ、だからお前、そんなにへこたれていなかったのか。

しかし、彼氏のメンタリティからすると、かなりの変化があったようだな。」

私「お母さんに叱られたんだって。
それで、謝ってきた。」

弟「はぁ、何それ。」

兄「母親はなんて言ったんだ。」

私「『図体ばかりでかくなって、大きな口を叩いて、何を言っているんだ』と。

私の事を、『子供の頃に母親が亡くなって苦労しているのにグレもせず、大きくなって。
家庭のことをしながら、学校に通って、お勤めしながら短大の資格をとって。
学費も全部自分で出して、頑張り屋さんじゃないの。

それに比べて、(浪人生と、東京での一人暮らしの分も)学費も生活費も全部親がかりのお前の俺様発言の方がペラペラじゃ、恥ずかしい。

小さい頃から苦労してきたから、若いのにしっかりしていて、キレイでも派手な事もせず、賢くて、思いやりのある子じゃないの。

お前にはもったいないお嬢さんだ、苦労してきたぶん、お前が受け止めてやってもいいところを、年上のくせに何を偉そうに、立場の弱いおとなしい子をいじめているんだ』と。

『お前の方が、こんな子供に今までお付き合いしてくれて、ありがとうございましたと感謝しろ』と。

『謝ってこないなら、もう家には住まさせない』、と叱られたんだって。」

弟「…いい人だね。」

兄「あぁ、意外だ。まっとうな感性の持ち主だ。
どんなモンスターペアレンツかと思いきや、想像力もあるし、さすが大企業の重役の奥様という風格だな。」

私「私も、その言葉を聞いたら、喉の奥のつかえがとれたような気持ちになって…。
そんな風に私の事を思ってくれた人がいてくれたことに感動しちゃって。

もう、いいかなって思えたの。」

弟「姉ちゃん、よかったね。
姉ちゃん、頑張り屋だったもんね。」

兄「あぁ、母親はかなりまともだが、彼氏はどうかな?」

弟「そうだよ、母親に言われなかったら、謝りにこなかったんじゃない?」

私「うん、なんか、不承不承って、感じだった。
お母さんにあれだけ言われても、自分が悪いことを言った、と感じていなかったんだって。」

弟「マジで!?」

兄「重症だな。」

私「それが、日を追うごとに、酷い事を言ったんだって気づいてきて。

それに、私の言ったことが、本当だって確認がとれたら、なんか私を崇拝するみたいな感じになってきたよ。」

弟「パワーバランスが逆転したのか。」

兄「ふむ、それも人徳かもな。
どんなメンタリティかと思いきや、舵取りをしてくれる母親がいたから、今までうまくいっていたんだな。

しかし、脆い。今度はお前に頼り始めたか。

まぁ、お前がどんな恋愛をしようとも、お前の自由だがな。

あんまりいい結果は期待できそうにないな~。」








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