私「お父さん、もう辞めて…。」



父「何を言っとんのや、しんじゅ。

お前が失敗をしでかすから、いかんのやないか。



なぁ、お笑いですやろ?

こいつ、小学4年にもなって、おねしょしたんですよ。

恥ずかしいやっちゃな、もう。



こんな子供を持つ、わしは苦労しっぱなしですわ。

奥さんも、そう思わっしゃるやろ?」



レジに並んでいた奥さんたちが、曖昧な笑顔で頷く。



私は目に涙をためて、父親に頼んだ。




私「恥ずかしいから、もう、辞めて。」



父「何を言うとるんや。

せっかくの話のタネやで?



お前がおねしょしでかすから、悪いんやろうが。

親に迷惑かけて、ごめんなさいと言うところやろうが。



なぁ、奥さん、お互い子供を持つといろいろ苦労しますやろ?

うちの子は、こう出来が悪くて、かないませんわ。(笑)

アハハ。」



私「お父さんが、恥ずかしいから、辞めて…。」



父「お前、自分の失敗を棚にあげて、ワシを悪く言うんか。

お前はワシに養われとるんやで。

親のいうことを素直にきいとくんが、子供の仕事やないか。



自分がおねしょしたのが、悪いくせに適当な事いいおってからに。

筋の通らんことを言い出しよって。



文句があるなら、奥に引っ込んどき。



ホンマに頭の出来の悪い子で、将来が心配ですわ。

なぁ、奥さん。

お宅のお子さんは、うちよりは出来がよろしいですやろ?

ワシはホンマにかわいそうな親ですわ。(笑)」



近所の奥さんたちが、曖昧な笑顔で頷いていた。



私は俯いて、走ってその場を去っていった。




自分でも失敗したとは思った。

最後におねしょをしたのは5歳の時。

まさか、10才でおねしょをするとは思わなかったけど、5年ぶりの事。

たった一回の失敗をずっと話し続けられてつらくてかなわなかったし。


父は私の失敗を面白おかしく、お店で来る客、来る客に話続けていた。

何日も、何週間もたくさんの女のお客さんに笑いながら話し続けていた。



お客さんの中には、同級生のお母さんもいる。

奥さんたちが、自宅に戻って、同級生の耳に入ると思うと、辛くてかなわなかったし。

実際学校で、からかわれてもいたのだった。




しばらく、一人一階の部屋で小さく体操座りをしてうずくまっていたら。



姉が通りがかった。




姉「わ、びっくりした。

何、あんた電気もつけないで。

何?泣いてる?

E(兄)にいじめられたの?」



私「うぅん、お父さん…。」



姉「あぁ、アイツね。

何、アンタの失敗をおもしろおかしく、話してたとか、そんなんでしょ。」



私「うん、私、何度もお父さんに辞めってっていったんだけど…。」



姉「ほっとけば?

アイツ、馬鹿だから。」



私「うん…。

でも、お父さんが恥ずかしいから、辞めてって言ったのに。

全然伝わらない…。

グス…。」



姉「アイツ自己チューだから。

アンタの優しさとか、思いやりも無視。

そんな奴の為に、あんたが泣くことないでしょ。」



私「あ…。

そうなの、かな…。

気付かなかった…。」



姉「恥ずかしいことでしょ?

他人の失敗を得意げに話し続けるって、どーゆー神経してんのって話よ。

自分が馬鹿にされているのに、あんたそんなやつの心配までしてやって。



優しい人じゃなきゃ、できないわよ。

でも、そういうの気づいてないの、アイツ馬鹿だから。



男は女に親切にしてもらって当然だと思ってんの。

自分がこの家で一番偉いと思ってるから、人の話耳にはいんないの。

アイツ、基本、無神経だから。



アタシ、もう期待してないの。

馬鹿だから、何言っても無駄なの。



さ、こっちいらっしゃいよ、あったかいお茶でも飲みましょ。

バカな男はほっといて、女同士話でもしましょ。」







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雑感なのですが。

空も飛べるはず(少女時代66)

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