友人F「…いつもうまくいくとは限らない…。」


私「あぁ…。

多分、うまく行くほうが少ない。」


友人F「…せつないね…。」


私「うん…。」


二人して雨がしとしとと降る中庭を眺めていました。


友人F「アタシ、バカだったなぁ。

いい女だと言われて、チヤホヤされて、勘違いしちゃってたんだ。

あんな男に騙されて…。」


私「仕方ない、フクちゃんは、まだ十代だ。

20代の社会人の男性は大人っぽくて魅力的に感じてしまっても当たり前だよ。」


友人F「うん、なんか大人っぽかったんだ…。」


私「…待て、今、なんつった?

騙されてって言わなかったか?」


友人F「うん、アイツの女に責められた。

よくもアタシの旦那に手を出したなって…。」


私「…待て待て。今、なんと?

女に責められた?旦那に手を出した?

まさか所帯持ちか?」


友人F「うん、結婚してたの、知らなかったんだ…。」


私「…ほぉ。

それで、男は?」


私は腕組みをして、虚空を見つめました。


友人F「ううん、全然出てこなかった。

女に責められて、アタシがすごく悔しい思いをしているの知ってたくせに顔を出さずに帰れって…。」


私「…ほぉ。

なるほど…。」


友人F「アタシってサイテーだよな…。」


私「…この場合、最低なのは、男の方だ。

20代のいい年した社会人の成人男性がミドルティーンに手を出すだけでも淫行に等しい。

その上、不倫だと?

既婚を黙って、二股をしていただと?」


友人F「や、アタシも19才って騙してたし。」


私「フクちゃんが年をごまかしていたのはたいした問題じゃない。

どっちにしろ、未成年だし、男は不倫と知りつつ、若い女を騙して二股していたわけだ。

そして、泥仕合には自分は参戦せず、高みの見物とはなかなか…。」


友人F「だって、アタシも気づかなかったし…。」


私「気づかせないように、最初から男が騙しにかかっていたんだ。

フクちゃんは、悪くない。」


友人F「アタシ、悔しくて…。

ショックで何も言い返せなかったんだ。

女に慰謝料よこせとか言われて、ビックリして逃げ帰っただけだったんだよ…。」


私「………。」


友人F「なぁ、やっぱ、アタシが悪いのか!?

アタシがバカだったのか?

悔しいよ。」


私「………。」


友人F「アタシショックで。

悔しくて、八つ裂きにしてやりたいよ!」


私「………。」


友人F「なぁ!なんか言ってくれよ!」


私「………。」


友人F「なぁ、お前、なんで口元笑ってんの?

アタシの事、ほんとはバカにしてんのか?」


私「ふ。いや、すまん。

どうやら怒りが沸点を超すと、笑ってしまうものらしいな。


今、荒木飛呂彦先生なら、背後に極太のゴゴゴゴゴゴって効果音を入れているところだ。

今、空条承太郎ばりに怒りで頭が沸いているぞ?」


友人F「ナニ?

くうじょうじょうたろう?」


私「ジャンプ読んどけ。

…二つだ。

二つの情報を教えてくれるだけでいい…。」


友人F「は?」


私「男の名前と住所だ。

私に教えろ。

できれば、電話番号もあればありがたい。」


友人F「なにするつもりだよ。」


私「ふ。二つもあれば十分なんだがな。

この情報化社会、情報漏えいの危険性が叫ばれているが、まだまだ手ぬるい。

個人情報を二つ仕入れることで、この男の社会人生命を抹殺してやる。


フクちゃんは、何も心配しなくていい。

私自身も手を汚すことなく、この男を致命的なまでに社会での信用を叩き落してやる。

法の目をかいくぐってでも抹殺してやる。


なんなら数年、くさい飯を食える素敵な豚箱に入ってもらおうか。

私の全知能を傾けて、社会復帰ができないように叩きのめしてやる。

この際、多少の違法行為は致し方ない。」


友人F「え…。」


私「大丈夫だ、ちょっとした情報操作で簡単に人間を陥れることが可能だ。

私自身の手を汚すことなく、名誉を傷つけるなんて朝飯前。


ふふ、仮に捜査の手が及んだとしても、私自身は当事者とは直接かかわりのない第三者。

足がつきにくいし、もし仮に逮捕されたとしてもだ、


『友達がひどい目にあわされて、つい。

こんなことになるとは思いませんでした~!』


って、警察や検察官の前で真珠の涙を流してやるよ。

純真そうな女子高生がぽろぽろと後悔の涙を流す。

さぞや、大人の同情を買うだろうよ。

そしたら、結果を予測できない未熟な未成年がしでかしたことだ。

友達を思っての行動となれば、情状酌量の余地もあるし、初犯だ。

未来ある青少年の将来を思って、たいした罪にはならない。


それに比べ、いったん犯罪者のレッテルを張られ、名誉を傷つけられた市民の周りからの評価を変えるのは至難の業だ。

職を失い、親戚づきあいを断ち、住所を引っ越しするぐらいの事はしないと出直せないぐらいに、社会的地位を粉砕して叩きのめしてやる。

さぁ、教えろ。

男の情報をよこせ。」


友人F「…ぐ。

いいよ、そこまでは。

アタシにも、情ってものがあるし…。」


私「遠慮するな。

極力、完全犯罪にしてやる。」


友人F「いや、いい…。

やめてくれ。」


私「よかった♪

フクちゃんは、そう言うと思ってたんだ♪」


友人F「え。

じゃ、今の冗談だったのか?」


私「本気だ。

足がつかないように情報操作で人を社会的に抹殺する方法なんて、今の時点で20パターン想定してる。」


友人F「え。やっぱマジだったのか?」


私「フクちゃんは、やらないと答えると思っていた。

まぁ、情報を渡してくる可能性は、消費税程度だと考えていたよ。」


友人F「やっぱ、マジだったのか。

ビビったぜ。

もしかして、お前、怒らせたら一番マズいタイプの人間なんじゃねーか?」


私「やだ~ん、こんな善良な一市民を捕まえて、フクちゃんたら、ヒド~イ♪」


友人F「さっきお前社会人生命を抹殺するっつってたじゃん。」


私「本気本気~♪

やるとなったら、やっちゃうぞ♪

悪人に人権はないから、これは正義なの。

よい子は真似しちゃダメよ♪」


友人F「なんなんだ、お前。」


私「ふ。失恋だ。

すでに終わった話だし。

結果的に不倫だしな、相手の女から慰謝料を要求されるなんて、どこまでいってもフクちゃんにとって、部が悪い。

こちらには過失がないと言っても、頭に血が上った女にしてみれば通じないだろう。

男もこちらにつく気はないし、さっさと早く忘れるに越したことはない。

けどね、フクちゃんがやりきれないだろうと思って、仕返しをするのもアリかな、と。

女子高生に手を出して、しかも失恋後も不倫の加害者だと思わせてへこませる。

万死に値する所業だよ。

一万回死ね!

一回ぐらい社会的に抹殺されて当然だ。」


友人F「…アタシもほんとは復讐したいよ。」


私「ん、その気持も分かる。

男は結局おとがめなし。

こんな理不尽な話はないよ。

でもね、復讐を考え続ける間、フクちゃんは苦しみ続けることになるし。

仮に復讐を遂げても、つらい気持ちが残るだけだ。

そこに友達が自分の代わりに復讐の名乗りをあげる。

それを止めることで、私が犯罪者にならずに済むんだ。

フクちゃんは、友達を救ったことになる。」


友人F「でも、もし、アタシが頼んだら、お前やってたんだろ?

消費税程度の気持じゃなかった。

すごいドロドロした気持があったんだ、ヤバかったぜ?」


私「ん、そうだね、賭けだね。

でも、私はやっぱり最初からフクちゃんは復讐をやめてくれと言うと思っていた。」


友人F「なんで、お前、アタシの事を信じられるんだよ。」


私「友達だからだ。

フクちゃんに足りないのは、他人に信頼される、という経験と実績だ。

この経験が圧倒的に足りないと以前から感じていたんだ。

失恋を機会に、それを経験してもらいたかった。」


友人F「…お前、なんでそんな事言うんだよ。

なんで、アタシの事を信じられるって言うんだよ。


アタシが一番精神状態の悪い時の事なんだぜ?

一つ間違えば、お前を犯罪者にさせちまうところなんだ。

なんで、アタシみたいな人間のためにお前、犠牲になるみたいなことを平気で言えるんだよ。」


私「らしくねーな、フク。

珍しく理論武装か?

ガキがガキ相手に気ぃつかってんじゃねーよ。

つまんねーこと聞くな~。

そんなの理屈じゃねーだろ。

友達だからだ。」











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