ヨッちゃんのおばあちゃんの部屋でこたつに入りながら話し込む小学生二人。


ちなみに、ヨッちゃんのおばあちゃんは、ヨッちゃんのお父さんを産んだのが、うんと遅かった(当時40才くらい)とのことで、かなりお年寄りで耳が遠いのです。


つまり、私たちの会話はまったく聞こえておらず、目線はテレビのすもう中継に夢中になって、手元は私たちの為に、お餅だけ焼いている状態なのでした。



ヨッちゃんは、食欲を無くして、自分の分のお餅を私に譲ってくれています。

痩せの大食いめ…とか小さく呟いた後も、会話は続いていきます。




ヨ「なぁ…お前さ、母ちゃんじゃなくて、父ちゃんに言ってみたら?

そっちから、頼んでみたら?」



私「ん~~?

あ~。」



ヨ「あ~、じゃなくて!」



私「ん~、お父さんはね~、お父さんは、私たちにはいばりんぼだけど、外には弱いのよ。

ウチのお父さんも、ある意味、子供大人なんだよねぇ。

いつも、難しい問題は、「お母さんに任せた!」っつって、逃げるんだ。」



ヨ「…あぁ~…。

そっか、ここらへん、多いよな、そーゆーふがいない男って…。」



私「うん、なんか、やたら女は男に従え!っぽいこと言うんだけど。

難しいことは考えられないんだよねぇ、機嫌がいい時は愛想がいいんだけど…。」



ヨ「あぁ~…。

そうだな、だいたいそんな感じだよな、ここらへんの大人の男って…。」



私「そう、よそは知らないけど、ウチはそんな感じでダメなパターン。」



ヨ「ダメなパターンだな…。

でも、強くお願いしたら?もしかするかも!?」



私「あぁ~、だから、お父さん、他人に強く出れないのよ。

優しくて、親切な人になら、ずぅずぅしいくらい話しかけられるんだけどね?

きつい人からは逃げちゃうの。

ダメなパターン…。」



ヨ「あぁ、ダメなパターンだな。

特にあの担任じゃ、愛想がいいだけの男なんて太刀打ちできっこないか…。」



私「うん、そう、ムリ。」



ヨ「あぁ、普通の親でもムリじゃ、そんなんムリだわな…。」



私「うん、期待できない。」



ヨッちゃんは、しばらくうつむいて、黙りこくってしまいました。


私はむちゃむちゃと彼の分のお餅を平らげて、少しぼーっとしていました。




ヨ「…あのさぁ。

オレさ、オレがお前の親だったら…。」



私「ん?」



ヨ「オレがお前の父親だったら、めちゃくちゃ可愛がるよ。

そんで、学校に怒鳴り込んでやる。

お前のこと、絶対見捨てたりしねぇよ、多分…。」



私「ヨッちゃんが、私の親?

え、なんでそんな話?」



ヨ「いや、オレだって、今子供だし、大人の気持ち分かんねぇけどさ。

けどさ、多分、自分の子供だったら、どんなにデキ悪くても、かわいがると思うんだよ。

そんでさ、そんでさ、お前みたいな子供だったら、めちゃくちゃ自慢する。

オレの娘どーだ!すごいだろ~ってさ。

そんで、メチャクチャかわいがると思う。」



私「えぇ~?何言い出すの、急に!」



ヨ「や、からかってるとかじゃねぇよ!

本気、マジ、今、すっげー本心で言ってる!!

そう、自分の子供だってだけで、特別かわいいと思うんだ。

そんで、そんな子供をいじめる奴なんて、容赦しねぇよ!絶対!

口喧嘩とかでは、負ける気がするけど、学校のセンコーだって、ビシっと言ってやるよ!

なんで、お前んチの親が、お前をほっとくのが、意味わかんねぇんだよ!」



私「だって、そういう親だし?

そういう家だし、そういうもんじゃないの?」



ヨ「や、そうだけど!

そうじゃねぇんだよ!気持ちの問題だよっ!

できるかどうかじゃねーよ、自分の子供、絶対守ってやるって、そーゆーのが親ってもんだろ?

それが親の愛情って奴じゃね?

そこがオレ、分かんねぇし、そんでオレ、お前の親じゃねーし、お前の友達でも、なんもしてやれねぇしで、メチャクチャ落ち込むやらわけがわからねぇやらで、いっぱいなんだよ。」



私「ヨッちゃんは、私の親じゃないんだから、気にしなくても…。」



ヨ「や!そうだけど、そーゆー問題じゃねぇよ!

そーゆぅんじゃねぇんだよ!オレ、言葉うまく見つけられねぇけど、気持ちが違うんだよ!

お前のこと、守ってやりてぇって話なんだよ、それ分かってくれよ!!」



私「…ヨッちゃん…。」




ガラっと扉が開いた。



「しんじゅちゃん!遅くなっちゃったわね、お母さんに連絡入れるから、電話番号を教えてくれない?

それで、よかったら、ウチで夕飯食べてってよ!

それで、悪いけど、ヨシの宿題、一緒にやってってくんない?

それから、ソイツに家まで送らせるから、ね!?」



ヨッちゃんのお母さんが、にこにこしながら声をかけてきたのだった…。











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