(…やられた、鉛筆全部折られている…。

ミオちゃん、まさか朝一でやってくるとは…。

そうか、朝、小竹がやたら話しかけてくるなと思ったら、時間稼ぎで、二人してやったのか…。)



今から試験が始まろうとした、その時。

缶の筆箱の中にある、自分の鉛筆の芯が、全部折られているのに気づきました。


担任の先生が、問題用紙を裏向きにして、各列の先頭の生徒に人数分のプリントを渡しています。

私は挙手をして、担任の先生に話しかけました。



私「先生、鉛筆が全部折れています。
鉛筆を削るので、ちょっと待ってください。」


担「は?お前の鉛筆、全部ダメになっているってことか?
…そうか、なら試験はそのまま受けろ。」


私「は?言ってる意味が分かりません。」


ざわっとクラスの雰囲気が変わった。


担「今から試験だ。
お前が鉛筆をきちんと準備しておかないのが悪い。
そのまま試験を受けろ。」


私「え、鉛筆がないと答えかけない…。」


担「だから、お前の答案は無記名に無回答。
当然、0点になる。」


私「は、あの、鉛筆が折れたのは、私のせいじゃ…。」


担「お前が学校に来るときに折ったんだろう。」


私「いえ、持ち運びで折れるなら、まだ字が書けますよ…。
それに、一本二本じゃない、全部折れるなんてことありません!
誰かが折ったんです。」


担「誰が折ったと言うんだ。」


私「…分かりません、誰かがいやがらせで折ったんだと思います。」


担「お前が自分で折ったんじゃないのか?
もしくは最初から折れてた。」


私「そんなハズありません。
学校に来た時は鉛筆はそのままのはずです。
ゆうべ家で削ってきたので、朝になってから鉛筆が折られたんです。」


担「じゃ、このクラスの誰かが折ったというのか?
証拠は?
誰かが折っているところを見たのか?」


私「…きっとそうです。」


担「誰か、しんじゅの鉛筆を折ったやついるか~?

見た奴は~?

いないな~、じゃ、お前が犯人だ。」


私「そんな!いたずらをして自分が犯人だと名乗り出る人なんて、いません。

きっと、小竹さんと藤井(ミオちゃんの苗字)さんがやったんです。」


担「ほぉ、おい、小竹、藤井、しんじゅの鉛筆を折ったか~?」


藤井「やってません。
しんじゅさんが嘘をついてます。」


小竹「やるわけないじゃん。
そいつが嘘ついてま~す。」


担「お前、証拠もないのに、クラスメイトを犯人扱いか。
試験を受けたくないからっていい加減にしろ。」


私「くっ。でも、鉛筆全部折れているんです。
これじゃ、試験受けられません。
自分で鉛筆折るわけないです。」


担「小人(コビト)だ。」


ざわ…。

クラス内がざわめく。


私「は?なに…。」


担「お前が試験を受けたくないという無意識の気持ちを受けて、小人が働いたんだ。

その証拠に、このクラスで、誰もお前の鉛筆を折ったのを目撃した証人がでてこない。

そう、お前が試験を受けたくないから、小人が働いたんだよ。」


私「そ、そんな…。

先生いったい何を…。」


担「そういうわけで、お前はこのまま試験を受けろ。」


私「それじゃ、誰かに鉛筆を貸してもらいます!」


担「お前が自分の鉛筆を無事に試験まで迎えないのが悪いんだ。
私物の管理不行き届き。
見せしめの意味も込めて、他人の鉛筆を使うのは許さん。」


私「は?鉛筆を折られたのは、私のせいじゃない。
トイレにまで筆箱を持って行けって事ですか?」


担「お前の準備不足が全ての原因だ。」


私「…それじゃ、どこか他で鉛筆を手に入れます。
それまで待っていてください。」


担「どこで手に入れるつもりだ?」


私「昇降口の落し物箱とかに、鉛筆があると思います。
それを借りてきます。」


担「ならん。お前の為に授業を遅らせるわけにはいかない。」


私「それなら、私のテストの時間を削ってもらってもいいです。

他の子はテストを始めてもらって、私はその間に鉛筆をとってきます。」


担「お前の教室の出入りを禁ずる。

他の生徒がテストの答案を書いているそばを通り抜けることになる。

その時点でカンニング決定、廊下に退室してもらって、テストは0点だ。

時間短縮とは関係なくアウトだ。」


私「それじゃ、このクラスの子から鉛筆を借りさせてください。」


担「ダメだと言ったはずだ。
お前に鉛筆を貸した生徒もお前と同じく0点とする。」


私「は?鉛筆を貸しただけで?
意味が分からないです、なんでですか?」


担「連帯責任を教えてやっているんだ。
ウカツな生徒とつるむと、そいつにも責任がかぶるってことをな。」


私「…先生は私に試験を受けさせないつもりですか?
意味が分からない。」


担「お前が鉛筆を用意していないから、悪いんだ。
どのみち、回答をしていたとしても、無記名なら0点にするのが試験の決まりだ。

特別に今回はお前が無記名だったとしても、お前の答案として扱おう。
お前以外は全員名前を書いているからな。」


私「回答できないなら、試験を受けさせる意味がないんじゃ…。」


担「学校を休んでいるわけじゃない。
私は良心的だから、試験をうけさせてやるんだ。

みんな~!!

よかったなぁ、しんじゅ先生が0点をとるから、平均点が下がるぞ~!
成績、みんな順次繰り上がりだ!!」


小竹「やった~!!!
ラッキー!!」


藤井「ぷっ!バッカでぇ~。」


他の生徒もザワザワしだす…。


私の脳裏に、見知らぬ少年たちが、教室の床に這いつくばって泣いている姿が浮かんだ。

そのそばで担任の教師が嘲笑っている。


私「…先生、先生は、この学校だけでなく、セベ小でも、アザイナカ小学校でも、男の子たちに、同じことをしていたんですね…。」


担「ほぉ?どこからその情報を…。
そうかお前、姉と兄が中学にいたな。

中学生のネットワークもあなどれないか…。
だが、証拠がない。

クク、今までの奴らは数ヶ月で口もきけなくなってたがな…。

さぁ、時間の無駄だ。

お前のせいで8分遅れた。

試験が終わるのは、休憩時間をずれ込んで48分とする。

試験開始!」



パラパラとプリントがめくられて、生徒たちが試験を受け始める中、私は一人、無言で着席していた…。








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回答(少女時代75ー2)

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