サ「そうそう、それでね、ヨシ君がちょっと声を落として話していたことがあったの。


『俺もしっかりとしんじゅに聞いたワケじゃないけど』って前置きをして。」



私「え…?」



サ「『あいつは俺には見えないものと聞こえない話をしているらしい。

保育園の頃から、時々見かけるんだ、あいつが誰もいないのに楽しそうに話をしているところを。

そして、時々俺たちに忠告をしてくるんだ。

今日は出かけるのをヨセ、足を怪我することになるからって。』」



私「そんな話…。」



サ「『それで、しんじゅの言った事を無視して出かけたら、ほんとに仲間内で足を怪我した奴が出た。

それに、俺たちがしんじゅの言うことを振り切って出かける時に、必ず足元に注意するようにって言ってた。

だから、俺たちも怪我が軽くて済んだことがあったんだ。


あいつは多分、自然と話をしている。

俺たちが感じ取れない、なにかと話ができるんだ…。

それを馬鹿にする奴がいるけれど、俺はいいと思う。

ただ、あいつは不思議なところがあるやつなんだって、そっとしておけばいいんじゃないかと俺は考える』って。


私もそう思うの。

きっと、ミオちゃんが、しんじゅちゃんの事を悪魔と呼ぶのも、しんじゅちゃんの不思議なところを感じ取ったからなのね。


私はね、黙っているわ?ヨシ君も黙っているんですもの。

不思議な力を持っていたとしても、しんじゅちゃんはしんじゅちゃんですもの。

何も悪いことをしていないんだから。」



私「…ありがとう。」



サ「…それでね、最後にヨシ君に言われたの。


『自分ができないことを人に頼むのも筋違いなんだけど…』って。」



私「えぇ?何を言ったの?」



サ「『お前には気の毒だけど、いつもつるんでるアイなんかはスカした薄情者だよ?

オレら全員同じ保育園で育ったんだ、元々そういう奴だったし、今はうまく演技しているけれどアイツ悪だよ。

あん時、真っ先にお前の事を悪く言ってただろ?

しんじゅが心配していた、お前きっと心に傷を負っただろうし、もう友達を信用できなくなるだろうって…。』」



私「あ…。」



サ「『どうせ、オレらの事を悪く言ってるだろうけれどな、アイツ嘘つきだし。

そんな奴より、しんじゅの方が信頼できる奴だぜ?

よかったら、友達になってやれよ』って。」



私「………。」



サ「私、ヨシ君にちょっと考えさせてって言ったの。

『まぁ、無理にとは言えねーけどよ。

お前がいじめられるかもしれねぇし…。』って。


私、お家に帰って、お父さんにこの話を聞いてもらったの…。」



私「そう…。」



サ「私ね、しんじゅちゃんが、動物好きだとか、音楽が得意なのはピアノを習っていたと知って、とっても友達になりたいって思ったの。

だって、知れば知るほど、しんじゅちゃんは、深みがある。


まったく、表面だけでは気づけない事がたくさん出てくるのよ?

きっと、お父さんは賛成してくれると、思ってた…。」



私「……それで?」



サ「お父さんは『ちょっと待ちなさい。もう少し考えさせてくれないか』って言ってたの。

『まだ結論を出すのは早い』って。

しんじゅちゃんのことは、最初から難色を示していたのよ…。」



私「………。」



サ「お父さんはね、最初からしんじゅちゃんは、私をかばって、代わりにいじめられているだろうって想像がついていたみたいなの。

学校を休んでいる間、そんなことは一言も言わなかったんだけれど。


そして、どんな考え方をする子か、一生懸命考えていたみたい。


お父さんが、しんじゅちゃんは、どういう子か説明してくれないかって聞いてきた時。


私、しんじゅちゃんをまともに見たときの事を思い出してたの…。」



私「え……。」




サ「ごめんね、いつも自分の仲がいい子たちだけでグループになっててしんじゅちゃんはあまり目に入っていなかったの。


普通にその他大勢の子ぐらいにしか、思っていなかったのよ。


でも、ふと気づいたら、友達とおしゃべりしていたら、しんじゅちゃんが、私を見てにこにこしていたの。


それまで、口数の少ない、おとなしい子だと思ってて、お話をあまりした覚えがなかったんだけれど。


こっちを見て、にこにこしてたから、きっと、優しい子なんだろうなって思ったの。


目立つタイプじゃなかったし、それまで、いつもうつむきがちであまり顔を気にしたことなかったんだけれど。


まつげが長くて、とても綺麗な目をしている子だなって気づいたのよ。

なんで、この子をみんなブサイクって言ってるのか不思議に思ったわ。」



私「え…。」



サ「とても綺麗な目をしていたの。

私、お月様みたいだなって思ったの。」









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