簿記の授業中に教師が、教科書を読み上げながら生徒たちの席の間を縫うように移動していました。
私は、教師が近づく気配を察して、すっと机の上に置いてあるものを机の中にしまいかけました。
パンッ!
と、教師が私の机を手のひらで強く叩きました。
今の私の動きを目ざとく見つけて、勘付いたらしいです。
教師「…今のはなんだ。」
私「なんでもありません。」
教師「なんでもないのなら、今すぐ机の上に出しなさい。」
私はしぶしぶ、机の中にしまいかけた、チョコレートの小箱を机の上に置きました。
教師「なんだ、これは?」
私「菓子の空き箱です。」
教師「ここは、学校だ。
菓子を持ってきていい決まりはない。
没収だ。」
教師が菓子箱を取り上げて、持っていこうとしたので、私はとっさにそれを奪い取りました。
しかし、男性教諭はそれを許さず、二人で菓子の箱を引っ張り合いをする格好になってしまいました。
私「困ります!これはお菓子じゃないです!」
教師「何をぬけぬけと言い逃れを!
どっからどうみても、菓子だろうがっ!」
私「違います!これは空き箱です!」
教師「何を!空き箱ならいいという決まりはないぞ!
菓子を持ってきているのが問題なんだ!
食べ終わったから、証拠はないとでも言うつもりかっ!
没収されて困るものを持ってきているお前が悪いんだろ!」
私「違います!これは実用品ですっ!」
私が教師の手から、チョコレートの空き箱をひったくると、そのままスライドさせて、中身を見せました。
中にはちびた鉛筆が一本と、小さな消しゴムが転がっていました。
教師はゆっくりと手を伸ばし、私の手からお菓子の空き箱を取ると。
自分で空き箱をスライドさせたり、傾けたりして、何度も中身を見直して、私の机の上に置きました。
教師「………紛らわしい真似をするな…。」
私「…すみません…。」
それから数日後。
商業経済の授業を受けていた時のことである。
生徒にプリントを配り、問題を解かせている間、教師が生徒の席の間をゆっくりと移動していました。
私の席の隣に来たとき、男性教諭の手が、チョコレートの空き箱に伸び。
そっと、持ち上げて、左右に振りました。
カタカタと小さな音を立てて、空き箱はそっと机の上に戻されました。
教師「…疑った俺が悪かった…。」
顔を上げると、教師の背中が小刻みに震えていました。
それ以降、気のせいか、学校の先生たちが優しくしてくれるようになった気がしました。
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