私「問題児?」



兄「あぁ、今年中3になるんだぞ?姉ちゃんは。

もう、来年は受験だ、その時に慌てるのは目に見えている。

くそ、こんなところにも母ちゃんを悩ませる人間がいたとは…。」



私「まぁ、でも、今から頑張れば。」



兄「甘いな。

今までサボっていた奴が、急に心を入れ替えるとは思えん。

だいたい、子供っぽい中学生だって、三年生になったら、受験を目前に控えているんだ。

みんな気を引き締めて勉強に取り組むことになるから、もう、スタートダッシュから出遅れているんだ、不利なこと、この上ない。」



私「そうなの?」



兄「あぁ、この調子ではあまり成績は芳しくないだろうな…。」



私「なんか、私の周りだと、やたらお姉ちゃんは堀越学園に行くんじゃないかって言われているんだけど?」



兄「行ける訳がない。

ここはド田舎だぞ?

スカウトが来ているならともかく、娘を東京に行かせるだけの甲斐性が父ちゃんにあると思うのか?


俺やお前は奨学生になって、進学する、ぐらいの気持ちで勉強に取り組まなくちゃならないんだ。

普通に考えて、兄妹4人ってのは、経済的に厳しいことこの上ないんだからな?」



私「う~ん、そんな頑張れるかなぁ…。」



兄「たわけか。

お前、それだけ記憶力がよくて、勉強ができません、とか言いだしたらぶん殴るぞ?

どれだけ下駄履かせられてると思うんだ。」



私「は?ゲタをはかせる?」



兄「生まれつき能力が最初から底上げされている設定だっていう話だ。

めちゃくちゃスタートダッシュが早いってことだよ。」



私「は?能力の底上げ設定?」



兄「お前や俺は生まれつき知能が高いって話だ。」



私「お姉ちゃんもじゃない?薫だって、すごいって言われているけど。」



兄「あぁ、基本的に俺たち全員高知能な子供として生まれているが、知能が高いからすなわち勉強ができる、とは限らないんだよ。

その、悪い見本が姉ちゃんだ。

こんなピカピカの教科書、見たことないぜ。

どれだけ勉強をサボっているかの証拠だ、まったく。」


兄は手に持っていた教科書を適当に開いて、テーブルの上に直角に立てましたが。

あっという間に本は閉じて、そのままぱたりと倒れてしまいました。


それは本に折れ目がついていないからなのでした。



兄「勉強はな、才能じゃない。

コツコツとどれだけ真摯に努力したかで、評価が分かれるんだ。


勉強に必要不可欠な能力は、さしずめ、忍耐力と理解しようとする情熱を持ち続けることだ。

それは知能の高い低いとは別次元の問題なんだよ。


いくら才能や能力が高い人間だからといって、それがすなわち社会に適応できる才覚とは限らない。


結局社会に歓迎される人間というのは、地道な努力をどれだけ続けられるかどうか、それが信用を生むんだ。

その判断基準として、どれだけ勉強ができるかで、社会側が学生を裁定している。


そういう心構えでいなければ、足元をすくわれるぞ?


俺から言わせれば、自分が頭いいと考える人間ほど愚かな存在はいない。


どれだけ自分が未熟かを認知し、分からないところは人に教えを乞い、自分に足りないものを補完しようと努力し続ける人間こそが、成熟した精神を持ち、尊敬に値する人間だと言える。


ちょっとばかし頭がいいからといって調子に乗って勉強をサボるやつが、一番ダメなパターンなんだよ。」



私「う~ん…。

でも、お姉ちゃんは思春期なんだし。

いろいろ気が散ったり、体調や気分が不安定になって、勉強に集中できないだけなんじゃない?」



兄「確かにそういう事情はあるかもしれないが、厳しい言い方をすれば、その条件はどの子供にも当てはまると言えるんだ。

その中で、どれだけ己を律して、勉学に打ち込めるか。

それが学生の本分なんだよ。」



私「う~ん、そう言われると、身もフタもないっていうか…。

まるで蟻とキリギリスのキリギリスの方だったんだね、お姉ちゃんは。」



兄「まさしくキリギリスだな。

そして俺やお前は蟻タイプだっていう話だ。」



私「お、コツコツ型?」



兄「そう、今のところ、お前は異様に厳しい環境に身をおいているが。

幸か不幸か、それがお前の学力を鍛えるような環境にもなっていると言える。


しかし、俺たち家族はある意味運命共同体だ。

一人が怠けて、進学に大量のお金を費やさねばならない状況となったら、必然的に年齢が下の子どもへそのしわ寄せが来る。


学力が高くても、経済的にはよその家に比べればかなり厳しいんだよ。

能力的に下駄を履かせてもらっても、結局その分が相殺されている。


甘えは禁物だって話さ。」










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