不吉な予感を感じながら、扉を抜けた。


『…僕は、そこまで言っていませんよ?
その言葉は自分で言ったんです、勘違いしないでくださいね?

ただ、それにきわめて近い状態である、ということはお伝えしておきます。
自分自身で心当たりがなければ、そんな言葉は通常、出てきませんからね。クスクス。

異常な人間とは、自分が異常だとは、なかなか自分では気づけないものです。
可哀想に、なにせもう狂ってますからね、おっと…。
ガイドに会えなくなったあなたの為に、僕がそれを親切で気づかせてあげているんですよ?』


ミカエル『~もったいないね。

誰も君の良さに気づかない。
こんなに怜悧なのに、誰も気づけない。

君は、これから大勢の人を導くことになる。

~君が自分が何者かを思い出せば、私の言葉を理解できるだろう。』


頭をフルフルと振って、白いうさぎについていきます。

なんだろう、現実感の無い、不思議な、この感じ。

まるで、アリス・イン・ワンダーランドのパロディなのかな…。


全身白い着ぐるみ姿の男の後を追って、グニャグニャした空間を通り抜けていきます。

気づけば、花曇りの天気の中の住宅街の中にいて。

ヘルパーが振り返ります。


日本家屋の一室に、共同探索のメンバーと共に、和室に集合していました。

私の母が、メンバーに麦茶を振舞っているようでした。


私は、その様子を見て。

美しくカールした豊かな髪型の、生前の若く、美しい母親の笑顔を見て。

なんとも、気力が萎えてしまったのでした。


私「ダメぽ…。
ごめん、やっぱ、無理。」

私はそのまま、和室の畳の上に横たわってしまいます。
そこらへんにあった、座布団を引き寄せて、ぐったりしています。


田中「…まぁ、お前の事情、ちょっとは知っているけどさ…。」


みたいな事を言って、白いうさぎは腕を組んで、私を見おろしています。


(うぅ…メンタル弱っ!
さっきまで、超割り切りタイプでビシバシ、レトリーバルやってたのに、ほんとに同一人物か…。
ナイーブ過ぎる…。)


ヘロヘロな状態を心配して、母親が桃をむいて、ガラスの器に乗せて、出してくれました。

ありがとう、とか言って、それを食べたり、サイダーを飲んだりしています。


(HPが低すぎる…。
レトで張り切りすぎたか?
これが本命なのに…。)


意識が朦朧としているなか、他のメンバーがどのような様子なのかを必死に記憶しようとしていました。


Sさんが代表になって、母に色々質問をしているようです。
趣味はなんですか?とか。

母は、赤色の地の和服を着て、その上に白い割烹着を羽織っている様子です。
にこやかに、メンバーの質問に答えていました。

かと思えば、Mさんが好きな食べ物はなんですか?とか質問をしていて。

母は、椎茸とか、そんな事を答えていて。
テーブルの上に、黄色のレモンが一つ、ころんと転がっていました。


ヘルパーの田中(仮名)は、私を気遣って、うちわで扇いでくれていて。

それを、忸怩たる思いで、横たわっていたのですが…。


私は前日の、日本庭園での探索を思い出していました。

木製の扉、これといって、特徴のない、私好みの日本庭園。

その知覚が意味することは…。

自分の希望的観測を外して、客観的事実だけを見れば…。



私は、ムクリ、と立ち上がって。

私「キャンセルッ!」

パンッ!

強く、柏手を打ちました。


すると、それまで、にこやかに微笑んでいた、母親は、眉根を寄せて、私の目の前に現れて。
私の両手を握って、言いました。


母「私も辛かったのよ。」


私「それは、分からなくもないけれど…。

大人になった今なら、女性として辛かったのも少しは理解できるけれど…。

非力な子供の私に、あまりにも色々なすり付け過ぎていたわ。

辛いのは、お母さんだけじゃない。
私だって、辛かった…。」


母「だって、私には何もできなかったじゃない。
周りが許さなかったのよ?
私だって、可哀想だわ。」


私「……そう。
そういう人だと、分かっていた。
分かっていたのよ、私だって…。

ねぇ、考えてもみてよ。
子供の頃に死に別れた自分の娘が、会いに来たのよ?

それを喜ばずに、のっけから自分の悔やみ事を言う。
あなたは心が満たされた人ではなかったのだわ…。

それを、可哀想だと思う。
そして、私も…。」


母「私にどうしろというの?
どうしようもなかったのよ、私だって。」


私「そうね、もう亡くなったお母さんに何を言ってもせんのないこと…。
それでも、期待してしまうのは、子供の性なのかしらね…。

あの時、子供が一人死んでも構わないと言っていた、あなたをそれでも、どこかで信じたかった…。」


母「私は悪くないわ?
お父さんが悪いのよ、私を不幸にして。」


私「可哀想だわ、お母さんは。
ここは、フォーカス27じゃない。

ここは、囚われ領域なのね…。
さっきの光景は、私が見たかった願望。

あなたは、まだ、成仏していない…。
気の毒だと思うわ…。」


母「ねぇ、〇〇〇、私をもっといいところに連れて行って頂戴。
あなたなら、できるでしょ?」


私「それは、お母さんが、自分の心を耕して…。
それは、心一つで変わることができる領域なのよ。」


母「私は信心していたし、何も間違っていないわ?
ただ、できることと、できない事があっただけ。

子供たちも何人もいて、大変だったのよ。
しかたないじゃない、無理できなかったんだもの。

子供なら、母親の幸せを願うことができないの?」


私「……。
ドライブに行こうか…。」


私は、これがいい事かどうか迷いましたが。

母親を白いバンに乗せて、車を運転して、少し坂を登りました。



フォーカスエリアを一つだけ、登ります。

後は、お母さんが自分の心を耕してね…と言ってお別れしました。










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