少年が両手を叩いてはしゃいでいる傍らで、私は腕組みをして、うつむき始めました。



私「…先生が墓穴を掘るのは、いいんだよ…。

いくらでも掘ればいい…。」



ヨ「ここ掘れ、ワンワンってか!(笑)」



私「あぁ…。

私が許せないと感じているのは、そこじゃない。

授業を勝手に、自分を褒めるための作文の時間に使った事に腹を立てているんだ…。」



ヨ「え?でも、お前だって、おとなしく作文書いてたじゃねーか。」



私「あぁ…。

いつも、妙な因縁をつけられるから、静かに作文する方がマシだと思っておとなしく書いたけど…。

先生はね、いつも自分勝手な理屈と理想を生徒に押し付けて困らせる。

子供が嫌がることをたくさんいって、気持ちをそいで苦しんだ後に、自分のやりたいようにする。

それはね、いつも自分が勝っていたいから。

子供が苦しくなって、ギブアップしたところで、自分が正しいって決めつけて終わり。」



ヨ「あぁ、アイツ、いつも無茶言うよな。」



私「そう、無理を言って、先生の立場で、子供を追い詰めて、勝者。

無理をゴリ押しして、こっちを疲れさせて、そして無理を通す。

いつも自分が正しい、それでおしまい。

いつもそれで自分が勝った気になっている。」



ヨ「やな奴だよな。

それに先生なんだから、子供がかなうわけないじゃないか。」



私「うん、そう。

先生は40才の大人なんだ。

それで、9歳10歳の子供相手に、子供の土俵に入ってきて、力技で無理をとおしていい気分でいたい。

そのために、子供たちの気持ちとかいろんな大切なものを犠牲にしている。


それが、許せないんだ。」



ヨ「作文書かせるぐらい、いいじゃねーか。

平和なんだし。」



私「……。

ヨッちゃん、もしかすると、3年生の時と比べて、ちょっと成績よくなったと感じていないか?」



ヨ「え?あ、うん。

気持ち成績が上になった感じだな。」



私「ヨッちゃん、知ってるか?

他のクラスでもだいたい授業の進み具合っておんなじだって。」



ヨ「あぁ、知ってるよ?そういうもんだろ?

進みが早い時は、レクリエーションの時間があって調節したり、遅い時はその時間授業にあてたりする。

学年全体でスピード合わせるもんだろ。」



私「そう。

で、こないだ、となりのクラスのユウちゃんにあって、聞いてみたんだ。

やっぱり進み具合はほとんど同じだった。

で、国語のテストの平均点を聞いたら73点だって言われたよ。

社会も算数もだいたいそんな点数だった。」



ヨ「それが?

別に普通じゃね?」



私「テストの平均点が73点だっていうのが、普通だと感じたんでしょ?」



ヨ「あぁ、別に。それくらいのもんだと思うけど。」



私「そう、『平均点が73点』っていうのは、どこの学年でもどこのクラスでもだいたい普通だよ。

で、ウチのクラスの平均点覚えてる?」



ヨ「え?さぁ、あんまり気にしたことない…。

80点とかではないとおもうから、70点くらいだったんじゃない?」



私「63点だよ。」



ヨ「え、低いな。」



私「国語も社会も算数もそんなくらい。

下手すると60点いかないこともある。

これ、どういう意味か、分かる?」



ヨ「え…?えっとぉ、となりのクラスより10点くらい平均点が低いってことだからぁ。

ちょっとおバカが多いクラスってことか?やっぱり。」



私「となりのクラスだけじゃない、多分学年全体からみて、平均点が低い。

つまり、ウチのクラスは学力が特に低いクラスってことなんだよ…。


だから、去年までちょっと成績が悪かった子でも、そのままならこのクラスだとちょっと成績がいい子になってしまう。

ヨっちゃんの成績が上がったのは、ヨッちゃんが勉強を頑張ったからじゃない。

他の子たちが、勉強ができなくなったから、結果的に上にきただけ。」



ヨ「オイオイ!いきなりオレが勉強できない奴みたいに言うなよ!

…ま、そうだけどさ!」



私「ヨッちゃんは、一年二年の時、私とどっこいどっこいだった。

ワンツーパンチの連続だよ。

でも、ヨッちゃんは運動できるし、体育はばっちりだし、体格もいいからいじめにもあわない。

まわりの子を引っ張ていくリーダータイプだから、特にね。

精神的ダメージを受けにくい子だから、外野がうるさくても、多少お勉強ができなくてもくじけない。

だから、普通に学力がついてくる。

でも、他の子はそうじゃない。

毎日毎日、先生の悪い言葉を聞かされて、とつぜん侮辱されたりして、授業も集中できない。

3年まで、普通か普通よりややよかった成績の子はのきなみ学力が落ちてっているんだよ。」



ヨ「なんで~!

たまたまだろぉ!

ベンキョ出来るやついるじゃん!」



私「ヨッちゃんの言うとおりだ。

勉強の出来る子はできる。


でも、そういう子は、自宅で予習、復習をかかさずやる、コツコツ真面目に頑張る子か。

親が家庭教師や塾とか、教材をとりよせて学校以外で勉強している子達なんだよ。


そういう子がクラスに1・2割いる。

この子たちは、平均点を引き上げているんだ。


つまり、先生の授業を受けているだけの生徒たちの平均点は実は63点より下になる。

多分、60を切るよね。

それで平均点で60を切っているときは下手すれば50点くらいが平均点ってことなる。

どういう意味か分かる?」



ヨ「え…学校のベンキョだけの奴はウチのクラスだと平均点50点位ってこと…だよな…。

それじゃ、他のクラスだと平均点以下のオレでも、このクラスだといい感じになるってわけで…。

えぇっと、つまり?」



私「だいたい平均点が70点ってことは、テストを受けた時点で、授業を受けた子供たちの理解度が7割あるって話しなんだよ。

で、ウチのクラスでは授業を受けても、理解できているのは5割程度。

つまり、半分ぐらいしか、授業についていっていないってことなんだ。

みんな、来年、クラス替えしたとき、上位一割二割の子を除いて、みんな評価が下がることになる。

他のクラスの子に引き離されているんだよ。」



ヨ「は?それマズくね?」



私「そう、ユユシキジタイなんだ。

ヨッちゃんみたいに、今のクラスでそこそこなら、イケてるとか思ったら大間違い。


テストの点が悪くても、なぜ自分が間違えたかを復習していれば、そんなに問題でもない。

だいたい、間違えた理由が分かればいいんだ。

そうすれば、授業についていける。

でも、ウチの担任は、そういうフォローもしない。

する気もない。

馬鹿なやつはなにもする意味がないって考えなんだよ。


だから、テストの平均点以上に、ウチのクラスの子供たち、特に学校だけの勉強の子供たちはね。

他のクラスの子とすごく差がついてしまっているんだよ。


もちろん、クラス替えで雰囲気が変わって、気持ちがおちつけば勉強も手に付くようになるから。

自然と成績が上がってくるとは思うけれど、出遅れ感から諦めてしまう子も出てくるかも知れない。


そんな状況の中で、くだらない作文に授業を使っている。

それが許せないんだ。」











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