私「…おとうちゃん、しんじゅ、こわいんやぁ。」


父「何が、怖いんや。」


私「ひろしまでいきのこったひと、ずっとくるしいままやんかぁ。

かぞく、うしのうてもうて、かわいそうやんかぁ。」


父「あぁ、でも、お前が気にすること、ちゃうで?」


私「でもなぁ。

かぞくいなくなってかわいそうやん?

そんで、じぶんがいきとっても、てがない、あしがない、やけどある。

からだふじゆうで、まんぞくにはたらけへんのやろ?

ひとまえにでるのが、しんどくなっとるんやろ?

そやったら、あたらしいかぞくもつくれんのとちゃうか?」


父「そうやなぁ、体、片輪(かたわ)になってもうたら、もう仕事や結婚は無理やろうなぁ。

気の毒な話やなぁ。」


私「それになぁ、からだだけやあらへん。

ほうしゃのうあびたひとや、いうだけで、こどもになにかあったらいけへん、ってことで、けっこんもできんようになったって、はなしやないかぁ。

じぶんのかぞく、いなくなってしもうて、かなしいのに、あたらしいかぞくもつくれへんやんかぁ。

そんなん、かわしそうやんかぁ。

なんで、そないなめにあうひとがでてくるんや?

しんじゅがうまれるまえから、いまもずっとひとりでくらさんといかんやんかぁ。

かわいそうで、しゃあないんや。」


父「そうやなぁ、放射能でどこぞに異常あるとアカンいうて、体がきれいでも結婚を避けられる、話聞いたことあるなぁ。

出身がどこそこで、差別される話や。

同和問題と変わらんかもしれんなぁ。


なんでか、言うたら、やっぱ、戦争がアカンかったんやろなぁ…。

被害者には気の毒やけど、国全体がそういう流れやったから、どうにもならんかった…。

戦後の被爆者の保障もどないになっとんのか、よぉ分からんしなぁ。

たとえ、五体満足でも、差別は続くやろし、やりきれん話なんやなぁ。」


私「せんそうさんがわるかったんか?

ほなら、せんそうさんがこんかったら、よかったんか?」


父「そうやな、戦争が起きたから、そないな悲劇も起こる。

もう、戦争が来ないようにするしかないんやな。」


私「ほんなら、せんそうさん、うちに、こぉへんか?」


父「お前、戦争にさん付けはいらんぞ?」


私「しんじゅ、いつ、うちにせんそうさんが、くるんやないかと、こわかってん。

そしたら、おかあちゃんや、おとうちゃんや、おねえちゃんや、おにいちゃんや、あかちゃんとおわかれせんとあかんくなる。

もし、いきのこったら、ひとりでいきていかんとあかん。

そんで、あたらしいかぞくも、つくられへん。

こわいわ、しんじゅ、こわくてたまらんわ。」


父「戦争が来たら、そういうこともありうるけどな、今は戦争あらへんで、心配あらへんで?」


私「せんそうさん、こんか?

せんそうさん、おめめあかいんか?

せんそうさんは、かなぼう、ふりまわすんか?」


父「ぷぷ。戦争を人やと考えとるんやな。

よかった、子供らしいところもあるんやな、ホッとした。

そやな、戦争は起こさないに間違いない。

今は政府もアメリカさんと仲良くやっとるさかいに、戦争はきぃひんよ。」


私「せんそうさん、きぃひんか?

しんじゅ、ひとりにならんでも、えぇんか?」


父「そやな、戦争さえ、起こらなければ、そないな心配はあれへん。」


私「ほなら、なんで、むかし、せんそうはおきたんや?

そんで、いまもくるしんどるひとがいるのに、なんで、みんなきぃつけたらへんのや?」


父「ぐ。それは…。

情勢っちゅーのも、あるし。

日本も昔は軍国主義やったしな、鼻息あらくして、日本は神の国や、言うて、外敵を滅ぼしたる、いう勢いで世界にむかっておったんや。

日本だけやない、アメリカやソ連、中国も、そんな感じや。

皆が皆、野獣のごとく、外国を打ち滅ぼしたるいうて、狙いあっとった。

そういう背景があるな。

そんでも、日本は敗戦国や。

経済の立て直しが優先されて、被災者の保障は後回しにされた…。

子供も生まれへん、仕事も産業に貢献できへん。

弱者は切り捨てられた。

いずれ、順々に死んでいくさかい、そっちに手厚くするほど、この国の政治は綺麗に整ってへん。

簡単に言えば、日本の政治が未熟、いうこった。


庶民は自分たちが被害者にならんように、運よく生き残れるようにと祈っとく。

それくらいしか、できひん、っつーのが、実情やろな。」


私「あめりかさんや、それんさんや、ちゅうごくさんも、おんなじやってんか…。

それなのに、みんなでせんそうさん、こんといて、いうておしつけあいしとったんか?

せんそうさん、かわいそうやな…。」


父「いや、戦争は、どこの国も望んどらん。

せやけど、いろんな思惑が働いて、わざわざ起こしとるんや。


根本原因は、人間の愚かさ、やな。

他者を思いやっとったら、戦争なんて、起きるはずないんや。


ホンマの悪者は人間の心や。

それが、どないもない悲劇を巻き起こして、一見関係のない弱者が被害者にさせられる。

ほんまは政治が整っとったら、どの国でも戦争なんて、おきひんはずなんや。

政府が悪い。」


私「そなら、せんそうさん、おこさんとくことできんのか?

せいふがわるいからせんそうさん、きとったんか?

そんなら、せんそうさん、おこさんようにするのは、どうしたらえぇんや?」


父「そないな事、庶民にはどうしようもないわ。

今は中曽根さんが頑張っとるし、日本が戦争に巻き込まれる心配はあれへん。」


私「でも、むかし、あったんやろ?

きゅうにせんそうさん、くることないんか?」


父「ぐ。絶対は、無い。

戦争はいつ、どこで、起こるかは誰にも分からへん。

そしたら、悲劇は繰り返す。

せやけど、今から30年以上前、ほんまに日本は焼け野原にされた。

お父ちゃんも三重県の山奥に、集団疎開したもんや。

敗戦国から、今の日本まで盛り上げてきた。

そうそう、戦争を起こす真似はしぃひんと思うけどな。」


私「おとうちゃん、ぜったいはないんやね。

そしたら、しんじゅ、ひとりぽっちになってまうかもしれへん。」


私が涙をぽろぽろこぼして泣くと、父は私を立て抱っこして、背中を撫でてくれました。


父「そないな心配せんと!

今、中曽根さん、頑張ってる言うたやろ?

今は民主主義や、大衆の人気があれへんと、政治家もつとまらん。

そうして、政治家が頑張っとると、日本は戦争を起こさん、平和な国になるんや。

せやから、子供のお前が心配すること、あらへんのやで?」


私「なかそねさん、ってだれや?」


父「内閣総理大臣やで?
日本で一番エライ人や。」


私「ないかくそうりだいじんが、にほんでいちばんえらいひとか。」


父「そうや。
日本の政府の中心人物やで。

政治家の一番のトップっちゅー意味や。」


私「せいふがわるいとせんそうさん、くるいうたやん。

ひろしまのひとや、ながさきのひとが、いつまでもくるしみつづけとるんは、せいふがわるかったからやろ?」


父「ぐ、そうや。」


私「そんなん、まかせといて、えぇのか?」


父「ぐ、矛盾あるな…。

せやからぁ、子供のお前はなんも心配せんで、いいんや。」


私「せいじがわるいとせんそうさんくるし。

せいふがわるいと、エライおもいしたひと、ほっとかれる。

せいふのひとがせいじかさんやろ?

エライおもいしたひと、ほっとくのが、えらいひとのすることなんか?

そんなんで、にほんはだいじょうぶなんか?」


父「ぐぅ。
論破されとる。

アカン、やっぱし、こんガキ、ワシより賢い…。

いや、それだけ、この国の政治がお粗末っちゅーことかも知れへん…。

こんな年端もいかない子供が気づく矛盾をこの国の政治家は解消できてへんっちゅーこった。

お前の言っとることの方が、筋道が正しいわ。」


私「このくにのせいじがおそまつやと、またせんそうさんくるん?」


父「…あぁ、可能性はあるな。

残念だけど、それは否定できへん。」


私「そんなん、いややわぁ。

ひろしまのひとやながさきのひと、なんでしんだん?

ぎょおさんのひと、くるしいおもいして、しんでもうたんやで?

いきのこっても、いきじごくやし、かぞくもしごともなんもあらへん。

たいせつにしてくれるひと、おらへんのやろ?

しんじゅやったら、かなしくて、アカンくなる。」


父「…そないな事は、ぜんぶ、お前になんの責任もない話や。

そやのに、そんな、見も知らん、話したこともない人の為に、そんな泣くなんて、お前は繊細すぎるんや…。

性分やろか、優しすぎる。

上の子んたらぁも、泣きよったけど、こんなにひきずらんかった。

こん子は繊細で、頭が良すぎて、性根が優しすぎる。

これでは、神経が細すぎて、とても長生きできへん。


ワシの子とは、とうてん思えへん。

ワシみたく、ずぶとく、たくましく、ずぅずぅしいくらいにならんと世間でやってかれへんのやで?

お前は、もっと、アホにならんとかん。

自分の母親に遠慮して、めいわくかけたとか言うとったらかん。

もっと、ずぶとく、たくましくならんと。

こん子は、ワシがなんとかしたらんと、死んでまう。

いいか、しんじゅお前はアホや。

アホになれ。

頭使いすぎたら、死んでまうで?」


私「あたまつかいすぎたら、しんでまうんか?」


父「そうや、お前がいま、飯を食われへん、水も飲まれへんのは、他人に気を使いすぎてるんが原因や。

お前はもっと、たくましく、ずぶとくならんとアカン。」


私「せやけど、しんじゅはかなしくて、ずちない。
どないしたらいいんや。

しんでまったひとがかわいそうで、たまらん。

もぉ、せんそうさん、きぃひんようにするには、どないしたらええんや?

おとうちゃん、おしえたってぇ。」


父「そうやな、戦争が起きひんようにするには、日本の政治をよくしとかんと。

それには、国会がうまく回っていくようにしとかんとかん。

戦争を絶対起こさへん、そう心に誓った人間が、内閣総理大臣になれば、きっと大丈夫や。

だから、政治家にまかせとき。」


私「せいじかさんは、アテにならへんのとちゃうか?」


父「そうやな、ほんなら、いい人がなるように祈っとく。

それでええんやないか?」


私「いのっといて、せんそうはおこらへんのか?

ひろしまのひとや、ながさきのひともいのっとらんかったのか?」


父「ぐ、そうやな。

祈りでどないかなっとったら、中東の宗教問題もなんもないな…。

そやな、それならお前がいい大人になって、いい有権者になることや。

その一票で政治家を決めれるんや。」


私「せいじかをきめれる…。」


父「そうや、国民の投票で、国会に選出される議員が決定される。

これが直接投票の原則にのっとった、民主主義や。

なんなら、お前が政治家になってもいいかもしれへん。

お前、内閣総理大臣の娘とおんなじ名前だしな。」


私「わかった、おとうちゃん、しんじゅ、ないかくそうりだいじんになるわ。」


父「そやな…って。

お前、いきなり内閣総理大臣かいな!

さすがに、それは無理やと思うなぁ。

ウチ、金無いし、庶民やしな。」


私「アカンのか?」


父「アカンこと無いけど、お前みたいな事言うてる奴、飲み屋に山ほどいるしなぁ。

うぅ~ん、女性で総理大臣は今んとこいないしな、できたら面白いと思うけど…。」


私「おんなやとアカンのか?」


父「いや、アカン事ないけど、男より不利やなぁ。

せやせや!内閣総理大臣は無理やと思うけど、国会議員なら、なんとかなれるかもしれへんぞ?

お前がメチャクチャ勉強して、頑張れば、庶民でもなれるかもしれへん。」


私「おとうちゃん…。

こっかいぎいんて、なんや?」


父「はは。
そうか、当たり前か、お前、そんなん知らへんもんなぁ。

そやなぁ、お前、よく考えたらまだ四歳やもんなぁ。


まるで、大人に話すみたいに話とったけど、内閣総理大臣の意味も分からんよなぁ。(笑)

国会議員いうのは、国の政(まつりごと)を決定する会議に参加できる人のことや。

これも、投票で選ばれた、国民の代表の事やで?」


私「こっかいぎいんになるには、どうしたらえぇんや。」


父「はは。これも時の運もあるしなぁ。

まぁ、頭のいい奴には違いないだろうから、頭のえぇ奴が政を行うんや。

国の命運をかけたな。」


私「そぉか。ほんなら、アタマよくなればいいんやな…。」


父「そうや…って、お前、眠くなったんか?」


私「うん、すこしねる。」


父「そうや、話して、気が安くなったんやろな。

おやすみな、しんじゅ。

目が覚めたら、果物持ってきてやるわ。

精をつけんとアカンで?」


私「うん、おやすみなさい。」


父「そやそや、子供は寝て育つ。

よぉ寝るこった。」


私「うん、おとうちゃん、おやすみ…。

せやけど、おとうちゃんのせつめい、よぉわからんかったわ…。」


父「はは。

お前はバカにならんとかん。

繊細すぎて、生きてくのがしんどくてかなわんやろう。

これから、父ちゃんがお前の事をバカや、アホやたくさん言うたる。

お前は賢過ぎて、生きてくのがつらかろう。

もっと、図太くたくましく、おおきぃなってくれよ。」









いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
 

スポンサーサイト

(事故)12月京都不思議空間体験談①

繊細(少女時代65)

comment iconコメント ( 1 )

Rさん、コメントありがとうございます

コメントありがとうございます。
どうなんでしょうね?父も病んでいたのかもしれませんねぇ。
あーゆーふーに、時々賢くなったりする人なんですよ。
ふだんはほげげ~と陽気な感じで、なんも考えていない人なんですけど。
政治だけは勉強熱心な人で、政治の話題だけはいつも仕入れてほかの人とお話しておりましたよ。
子供としては、私が一番アホな子供の扱いを受けていたので、誰もなんとも思っていなかったと思いますぅ^^;

ぼちぼちやってきますぅ~。
ではでは☆

名前: しんじゅ☆♪ [Edit] 2015-12-16 22:24

コメントの投稿