父「…お前のこと、ガラクタでポンコツ言うたんか…。」



父親は目を見開き、黒目をぐるりとあちこちに回転させて、私の話を聞いていた。


私はしゅんとした様子で父親に、最近の出来事を語っていた。



父「…そんで、お母ちゃんとお姉ちゃんには、その話したんか?」


私「うん…。でも、学校の先生がそんなひどい事を言うはずがないって…。」


父「お前、家でも味方おらへんかったんやな、かわいそうに。」


私「しんじゅがウソついてるって思わへんの?」


父「お前が嘘をつくタマかいな!

そんな泣きはらした目ぇをして、青白い顔しとったら、お前が苦しんどるの、分かるやろ?

苦しんでまでウソつくいわれなんてあれへんし、たとえウソ言うたかて、そこは信じたらな!

それが家族っちゅーもんやろ!?」


私「しんじゅ、メス豚って言われたの初めてで…。

思い出すだけで、きゅーっと苦しくなって。」


父「ほうやのぉ、そないな事言われたら、誰かてかなわんわ。

お前、女衆の方がキツいからな、信じてもらえへんかったんやなぁ。

女の敵は女やな(笑)」


私「女の敵は女…。」


父「ふぅ。

お前はなぁ、いじめられやすい顔しとんのや…。」


私「え?」


父「おとうちゃんなぁ、子供ぎょうさんおるけど、ホンマのとこ、お前が一番可愛いんじゃ。

せやけど、お前は、どうも、要領が悪い。

どんくさいし、体もひ弱やし、気も小さいとこある。

上の子んたらぁ、大人顔負けの弁が立つやつらやし、頭もえぇ。

そやけど、お前はどうにも、ドンくさい。

この子は大丈夫かいな?ってお父ちゃん、心配になるんや。」


私「ドンくさい…。」


父「せやけどなぁ、今の話聞いて、お父ちゃん、考え変えたわ。

お前の言い分の方が、ずっと筋道通っとる。

お前の方が道理にあってるんや。

お前の先生の言うことの方が、メチャクチャやで?」


私「私の言うことの方が道理に合ってる?」


父「せや!お前今いくつやった?」


私「もうすぐ10才や。」


父「そやろ?そんで、お前んとこの先生、40才かそこらやろ。」


私「うん。」


父「お前、そんなちっこい体でちっこい頭で、40才、四倍の年齢の奴と対等に渡り合っとる。

ホンマ言うたら、お前の方が勝ちや。

お父ちゃん、お前のこと、尊敬するで?」


私「えぇ?」


父「お父ちゃん、学ないし、勉強はさっぱりやったけどな。

お前んとこの先生、勉強ができて、大学にいって、頭がよかったかもしれへん。

せやけど、お前の言うことの方が正しいわ。

お前んとこの先生、勉強はできるかもしれへんけど、頭おかしいわ。

頭クルクルパーや!」


私「えぇ!?(笑)

クルクルパー!?」


父「そうやぁ。

お前の言うことの方が正論やで?

せやけど、そんなちっこい子に大人が言い負かされるのは許せへんかったんやろなぁ。

ちいさい子供がカンシャクおこしとるのと、違わんでぇ?

まるで、大人と子供や。」


私「大人と子供?」


父「そうやぁ、お前が大人で、先生が子供、いう意味やぁ。

体と心が逆になっとんねん。

お前、先生言い負かしとんねん。

お前が負けた格好になっとるけどな、実はお前の勝ちや。

カッコイイわぁ。」


私「私の勝ち…。」


父「せやせや。

そこまで言いよったら、お前のこと誇らしう感じるわ。

そんでなぁ、お前のその顔。

それも、あんばいよぅいじめやすい顔しとんのや。」


私「顔…。」


父「おとうちゃんなぁ、お前の事が心配やねん。

せやから、上の子ぉぐらい器量がよかったらええのに…。

って、悔しく感じるんやわぁ。


お前は気が小さいけど、ズルは嫌がる、心優しい子やねん。

そんな奴は全体、苦労するのは目に見えとるん。

要領よく、ズルするやつが、ウマイ思いをするってのが、世の常ってもんや。

せやけどお前は女の子やし、器量がよければ、それだけ他のやつより有利に立つ。

ドンくさい分、この子の顔がよければ良かったのに…。

そう思っとたんやな。」


私「うん…。」


父「せやけどなぁ。

こないだF(姉)を連れて、名古屋の連れんとこに行ったんやわ。

そしたら、すれ違う人、すれ違う人、みんなFの事を見よる。

気をつけんと、あとを付けてくるやつも次から次へと出てくるわ。


そんで、ワシの連れんとこ行ったら、みんな鼻の下を伸ばして、Fのご機嫌うかがいはじめたんや。

あいつは、まだ子供やで?

せやけど、みんな、Fの(ありがと)と笑顔欲しさに、菓子いらんか?喉かわかんか?寒くないか?とチヤホヤしだす。

Fもそれを当然のように受け取って、ワガママも言い出しよって、周りをオロオロさせて笑っとる。

いい年したおじさん連中を手のひらの上で転がしとるんや。

あいつは、まるで女王蜂や。

なんもせんでも、男んたらぁが群がってきよる。

ワシの娘ながらに、末恐ろしいわ。」


私「お姉ちゃんは、いつもそうだよ?」


父「そうやなぁ。

あいつは顔いいとは思っとったけど、そこまでとは思っとらんかったんじゃ。

コイツはワシの娘じゃ、なんか用か?と、どりきんだらんと、男らが離れて行かん。

ちょっと血の気引いたわ。


それに引き換え、ワシの可愛い下の娘は働き蜂や。

ブンブン花の周りを飛び回ってせっせと働くミツバチみたいに思えてな。

そやさかい、お前の顔が不器量で不憫でかなわかったんやが…。


ちゃったわ。

お前、不細工ちゃうわ。

お前、普通に可愛いんやわ。」


私「えぇ?」


父「お父ちゃん、Fの顔を見慣れてたんで、お前のことをメチャクチャブサイクやと思い込んどった。

せやけど、こないだ配達で、そこのウチの子たらぁを見たんや。

そこの家は、子供んたらぁを溺愛しとってな。


客が、生意気やけど、可愛い子供たちやと自慢しよるから、おつきあいで子供も見たった。

お父ちゃん、ホンマは子供なんて、可愛いとも思っとらんかった。

そしたら、猿みたいな顔しとんのや、そこのウチの子。

せやけど、親は可愛い、可愛いとベタ褒めや。


カッコイイ、将来はかっこよくなる言うてたけど、細い目に低い鼻にでかい口に出っ歯やで?

どこにもハンサムの要素がない感じの田舎の子供やった。

しかも、こっち見て挨拶もよぉせん。


それどころか、自分の親の事、小間使いか家来ぐらいにしか思っとらんで、横柄な口をききよる。

それが恥ずかしいことやとも、なんとも思っとらん感じやったわ。

保育園の子供ならしゃあないかと思って、いくつやと尋ねたら、お前と同じか、下手したらお前より上やという話や。

お父ちゃん、びっくりしたわ。

ウチの子達、もっと小さいうちから口が達者な奴ばっかりやったからな、小学4年5年でも大人にまともな口のききかたできへんでも、世間では普通やったんや。」


私「へぇ…。」


父「お前、そないな変な先生に対してな。

『先生を悪く言うつもりもない。』

『ただ、自分がやっていないことをやったと言われるのが嫌だから訂正して欲しい。』

『先生が信じてくれなくて悲しい。』


そないな事を言うとった。

目上の者を尊重した物言いや。

お前はやりもしていない、カンニングを疑われて、それを晴らすためにたった一人で職員室へ言いに行った。


立派やし、お前の主張の仕方はスマートや。

普通なら頭に血がのぼってとんちんかんな事を言い出してまうところやで?

それが、お前、大人でもなかなかできへん、ディベートをしよる。」


私「スマート…。」


父「そんで、また、お前の器量も問題がある。

Fみたいに、どこからどうみても、美人というわけでもないが。

普通に見て、愛嬌のある可愛い顔をしとる。

黒くてくりっとした瞳に、小さな口に小さな鼻。

日本人形みたいや。

おまけに頭もいいやつや。


そりゃ、女の先生ならいじめたくて仕方なくなるわ。」


私「…人形みたい!?」


父「せやせや。

よそんちの子が猿みたいな顔やと思ったら、その後見たお前の顔がなぁ。

なんとも上品に感じられたんや。

お前、どう見ても可愛い顔しとんのや。

お前の顔がガラクタのポンコツ言うたのは先生のヒガミや。


お前、あと10年もすれば、先生の足元にも及ばんべっぴんさんになるわ。

そん時、先生50才のシワシワババァやで?

せやから、まだちっこいウチのお前を踏み潰したくて、そんなイケズ言いよる。


鏡よ鏡よ鏡さん♪

世界で一番美しいのはだあれ?


で、自分やないから白雪姫を追い出しよる、意地悪な女王様みたいな奴やわ。

お前の悪口を言いよる、その先生の頭の中の方がガラクタまみれのポンコツやで?


馬鹿は死なんと治らないって言うし、死んでも治らんやろ。

クルクルパーは雷に打たれて、死んでまぇ~♪」


私「えぇ!?死んでも治らない?(笑)」


父「せやせや。

かなりおかしいやっちゃで、改心はせぇへんと思うな。

バカの言うことは忘れるに限るで!?

嫌な事があったら、バイクでドライブに限る。

さ、夕飯すんだら、お父ちゃんの和製ハーレーダビットソンのそばに集合やで!

流しに行ったる!」


私「えぇ?スーパーカブでしょ?」


父「ここは話を合わせたってぇな。

スーパーカブは1ccでも燃料残っとったら走る世界に誇るメイドインジャパンの良品や。

お母ちゃんに文句言われても、気にせんとき!

お父ちゃんがかばったるでな!」


私「うん!」









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comment iconコメント ( 1 )

少女時代の記事を読むといつも胸がきゅーっとなります(T_T)
よくぞ真っ当に大きくなってくれました!!

名前: ゆみ [Edit] 2017-05-07 13:10

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