父「せやなぁ。ワシにも分からへんし、お前にも分からへんよなぁ。」


私「うん、どないしたらえぇんやろ。

ケホケホ。」


父「あぁあぁ!

ワシが悪かった。

お前、今、調子悪いんや。

難しいこと考えんと、気ぃを楽にして、寝とき!」


私「うん…。」


父が私の布団の上に手を置いて、ポンポンと叩きました。


父「眠たないんか?」


私「うん、ぎょおさんねたから、ねむない。」


父「そぉか…。

なんか、話したろか?」


私「うん、いい。」


父「いらんか?

そやな、ワシ、あんま話うまくないでな。

アイツの方が、頭いいで、話おもしろいやろしな。

ワシでは物足りんか…。」


私「そやない。

おとうちゃんのはなし、おもろいで。

せやけど、いまはえぇわ。

つらいでかん。」


父「辛い?何が辛いんや?」


私「うぅ~…。」


私がぽろぽろと涙をこぼし始めると、父は慌てました。


父「どないしたんや!しんじゅ!

何が辛かったんや!」


私「うぅ~…ヒックヒック。

かわいそうやぁ。

かわいそうや…。」


父「なにが、どうしたんや!

誰がかわいそうんなんや!」


私「ひろしまのひとと、ながさきのひとがかわいそうやぁ。」


父「は!?

広島、長崎?なんの話をしとんねん?

お前となんの関係があるんや!?」


私「うぅ~…。

かわいそうやぁ、かわいそうやぁ。

ひろしまのひととながさきのひとはばくだんでまっくろこげになってもうたやん。

それ、おもうとかわいそうでしんじゅはアカンくなるんや…。」


父「は!

爆弾?

もしかして、広島の原爆の話か?

あっ!長崎もそうか…。

えっ!

もしかして、ワシが話した話か?

お前、それの事を言うとんのか!?」


私「うぅ~、ヒックヒック。」


父「あわわ!ほら、泣くなしんじゅ!

お前、泣いてもどうもならへんぞ?」


私「うぅ~、かわいそうやぁ…。」


父「ホラ、お前、泣いとる場合やないで?

お前、水ものまんと、そんなところで水つかってどないする?

水飲め、水!」


父は私を再びふとんからひっぱり出して、湯飲み茶わんに水を注ぎ、水を飲ませました。


私「ケホケホ!

もぉえぇ。」


父「そないな事言わんと、お前、もっと飲めや!

体力消耗しとんのやで?

水ぐらい飲まんと、どうもならへん。」


私「グスグス。

おとうちゃん、ひろしまのひとにみず、のませたってぇ…。」


父「は!?」


私「ばくだんでこうげきされたひと、まっくろこげになったやん。

いきのこったひと、じごくえずやったやん。

みずほしくて、かわにいっても、まっかでとてものまれへん。

まっくろになったひとがたくさんかわのなかにながされていたそうやん。


かわいそうに、かわいそうに…。

あつくてくるしいのに、みずものまれへん。

かわいそうや、みずのませたってぇ。」


父「はぁっ!?

お前、それ想像して苦しんどったんかいな!?」


私「おとうちゃん、ばくだん、ぴかって、たくさんのひとしんだいうたやん。

しんだならいいほうで、いきのこったひとのほうがつらかったとおもう、いうたやん。


からだ、やけどして、いたかったろう。

あつくて、のどかわいたろう。


ひろしまのひととながさきのひと、ぜんぶにみずのませたってぇ…。」


父「お前、そりゃ、無理だ!

お釈迦さまでも無茶な相談だぞ?」


私「ほんなら、おしゃかさまにたのんだってぇ。


しんじゅ、どないしたら、ひろしまのひととながさきのひとがらくになるか、わからへん。

そやから、おみず、のめたらちょっとはらくになるんやないかとおもうたんや。


おみず、たくさんよういしたってぇ。

おみず、ぎょうさんあれば、らくになるかなぁ…。


あめがふったら、からだらくになるかなぁ…。

あぁ、くろいあめふってもうて、かわいそうやわぁ…。」


父「仏性かっ!

お前、ホンマにワシの子か!

慈悲の心があるから、苦しんどったんかっ!」


私「おとうちゃん、ばくだんぴかっで、ひろしまのひととながさきのひと、ひとりのこらずたすけたってぇ。」


父「無理な相談やっ!

それは、お前が生まれるずっとずっと前の出来事や。

いくらお願いされても、どうもならん。


あぁ、ワシが悪かったんや…。

お前が泣く顔がみたくて、怖い話をしてまった…。


お前が泣くのをこらえるのが可愛くて、つい、あんな話を…。」


私「むりなんかぁ。

ほんなら、なんでおおぜいのひとがしんだんやぁ。

いきのこったひと、くるしいままやんかぁ。


しんじゅがうまれるまえから、ずっとずっとくるしいままやんかぁ。

かわいそうやわぁ…。」











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