私「……どういったフィルターの加減なんだ…。
全身白いうさぎの着ぐるみを着た男が立っているように見える…。」


男「お前の知覚は間違っていない。
今、俺は白いうさぎの格好をしている。」


私「よかった、日本語を話すんだな、助かる。
しかし、なぜ着ぐるみで現れる必要性があるんだ。」


男「俺が敏腕ヘルパーだからだ。」


私「悪いが、初対面の人間に自慢されても、実績を知らないから判断できない。」


男「ぐ。」


私「本当に人間なのか?
なぜ、着ぐるみ姿で現れる。
人外の可能性もあるし、中身は宇宙人かもしれない。」


男「安心しろ。
中身はほら、この通りだ。」


そう言って、目の前の男は、ブサイクな白いもこもこしたうさぎの頭を外して、中からシュッとした若い男性の顔が見えた。



うさぎツーショット


田中ヘルパー


まぁ、なんか、ちょっと長めの髪を、後ろで無造作に結んでいる、若い男性のように見えたのだが。

なんか、昔読んでた月刊誌LaLaの漫画の『お迎えです。』を思い出した。

あれもピンクのうさぎの着ぐるみを着た、死神が活躍する話で、中身はシュッとした若い男性で。

そんなことを思っていたせいか、目の前の人間がペラっとした二次元のイラストみたいに見えてしまった。

まぶたを何度かゴシゴシこすったが、そのまま知覚が固定されてしまったらしい。

リセットが効かないのなら仕方ない。

あの漫画の作者は確か『田中メカ』。


私「よし、お前を『田中』(仮名)と名付けよう。」


田中「なにっ!?田中じゃねーしっ!」


私「名前など、どうでもいい。
正体を隠して、いきなり自慢をはじめる男は信用できない。
着ぐるみ姿の質問の答えにもなっていないしな、そんな謎のガイドの名前など、田中で十分じゃないか。」


田中「ガイドじゃない、ヘルパー!
俺はBM協会のヘルパーなのっ!」


私「時間が惜しい。
ヘルパーなら、このミーティングルームの探索を続けて欲しい。」


田中「っ!こっちだっ!」


再び、うさぎの頭をかぶったヘルパー田中(仮名)が、スタスタと一つのくぼみに向かって歩き出した。


私「それで、このドアはどこに続いているの?温室?砂漠?」


田中「俺が知るかっ!」


私「えっ!?ツアコンじゃないのっ!?」


田中「さっさと探索を続けろ。」


なんだ、このヘルパー。
前回は、ベージュのツナギ姿の、放置プレイの『加藤』で、今回はドSの『田中』か。
どっちも、平凡な名前だな…。


などと思っていたら、うさぎがどいて、「ホラ。」とか言っている。


私が、どんなドアだろう…とヒョイとそこを覗いたら、一瞬、そこが虹色に光って見えて。


次の瞬間、明るいベージュ色の木製の端正な感じのドアが見て取れた。

幾何学模様の彫りが施されている感じで、小学校のちょっといい部屋に使われていそうな感じの扉だった。

私は、そのドアに向かって、ベタっと張り付いた。

ペタペタと扉の表面を撫でて、次にノックする感じで、コンコンという感触を確かめる。


田中「…おい、扉を開けないのか?」

私「ちょっと待てっ!
やっと、共同探索らしくなって、知覚らしい知覚をしているんだっ!
もっと詳細を知りたい。」


田中「いいんじゃないか?それぐらいで。
どっちかっていうと、扉の先の方が大事じゃね?」


私「いいや、気になる。
なんか、この『いかにも扉です』っていう風情が、なんか怪しい。
さっき、一瞬、光って見えたし、本当に木製かどうかを確かめたい。」


田中「はぁ。」


私「この扉の素材が木製か、そうでないか。
この木材の模様も気になる。
『いかにも扉です』っていうデザインなのも、本当かどうか怪しい。」


私は木材に施された模様に指を這わせて、彫り物のくぼみを確かめるように感触を確かめる。

ひらたんさんのガイダンスが、ドアノブはどんな風ですか?とか聞こえてきて。

ハッと手元を見ると、さっきまで見えていなかった金のドアノブが気になって、両手で掴んでガチャガチャと感触を確かめる。


私「なんか、怪しい。
この『いかにもドアノブです』っていうデザインが、なんか怪しい。」


田中「いや、もういいんじゃね?」


私「いいや、この『いかにもドアです』っていうのが、なんか引っかかる。
それに、なんか、表面が虹色に光って見えている。
なんだ、これは…。」


田中「いいんじゃね?とりあえず、見たまんまで。」


私「いいや、私は視覚優勢タイプなんだ。
今まで、何度この罠にハマったことか。

幸い、視覚だけでない、五感も持ち合わせているタイプだ。

触覚、嗅覚、味覚、聴覚、全て使って検証したい。
気になることは、気になって仕方がないんだ。」


田中「お前、そんなとこで、こだわんなんくても…。」


私は、おもむろにドアに顔をくっつけて、ベロっと舐めた。


私「ふむ、無味、無臭か…。
やはり木製のドアにニスが塗ってある、ということでいいかな…。」


田中「うわっ!!バッチィ!!
岸辺露伴かっ!?
お前、これ大勢の人が使うんだぞっ!?
他の人の事も考えろよ。」


私「他人にどう思われようと、構わんっ!
私は知りたいんだ。
人は死んでも変わらないのか。
知らないことを知りたい。
分からないことを知りたい。

私は狂人なのか。
自分が何者なのか。

その手がかりがあるような気がして、このブルースモーエンワークにに参加しているんだっ!

少しでも情報が欲しい。
個人個人で、知覚が異なる、その上での体験談の擦り合せだ。
前提が茫洋とした話だが、それでも分析するには多くの母数が欲しい。

私を他の参加者と一緒にするな。
いくら日本人トレーナーが格安だと言っても、安くない受講料だ。

その上、新幹線を使って、ホテル代もかけているんだ。
私の意気込みを買ってほしい。」


田中「その割に寝てたけどな。」


私「生理現象だっ!」


田中「備えとけよ。」


私「人には人の、ナイーブな乙女心的な事情があるんだよっ!
ヘルパーなら、察しろ。」


田中「分かるか。」


私「さ、行くぞ。」


田中「お前が仕切るな。」


私はドアを開けた。



つづく。






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