ふ、と目が覚めた。


それは奇妙な感覚だった。


静かな室内では、トレーナーであるHeleneさんの柔らかい声の誘導が続いている。



(ん?寝てた?)



ナレーションは、レトリーバルの対象者を観察するように…という感じのものだった。


どうやら、エネルギー収集とかミーティングプレイスにパートナーと集合とか、そのあたりはすっ飛ばしてしまったらしい。

寝落ちしてしまうのは、想定していたことだが、なんだか妙な感覚だけ残っている。



(あれ?寝落ち…にしては、なんか、妙だな…。

でも、まだこれからレトリーバルが始まるみたいだから、ちょっと時間を遡って参加するか。

クリスタル前に集まるあたりから…。

ん???)



時間を遡ってチャレンジしようとしても、うまくいかないみたいだった。



(あれ?おかしいな、意識が飛ばせない…。

あれれ?なんだ、これ。

仕方ない、それじゃ少し出遅れたけれど、今からみんなと合流しよう…。

あれ???)



意識体が出せない。



(バイロケーションが出来ない!!

なんで!?

え、どゆこと!?)



と、焦るが、室内には静かなナレーションが響くだけだ。

いつもなら、簡単に意識体を分裂させて、分身を探索に向かわせるのだが、うんともすんとも言わない。



(おかしい、仕方ない、意識体がC1(現実世界)にあるままだけど、意識だけ探索に向かうか。

って、えぇっ!?

まったく、意識がつかめない!!

センサーが働かないっ!!

白い膜に覆われたみたいに、なにも感じ取れないよっ!

ナニコレ、ナニコレ!こんなの初めて!!


寝落ちしちゃって、体験できないっていうのなら分かるけど、意識があるのに探索できないってのは、初めてだっ!

これが、ヘミシンクを聞いても、なにも感じ取れないっていう人の気持ちなのかっ!?)



と、焦りつつ、しかたないので、ノートにHeleneさんの誘導文を書き写し始めました。

後でホテルにでも戻ってから一人で時間を遡って探索するためです。


しかし、時間が余っている。


(う~ん、もう一度チャレンジだ。

共同探索したいんだってばっ!!)



と、思って、なんとか意識を飛ばしたら。


私の胸の上に背後からぐるりと男の人の腕が回って、気づいたらミーティングプレイス内にある巨大クリスタルの中にいました。

そこは、薄ピンク色したクリスタルで、ゼリー状に感じており、ドボンと突っ込まれる感じです。



クリスタルの中に閉じ込められた私が見たのは、銀色の仮面をかぶったギョームさんでした。



ギ「ちょっとそこで待っていろ。」



と、言われます。


とりあえず、フォーカスエリアにはいたみたいで、ほっとした私は、今回の探索のヘルパーが彼なので、彼の言うことをきく事にしました。


ここにほおりこまれたのも、なにか意図があってのことでしょう。

なんとなく、ピンク色のクリスタルというのが、私のエネルギーチャージ?癒し的な意味合いを持っているようにも感じます。



静かに、Heleneさんのナレーションが響いています。

ちょっと待てと言われても、3~5分もすると、ウズウズしてきました。


それで、ギョームさんがいないのをいいことに、そーっとクリスタルの外に出て探索を行おうとしました。




すると、白く輝く馬と白い馬車を知覚します。

それが、空中を走るように登っていくのを、私は一緒についていきました。
















ビョォー。ビョォォー…。



そこは、風が吹き荒れる草原のようでした。


見渡す限り、少し背の高い笹の葉のような草が生えていて緑色と枯れかけた茶色のが重なり、はるか彼方に森があるようです。


視界は明るく、空は曇り、灰色の雲が、強い風に押されて空中を動いていきます。

夕暮れ時でしょうか?空は灰色の雲に朱色やオレンジ色の光が当たって、どことなく不吉な様相を呈しています。


さくっとその大地に足を下ろした私は、足元を揺れる草を見ることなく、視界いっぱいに広がるその光景を眺めていました。



(…なにも無い…。

なんだ、ここは…。

それに、この空気…。)



どこまでも続く枯れた草原に、どこまでも続く朱色や灰色の雲が流れていく光景。

圧倒的な美しさです。

しかし、それは、どこまでも、物悲しく、どこか異次元にでも迷い込んだ心細さを醸し出しています。



(…なんだ、ここは…。

どこにも、人工物の気配が無い。

人間の生活の気配がしないが、いったいここはどこなんだ…。

日本…じゃないみたいだな…。

それより、なにより、この場所全体に醸し出されている気配はいったい…)



それは、絶望的な悲しみと虚無感に支配された空間でした。

他者を寄せ付けない、排他的な雰囲気と、孤独感。

悲しいまでに美しい世界がそこに広がっていたのでした。

孤独の中の美。

誰もいない、ということが一種の救いにでもなっているかのような雰囲気でした。



私は、草原の中をサクサクと音を立てて歩きます。



(ここの気配に飲まれずに、少し意識をずらして。

どこだ、この気配を出している本体が、どこかにいるはずだ。)



気を付けないと、圧倒的な孤独感に苛まれて、足元がすくんでしまいます。

そっと探索を続けていくうちに、見つけました。



(これだ…。

ここから、圧倒的な孤独感を感じる。

これが、本体だが…いったい、これはなんなのだ?)



私の目の前に、大きな白い繭のような物体が現れました。

長さは2mほど、直径が60cmほどでしょうか…。

かすかに凹凸があって、人型をしているようにも見えます。



そこから絶望感が吹き出して、周りの草を揺らし、空の雲も流れていっているようです。



(…これ、もしかして、人間…?

白い繭は柩のようなものなのか?)



そっと、手のひらをかざして、目の前の面妖な物体に意識をぶつけてみます。

暗闇の中で、なにかの生命体を感じ取る練習をしたのですが、あの応用編です。



(…中身は、若い女性みたいだな。

そして、絶望感、拒絶感、悲壮感、孤独、苦しみ、苦痛、救いのなさ…。

ウツ状態で、亡くなっているようだが…。

なぜ、こんな繭の形をしているんだ?

なんだか気持ちわるいな…。)



白い繭は、蚕の繭のようにも、白い蜘蛛の糸のようにも見えて。

何重にも、その女性の体にまとわりつかせるようにくっついているように見えました。


その物体に近づいて覗き込みますが、白い糸がまとわりついて、中の様子を伺いみることはできませんでした。



私「ウツ病か…。」


ギ「迫害死だ。」



気づけば、自分の背後にヘルパーのギョームさんが佇んでいました。


迫害死…そんな言葉は初めて聞きますが、彼がそういうのなら、そうなのでしょう…。


(大陸の話かな、これは現代のことではなさそうだな…。)




ビョォオォォ…と風が吹き荒れている草原の中、ザァアァァ…足元から葉ずれの音が響いています。















ハッと気づくと、大きな男の人の手のひらが私の脳天を掴んでいて。

再び、ピンク色のゼリー状のクリスタルの中にドッポーンとほおり込まれていたのでした。








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