少し風が出てきたので、小道の奥に入り、ヨシ君の家の前まで移動します。

風を避けながら、二人して話しこんでいました。



ヨ「しっかし、小竹、邪魔だなぁ!
なんで、アイツ、あんなにこずるいんだよ!
アッタマ悪いくせによぉ!」


私「小竹は皆が思うほど、頭悪くないよ。
生き抜く力が人一倍強い、それだけだ。」


ヨ「でも、アイツ全然授業身になってないぜ!」


私「それは、小竹が悪いんじゃない。
持って生まれた性質みたいなもので、努力すればある程度の学力がつくはずなんだ…。」


ヨ「じゃ、担任が悪いってのか?」


私「あぁ。」


ヨ「でも、アイツ、しょっちゅう周りの奴らにえばり散らしてすぐ唾を吐く。
気持ちわるいぜ。
テストだって、いつも赤点だ。」


私「あの子がどんなに頑張っても百点はとれないだろうね。
でも、努力すれば50点60点はとれる。

きっかけが掴みづらいだけで、そこまで馬鹿じゃない。
小竹を馬鹿にさせているのは、担任の責任だ。」


ヨ「どういう意味だよ。
そういえば、お前と小竹を足して二で割れば普通になるって言ってたな。
なんで、分かるんだ?」


私「担任が生徒全員の知能指数を読み上げていたからさ。
全員のは覚えていないけれど、小竹一人数字が少なかったから印象に残っている。

それだって、教育委員会の指導要綱には載っていない、違反だと思うけれどね。」


ヨ「ふぅ~ん。」


私「あの時、思ったんだけど、だいたい成績が均等にバラバラになるように配置されているんだなって思ったんだ。」


ヨ「え?どういう意味?」


私「学校の成績って5段階評価だろ?
1~5の成績の子がまんべんなく配置されるように最初から割り振られているんだなって感じた。」


ヨ「ふぅ~ん…。」


私「気づいているか?小竹と話をしているの私一人だけだって。」


ヨ「え!?そんなことなくね?
いつも、アイツ、先生の腰巾着みたいにえばってて、チヤホヤされてんじゃん。」


私「先生が側にいる時だけね。
先生がいない時は、一人でポツンとしている。」


ヨ「え!?意外!
いつも女子に囲まれてるんだと思ってた。」


私「小竹は、分かっているんだよ。
もし、私がこのクラスにいなかったらいじめの標的にされるのが自分だって。

ずっと成績がふるわないって劣等感を持っていたんだ。
だから先回りして先生に取り入って、率先して私に嫌がらせをしてくる。
生き残るための戦術だよ。」


ヨ「だって、それなら、女子にチヤホヤされてもよくね?」


私「逆だよ。
先生のお気に入りってポジションを手に入れて、みんなと仲間入りできると思ってたら逆にそれが地雷源になっているんだ。
下手に関わったら、どんな告げ口されるか分かったもんじゃないって警戒されて、誰も小竹と目を合わさない。」


ヨ「逆にシカトされてんのかよ。」


私「元々言動がアレだから、男子ウケも悪いし。

それなら女子に可愛がられたいと思って必死に掴んだポジションが、結局人を遠ざける。
まるでネガとポジの関係みたいに、私と小竹だけクラスから浮いているんだ。

だから、彼女の気持ちが分かる私だけが普通に彼女に話しかけることができるし。
小竹も気分が乗ったら私と話をする。

けど、自分が悪いことをしているという気持ちがあるだけに素直に心を開けない。
先生に恩を感じてもいるしね。

小竹なりにジレンマがあるんだよ。
気の毒だ。」


ヨ「お前のほうが気の毒じゃね?」


私「まぁ、そうなんだけど…。
まだ私は、学力で戦えるだけ可能性があるしね…。」


ヨ「そうだ!こないだの切り返しは見事だったな。
なんだっけ、アレ。

お前がじいをしているのを教壇で見せろとか先生が言い出した奴。」


私「あぁ…アレね。
あれは、成人としてアウトな事を言っているなって思ったよ。

ヨッちゃんも、意味が分からないなら、口に出さないほうがいい。」


ヨ「お前、知ってんのかよ?」


私「知らないけど?」


ヨ「でも、あれは見ものだったよなぁ…ククク。
担任が慌てるの見たの、オレ、初めてかも?」


私「いつも掃除当番、一人でやらされているからさ。

天使のアイちゃんは、絶対ごみ捨てとかやんない。
お嬢様だから。

で、誰も見ていないからつい、ファンタジーで竹箒を持ってばァーって走ってたんだ。
それで、勢いがついたところでまたがって、エイってジャンプして、魔女ごっこして遊んでいたのを見られたんだよ。

いいじゃんかよ、昼休みにちょっと位遊んでも。

そしたら、あの担任、嫌な笑い方をしてさ。

『神聖な学び舎である校庭で、昼間からじいこういにふけるとは発展家だな、しんじゅ先生は。

男が欲しくて、そこまで欲求不満なのか?

いやらしい。』

とか、ホームルームで言い出した。」

ヨ「そうそう!意味分かんねぇよな!」


私「私は意味がわからなくて、きょとんとしていたら、詳しく解説しろという。

『意味がわかりません』と言ったら、調べてこいと言い出した。

『先生の言っている言葉が分かりません、どんな漢字を使うんですか』と聞いても教えてくれない。

『本当は知っているくせにわざと知らないフリをしているんだろう、しんじゅ先生は…』とニヤニヤしだした。
すごくいやらしい笑い方だ。

コイツは、私が意地になって、意味を調べてきて、それを知った時にショックを受けることを想定して笑ってんだってピンときた。

『まだ子供なので、よく分かりません。先生教えてください』って言ったら、『そんなのは誰でも知っていて当たり前のことだ。

なんなら、この場でじいこういを再現しろ』とかぬかしやがった。

私は教壇の上で、ぴょんぴょん跳ねただけで、クラスメイトの誰にも意味が分からなかった。

『先生、誰も分からないみたいですよ』と言ったら、『いいから調べてこい、特別課外授業だ』と言った。」


ヨ「そうそう、すげー得意になって言ってたよな。」


私「吐き気がするほど、気持ち悪い感じの笑いだった。

でだ、言ったった。


『先生ほど優秀で、人格者の先生についていて、何も物をしらない私にはとても自力で調べられるとは思えません。

ガラクタのポンコツの頭では漢字を知らないと、図書館の辞書でもうまくひけないと思います。

それに、このクラスの子は知らないようです。

そんな能無しの私には、先生より優秀な先生に聞いてみるのが一番確実だと思います。

他のクラスの先生に訪ねてみるのも授業中で迷惑がかかると思います。

これから、教頭先生か、校長先生に訪ねに行ってきます。

担任の先生に、『神聖な学び舎で昼間からじいにふけるとはどういう意味か調べるようにと言われました。

欲求不満のはってんかだと私は先生に言われました。

そして、それをみんなの前で披露するように言われたけれど意味が分かりません。

担任の先生が言っている特別課外授業の意味を教えてくださいと言ってきます。』


ってな。」


ヨ「そうそう、慌てて訂正していた。
『自分より上位の教師に相談するのはけしからん』とな!」


私「『それなら、5年6年生の先生に聞いてきます。
だって、小学4年なら誰でも知っていて当然のことなんでしょ?』って。」


ヨ「そしたら、先生に聞くのは全部ダメだと言い出しやがった。クク。」


私「『そうですか、それなら、家に帰って、自分の親に聞いてみます。
それならいいですよね?』って聞いたら。」


ヨ「アイツ、あぁってうなづきやがった。(笑)」


私「『あ、そうだ、ウチは八百屋なので、お店に来るお客さんにも聞いてみますね?

クラスの子の親もいるし、私が聞いた事を、きっと子供に伝えてくれると思いますから、他の子の手間が省けてちょうどいいですよね?
お母さんたちの繋がりで他の学年の子供のお母さんにも広がりますし、先生がぜひ、私に教えたかった事を、自然と親から子供へと伝わる算段が整います。

それって、地域密着型の教育ですよね?

子供だったら、誰でも知っていて当たり前だっていう先生の理想はかなり早く実現しそうですよ。

昼間からじいこういにふけるとはどういう意味かを親子で考えさせたかったんですよね?

そして、それを大勢の児童の前でやることまでも教育と考えた。

さすがです。

神聖な学び舎で小学生がすることなんですから、どこにも問題があるはずありません。

先生はそのために無理を言っていたんですよね?気づかずに、すみませんでした。』」



ヨ「アイツ、真っ青になって訂正していたな。
今のは他言無用だって!」


私「けっ!他の大人に聞かれてマズイ事を子供だと思ってなめてかかって言うから大恥かくんだよ。
知るかっ!」


ヨ「小竹がじいこうい~じいこうい~とか、はしゃいでいたから頭叩かれてたな。」


私「あぁ~、どうしても小竹はピエロなんだよなぁ…。」








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