テレビを消して、こたつの上に教科書とノートを並べる。

子供二人が向かい合わせになって、せっせと宿題を片付けていた。


しかし、そこは子供、口がとまることはない。




ヨ「なぁ!お前、字、書くの早くね?キチンと考えてんのか?」



私「あぁ、もう学校で一通りやってるから、思い出して書いてるだけ。」



ヨ「は?学校でやってるなら、なんで今ノートやってんだよ。」



私「他人のノートだ。

しかも5人分、宿題を片付けている。」



ヨ「へ?」



私「クラスの姑息な女子達に、宿題やらされてんだよ。」



ヨ「アイか?なにが天使だ。」



私「アイちゃんは姑息だが、アイちゃんじゃない。

だいたい、アイちゃんにはカテキョが付いてるし、私にやらせる意味がない。」



ヨ「あ、アイツ自慢してたな!大学生のかっこいいお兄さんが教えてくれるって。」



私「アイちゃんは、大学生のカッコイお兄さんと仲良くお話できるのが楽しいみたいだな。

宿題をいつも手伝ってもらっているらしいし、お姫様扱いされて嬉しそうだった。」



ヨ「へーへー、お嬢様だもんな、アイは。」



私「しかし、肝心の成績はさっぱりだ。

家庭教師に勉強を教えてもらうはずが、大学生との恋愛を夢見て胸をときめかせている。

宿題をやらせて、復習にならす、学校の勉強がイマイチ理解できず、なんとか平均点をとれるのが精一杯の成績だ。

アイちゃんのお母さんは、かなり無駄な投資をしていることになるな。」



ヨ「え~?ズルくねぇ?大学生に宿題やらせるとか、インチキー!」



私「バイトだろうけど、ダメな家庭教師だよ。

子供のペースにあわせるんだか知らないけど、おしゃべりで時間終了。

宿題を片付けるのでおしまい、じゃ、授業についてこれなくなってる。

アイちゃんも、家庭教師がついているっていう安心感から、いつでも巻き返せるって過信しているんだ。

あんま、お利口な考えじゃないねぇ。」



ヨ「あ~。なんかアイツ考え方が浅いっていうか、あさはかっつーか。」



私「まぁ、端的に言えばそうだな。

ある意味不憫だ。

お金だけかけて、ダメなパターンだな。

そのくせ、自分は利口だとカンチガイしている。

ま、私にそんな風に思われてるって知ったら、メチャクチャ腹立てるだろうけどね?」



ヨ「でも、お前の方が勉強できるじゃん。」



私「知らぬが仏。

出席番号前後してんだから、クラスで一番私の成績に気づいてもいいのに、まったく気づかない。

たまに、えっ!?って顔しても、きっとタマタマだと思い直しているみたいだ。

自分の方が勉強ができるって信じ込んでいる。

主観と事実が混同されている、困った子だよ。」



ヨ「そんで、掃除当番もサボり続けてお前に押し付けっぱなしか。」



私「ま、アレだね?

ピアニストになるからって、お母さんに包丁も持たされていないって話だから、家事もなにも手伝っていないんだろうね。

私みたいに、里芋の皮むきとか、長芋の袋詰めとかしたことないんだろうなぁ。

手がかぶれちゃうから。」



ヨ「家の手伝いか。」



私「おぅ!ナスの袋詰めなんか、16秒でできるぜ!

手伝いするとお小遣いもらえる。」



ヨ「いくらだ?」



私「ナスひと箱、袋詰めするのに、20分くらいかかる。

そうしたら、10円もらえる。

一日に、30円ぐらい稼げるな。」



ヨ「すくなっ!えっ!20分×3ってことは、60分で、えっと一時間。

一時間手伝って、駄賃30円?

ホームラン(アイスバー)買っておしまいじゃん!

うまい棒三本、チロルチョコ三個!」



私「二時間手伝ったら、加算給で20円増し。

80円もらえる。」



ヨ「すくなっ!

それでも百円切るのかよっ!」



私「3時間手伝ったら、まさかの150円だ。

労働の対価は尊いのだ…。」



ヨ「なぁ、お前、小遣いもらってんのか?」



私「定額でもらってるし、必要なものはそのつど親に言って買ってもらっているからお小遣いなくてもいいんだ。

ただ、お手伝いしている感じを楽しむ為にお駄賃ももらっている感じかな?

これで、好きなものを買ったりしてる。」



ヨ「だって、ゲームとか漫画とかそういうのはどーすんだよ?

とても足りないだろ?

菓子だって買っちゃうし、小銭だけじゃ回せないぜ?

ゲーセンとか、遊ぶのも金が必要だろ?」



私「おもちゃが欲しいって親に言うと。

『野原に行ってらっしゃい。自然には学ぶことがたくさんあるわよ?』って言われる。」



ヨ「それって…タダだからか?」



私「あぁ、『お金を使わずに遊ぶのも才能の一つよ?』とか『自然は美しいわ。子供の心を育むのにピッタリ』とか言われる。」



ヨ「それって…もしかして、お前の母ちゃんケチ…。」



私「経済観念が発達していると言ってもらいたいな。


『動物や植物や昆虫と触れ合うのは子供の情操教育にフィットした考えだ』と言われているぞ?

お父さんも喜んで虫かごやタモを買ってくれる。

『なんて安上がりないい子なんだ』って。」



ヨ「…もしかしてお前が昆虫採集が趣味だってのは、他にセンタクシが無かったからなんだな…。

子供っぽいとか言って悪かった、悪かったよ、お前のこと誤解していたみたいだ、オレ。

オレ、おもちゃ欲しいって思ったら、ごねてごねてごねまくって結局いつも親に買ってもらってる…。」



私「ヨッちゃん、お父さんとお母さんを大事にしろよ?」



ヨ「いや、まぁ、その、なんだ…。

オレ、お前のこと、アタマ良くて、これからじゃんじゃん楽できそうでいいなって思ってたけど。

オレの方が、はるかに優雅な生活してるって気づかされたわ…。」











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