私「でも、今回ばかりは勝手が違っていたみたいだな…。」


ヨ「ん?吉田が一週間学校休んだこと?」


私「それもあるけど…。

結局父兄が猛抗議してきたらしいぞ?

担任に侮辱的な発言をされ、洋服を寸断するように強要されたと。

一体どういう教育をしているんだと、教頭先生とか校長先生に親御さんだけじゃなくて、おじいさん、おばあさんも抗議してきたらしい。

なんか、教育委員会にも報告されたそうだ。」


ヨ「それが…?

ちょっと騒ぎが大きくなったけれど、それは当たり前のような気がするけど…。」


私「ん…そうなんだけど。
多分、児童の父兄から苦情が入るのは想定していなかったんじゃないかな?

先生、驚いていた。
ちょっと顔色が白っぽくて青ざめていた。」


ヨ「いい気味なんじゃない?」


私「いや、そうなんだけど…。
なんか、引っかかる。」


ヨ「え、そんな大騒ぎする発言じゃないって事?」


私「いや、十分問題だよ。

あれは教室内で、小学生の生徒に女性の先生が話していたから騒ぎにならなかっただけで。

もし、中年の男性が、帰宅途中の小学生の女の子をつかまえて、その服は危ないから切断しようとか言ったとしたら、間違いなくお巡りさんにしょっぴかれる。

ワンピースを切り裂いていたら、他人の財産を不当に破損させたわけだから、器物損壊になるし、怪我がなくても、刃物を振り回した時点で、傷害未遂に、銃刀法違反にあたるだろうし。
若い女性に性的なことで近づいたとしたら、精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を請求されても仕方がないことをしているんだ。

あの先生、見た目が優しそうで賢そうな女性だから、なんとなくうやむやにされているけれど、はっきりいって変質者レベルだよ。」


ヨ「変質者…。
それ、言い過ぎじゃ?」


私「………そうか。
先生は、悪いことをしているという自覚がないんだ。

だから平気で子供たちの心を踏みにじることを言ったりやったりしている。

今までの子供たちは全部、泣き寝入りしていたから明るみにでなかっただけで、サヨちゃんが、初めて親に打ち明けて、そして行動に移してきた父兄達だったんだ…。

これは、思ったよりタチが悪いな…。」


ヨ「え、どういう意味?」


私「普通ならね、なにか気に入らないことがあって、相手を傷つけたとしてもね。
相手が苦しんでいると認めた時点で、ある程度気が済むものだと思うんだ。

けどね、先生にはその限度がないんだよ。
普通が通用しない。

相手が苦しめば苦しむほど喜ぶ。」


ヨ「え、最悪じゃん。」


私「そう、最悪なんだ。

でも、基本的に頭がいいから、自分が罪を被らない範囲で嫌がらせをしていたんだけれど。

悪口だけだとしても、今回は完全に度を越していた。
でも、結局厳重注意だけで、謹慎もなにもなし。

自分がなぜ裁かれたのかも分かっていないんだと思うよ。」


ヨ「え、それ、処置なし?」


私「そう、サヨちゃんは、あの日吐き気がして、早退していた。

無理ないよ、それから何日か発熱して学校に来れなかった。
それだけ心に辛い思いをしたからなんだけれど、先生にはそれがなぜかは、分からないんだ。

だから、なぜ苦情を言われたのか理解できないし、それだと自分の行動も改善できないだろう。」


ヨ「つまり?」


私「今後もいじめを続けるだろうってことだよ。」


ヨ「そんな…。
教育委員会に言ってもダメなのかよ…。」


私「ダメだろうな。
あの後、学校に出てきたサヨちゃんにも平気でヒドイ発言をしている。

彼女は心に傷を負ったから、それをもう親には打ち明けられないだろうし…。」


ヨ「なんでだ?
吉田、友達たくさんいただろ?」


私「…あぁ、『天使のアイちゃん』はじめ、おっとり系の女の子達がな。
あの教師の狡猾さが効果を表すのは、時間が経ってからだ。

あの時、サヨちゃんの悪口を言わされた児童には当然彼女たちが含まれていた…。」


ヨ「あ!
でも、あれは無理やり言わされていたんだし…。」


私「頭ではそう思っても、気持ちとしては納得いかないものじゃないか?
感情的な問題だ。」


ヨ「感情的な…。
それこそ、話し合いすればいいじゃないか。」


私「割と男子なら、そういう割り切り方をする。
腹を割って話そうぜってな。

私もそういう考え方は好きだ。
でも、女子はそうはいかない。」


ヨ「なんでだ。」


私「この場合、一番辛い思いをしたのはサヨちゃんだ。
サヨちゃんが心を開くかどうかを決める。

あの時、みんな、サヨちゃんの悪口を言うように言われて、すごく困っていた。
だって、ほんとにあの子はいい子だったもの。

それで、ひねり出すように、無理やり細かな欠点を言い出し始めた。
時間をかけてね。

ところが、天使のアイちゃんは、すかさず、彼女の欠点を三つ並べた。
スラスラとね。

まるで、彼女とは最初から知り合いでもなんでもありませんよと言わんばかりになめらかに話していた。

多分、それを聞かされていた時の衝撃が一番強い。

そして、それに引きずられるように、つづく子供たちがアイちゃんの言った悪口をアレンジして答え始めた。
私が否定するまで、それは続いたよ。」


ヨ「そ、そうだっけ…。」


私「もちろん、本心からそう言っているとは私も思っていないよ。
でも、普段からアイちゃんは、サヨちゃんのことをよく思っていなかったんだよ。

だって、天然の美少女なんですもの。
そして、思いやりがあって、品のある彼女の方が人気がある。

それをよく思っていなかったのが、あぶりだされる格好になった…。」


ヨ「アイツは最初からスカした奴じゃんか。
何をいまさら。」


私「それを知っているのは、私とヨッちゃんと他のクラスにいった、同じ保育園の子供たちぐらいだよ。

なんで、そんなふわふわしたことを口にするのかなぁって疑問に感じている子の方が少ない。
それぐらいの演技力だった。」


ヨ「そんなものなのか?
オレ、全然気付かなかった。」


私「アイちゃんの本性を知っているのは、私とヨッちゃん位。

私は女子からハブにされているし、男子のヨッちゃんなんて、いくら本当のことを言っても、男子は乱暴者だから、の一言で片付けて、相手にならない。

悪いけど、女子の間での評判は悪いよ、ヨッちゃんは。
それはアイちゃんの仕業なんだけどね。」


ヨ「それ、天然に性格悪いだけじゃないか。」


私「そうなんだけど、サヨちゃんはアイちゃんを信頼していた。

アイちゃんは、サヨちゃんと仲良くすることで、自分の好感度を上げたかっただけで、そんな好きでもなかった。
だからトカゲのしっぽきりよろしく、彼女の悪口を並べたんだ。

そこで、私が情勢をひっくり返した。

このままサヨちゃんがクラスから抹殺されるなら、それもまたヨシと目論んでたのに、私が足を引っ張ったんだ。

だって、結局アイちゃんは悪者になったんだから。

サヨちゃんは、アイちゃんを、怖くて信用できなくなったし。
アイちゃんは、サヨちゃんに仲間を取られないように、いろいろ言ってた。

自分は悪くない、あれは先生が悪いんだって吐き気をこらえてるサヨちゃんに、自分のことばかり言ってた。

それを仲間たちが冷めた目で見ていた。
結局、全員ギスギスして空中分解だよ。」


ヨ「…お前、よく見てんなぁ…。
吉田を助けてやれよ。」


私「ダメだよ、私と仲良くすることで、その子に迷惑がかかる。
それはヨッちゃんも見てて分かるだろ?

私ができるのは、彼女の援護射撃だけなんだ。
そして、結局私が担任の集中砲火を浴びる事になる。

サヨちゃんは辛い思いをしたけれど、もう先生に執着されることもない。

にせ物の友達と別れられて、それは結果的によかったんだと思うよ。
きっとね。」









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