用務員のおじさんの話にすっかり心ときめいてしまった私は、思い切って話始めます。


私「あんなぁ、オッチャン、しんじゅの話を笑わんと聞いてくれたんは、オッチャンが初めてなんやぁ。」


用「そうやったか?そりゃ、さみしいこっちゃ。」


私「そうなんやぁ。しんじゅさみしかったんやぁ…。

お父さん、お母さんに言っても、笑って無視されるか、頭が弱いかわいそうな子やって言われるんや。

そんで、泣き出すと、親を困らせる困った子だとか余計にからかわれるんや。」


用「そやったかぁ。

親御さんに信じてもらえへんかったら、そりゃ、辛かったろうなぁ。」


私「小学校に来ても、誰もしんじゅの言うこと信じてくれへん…。

気持ち悪い、宇宙人とか、バイキンあっちいけとか言われてまうんや。

そやから、いつも一人ぽっちや…。

友達もよう、うまく作られへんのや。」


用「嬢ちゃんはいい子や?

同じクラスの子達に見る目がなかったんちゃうかな?」


私「しんじゅが悪くないんか?」


用「おっちゃん、知っとるで?

嬢ちゃんは礼儀正しくて、素直ないい子やって。

いつもそう思っとる。(笑)」


私「オッチャンなぁ、アタシの事否定せぇへんかったんや。

そんなん、初めてやし、ずぅ~っと先生に否定されまくっとったんや。

毎日毎日バカにされて、クラスでも笑いものにされるか、無視されとる。

アタシはそんなに悪い子なんやろか…って苦しかったんや。」


用「嬢ちゃんはなぁ、どないしても目立つんや。

何をしとるわけでもないのに、目を引く。

その上、かわいい顔しとるで、どうしても同年代の子にひがまれるわ。

この学校でワシが助けた子たち、みんな普通の子やったわ。

何か悪さしたわけでも、他の子をバカにしたわけでもなく、やたらいびられたんや。

嬢ちゃんはそれだけやなくて、顔も上品やさかい、余計に風当たりがきつぅなるんやろなぁ。」


私「アタシの顔がかわいい!?」


用「そうやぁ!将来女優さんも夢やないでぇ。

しかも、現実主義で頭もいい、出世まちがいなしやで!(笑)」


私「そんなん、認めてもらえたんも初めてやぁ…。

なんで、用務員のおっちゃん、学校の先生やないんやろ…。」


用「はは!ワシ教員免許あらへんからな!

そんな頭あらへんわ!」


私「なんで!
オッチャン、アタシが知っとる大人の中で、一番話分かるで?

お父さんなんて、何言っとるんかよく分からんもん!

オッチャンは頭の回転も早いし、アタシの言っとること全部理解しとる。

そのうえ、余裕まで感じるわ。

物知りやし、こんなに頭のいい大人しんじゅ他には知らんで?

どの担任の先生より頭いいと思うわ!」


用「あはは、認めてくれてありがとさん。

おっちゃんの家は貧しかったんや。

おっちゃんが子供の頃、学校に行くだけの金が無かったから、中学出たら働かなかんかった。

そやから、こんな用務員の仕事しとる。

でも、おっちゃん、子供のこと好きやし、いい仕事やと思っとる。

おっちゃん、この仕事に誇りもっとる。」


私「今から学校の先生にはなれへんの?」


用「学校の先生になるには、大学行って、教員免許をとらなかん。

それで採用されれば学校の先生になれるけど、定年は60才や。

今から学校に行っとったらすぐに定年になる。

もう、無理やな(笑)」


私「大学に通うのに4年かかるから、学校の先生になれても、しんじゅが卒業した後になるんやね…。

今すぐおっちゃんに先生になってもらいたかったんや…。」


用「ごめんなぁ。
こんなおっちゃんで。」


私「ちゃう、おっちゃんが担任の先生になってくれたら、どんなに嬉しいかって思ったんや。

そしたら、毎日会えるんやないかと思ったんや。」


用「あはは、同じ学校におるで?
いつでも声かけたってや?」


私「そんでも、おっちゃん仕事あるし、いつも声かけれるとは限らへん。

アタシも家帰ってお店手伝わなかんし、そんないつも会えれへんわ。」


用「嬢ちゃん、家の手伝い頑張っとるな、将来いいお嫁さんになれるわ!

アハハおっちゃんのこと好いてくれて、ありがとうな?(笑)」


私「!そうや…。
おっちゃん、アタシ、今もうすぐ10才やけど。

もうちょっとしたら、大人になるで、大きくなったらケッコンしてくださいっ!」


用「なんとまぁ!」


私「しんじゅのこと、認めてくれて、褒めてくれた。

アタシ、まだ子供やけど、もうちょっと待ってもらったら大人になる。

そしたら、おっちゃんとケッコンしたいわ!」


用「あはは!ありがとうな!

ワシ、嬉しいわ!

こんな年下のかわいい女の子からプロポーズされたわ!

ワシ、冥土の土産がまた一つ増えたわ!(笑)」


用務員のおじさんはにこにこしながら、私の頭をナデナデしてくれました。


私「おっちゃん…。」


用「でも、ごめんな!
おっちゃん、もう結婚しとるんや。
奥さんのこと世界で一番愛しとるんやわ。」


私「ほな、奥さんの次にケッコンして!」


用「あはは!
アカンアカン!
おっちゃん、嫁さんのこと、死ぬまで愛すと約束しとるんや。
せやから、せっかくの申し出やけど、嬢ちゃんとは結婚できへんわ。」


私「アカンの!?」


用「あはは!
ワシ、奥さんのこと、死ぬほど愛しとるんや。

お互い、そういう約束で結婚しとるし、かわいい娘もおる。
家族の幸せ壊せへんわ、そやからごめんな!」


私「しんじゅとケッコンしてくれへんのかぁ!(泣)」


私は涙をだーだー流して泣き始めてしまいました。


用「あぁあぁ、嬢ちゃん、きれいな顔が台無しやで!?(笑)

嬢ちゃんは、おっちゃんに助けられて好きになったと勘違いしとるだけや。」


私「そうなんかぁ…。
そやけど、おっちゃん、奥さんの空きができたら、しんじゅではいかんかぁ?」


用「あはは!
アカンなぁ!
お互い墓場に入るまで、一人やと決めとるん!

おっちゃん、奥さんのこと愛しとるで嬢ちゃんを二番目にはできんわぁ!(笑)」


私「そうかぁ!
家族大事にしとるんやねぇ!
おっちゃん、男前やぁ!

そんなおっちゃん、大好きやぁ!
しんじゅのこと断るおっちゃん、カッコイィわぁ!

ほなあきらめんとかん。
でも余計に好きになるわぁ!

アカン頭がよぉ働かんくなってきたぁ!」


用「あはは!
おっちゃん、ナイスガイかぁ!」


私「ナイスガイ?」


用「男前っちゅー意味やわぁ!

嬢ちゃん、ありがとうな。

こんな40も年上の男にケッコン申し込んだなんて、ノーカウントでオッケーやで?」


私「ノーカウント?」


用「勘定に入れなくていいっちゅー意味や!

嬢ちゃんの青春はこれからや!

いい男見つけて、女の子やなんて、恥ずかしがらずにプロポーズしに行ったって!

嬢ちゃんなら、きっと、相手の男、一発でノックアウトや!」









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