父「おぉ、ヨシヨシ、もぉ泣くな…。

お前、それ以上泣いたら目ん玉とけてまうで?」


私が涙をぽろぽろこぼしているのを見て、父は私の頭をなでました。


私「めんたまとけてまうんかぁ?

しんじゅのおめめからでたみず、ひろしまのひとにのませたってぇ。」


父「…お前は何を言うとんねん。

どこまで慈悲深いんや。

聖(ひじり)か?

自分の身ぃは、自分で守らんとかん。

目ん玉無くなってまったら、お前が困るんやで?」


私「めんたまなくなったらこまるなぁ。


でも、ひろしまのひととながさきのひと、ひかりぴかっで、めんたまこげたんやろ?

めぇしろくにごったかもしれへん。


あぁ、めがみえへん、からだあつい。

しんどいやろなぁ、かなしいやろなぁ。


おみず、のませたいんや。

せやけど、むりなんかぁ…。


しんだだけなんかぁ。


おかあちゃんが、おさかなたべなさいっていっても、おさかなくろいやんかぁ。

めんたま、しろいやんかぁ。

えいようあるから、たべなさいっていわれても、よぉたべれへん。


ひろしまのひとと、ながさきのひとも、こんなんなったんやとおもったら、エラくてたべられへんのや…。」


父「お前、昼飯の焼き魚みて、そないなこと考えとったんか!

そんなこと言うたら、なにも食べられへんで!?


アカン、こいつ、想像力豊かや。

ワシがアカンかった、こないな繊細な子に悲惨な話聞かせた、ワシがバカやった…。」


私「ひろしまのひととながさきのひと、ぎょうさんしんだんや。

もぉ、かえられへんのや。


あぁ、いきのこったひと、かわいそうや…。」


父「…なぁ、しんじゅ。

アレな、実はおとうちゃんのでまかせや。


夢で見た、怖い話を、ほんとの事やと嘘ついて、お前に聞かせたんや。

せやから、お前が心配すること、なんもあらへんで?」


私は、体を起こして、父の顔をのぞき込みました。


私「…おとうちゃん、ウソはアカン。

ひろしまのはなし、おかあちゃんや、おねえちゃんや、おにいちゃんにはなしたら、ふぅーって、ためいきつかれたわ。


むかし、ほんとにあったはなしやって、ゆうてたわ。」


父「あれは!それはしんじゅを騙すために、家族みんなでウソをついてるだけや。

今のお父ちゃんの話が、ホンマの話やで!?」


私「おとうちゃん…。

しんじゅ、ためしに、おきゃくさんにもきいてみたんや。

きんじょのおばちゃんたち、みんな、こまったかおをして、そうや、いうとったで?」


父「お前が聞いたおばちゃんが性悪で、適当な事を言うとるだけや!

周りの大人のいう事を信じたらアカン!」


私「うらのいえの、おくさんにも、きいたんや。

あそこのおばちゃんも、かなしそうに、そうや、いうとったで?


おとうちゃん、あそこのおくさんは、ひんがあって、がくもあって、ここらでいちばん、しんようできるおひとや、いうとったやん。


せやから、しんじゅはうらのひとに、さいしょにきいたんや。

やっぱりよそのおばちゃんたちも、おんなじこと、いうとった。


せやから、おとうちゃんが、ウソをついとる。」


父「お前、一番手堅いところから、裏とっとったんかいな!

どんだけ賢いねんっ!

刑事かっ!

アカン、こん子の方が、ワシより賢い…。

アカン、ワシの方が、頭弱いわ。」


私「しんじゅ、だれか、それはウソや、いうてほしくてきいたんや。


しんじゅ、もうななつまでかぞえること、できるんやで?


でも、ぜんぶつこうても、ウソや、いうひと、おらへんかった。

ひろしまや、ながさきに、ばくだんおちたんは、ほんまのことやってん…。」


父「お前、年、いくつや?」


私「こんど、いつつになる。」


父「ほなら、今、よっつやんけ!?

お前、そんな幼いのに、きっちりワシを型にはめとる。

アカン、こん子、アタマ良すぎるわ…。


ワシの妻は化けモンか…。


どないして、ワシの子、こうも頭の出来のいい子ばかり産みよる…。

ホンマにワシの子か?


いや、全員、似とるしな、ワシの子に違いないけど。

アカン、こん子は特に頭良すぎる…。


上の子んたらぁも、大人顔負けの頭の出来やけど、こん子は性(しょう)が優しすぎる…。


アイツ、こん子を産む時、なんか願掛けしとらんかったか?

なんで、こないに仏性を持った子が生まれるんや?


アイツ、何を願ってたんや?」


私「はぁはぁ、おとうちゃん、おかあちゃんのこと、ばけもんいうたら、しつれいやで。

しんじゅたちのめんどうみてくれて、ほとけさまみたいなひとやで?

かんしゃせんとかん。

だいじにしたって。」


父「あぁあぁ、ホンマにお前、どんだけ気を使いよるん。

お前、母親に感謝しろ、なんて、普通四つの子が言うセリフやないで?


そんな風やから、いつまでたっても、体がよくならへん。

性が繊細すぎるんや。」


私「せんさいなんかぁ。

せんさいってなんやぁ。」


父「神経が細かいっちゅーこった。」


私「しんけいがこまかいってなんやぁ。」


父「お前みたいな事を言うんや。」


私「…わからへんわ。」


父「おぉ、そうやな。

アカンかった、お前、体しんどいやもんな。

なんも、気にせんと、ゆっくりしろ、いう事や。」











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