次の時間のテストが始まりつつあった。

私が黄色の鉛筆を持っているのを見て、担任の教師がそれを取り上げた。


担「なぜ、お前鉛筆を持っている!」


私「隣のクラスの子に借りました。」


担「なぜ、隣のクラスの奴がお前に鉛筆を貸すんだ!?」


私「昔からの友達です。」


担「お前みたいなカスに友達なぞいたのか?
どちらにせよ、これは没収だ。
こうして、友情もジ・エンドだな、しんじゅ。
貴重な友達を失って、ご愁傷さまです。」


私「返してください、その子はなにも事情を知らずに貸してくれたんです。
親切で貸してくれたのに、迷惑をかけたくありません。」


担「誰だ、私から返しておく。」


私「名前は言いたくありません。
迷惑をかけたなくないんです。
テストを受けるので、鉛筆を返してください。」


担「勝手に他人の私物を持ち込んだ、その時点でアウトだ。
没収決定な。」


私「いいんですか?そんな事をして。
それは私の鉛筆じゃないんですよ?」


担「お前がよそのクラスに鉛筆を借りに行っても無駄だ。
その都度没収するまでだ。」


私「先生、私にきちんとテストを受けさせてください。
0点をとって、親を悲しませたくないんです。」


担「鉛筆が用意できないのも、お前に人望がないからこうなる。
自業自得だ。
親に謝っておけ。」


私「先生は、私に試験を受けさせたくないんですね…。

分かりました、その子に鉛筆を返すのは諦めます。
そうすると、その子は鉛筆を取られたことになります。」


担「お前とつるんでいた結果だ。
自業自得だな。」


私「先生の言っていることは、このクラスにしか通用しません。
隣のクラスの友達は、鉛筆が返ってこないことになります。

きっと担任の先生に言うと思います。
そうしたら、私、隣の先生から鉛筆返しなさいって言われると思います。」


担「お前の自己責任で無くしたんだ。
私には関係ない。」


私「隣の担任の先生から小宮先生に、返してもらうようにお願いしてみます。

それだと結局返すことになるから、先に私に鉛筆を返してください。」


担「は?お前、何を言ってるんだ?」


私「私と仲良くしたら、連帯責任っていう話は隣のクラスには通用しません。
隣のクラスの子には、別の担任の先生がついていますから。
友達の鉛筆を返してください。」


担「…はっ!返してやるよっ!」


教師は、鉛筆を握り込んだ。

そのまま大きく振りかぶって、ふり下ろそうとした。


私「先生、私に鉛筆を返すついでに、鉛筆の芯を折る気なら無駄です。
先生が鉛筆の芯を折ったら、また別のクラスの子に鉛筆を借りに行きます。」


担「はっ!迷惑な話しだなっ!
お前にそんな友達いないだろうがっ!」


私「先生、この町は小学校一つしかないんですよ?
みんな一緒に育ってきたんです。

全部のクラスに友達や知り合いがいます。
鉛筆一本貸してって言ったら、みんな気をよく貸してくれます。

他のクラスの子は、私が悪さする子じゃないって知ってますから。
保育園からの友達もあちこちにいますから。」


担「知ったことか!」


私「先生、私、毎回違うクラス、そして全部のクラスに鉛筆を借りに行きます。

そうすると、そこの担任の先生は不思議がると思います。
どうして自分の席の近くの子に借りないの?って聞いてくると思います。」


担「それがどうした!お前に鉛筆を借りるだけの人望が無いってだけのことだろ?」


私「私に鉛筆を貸した子は0点になるから、誰も貸せないんです。」


担「ここでは私が最高権限者だ、私の言うことは絶対だ!」


私「先生…このクラスでは、私に鉛筆を貸してくれる子がいないように見えます。

でも、心の中で手助けしたいと思っている子もいると私は思います。」


担「妄想だな!お前、末期だ。」


私「その子たちが、よそのクラスの仲のよい子に、私に鉛筆を貸すように言ってくれるかもしれません。」


担「そんな真似したら、そいつの名前を暴き出す!それだけだ!」


私「先生、噂ってね。

『自分が言ったってことは内緒だけれど』ってなるとね、それを聞いた子は、話したくてしょうがなくなるものなんですよ。

すると『これは自分が聞いたってことは内緒で』って、つい次の子に言っちゃう。

『内緒』ってつくと、どうしても話したくなるものなんです。

『内緒』には魔力があると思うんです、子供だからガマンできない。

で、あっという間に広がるから、噂の出処なんて、わけがわからなくなると思うんですよ。」


担「それでも、全部、順次暴き出せばいいまでのこと!
このクラスでの出来事を他言した人間には厳しい制裁を与えるっ!」


私「それ、時間がすごくかかると思います。

それに、最初に言い出した子も、『これは自分も聞いた話なんだけれど…。』って適当に言い始めたら、言いだしっぺは見つからないと思いますよ?

それが一人二人じゃなかったら、もう複雑でかなわない。
そうして、犯人を探している間に、先に先生の噂が広がると思いますよ?」


担「お前を手助けしようとしている人間を危機にさらす気か!?
最低な人間だな!
私からの制裁は絶対だ!
必ず成し遂げる!」


私「そう、私に鉛筆を貸してくれた親切な子や、私の心配をしてくれた心優しい子に迷惑をかけたくないんです。
だから、そのまま鉛筆を返してください。」


担「…分かった、試験が終わったら、無事、鉛筆を返してやるよ。
友達に無傷な鉛筆を戻すといい。」


私「先生、そうしたら、私、試験が答えられません。
無記名、無回答の白紙を出します。」


担「だから、最初からそう言っているだろう…。
お前に鉛筆があろうと、なかろうと結果は同じなんだよ。
悪あがきをするな。」


私「これからの試験、全部白紙回答します。」


担「あぁ、お前の成績もとうとう地に落ちたな!」


私「学校を休んでいるのでもなく、具合が悪いわけでもなく、試験を受けて、白紙の答案を出し続ける児童がいる。
それって問題ですよね。すごい悪い子ですもんね。

きっと、職員会議にかけられますよね?」


担「あぁ…?」


私「先生たちの間で、どうやって指導しようかと話し合われると思います。

難しい問題です、学年だけじゃない、学校全体の問題になるかもしれません。

そんな問題児を先生のクラスから出していいんですか?」


担「!」


私「先生は子供に勉強を教えるのが仕事です。

そこに、問題児が現れてテストにまったく答えようとしない。

先生たちの間で、小宮先生の指導の仕方はいったいどうなってるんだって話になりませんか?

それって先生の評判に傷がつくと思いませんか?」


担「お前…担任を脅す気か?」


私「いいえ?自然な成り行き、当然の結果だと思われます。

だから先生、今、鉛筆を返した方がいいと思いませんか?」


担「くっ!返してやるよっ!」


鉛筆がカランカランと音を立てて、机の上に転がった。

私はそれを手にとった。


私「あぁ、先生、もう一つ。
さっきの話。
私ね、子供にも良心ってあると思うんですよ。

行動に移せなくてもね、心の中で困っている人を助けたいって気持ち、必ずあると思います。

できるかどうかじゃなくて、その心が尊いと、私は思います。

私、この小学校の子の心を信じています。

このクラスの子を信じています!」


ざわっと教室の雰囲気が変わった。


担「はっ!それがどうした?屁にもならないぞ!
結果が全てだ、誰もお前の手助けなどしていないだろうがっ!
鉛筆までへし折られている、嫌われ者の、惨めな現実を見ろっ!」


私「…これでもいろいろガマンしているんだっ!

嫌がらせを黙認し、テストを受けようとする児童の邪魔をし、それを協力しようとする他の児童の気持ちまで踏みにじり、脅迫する!

どこにそんな教師がいる!
それが教師のすることか!
今後、鉛筆がダメになったら、他のクラスへ借りに行くまで!
それをそこの担任へ報告します!」


担「お前、何様のつもりだっ!
そんな事ができないように、お前に虚言癖があると周りに忠告しておくまでだっ!
妄想も甚だしい!」


私「そうですよねぇ~?

私がいくら何を言っても、きっと無駄ですよねぇ~。

私にもそれくらい想像がつきます。
だって、この教室では先生が統制をとっているんですから。

でも、クラスの外ではどうでしょう?
今の会話、クラスの子達、全部、聞いています。」


担「は?」


私「自分がどういう行動をとったらいいか、気づくんじゃないかな?

変な噂が立ったら、職員室での先生の評判、どうなると思います?

先生と私、どっちに軍配があがると思います?」


担「軍配…。」


私「心配しなくても、虚言癖のある白紙回答を繰り返す問題児の言うことなんて、誰も真に受けませんよ。
私に失うものなんて、なにもありません。

でも、鉛筆を借りに行くっていう事実は残りますよね?
それは事実ですから、噂でもなんでもない、現実のできごとで、私に関係した人は全て証人になりますよね?」


担「お前、いったい何を…。」


私「小人さんたちが活躍すればするほど、先生の噂が広がりますよ?

働き者の小人さんは、先生の足を引っ張るかどうかもわからず、これからも私の文房具をせっせと壊しにかかります。
どう思います?」


担「こびとぉ!
今後一切、余計な真似をするなっ!」


藤井「ヒッ!」


小竹「ふわぁ!」


私「ファンタジーですね。」










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