私は顔面蒼白でカタカタと震えているだけでした。


対する四季子ちゃんは、手応えを感じなくなった私にものたりなさを感じて、私のおでこを人差し指でツンツンとつついてきます。



四「ねぇえぇ~、しんじゅちゃぁ~ん。

なにぃ、もぉおしまぁい?

なにか言ってよぉ。」



私「………。」



四「えぇ~?シカトぉ?
そんな、つまんないなぁ、四季子。

ま、今日は満足したから、いっか♪

じゃ、いつ家に遊びに来る?」



私「…は?」



四「だからぁ、友達でしょぉ?」



私「…なにを…。」



四「うふふ、だからぁ、しんじゅちゃんおとなしくなったしぃ?

ちょうどよく、調教できたかなって、四季子思うの。」



私「ともだち…。

私を…。

今、死ねって言ってた私をともだち…?」



四「そぉよお?
死にたかったら、そっちでもいいけどぉ?

お母さん死んじゃって、さみしいんでしょ?

四季子、とめないけどぉ?」



私「あなた…なにを…。」



四「う~ん?個人の自由?

そういうの、認めるのって、大人じゃない?」



私「は…。

何を言って…。」



四「んもう!つまり、引き立て役ぅ?

しんじゅちゃんは、アタシの美しさとか、賢さを引き立てる、ちょうどいい座布団なのっ!」



私「それをともだちって…。」



四「そうよぉ?アタシの役に立てれて、光栄じゃない!」



私「アンタ、オカシイ…。

狂ってるよ…。」



四「はぁ?おかしいのはしんじゅちゃんでしょお?

アタシの言うこと、素直にきかないからぁ。

だいたいアタシが友達になってあげるって言った時、生意気に断って、アタシのことをバカにしたでしょお!

自分は障害者のクラスにいたバカのクセに!」



私「は…。

どこの世の中に、死ねってはやし立てる友達がいるのよ…。」



四「ここにいるじゃない。

しんじゅちゃん、そんな事もわからないのぉ?ばかぁ?キャハっ♪」



完全に教室内の空気が凍りついた。

クラスの誰も、もう、四季子ちゃんをかわいそうな被害者だとは思わなくなっていた。



私「四季子ちゃん…。

あなたは、目に見えないけれど、とてもひどいことをした…。

友達だと思っている人の心を踏みにじった…。

四季子ちゃんにとって、もしかして、身内を亡くした友人というのは、私が初めてだったかもしれない…。」



四「うん、そうね。」



私「私の友達だというのなら、一つだけお願いがある…。

家族を、親しい人を亡くした人に向かって、軽々しく死ねとは言わないで…。

悲しい気持ちが理解できないからと言って、死んだ人の事を悪く言わないで…。」



四「えぇ~?お願いが一つって言いながら、二つ言ってるよぉ?しんじゅちゃん。

そんなに覚えられないよぉ。」



私「そう、二つ覚えるのが難しいの…。

それなら、一つだけ。

親しい人を亡くした人に向かって、死んだ人の事を悪く言わないで…。

心に鉛が入ったように、気持ちと心が重くなるから…。

もしかしたら、四季子ちゃんの身に危険がおよぶかもしれないから…。」



四「えぇ~?危険~?なんでぇ?」



私「悲しみの淵に沈んでいる人は、とても繊細でギリギリの状態で生きている。

そんな時に、無神経な発言をしては、何をされるか、わからなくなってしまうよ?」



四「そんなの、非常識な事をしようとする人が悪いんじゃない。

四季子、悪くないもん。」



私「…お願いだよ、四季子ちゃん。

この苦しみを、他の人に味あわせないで…。

この苦しみは、私一人で十分だ…。

私の犠牲を無駄にしないで…。」



四「えぇ?」



私「友達付き合いをしたいというのなら、この条件をのんで…。

以後、親しい人を亡くしたばかりの人の前で亡くなった人の悪口を言わないと誓って…。」



四「う~ん…。

わかったぁ!ま、一応ね!」





私たちの会話を聞いていた子供たちが、いっせいに四季子ちゃんをにらんできます。



やっぱりさっきのは聞き間違いではなかった。

以前は赤木先生にうやむやにされてしまったが、コイツがしんじゅをいじめていたのに間違いない。

気持ち悪い、こいつを叩きだしたい。



そんな子供たちの心の声が聞こえてきました。





私「…私、頭痛いから…。

風邪ひいたかもしれない…。

この部屋、空気悪い…。

うつるといけないから、四季子ちゃん、外の空気を吸ったほうがいいよ…。」



四「えぇ?

アタシ、風邪とかひいたことないから、大丈夫だよ?」



私「いけない。

四季子ちゃんが平気でも、四季子ちゃんの体に風邪の菌がついて家までついて行って、体の弱い美輝お姉さんにうつってしまうかもしれない。

四季子ちゃん、今すぐ手洗い場で手を洗ったほうがいい。

しっかり、流水にそそいで、手洗いしてきて…。

ほら、美輝お姉さんのためだから。」



四「え~?心配しすぎだと思うけどぉ?」



私「夏風邪はこじらせるとやっかいだから、ホラ。

手洗い場に行って。

美輝お姉さんのためにやったって言ったら、きっとお母さんも褒めてくれると思うから…。」



四「う~ん、わかったぁ。」



教室内にいる子供たちの、殺意にも似た敵意を向けられながら、四季子ちゃんはご機嫌で教室の外へと向かいました。



四季子ちゃんが教室のドアを抜けるのと、ほぼ同時にひろみちゃんが戻ってきました。

ひろみちゃんは、手をハンカチで拭きながら四季子ちゃんの様子を見守りながらすれ違いで入ってきました。



岡田「なんや、なんや、上田、注目の的やな。」



私「あぁ…。」



私は机の上に置いてあるファーブル昆虫記の上に自分の両腕をのせて倒れ込みました。



岡田「どないしたん?」



私「頭痛い…。説明は後でいいかな…。」



岡田「そおか?ほな、ウチ、静かにしとるわ。」



私「ひろみちゃん、お願いがある。」



岡田「なに?」



私「今、四季子ちゃんと話をしたくないんだ。

この後の休憩時間もずっと私のそばについていて欲しい。」



岡田「了解。

あの子、めんどいもんな。

顔色悪いで、ちょっと寝とき、しんじゅ。」



私は本の上にうつぶせになりました。


さきほどの四季子ちゃんとのやり取りを思い出して、ぞっとしていたのでした。

もう少しで、私は殺人を犯してしまったかもしれない。


いったいあの子はなんなんだ。

まるで、ねずみをいたぶる猫、まるで蝶の羽をむしり取る、虫の足を一本一本もぎ取る、無邪気な子供みたいな…。

狂気…。



ポン。



ひろみちゃんが、私の頭の上に手のひらをのせました。



岡田「しんじゅ、おまはん、今、余計な事を考えとるやろ。

いいから、頭休めろ。」



私「ひろみちゃん…。

君はなんて、いつも菩薩様みたいなんだろうね…。

ホッとするよ…。」








おしまい。(タイトルはジョジョの奇妙な冒険からのパクリです。)





いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
  

スポンサーサイト

私「………そう。」



私は毒気を抜かれていました。

四季子ちゃんの言った『分からない』この言葉にウソ偽りはなかったのです。



悪意のかたまりのような四季子ちゃんには、悲しいとかさみしいという感情が理解できない。

良心のカケラもない非情な発言が出る、その理由がわからなかったのですが、彼女にはそもそも悲哀という感情を持ち合わせていない。



それが、妙に納得がいったのでした。





ふと兄のセリフを思い出しました。



兄『…そいつらの葬式にはきっと誰も人が集まらない。

それだけ不義理をしていたんだからな。』





それを思い出して、ほんの少しでも、意趣返しをしてやりたい気持ちになったのです。





私「…きっと、四季子ちゃんのお父さんとお母さんのお葬式には人が集まらないだろうね…。」





四「きゃっはぁ!縁起でもないこと言わないでよぉ!

しんじゅちゃんのお家じゃないんだからぁ!



ウチのお父さんとお母さんが死ぬわけないじゃない!

二人はうんと長生きするんだからぁ、きっとお葬式やるのは、50年とかぁ!何十年も先よぉ!」





私「…そう…だといいね…。」





四季子ちゃんには、身内の死というものがまったく身近に感じとれていないのが、よくわかりました。



おい、今、上田しんじゅの家のことをバカにしていなかったか?

死ぬとかそういう事、やっぱりさっきから言ってるよね?というヒソヒソ声が聞こえてきます。



この大はしゃぎする声に、クラス内の子供たちは、ピタリと動きを止め、息をのみ、完全に私たちに注目をしていたのでした。







四「うぅ~ん、それじゃあ、しんじゅちゃんは、お母さんが死んでさみしいってことぉ?」





私「………。」





四「あっ!それじゃ、いい方法があるよぉ?

しんじゅちゃんに教えてあげる♪」





私「…えっ!?」( ̄□ ̄;)





四「つまり、今まで一緒に暮らしてきたからぁ、二度と会えないのがさみしいっていうんでしょお?

なら、会わせてあげる♪」





私「えっ!?どうやって!?」( ̄□ ̄;)!!





四「簡単よぉ~。

しんじゅちゃんが死ねばいいのよぉ~。

それで、万事解決!うふ、四季子、かしこぉ~い、キャハっ!」ヽ(*´∀`)ノ 





私「………。」





再び血の気が引く思いがしていたのでした。。(;°皿°)



体が動かない、このバカのセリフを聴き続けるのは、もう耐えられない。

逃げなければ、逃げなければ、体が鉛のように思い。



どうやら重度の貧血を起こしていたようで、激しいめまいにも見舞われていました。





四季子ちゃんは、私の逡巡に構わず、パンパンと手拍子を打ちながら、私の体の周りをぐるぐると回り始めました。







四「死~ねっ♪、死~ねっ♪、ホラ、死~ねっ♪、ホラホラ死~ねっ♪、死~ねっ♪

なんで生きてるのぉ?ホラ、死~ねっ♪、ホラ死~ねっ♪



どうちたんでちゅかぁ~?

しんじゅちゃん、お母さん死んじゃってちゃみちいんじゃなかったんでちゅかぁ~?

おっぱいこいちぃでちゅよぉ~♪



ホラ、死~ねっ♪、死~ねっ♪

死んだら、今すぐお母さんにあえまちゅよぉ~♪」





四季子ちゃんは、私の体の周りをぐるりと3周して、そこで飽きたようでした。



私はカタカタと貧血を起こして、椅子の上から動くこともできずに固まっていました。





クラスの中の子供たちは、完全に水を打ったように静かになっていました。



四季子ちゃんの異様な行動に、かたずをのんで見守っていただけで、目玉だけをこちらへ向けて、信じられない気持ちで見ています。



四季子ちゃんをのぞく、全員が寒気を覚えて、凍りついていたのでした。







おい、あれ、なんの冗談?


いや、シャレにならんだろ、相手はしんじゅだぞ?


さっきから、死ねって言ってたような気がしてたけど、やっぱり言ってる…。


なにあれ、上田さんがいじめられてるっていう話じゃなかったの。


なんでしんじゅおとなしく聞いているんだ?


アイツ顔面蒼白じゃね?貧血で動けないんだよ。


誰か助けてやれよ。


やだよ、あんなの怖くて手出しできない。


やっぱ、マジだったんだ、上田キチガイだったんだ…。





私はただただ、椅子の上に座って、カタカタと震え続けることしかできなかったのでした。












いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
  

明るい7月の日差しを受けて、教室の中は爽やかな陽気に囲まれているはずでしたが、四季子ちゃんの言動に、教室内にいた、子供たちはそれぞれの会話をやめて、ヒソヒソと話し声をしたり、緊張した感じでこちらへ聞き耳をたてている様子でした。



もう、だれも、雑談を楽しんでいなかったのです。



私は、もう、疲労しきっていて、頭が混乱していたのですが、四季子ちゃんは、自分のセリフに打ちのめされたものと感じたようで、ご満悦の表情を浮かべていたのでした。



私は喉がカラカラで、頭の中が真っ白になりそうになりながらも、必死で言葉を紡ぎ出しました。





私「…なんで…なんで、そんな事を言うの…。

あたしたち、友達だったし、あたし、お母さんが亡くなったんだよ…。

家族を亡くしたんだよ…。

どうして、そんなひどい事を言えるの…。」





四「はぁ?ひどいことなんて、言ってないじゃない。

アタシは事実を言っているだけよぉ?」





私「…違う…

そういう事じゃなくて…。



家族を亡くした…。

いつも一緒に暮らしていた、生まれた時からずっと一緒だった人と、お別れしたのよ…。



それは、悲しいとか、さみしとか、そういう気持ちを持つことになるのよ…。

それが分からないの…?」





四「はぁ?そんなの分かるわけないじゃなぁ~い!

変なしんじゅちゃん、プ。」





私「…は?」





四「だって、四季子、家族を亡くしたことないんだもん。

経験したことないことなんて、わかるはずないわぁ?

変な事、言わないでよぉ。」( ̄▽ ̄)





四季子ちゃんは、無垢な赤ちゃんのようににっこりと微笑んだ。





私「…分からないの…。」





四「うん、分からない。」





私「…悲しいとか、さみしいとか…。

想像できないの…。」





四「なにそれ。」





私「…四季子ちゃんは、家族で亡くなった人っていないの…。

おじいさんとかおばあさんとか…。」





四「いるよ?」





私「じゃ、分かるんじゃない…。」





四「えぇ?だって、死んだのアタシが2才の時だよ?

覚えているわけないじゃな~い。」





私「覚えていないから、分からないと言うの…。

家族を失う痛みを想像できないの…。」





四「なに言ってんの?しんじゅちゃん。」





私「家族だよ…。

いつも一緒にいた、家族と二度と会えなくなるんだよ?

想像しただけでも悲しくならない?」





四「分かんない。」





私「分からない…。

そうか、分からないんだ…。」












いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
  

結局、四季子ちゃんの二つ目の情報を聞く羽目になったのであった。



四「はぁはぁ、余計な手間かけさせて、どういうつもり…。」ヾ(*`Д´*)



私「はぁはぁ、それはこっちのセリフだ。
さっさと言え!」(#`-_ゝ-)



四「はぁはぁ。
それじゃ、言うわよ。」



私「はぁはぁ。」



四「二つ目の情報はね、しんじゅちゃんの家族が周りからどう思われているかよ…。」



私「はぁはぁ。」



心臓に遺伝性のごくわずかな欠陥を持っている私は、持久力がない。

すぐに息があがってしまって、心臓がバクバク言い続ける事になる。

体育の成績が悪い私は、運動神経が悪そうに思われているが、持久力がないだけで、実は反射神経などはいい。

この時は座った状態で体重をかけられ続けて、身動きとれなかったのである。



四「しんじゅちゃんのお母さんとぉ。
しんじゅちゃんのお父さん、お兄さん、あ、お姉さんもね、そしてしんじゅちゃんと、弟ちゃん。
これら、全員、周りの人になんて言われているか知ってるぅ~?」(`∀´)



私「知らんわ…。はぁはぁ。」



四「プ。
みぃんな、同情しているのよぉ~?」(´_ゝ`)



私「はぁはぁ、それが?」



四「だって、ねぇ?
しんじゅちゃんのお母さん、たった41才の若さで死んだのよぉ?
信じられるぅ?」



私「………。」(-""-;)



何度も言われているが、猛烈に腹が立ってきた。



四「それでねぇ、みんな言ってるの。
しんじゅちゃんたち、子供がかわいそぉだって。きゃはっ♪」( ̄m ̄〃)



私「………。」



周りの子供たちも、ピクっと反応した。

今、『死ぬ』って言わなかったか?と、不穏な雰囲気を察したようだった。



四「ねぇねぇ、しんじゅちゃん♪
四季子、見たことも、聞いたこともないのよぉ?」



私「…はぁ?」



四「だって、41才って、若い。
若いのよ?ププ。(*≧m≦*)

どんだけ、間抜けなのって話ぃ?

だって、まだ頭がボケてるわけでも、足腰がなまっているわけでもない、まだまだ現役世代でしょお?
それが死ぬって、ガンで死ぬって、ププ。

どんだけマヌケぇ?
信じらんない、縁起悪すぎぃ?

健康管理もまともにできないバカだったって事でしょう?」(゚c_,゚`。)



怒りでめまいが強くなってきた。

頭も痛くなってきた。



私「…バカにしないで、お母さんの事を…。
アンタ、なに言ってんの…。」



四「バカをバカと言ってなにが悪いのよぉ。

子供四人もこさえて、全員未成年って、それをほっぽり出して死ぬなんて、無責任じゃない。
もぉ、全員まともに育たない、不良確定ねって、みんな言ってるのよぉ?
もともとバカな親に育てられてたんだから、どうせマトモな大人になれるわけないけどぉ?」( ゚∀゚ )



私「やめて…。やめて、なんの権利があって、そんな事言えるのよ…。」



四「プ、何言ってんの。
計画的に子供も作れず、どうせ無鉄砲に子供産んだんでしょお?

そんで、早死ってバカ過ぎない?
ってねぇ、悪かったわ、お母さんの事を悪く言いすぎちゃって。

そんなの、しんじゅちゃんのせいじゃないものねぇ。

アタシ、しんじゅちゃんのこと、同情してるのよ?
だって、お母さん死んじゃったんだもの…。」



私「え…。」



四「だからぁ、しんじゅちゃんのお母さんが早死にしたのは、苦労しすぎたから。

家族全員で、苦しめたんでしょお?
そんな家庭だったんでしょお?

四季子、同情しちゃう…。」



私「……。やめて…。
そんな事言うの、やめてよ…。」



四「家族全員でこきつかったから、早死にしちゃったわけでしょぉ?

よってたかって、一人に苦労をしょわせちゃったんでしょ?

そろいもそろってバカよねぇ。
もうちょっとうまく使えば、長持ちしたのに…。」



私「……ウチのお母さんの事を消耗品みたいに言わないで…。」



四「はぁ?バカばっかりが固まるから、一番弱いのが先に死ぬのよ。

そんなん、決まってるでしょ?
ほら、どうなの、あんたたちがお母さんお母さんって甘えて家事も何でもかんでもやってもらってたから、疲れが取れずに過労死したんじゃないの?

だから、普通よりずっと早く死んだんじゃないの?
誰がしんじゅちゃんのお母さんを死なせたのよ。

ほら、なにか言いなさいよ、賢いんでしょ?しんじゅちゃんは!」



私「…お母さんの事をバカにするのはやめて…。

四季子ちゃん、あなたは恥ずかしいまねをしている。

亡くなった人の事を悪く言っている…。

これ以上、非常識なまねはやめて、自分の値打ちを下げることにしかならない…。」



四「値打ちって!はっ!
なに言ってんの、貧乏人が貧乏暮らしして、子沢山で、過労死って!

段取りが悪くて、頭悪いから、要領悪くて死んだんでしょお?
能無しの分際で、商売やって!

ははっ!貧乏人が、余計な苦労して、お店なんてやっても繁盛するわけないじゃない!

アンタの母親がバカすぎだって話よ。ププ。」(゚c_,゚`。)



私「…やめて…。
四季子ちゃん、あなたは自分が賢いと思い込んでいるけれど、大馬鹿者よ…。

ウチのお母さんの人生を否定している…。
そんなの、誰にもそんな権利がない…。

恥を知っているなら、そんなことはやめて…。」



四「プ、悪い悪い。そうだった、そうだった、お母さん一人が悪いんじゃなかった。

家族全員でよってたかってこき使ったから、お母さんが死んじゃったんだよねぇ?」



私「………。」



四「つまり、家族全員、バカってこと。
まぁ、特に旦那が一番アホよね。
長持ちさせるように、上手に使えばよかったのにぃ。」



私「…四季子ちゃんは…お父さんや…私たち家族の生き様まで否定している。

どこにそんな権利があるのよ…。

あなた、どれだけ人非人なのよ…。

親が知ったら悲しむわよ…。」



四「はぁ?じゃ、なんでしんじゅちゃんのお母さん死んだのよ?

まだ40才?41才?それって普通なの?
この年齢で死ぬ人ってよそで見たことある?

あるの?ほら、言ってみなさいよ、ほら、しんじゅちゃん!」



私「………。」



四「普通もっと長生きするでしょ?」



私「……そ、それは…。」



四「家族何人もいて、一人もお母さんのこと、どうにかできなかったの?

それ、おかしくなぁい?
アタマ大丈夫?それとも性格?性格悪いの?

ちょっと調子悪いくらいならぁ、休ませてあげるとか、寝かせるとかぁなにか手伝うことができたんじゃないのぉ?

そこ、やったぁ?
無理させたから、死んじゃったんじゃないのぉ?

もっと早くに病院に行かせるとかぁ、なんかできたんじゃなぁい?
アタシ、間違ったこと言ってる?正しくなぁい?」



私「…そ、それは…。

それはある意味、四季子ちゃんの言う通りかもしれないけれど…。」



四「あぁ~、はいはい。
ごめんごめん、やっぱり一番悪いのは、しんじゅちゃんのお母さんでしたっ!

自分で自分の健康管理もできないくせに、お店とかやっちゃってさ、無理して死ぬなんてバカすぎるよね?

子供はぁ、お母さんにおいてけぼりされちゃったんだよね?

ひどいこと言って、ごめんね、しんじゅちゃん…。
でも、ちがうからね?」



私「え……。」



四「しんじゅちゃんに気づいてほしかったの。

しんじゅちゃんの家族がどれだけバカかってことを。

今後の参考のために、教えてあげちゃった♪」



私「………もう、お母さん死んだのよ…。

それを今更蒸し返してどうしろっていうのよ…。

悲しくて、後悔だらけで、つらくても、なにをどうしても、どうしようもないのよ…。

もう、死んだ人は戻らないのよ…。」



四「はぁ?そんなの知らないわよ。ばかぁ?

ほら、どうすればいいかはアンタの課題でしょ?
自分で考えればぁ?

あんたたち家族で人を死なせたんだから、反省しなさい!」(# ゜Д゜)



私「………。」



四「って、プ。
お母さん、死んじゃったんだっけね、もぉ、救いようのないバカ。

バカは死ななきゃ治らないっていうけど、もぉ手遅れかっ!

どうせな言うなら、バカは死んでも治らないよねっ!キャハッ、四季子天才♪」ヽ(*>∀<*)ノ




私「…どこまで……。

どこまで亡くなった人をおとしめれば気が済むの…。

あなたの言っていることは、もう、犯罪よ…。

人権を蹂躙しているわ…。」



四「あぁ~ん、バカがなにかほざいてるぅ~。

そりゃ、しょうがないよね、八百屋の娘だし、育ち悪いし、母親もバカなら、子供もバカで決定だし?

それで、早死に。気持ち悪っ!

なんか、邪悪な空気とか出してない?

しんじゅ商会、毒でも盛ってない?

お客さんに変なもの、売りつけてない?

いやぁ~、悪徳商法だぁ~。

どういう神経してるのぉ?
信じらんない、そんな、家族から早死に出すなんて、出すなんて、馬鹿すぎるぅ~!!」(((*`皿´*)))



私は頭に血がのぼって、こいつを殴ってやりたいという衝動にかられていた。

いや、殴るだけではあきたらない。

首をしめて、息の根を止めてやりたい。

めちゃくちゃに首を絞って、殺してやりたい…。


そんな事をしては、取り返しのつかないことになる。

我慢だ、ガマン、こんなバカのために罪の十字架を背負うことはないのだ、しんじゅ…。

自分の未来を大事にしろ、こんなカスのために、人生を棒に振る必要はない…。


貧血を起こしているようで、体が鉛のように重くて、まるで自由に動かせなかった。

カタカタと椅子を小刻みに震わせて、怒りを押さえるのに必死だった。



四「ぷ。どうなの。
なにか反論できないの?」(´_ゝ`)



私「…四季子ちゃん、四季子ちゃんは、今12才でしょ…。

いくら子供でも、言っていいことと悪いことがある…。

今の話の類は、口に出しては恥ずかしい真似をしていることになるよ…。

恥ずかしい、将来、大人になった時、自分がなにを言ったのか、必ず後悔して恥ずかしくてたまらないことになる発言をしているよ…。

やめてよ、悪趣味だから。」



四「きゃはっ♪
後悔なんてするはずないじゃなぁ~い。

だって、四季子、賢いんだもん♪
間違うはずないじゃなぁ~い、しんじゅちゃんのウソつきぃ~。

そんな、適当なこと言って、ごまかそうとするなんて、もぉ、しんじゅちゃん、お・ば・か・さん♪」



四季子ちゃんは片手を口にあてて、もう片方の手で、人差し指を突き出して、私のおでこにツンツンとつついてきたのでした。



私「…どこがよ…。
アンタの言ってることは間違いだらけよ…。」



四「はぁ?そんなわけないじゃない。
アタシは毎日努力しているもの、間違うわけないじゃない。」(# ゜Д゜)



私「何を…努力しているっていうのよ…。」



四「見れば分かるでしょ!

アタシ、人様から見て恥ずかしくないまねをしろっていつも言われてるもの!
誰よりもきれいな姿でいるわ!」( ̄▽ ̄)



私「は?」



四「ほら、いつも背筋を伸ばしてる。」( ̄∀ ̄)



私「なに言って…。」( ̄□ ̄;)



四「ばっかじゃないの、恥ずかしい真似したのは、そっちでしょ!
家族から、死人を出したのよっ!
たった、40才かそこらで死なせたのよっ!
どんだけ非常識で恥ずかしい真似をしたのよっ!

聞いた事ないわっ!気持ち悪い。

この麻町から出てけっ!!」(#`皿´)



四季子ちゃんは腕を組んで、ふんぞり返り私を見下してきました。

私は頭がキリキリと痛むような錯覚を覚えました。



殺したい…。

この女を殺したい…。

この細い首の頚動脈のあたりを狙って、爪を激しく突き立てれば、きっと出血死する…。

こいつの後頭部を何度も何度も、めちゃくちゃに床に打ち付けて、頭蓋骨を変形させたい…。


いや、抑えろ、しんじゅ、バカのために人生を棒に振る気か…。

お兄ちゃん、止めて。

この殺人衝動を、どうか止めて。


どうか、理性を…。

私に理性を総動員させて、お兄ちゃんならきっといい知恵をさずけてくれる…。


あぁ、今、体が動かない。

目に見えない鎖が体を取り巻いているみたいに動けない…。


きっと、これで良かったんだ。

今、ぴくりとでも動けば、きっとこの子を殺してしまう。

喉を引き裂き、無残に頭蓋骨を砕くまで床に打ち付け続けるに違いない。

理性を…アタシは人間だ、理性を持って、対応しろ…。


喉がカラカラに乾いて、微かにヒューヒューという音がもれていた。

つばなどなかったが、なんとか飲み込む仕草を重ねて、口を開いた。




私「…なんで、そんな事、四季子ちゃんに言われなきゃならないのよ…。」



四「はぁ?それが民意だから。
総意だから?麻町の?
汚らしい不穏分子は出てけって話ぃ?
バカなのぉ?そんなこともわからないのぉ?」(# ゜Д゜)



私「…いったい、ウチが四季子ちゃんの家に、なにか迷惑をかけたかってのよ…。」



四「はぁ?迷惑かけたに決まってんでしょ!
黒不浄よっ!

黒不浄を出したのよっ!
家族は消えるべきでしょっ!

なに、のこのこ毎日学校に来てんのよっ!
恥を知れっ!」(#`皿´)



私「…あんた、一体、何様なの…。」



四「四季子様に決まってるじゃない!
卑しい八百屋の娘が軽々しく、アタシと口聞けると思わないでちょうだいよ。
勘違いしすぎぃ~!!」(#`-_ゝ-)



私「…だったら、構わなきゃいいじゃない。」



四「はぁ?だから、あんたみたいな能無しを拾ってやるっていってるじゃない。
馬鹿でしょ?
頭悪い子の学級にいたでしょ?
障害児でしょ?しんじゅちゃんはぁ。

なにをのうのうとこのクラスにいるのぉ?
四季子、信じらんなぁ~い。」



私「…ほっとけばいいじゃない。」



四「だぁ~かぁ~らぁ~、四季子は特別な子なのぉ?
神に選ばれた聖なる少女?

四季子、優しいからぁ~、卑しい子供に常識?を?教えてあげるって言うかぁ?
調教?そう、飼育してあげてるのっ!親切でっ!きゃはっ♪」



私「…なんなの…。

アタシたち、友達だったんじゃないの…。

なんで、そこまでアタシの事を悪く言えるの…。」



四季子「ぷっ!動物の分際で、なにかほざいてるっ!
バカな豚かしら?それとも猿?うっきぃ~♪
ほら、猿なら猿らしく、くるくる回りなさいよ!」



私「…………。」



私の脳裏に、過去の四季子ちゃんとの思い出が蘇ってきました。


四『しんじゅちゃぁ~ん、あっそびっましょ♪』

四『どんぐりの実のなる場所知ってるの?』

四『ふふ、起こしてあげる…。気持ちよかったらそのまま寝てもいいよ?』

四『お正月に雪が降ったら、南天の実と葉っぱで雪うさぎを一緒に作ろう♪』



目に涙がにじんできた。

あれはいったいなんだったんだ。

まだ、たった数ヶ月前のことなのに、遠い昔のできごとのように感じてくる…。


四季子ちゃんは前歯の先端ががギザギザしていて、おおげさに言うと、トランプのハートとか、スペードっぽい。

歯茎をむき出しにして、笑いながら、こちらを悪く言ってくる。

こころの中に土足で踏み込んで、平気で踏みにじってくる。


あまりに醜悪な発言を繰り返すので、音が聞こえなく感じてきて、彼女の口の動きが、パクパクして見えてきた。

私の目にはまるで、四季子ちゃんの口元が見えない肉を噛んでいるように感じてきて。

それは私の柔らかい心を引き裂いて、食いちぎっているように見えてきて。

彼女のちょっと長めの歯茎が、こう、馬面っぽく感じてきて、こう、デフォルメが狂ってくる感じに見えたのだった。

歯がにゅっと伸びて、ビロビロと広がり、ハートとかスペードのマークに見えてくる。

顔の中心に集まっていたパーツがそれぞれ外側へと移動していくように見えてきた。

つり目がさらに、上の方に移動していって、さらに三日月のようにとんがって見えてくる。

そんな事あるるわけ無いと思いながらも、おかしな話だが、人間の顔って歪んでみえるという体験をしていた。


それぐらいショックで、心の中で助けを求めていたけど、喉が乾いて、ひりついて、声がだせなくて、体も動かせなくて、大変だった。

心の中で、誰か助けて、やめてやめてとずっと叫んでいたが、全然声がでなくて、彼女の顔を見たくないと思った。

ぼんやりと意識が飛びそうになりながら、彼女の口元に視線を移していた。



パアン!



四季子ちゃんは、私の机を激しく叩きつけました。



四「人の話を聞くときは、相手の目をみてが常識でしょお!」



そのまま、四季子ちゃんは、私のあごに手をかけて、顔を近づけて自分の方へ顔をむけさせました。



四「謝りなさいっ!
非常識な真似したのを反省して謝りなさいっ!
どうなのっ!」



私「は………。」



四「ふ、驚いて声もでないのね…。
いいわよ、しんじゅちゃんが非常識な子だっていうのは、知ってたから、許してあげるわ…。」



私「………。」



四季子ちゃんは、腕組みをして、ちょっと首を傾げて考えるような仕草をしたかと思うと、ニヤリと笑った。



パァン!


再び、大きな音を立てて、私の机を叩いた。



私「ヒッ!」



思わず、体をすくめる。
また謝れと命令してくるのか、体から嫌な汗が噴き出す思いがした。
めまいがする。



四「オイ!勘違いすんなっ!
誰に向かって口きいてんのっ!このブスっ!

アンタ自分がキョウダイの中で一番美人だと勘違いしてんでしょ!
アンタなんて、たいしたことない、出っ歯で、ぬるっとしたウマヅラなのよっ!
ずんどうで胸もないし、足もふっとくて、みっともないのよ!

自分の事、賢いと勘違いして、ダッサ!
あんた、周りの人間に嫌われてんの、気づいてないバカなのっ!

そんなこともわかんないアホなのっ!
裸の王様だわっ!気づけっ、マヌケっ!」



私「???」



四「キャハッ♪きっもちいぃ~♪
一度言ってみたかったんだぁ!

あは~、しんじゅちゃん、まぬけ面ぁ?

ホラホラ、図星図星。

年上の言うことを聞いて、反省しろっ!

キャハッ♪」



四季子ちゃんは、満面の笑みを浮かべて、グーをあごの下にもってきて、くねくねと踊りだしました。

その様子に、クラスの子供たちの視線が集中していました。


対して私は四季子ちゃんのあまりの暴言に貧血を起こして、まったく動くことができなかったのでした。











いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
  

四「ふ、まず一つ目ね。

間違いがあったの。

それは、しんじゅちゃん、あなたのお母さんが犯したミス。」(`∀´)





四季子ちゃんは、人差し指を立てて、左右に振りながら得意げに話出した。





私「……。」( ;゚─゚)





口の中が乾いていたが、なんとか、ぐっとつばを飲み込む。





四「それはぁ、しんじゅちゃんのお母さんが早死したってこ」(`∀´)

私「あ、ご清聴ありがとうございました!

さようなら!」(#^ω^)





バカだった。

やはり、まごうことなき、上田四季子という女子児童はバカだったのである。



思わず真に受けてしまった自分のうかつさを呪うよりも、まっさきに立ち上がって、その場から立ち去ろうとした。





四「え、え。

ちょ、ちょっと待ってよ、まだ話してる途中。」∑(゚Д゚)





私「うん、ごちそうさま!

もう十分ですっ!

それでは!」(#^ω^)





私が椅子を押して、立ち上がって立ち去ろうとすると、四季子ちゃんは飛びついてきて、私の肩に両手をかけて、体を沈めてきた。





四「ちょっとぉ!まだ話おわってないでしょぉ!」∑(゚Д゚)





私「いえ、おかわりは十分です。

ありがと~さよおならぁ~!」(#^ω^)





私は満面の笑みで、両手を振って、四季子ちゃんにウィンクした。





四「ちょ、ちょっと、からかうのはよしてよ。

こっから本題だから。」(;・`ω・´)





私「うぅん、もう十分結構です!

はい、さよならぁ!」(#^ω^)





四季子ちゃんは、全体重を乗っけて、私を椅子に縛り付けるのに成功した。





四「はぁはぁ、さっきのはなんなのよ。

アタシが真剣に話をしているっていうのに!」(`Д´*)q





私「いや、だから、アタシのお母さんに関する秘密情報でもなんでもないじゃない。

聞く必要あるかって話。」





四「はぁ?だから、こっから本題。

さっきのは一つ目って言ったじゃん!」ヽ(o`Д´o)ノ





私「たかがしれてるね。

もう、十分堪能いたしました。

では、さいなら!」





再び四季子ちゃんが全体重をかけてきて、私を椅子から立ち上がれないようにしました。







四「ちょっとぉ!もうちょっと聞いてよぉ!

もったいぶった意味がないじゃない。」(# ゚Д゚) 





私「もったいぶる必要もなくてよ?

おばかさん。」(#^ω^)





四「ちょっとぉ!なんで、アタシの事をバカにするのよぉ!」゛(`ヘ´#)





私「バカをバカと言って、なにが悪いんですか?

アンタはバカです、ほんまもんのバカです、黄金に匹敵するほどのピッカピカのバカです、殿堂入りしてもいいくらいの純金製の大バカですよっ!

さぁ、十分ですかっ!

アタシみたいな庶民のことなんて、構わずほっといてくださいっ!」





二人して、力比べをしている感じになっています。

四季子ちゃんは、私の両肩に体重をかけてきて、私は自分のひざの力で立ち上がろうとしています。



肉付きのよい、四季子ちゃんに軍配があがりました、私はなかなか立ち上がることができなかったのです。





四「はぁはぁ、ちょっと待ちなさいよ、これから肝心の事を言うから。」(><;)





私「だから、いらないっつってんでしょ!

離してよっ!」(゚Д゚)





四「だから、今から話すから!」





私「だから、そっちの話すじゃないわ、ばぁ~か!

消えろっ!」(`Д´*)





四「むきぃ~、なんですってぇ!このアタシをバカにしてただですむと思わないでちょうだい!」(゚Д゚#)





私「知ったことか、この勘違い野郎!死ね!」(#^ω^)





四「むきぃ~、なんて下品な!

これだから、田舎の子は嫌いよぉ!」(#`皿´)





私「オメーもだ!

どっからどうみても、芋くさい田舎もん丸出しのくせして、なにほざいてるっ!

離せっ!うぎぎ。」(`(エ)´)ノ





四「ざけんじゃないわよ!

離すもんですかっ!むぎぎ。」ヽ(o`Д´o)ノ





なんか不毛な消耗戦がしばらく続く…。

以下省略。











いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
  

カッ!!



怒りで頬が紅潮するのが、分かった。



カッと頭に血がのぼったが、四季子ちゃんが握っているという情報を確かめなければ。

十中八九、彼女は私の母親のことについて詳しくは知らない。



なにか、勘違いを起こして、知っている気になっているだけだと思われるが、それが確かなのかを確かめねばならない。



この時の私の年齢は11歳。

まだ幼い少女である。

この時の、私への心理的負担が、どれほど強いものだったのか、まだ私は理解をしていなかった…。





四「ふふ。

面白い顔。

こんな平坦な顔に生まれて、残念ねぇ…。」(´_ゝ`)





四季子ちゃんは、満足そうに鼻高々にアゴをあげて、こちらを見下してきた。

四季子ちゃんという女の子はとても鼻が高い。



学年で1・2を争う高さと言ってもよく、まるで外国人のようで、小さな顔には付け鼻かと思われるほどバランスが悪い。



後に成長した四季子ちゃんにとっては、それほど違和感がなくなるが、まだ幼い小さな顔の中に収まっている分には、まるでコメディアンの付け鼻のようである。



彼女は鼻の高さが、美の高さを表していると思っている節がある。



どうでもいいが、口元からチョロリとのぞく、二本の前歯がどうしてもビーバーやリスを連想させてしまう。



自分のルックスに絶対の自信を持っている四季子ちゃんは、私のルックスもけなしてくる。



顔のことなど、どうでもいい、早く母親の情報が欲しい私はぐっと息を飲んで、続きの言葉を待っていた。





四「ふふ、みっともない顔…。

もぉ、四季子、信じらんなぁい、こんな顔で道路歩いて、学校にこれるなんて…。

四季子なら、気絶しちゃあう!」(つ∀<。)





どっかで聞いたセリフである。

そう、5年生の時、私に熱湯をかけてきた、吉崎愛ちゃんとまったく同じセリフを使っていることに、この時の私は気づいていない。





私「…早く教えてよ。」





パアン!





四季子ちゃんは、私の机を強く叩いてきた。

周りの児童が、何事かと振り向く。





四「まぁまぁ、そんなあわてなさんな。

ゆっくり、たっぷり、教えてあげるからぁ~。」(`∀´)





四季子ちゃんは、ニヤニヤとうすら笑いを浮かべながら、私にねっとりと絡みつくように言った。

この子は、すこし金属質でザラザラした聞き苦しい声質をしている。



ただ、お話するだけでも、不快な声の持ち主のうえに、滑舌が悪く、鼻にかかったような甘えた話し方をする。

そのうえ、このねちっこさだ。



私の中の不快指数が急上昇するのを、ぐっとこらえて、次のセリフを待った。





四「ふ、そうねぇ。

どこから説明しようかしら?



まぁ、そうね、やっぱりお母さんよね…。

しんじゅちゃんのお母さんが、なにをしたか。



そして、しんじゅちゃんのお父さん、お兄さんたちが、なにをしなかったか…。

それをお知らせしなくちゃね!

きゃはっ♪」ヽ(*>∀<*)ノ





私「さっさと話してよ。」





パアン!





また、机に手を叩く。





四「はぁ!?誰に向かって口きいてんのよ!

このブスっ!」(`Д´*)q





私「……。」





四「いやん、ごめえん、四季子、ちょっぴり興奮しちゃった♪

じゃ、ゆっくり話すね、しんじゅちゃん♪」(*`▽´*)





四季子ちゃんは、両手でげんこつを作り、あごの下にくっつけるしぐさをして、口の端からぺろっとベロを出した。





めまいを覚えた。



未だかつて、これほど醜悪なてへぺろを見たことがないと思ったのだった。












いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
  

上田四季子という女の子はあまり深い考えを持っていない。



それは裏を返すと、細かくねちこく人を攻撃するということができない人間でもある。



この子のこの時のこの口の悪さは、この子の本来のものではない。



しかし、この時の私は、小宮雅子が私の家からお金を払わず持ち去った、つまり盗品を四季子ちゃんに与え、四季子ちゃんを洗脳しているということに、まったく気づいていなかったのだ。

ってか、今年になるまで気づいていなかったので、この時のやりとりは完全に四季子ちゃんの意思で言っていると思っていた。





四季子ちゃんの暴言に、いい加減うんざりした私は、ご丁寧にもいちいち相手をしてしまっている。



本来なら、ここまで自己中心的な人間と関わったなら、気配を消して立ち去る、という方法が一番上等な策なのだ。





私は、この、上田四季子という女の子を見くびっていた。

担任の赤木先生には失望を隠しきれなかったが、私はこの女の子の口の悪さに負けるとは考えていなかったのだ。



この子がどれほど、他人の痛みに鈍感な人間であるか、それを真の意味で理解をしていなかったのだ。



この時、教室にいた子供たちは一人残らず戦慄を覚えることになる。



この日が、四季子ちゃんが、クラスメイトにまだまともな人間として相手をしてもらえていた、最後の日となることを、彼女はまだ知らない…。







私の言いように、腹を立てた四季子ちゃんは、鼻息あらく、ふんむ~と、深い呼吸を繰り返していた。

正確には息を吸い込む、そちらに強く力が入っている様子で、この息づかいが出たあとは、おそろしいほどの噴火が待っている。





パアン!





四季子ちゃんは、私の机を勢いよく叩きつけて、自分に注目を集めた。

劇場型の四季子ちゃんは、自分をないがしろにされることを一番に嫌う。





四季子ちゃんは、唇の片端を引き上げた、なんともいやらしい笑い方をして、腕組みをして私に言い始めた。







四「ふ。

アタシは親切な人だからぁ?

しんじゅちゃんに、一つ、忠告してあげる。」(`∀´)





私「結構です。」







四「ふ、まぁ、聞きなさいよ。

アンタが気づいていない、どうしようもないことを教えてあげるんだから…。」







私「いりません。さっさと立ち去ってください。」





四「いいのぉ?そんな事言って…。

ふふ、大事なお母さんの事よ?

それ、知りたくない?」





私「え…。」( ̄□ ̄;)





私は不覚にも、四季子ちゃんの戦術に引っかかってしまった。





四「ふふ、大事な話なのよ。

しんじゅちゃんのお母さんについての事…。

私だけが知っている、秘密があるのよ…。」(`∀´)





私「え…なに…。」( ̄□ ̄;)!!





私はつい、つられて、そう答えてしまった。





四「ふ…。

まぁ、なによ、その顔…。

お母さんの情報が欲しいんでしょ?

なら、言うべき言葉があるんじゃない?

ほら。」





私「なによ…。」





四「『お願いします、私に教えてください。』よ。」





私「情報の出処が不確かな上に、先にお礼を強要するようなやつの話はきく価値ないね…。

あっち行ってくれる?」( ̄^ ̄)





四「ふ…。

いつまで、その顔でいられるかしらね…。

自分たちがどんだけみっともないマネしたか、まだ気づいていないんだから…。」





私「不愉快なのよ。

さっさとどっか行ってちょうだい…。」





四「ふふふ。

そんなすました顔していられるのも、ほんのあと、ちょっとね…。

ねぇ、しんじゅさん。」





四季子ちゃんは腕組みをして、いやらしい感じで笑いだした。





なんとなく周りの児童が遠巻きに見ている。



しかし、はたからは笑顔で話しかけているように見えるらしくて、それほど注目を浴びているわけではなかった。





四「しんじゅちゃぁ~ん、知りたいでしょぉ?

お母さんの事、うぅん、お父さんと、お兄さんも関係してくるかなぁ?

さぁ、ほら、知りたいでしょ?

知りたかったら、言いなさいよ、教えてくださいって。」(`∀´)





私「断るわ。」





四「そんな事言って、いいのぉ?

お母さんの名誉に関わることよぉ?

大丈夫ぅ?

お母さん死んじゃったんでしょぉ?

それなら、お母さんの名誉を守るために、アタシに教えを乞うべきじゃなぁい?」(´_ゝ`)





私「………。」





私は胸がざわざわしてきた。



お母さんが病死した原因は、小宮雅子に脅迫されていたからだ。

ゆすり、たかりのネタとして小宮は私の母親が中学生の時に性的暴行された事実を、この町有数の旧家でもある父親の実家にばらすぞと恐喝を繰り返してきたのだ。



私はそれを思い返して、もしや、ひょっとして、この子がどこかで聞きつけたのではないかと、胃がきゅっと縮むような思いがしてきた。





四「ほらぁ~、顔色が変わった。

うふ、さ、言いなさいよ、アタシに。

『黄金の価値をもつ、四季子さま。

どうぞ、私に大事なことを教えてくださいって。』」( ̄▽ ̄)







私「……。」





私は脂汗が出てきた。

もしかして、お母さんを、お母さんの秘密を、この子が知っていたら…。

それをバラすと言われたら…。



お母さんが、自分の命と引き換えに、私たちが誹謗中傷されることのない生活を送れるようにと守ってくれたのを台無しにされてしまっては…。



あぁ、死んだ後も、お母さんは辱められるのか…。

まさか、そんな、ひょっとして、四季子ちゃんが、その事実を知っているのか…。



いいや、ゆさぶりだ、どうせたいしたことない…。

そう、そのはず…。





四「さぁ?どうするの、頭のいい子、しんじゅちゃんなら、どうしたらいいか、当然わかるわよねぇ?

さ、言いなさい、アタシの言うことにしたがえないっていうの!」(`Д´)





私「…教えてください、四季子さん…。」(・・;)





四「はぁ?声がちぃさい!

もっと、大きな声で!

それに黄金のってのが抜けてるわよ!

さぁ、どうしたの、言いなさいよ!」ヽ(`Д´)ノ





私「…黄金の価値のある上田四季子さん。

どうか、私に大事な情報を教えてください!」(><;)





四「キャハハハ!

このまぬけづらっ!

いいわよ、おしえてあ・げ・る!



四季子、優しいんだからぁ!

しんじゅちゃんのお母さんが、いかにくだらなくて、そのまわりの家族がどれほど愚かかってことをね!



思い知らせてア・ゲ・ル!!」ヽ(*>∀<*)ノ












いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
  

どこまでいっても自分都合で物を言う、四季子ちゃんに苛立ちながらも、赤木先生が見放すのもわかる気がしてきた私でした。



どうやら、バカにつける薬はないらしい、さっさと会話を切り上げたほうが得策だと考えました。





私「あ~そ~、かわいい子はとくよね~(←棒読み)

じゃ、そゆことで。

友達つきあいはなしで。

さいなら。」





四「えっ!?

なにそれ、アタシからの誘いを断る?

どゆこと?」∑ヾ( ̄0 ̄;ノ





私「………。」





私は再び本を手にとって、ページをくり始めました。

それを再び四季子ちゃんは、パン!と、手で押さえてきて、読書の邪魔をしました。







四「あの、言ってる意味がわかんないんですけど?

どうして、四季子の誘いを断れるワケ?」( °д°)





私「………。」





再び本を取り返して、ページをめくり始めます。



四季子ちゃんは自分の両手で自分の頭を抱えるしぐさをして、オーバーアクションで体をくねらせました。





四「おーのー!ダイジョブ?しんじゅちゃん、頭大丈夫!

暑さでやられちゃったんじゃない?

アタシみたいなかわいい子と友達になれるんだよ?

そんなチャンスないよ?後悔しない?」





私「しません。サヨナラ。」





四「えっ!?だって友達だったでしょ?

じゃ、元に戻れるでしょ?

なにを意地張ってるの?頭おかしくない?」





私「おかしくて結構です。

今後は付き合いませんから、じゃ。」





四「えっ!なになに?

もしかして、ドッキリ?

どこかにカメラあって、四季子の事、撮影してるとか?」Σ(=°ω°=;ノ)ノ





私「……。」





四「意味が分かんないんですけど?

こんな可愛くて、賢くて、優しい四季子とお友達になれるんだよぉ?

なんでなんで?」







私「出口はあちらです。

さよおなら。」







四「…ふざけるのはよしてよ。

アタシが優しく言ってるウチにはいはい言いなさいよ、八百屋の娘の分際で…。」







私「はぁ。またですか。

いい加減にしてくださいよ、人の親を悪くいうのは。」





四「人の親じゃないでしょ、あんたのことを言ってんのよ。

卑しい人間のくせに、えらそうに勉強できるフリしてんじゃないわよ。

何様のつもり!?

人の迷惑考えずに毎日学校にきて、どこまでずぅずぅしいの!

消えろって言ったら、消えるもんでしょ!マトモな頭の人間なら!」(#`皿´)





私「その言葉そっくりそのままお返ししますけどね。

はい、さよぉなら。」





四「きぃ~!!

なにそれ、なにそれ!アタシのことをバカにしてぇ!

アタシ四季子なのよ!

黄金に匹敵する宝物みたいな女の子なのよっ!

こんなアタシに声をかけられて、光栄じゃない!

なにをえらそうな口をきいてんのよ!しんじゅの分際でっ!」(((*`皿´*)))





私「あ~、私はあなたの子分でもなんでもないんで。

そんなに殿様気分が味わいたいなら、近藤さんとやったら?

ほら、いつも汚物片付けてくれて、まったく下女扱いしてるじゃない。」





四「はぁ?なんなの、それ。

アタシに口答えするきぃ!

このどブスがっ!」(゚Д゚#)







私「そうですか。

よかったですね、上田さんは美人で。

はい、降参、参りました。



では、さよぉなら。」





四「きぃ~~~~!!」(((*`皿´*)))







四季子ちゃんは肉付きのよい体をブルブルと震わせて、私を睨み返してきていました。

私はイライラしていたので、四季子ちゃんの異変に気づいていなかったのです。












いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓