窓ガラスが強風にあおられて、バンバン音を立てていました。


友人F「しっかし、お前、よくそんなポンポン年代とか言えるよなぁ。

ホント、社会の教師とか向いてるぞ?」


私「お褒めに預かり、恐悦至極にございます。」


友人F「それに、さっきなにげに言ってたけど、日本に大災害が来るってことだろ?」


私「…あぁ、まぁ、多分、大地震だろうなぁ…。

日本火山多いし…。」


友人F「お前さ、それ極めれば、なんかスゴイ事、できんじゃね?」


私「残念ながら、それは無理なんだ。」


友人F「いや、お前のポリシーは分かってっけどよ、なんかもったいなくね?」


私「いや、信念がどうこうっていう問題じゃなくて、この能力は今がピークなんだよ。

第二次成長期の不安定なホルモンバランスとかも影響していると思う。

小学校に上がる前までは、またちょっと違う感じで能力があったんだけどさ。

いったん、消えちゃったんだ。

そして、中学2年くらいから頻繁に霊現象に遭遇するようになって、今に至るって感じで。

いずれこの能力は自動的に消滅する。

20代までは、まだ少しは残っているだろうけれど、30代ではもう使えなくなってると思うね。」


私がちょっとずれかけたメガネのフレームを指先で直して、チラっと横目で窓を見ます。

窓ガラスの枠がガタガタと音を立てて、窓ガラスがバンバンと叩かれています。


友人F「え?それ無くなっちゃうの!?」

私「あぁ、おそらく。

もともと霊能力なんて、蛇の足だよ。

古代の人間には常に生命の危険が付きまとっていた。

その状況で生き抜くために、第六感という感覚が研ぎ澄まされていたんだと思う。

この便利な現代では不要の能力だ。

遠方に住む人間の気持ちを知りたいと思ったら、電話なりFAXすればいい。

テレパシーなんていらないだろ。」


友人F「え、なんか、そう聞くとそっけない感じするな。」


私「詳しくは省くけど、この能力を持っていると、なにかと不便なんだよ。

極力関わりたくないってのも本音だし。

それに社会人になったら、この能力の事は誰にも言わないつもりだ。」


友人F「なんでだ?せっかくだから、周りの人間の、何かに役立てればいいじゃないか?」


私「特殊能力なんだぞ?

なにか、不可解な事件が起きた時、真っ先に疑われる。」


友人F「なんだよ、どんな場合だ。」


私「例えば、会社で機密文書が無くなった。

紛失したのか、誰かが盗んだのか、皆疑心暗鬼になる。

普通なら金庫に入れて、暗証番号を知っている人物しか開けられないから限られた内部の人間の犯行だと思われる。

で、私が人の頭の中が視えるだなんて知られていたら、コイツなら暗証番号を盗める、と疑われてしまう可能性がある。

自分が経営者にならない限り、この問題は付きまとう事になる。」


友人F「うぐ、確かに。」


私「そうでなくても、自分の考えていることが他人に読まれている、となると誰だって気分がいいはずがない。」


友人F「そうか、いいことばかりを考えているとも限らないしな。

悪い奴ほど、嫌われちゃう訳か。

でも、なんか役に立てれないのかな~?」


私「無理だ。

例えば、殺人事件の犯人がわかったとする。

でも、警察は証拠がなければ、逮捕できない。

霊能力で分かりました、なんて、物的証拠の前にはカスみたいなモンだ。

聞き込みや裏付けなど地道な捜査を続けていた刑事さんたちには、なめとんのかと怒られる。

捜査を攪乱した迷惑人物ぐらいにしか思われない。

逮捕も起訴もできない。

検察官を納得させられるだけの証拠がない限り、事件はどうにもならない。」


友人F「うぐ、それもそうか…。

じゃ、なんか予知でさ、いい感じのものを作るとか。」


私「霊能力はそれほど万能じゃない。

逆に考えてみろよ。

例えば、車を買った。

その車は霊能者が視て、事故らないと判断したから、お店に出してたとする。

大金出して、そんな危なっかしい車に乗れるか?

車を世の中に出すには、技術屋さんが知恵を絞っていい性能のエンジンやボディを作って。

何度も何度も走行テストをしたうえで、耐久性や故障トラブルが発生しないとデータがとれた上でやっと市場に出回るものなんだ。

地道な検査と統計を取り、性能テストのコツコツとしたデータを積み上げた結果が製品として市場に出回る。

霊能力なんてものより、普通の人間の地道な努力の方がよっぽど貴重で大切なんだよ。」


友人F「ぐ、そう言われると私もそんな車買いたくないしな。

アレ?もしかして、霊感ってそんな役に立たない?」


私「だから、最初からそう言ってるでしょ。

歴史を見ても、霊能力で天下とったるってうまくいった奴いないじゃん。

むしろ迫害されまくりだよ。

もうもう、霊能力があるから、特別な人間だとかほざいている奴、アホじゃないの?って、思ってんだよ。

普通の人間の努力ナメてんだよ。死ね!」


友人F「あぁ、ハイハイ、お前宗教団体嫌いだもんね、分かった分かった。

ふぅ~、つーか、お前いったいどれだけ宝の持ち腐れしてんだよ。

あぁ、なんかもったいな!

せっかく持ってんのに消えちゃうのか…。」


私「霊感は持っている方が不便だし、今すぐ消えてもらいたいぐらいだ。

私の近未来の予知だと、普通に生活をしていて、霊能とは無縁の様子だった。

ただ…。」


友人F「なんだよ。」


私「もしかしたら、霊能力が復活する事があるかもしれない。

それは、私自身の身に命の危険が迫った時か…。

あるいは、この国に有事が起きた時なのかもしれないね…。」



ガタガタガタガタ。

バンッ!バンッ!

窓ガラスが激しく叩かれる音だけが教室に響いていました。










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