電車で向かった実家には、最寄駅で父が車を出して、迎えにきてもらってお昼頃に到着した。

弟は家にいたが、まず、お父さんに話がある、と言って、二人で電気の入っていないこたつに差し向かいに座って、打ち明け話をした。


随分昔のことだけど、私にはこんな記憶があってね…と話を切り出すと。


私「…私の下半身を裸にして…で、お父さんは私のお股を舐めていた。」


父「児童虐待やないかっ!

そんなことした覚えないぞっ!」


私「うん、お父さんはそう言うだろうと思ったけどね、私にはこんな記憶があってね。」


と、話を淡々と続けていった。


お父さんにひどい暴行を受けて、心肺停止したこと。

翌日には血尿を出して、泣いていたけど、医者に連れて行ってもらえなかったこと。

他の人に話したら、もっと痛い目にあわせると脅されたこと。


父「そんなはずは…。

ワシはお前が一番可愛がっておったのに、そんなことをするはずがない…。」


私「うん、お父さんが覚えていないだろうってのは、そうなんだろうね。

この話は初めてだけと、同じような事を、19歳、二十歳のころにも話をしている。

お父さんは3才のこの時だけでなく、小学校高学年まで時々、火が付いたように折檻をしていた。

お母さんが亡くなってからも、暴力を振るわれて、中学生の時、私は何度も肋骨にヒビが入っている。

それを謝って欲しいと訴えたら、お父さんは私の頭がどうかしているんじゃないかって驚いていた。」


父「そんな事がっ!

ワシが何度も、しんじゅを痛めつけていたっていうんか!?」


私「そう、いつも、他の兄弟に隠れて、私を折檻していた。

中学生といったら、14~5歳の事で、それからたった5年後ぐらいでお父さんは何一つ覚えていなかった。

小学生の頃は口の中にゴミを突っ込んで、ガムテープで口を塞いで、両手両足を紐で縛って倉庫に何時間も閉じ込めておく。

口の中のゴミがつかえて、鼻水がでると、口を塞がれているから窒息しそうになる。

私は何度も死にそうな目にあっている。」


父「そんな馬鹿なっ!

なんで、そないなひどい事をワシがせんならんんのやっ!

頭おかしい奴やないかっ!

完全に虐待やないかっ!」


私「そう、お父さんは覚えていない。

いつも、暴力をふるっても、後始末をするのはお母さんだったから。

何時間も真っ暗な倉庫に閉じ込められていたら、糞尿が垂れる。

それを救い出すのはお母さんの役目だったから、お父さんに文句も言わないし、お父さんは気にもとめない。」


父「そんなはずは…。

お母さんは優しい女の人やった。」


私「うん、お母さんは優しい人だったと思うよ。

…いや、お父さんにとっては、優しい人だよ多分。

でもね、お母さんは優しい人じゃない。

私が血尿を出したことも、両手の爪が全部割れていて、お父さんに暴力を振るわれていたのも全部知っていて、私を助けなかった。」


父「そんなはずない。

お母さんは、優しい人やったで?」


私「いいや、それは違う。

お父さんに暴力を振るわれたことを、お母さんはお父さんに問いただしに行った。

その後、ボロボロになって、帰ってきて、泣いていた。

私はお母さんに、自分を連れて家を出て欲しいと言ったら、お母さんは断った。

世間体が悪い、おばあちゃんが許してくれない、お父さんに養われているから無理だと。

私は何度も、何度もお母さんに頼んだ。

けどすべて断られて、無視されるようになった。

お母さんは、子供がなぶり殺しになっても、構わない、と。

私はなにも悪くない、と。

お母さんは私の事を見殺しにしていた。」


父「そんなこと…全然身に覚えがないぞ?」


私「お父さんにお母さんは文句を言わなかったんだろうね。

子供が暴力を振るわれても、自分の身が可愛かったから、お父さんに逆らわなかった。


あの時代、体罰はしつけみたいなところがあって、他の兄弟もお父さんに痛い目をみさせられているし。

近所でも、そういう教育は普通の事だったと思う。

けど、私への仕打ちはしつけを超えている。

でも、それを異常だとお父さんは気付かなかった。

ある意味、お父さんが気にもとめなかったのはお母さんのせいでもある。」


父「そうは言っても、全然覚えないぞ?」


私は中学時代、教科書を燃やされたこと。

食費がもったいないと、冷蔵庫にチェーンを巻かれて、砂糖水を飲んでいたこと。

高校に進学したいと言ったら学年で50位位内に入ったら考えてやると言われて、そうなったら、殴られて肋骨を折られたこと。

そこで、資産家のおばあちゃんに狙いを定めて高校進学援助を取り付けたことなどを説明した。



父「お前が大学に行きたいといったのを反対した覚えはあるけど、高校までは…。」


私「お父さんは、私が高校に行くのも反対していた。

中学に通うのも嫌がって、たびたび食事を与えなかった。

だから、高校の授業料はお父さんは払っていない、全部おばあちゃんの援助だよ。」


父「お前の高校の学費、出してやってないのか?」


私「お金が無いからと、小学校の六年間貯めた貯金も全部没収された。

高校生の時、大学に行きたいと言ったら、お金を持って来いと言われて一年バイトしたけど50万にもならなかった。

偏差値70以上あったけど、私は諦めた…。」


父「ワシは…。

ワシは、お前にそんな事をした覚え、まったくないぞ?

それに、冷蔵庫がダメなら、店から商品を盗めばええやないか。」


私「小さいうちから盗みをするのは…そんな事をすれば、まともな大人になれない。

私は我慢していて、いつも空腹だった。


お父さんが、嘘をついているとは思っていないよ。

お父さんは、今、本当にそんな風に思っていると思う。

でも、私は中学生の時に、お父さんに、お前みたいなブサイクな娘が俺の娘だと思うと、吐き気がすると言って、私の顔を掴んで、そこの廊下のヘリに何度も頭を打ち付けた。

お父さんはギターを弾いていて、小指の爪を長く伸ばしていたからこめかみに爪が食い込んだ。

私の頭はお父さんに殴られて、かさぶただらけだった。」


父「お父ちゃんは、お母ちゃんが死んだ時、F(姉)に甘えてあたったかもしれない。

娘に母親役を求めて、イライラしていたんや。

それは覚えとるが、お前に手を挙げたことなんて、一度もないぞ?」


私「お父さんが、そう思い込んでいるのは知っている。

その話は以前にも聞いた。

お父さんのその言い方は、Fちゃんにちょっとあたった、という程度に思っているかもしれないけど。

毎日のように、猛烈に殴っていた。

そして、Fちゃんがいない時は、私を引きずり出して、倉庫で殴り続けていた。

Fちゃんは、女子高生で、体育の授業で着替えをするのが、苦痛だった。

体中、アザだらけだから、嫌な思いをしていたんだそうだ。」


父「Fにも手をあげていたんか?

Fに手を挙げていたとき、お前たち、震えておったやないか!?」


私「もちろん、ふるえていた。

怖くてね。

そして、Fちゃんが、高校生になると、私に狙いをつけていた。

お父さんは、顔や手足などの、人目に触れるところは殴らない。

背中や太ももやお腹や頭を殴る。

私の体もボロボロだった。」


父「そんなはずは…。

そんなこと、したおぼえはちぃともないぞ?」


私「お父さんが、そう思っているのは嘘じゃないと思っている。

けど、私には、今話したような記憶があって、お父さんを恨む気持ちがある。


大人になって、男の人と親しくしようと思っても、具合が悪くなってうまくいかない。


お父さんは、なにかあると、私に頼ってくるけど、そのたびに、わたしはそれを思い出して苦しいんだ。


私にはお父さんにされた仕打ちが頭から離れなくて、胸が苦しい。

恨む気持ちや、憎しみが胸から離れない、それが私の心を蝕んで、自分の体の具合が悪くなるようでしんどいんだ。

お父さんは、それをどう思う?」


父「ワシには…。

ワシには、なにも覚えないけど、もしそれが本当なら、悪かった。

お前に悪いことをした。

すまんかった。」


私「え、あ、いいよ…。」


父「お前の体が悪くなるのはいかん。

胸の内に何かつかえるもんがあるんなら、吐き出して楽になってくれ。

すまんかったな。」


私「え、あ、いいよ、うん。」


父「今日はこれから、どうするんや?」


私「あ、K(弟)を連れ出して、お昼ご飯を食べながら話を聞こうと思ってて…。

お父さんも一緒に行く?」


父「いや、ワシはいかんほうがいいやろぅ。

アイツはワシの事も、気に入らんから、口をきかんくなる。

お前が話を聞いてやったほうがいいやろう。」


私「そうだね、それじゃ、出かけるよ。」


父「…なぁ、今の話、本当のことかなぁ。

ワシはお前が一番可愛かったのに…。」


弟「姉ちゃん、まだー?」

遠くで弟が声をあげています。


私「あ、こっちにいるから、もういいよー!


あ、うん、お父さんが子煩悩な人間だと思い込んでいたのは事実だろうけど。

私はお母さんに避けられて、お父さんに嫌われたら生きていけないと思っていたからなついていただけで計算だよ。

お父さんは子供を可愛がっていたつもりだったけど、私に時々暴力をふるっていた。」


父「ワシは頭のおかしい人間やないか?

F(姉)はどうやったんや?」


私「お姉ちゃんも、物心ついた時から、お父さんの事を気持ち悪いと言っていたから同じことをしていたと思うよ。

お母さんもそう言ってたし。

知恵がついてきた頃に、私が生まれて、お父さんの興味が私に移ったんだと思う。

私には、お父さんが私が乳児のころから、そういう事をしていた記憶がある。」


父「そうか…。

飯、一人で食うわ。」


弟「姉ちゃん、随分古い話してんな。

いったいどれだけ覚えてんだ?」


私「あぁ…。

なんでもない。」



弟を連れ出して、家をでたのでした。







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comment iconコメント ( 5 )

こんばんは

驚きました。あまりにひどすぎる。
犯罪行為ですね(>_<)

名前: 坊主おじさん [Edit] 2016-03-22 18:52

泣きそうになりながら読んでました。しんじゅさんの、冷静に話す勇気に手が震えました。
私だったら、こんな勇気はない。私ならきっと蓋をしてずっと生きていってる。

しんじゅさん、よく頑張りました!!!

名前: ゆみ [Edit] 2016-03-22 21:04

ななしさん、コメントありがとうございます

なんとコメントしたらよいのやら…。
ご自愛ください、というお言葉、ありがたく頂戴いたします。
何をしたらいいのか、ちょっと思い浮かばないのが切ないところですが。
そうですね、スイーツでも食べにいきますかね!
父親の事は、そうかもしれませんねぇ…。
自分の気持ちに沿った行動ができたって事で満足です。
ともかく、お気持ちありがたく頂戴いたします!
お互い、気持ちよく生きていけますように☆

名前: しんじゅ☆♪ [Edit] 2016-03-23 22:58

坊主おじさん、コメントありがとうございます

ん、そうですね…。
この話は今までもあちこちに書いてあるのですが…。
コメントありがとうございます。

名前: しんじゅ☆♪ [Edit] 2016-03-23 22:59

ゆみさん、コメントありがとうございます

ゆみさん、コメントありがとうございます。
うん、私も、漠然ときっと死ぬまで言わないんだろうなって思っていたんですけどね。
言っちゃいましたね。
怖くて、できなかった事ができたら、そんな難しい事でもなかった感じでしょうか?
頭の中でぐーるぐるしていた時の方が苦しかったかもしれませんね。
動くって大事だなぁと思います^^
応援、ありがとうございます☆

名前: しんじゅ☆♪ [Edit] 2016-03-23 23:02

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