コンコンとドアをノックする音が響いたかと思ったら、ガラリとドアが開いて、ヨッちゃんのお母さんがにこにこして現れた。



お「どぉお~?宿題はかどってるぅ?

お茶におやつ持ってきたわよぉ~?」



と、丸いお盆に湯のみ茶碗二つと豆大福が二つ、小皿に盛り付けられて運ばれてきた。



私「あ、ありがとうございます。」



お「いぃえぇ~、しんじゅちゃんに宿題見てもらったら、ヨシの成績も上がるってものよぉ~。

ねっ!ヨシ!」



私「そんな…。」



お「どうぞ、しんじゅちゃん、今日はオヤツにこんなものしかなくて、悪いんだけど、食べってってね?

いちごショートとか用意してたらよかったんだけど、急だったからごめんね?」



ヨ「けっ!いつも豆大福かまんじゅうだろ?

なに普段はもっといいもん食ってるアピールしてんだよ。

みっともねぇ。」



お「うるさい!ヨシは黙ってな!

って、あんた全然宿題すすんでいないじゃないのっ!

こらっ!」



ヨ「うっせ!今やってるところです~!

あ~やる気なくした!そんなこと言われると、もうやりたくなくなりましたぁ~!」



私「あの!私和菓子も大好きですっ!

おばさん、ありがとうございます。」



お「まぁ!しんじゅちゃん、ありがとうねぇ。

ほんと、いいお嫁さんになると思うわぁ?


ちっ!アンタきちんと宿題やるのよっ!

じゃ、おじゃましました!」



ヨッちゃんのお母さんは、お盆を持って、ドアに手をかけて、閉めつつ「清き一票をお願いします!」と言って出て行きました。



ヨ「ちっ!こりね~ババァだな!

恥ずかしいわっ!」



私「クスクス、アタシおばさん明るくて好きだよ?

元気で若くていいお母さんじゃない。」



ヨ「へっ!30超えたら、ババァだよ!」



私「クスクスまだ32才なら若いと思うけど(笑)」



ヨ「へっ!若作りがっ!」



私「クスクス、ウチのお母さんより10歳近く年下だもん、そりゃ若いって!」



ヨ「あぁ?オレ長男だからな。」



私「クスクス、私は3番目だしね。」



ヨ「よぉ、それより、さっきの話の続き…。」



私「ん、でも、大福食べたら、先に宿題をやっつけよう。」



ヨ「えぇ~、そんなの…あ、全然進んでねぇ。

ってか、お前、いつの間にそんなにっ!?」



私「ん~?だから、学校でもうやったから、書き写すだけだし。」



ヨ「ちょ!それ、写させてくれよっ!?」



私「ん~…ほんとは、ヤなんだけど、ヨッちゃんにはお世話になったし。

今日だけね!」



ヨ「やりっ!」



と、ヨッちゃんと私は豆大福を頬張りながら、残りの宿題をチョッパヤでやっつけました。



私「あ、ヨッちゃん、そこは間違えとかないと。

重箱読み、ヨッちゃんが解けると、怪しまれる。

わざと音読みにしといたら?」



ヨ「へ?」



私「難易度の高い問題も正解にしちゃうと、怪しまれるよ。

私の、ほとんど正解だから。」



ヨ「あ、そっか…。」



私「あ、そこの3番も直して。

それは余りを書き忘れた風にして…。

それと8番は応用問題だから、分子の数をわざと大きいままにしといた方が、ニアミスっぽくていい。


で、12番も、ひっかけ問題だから、ここは通分を間違えとくといい感じだよ。」



ヨ「お前、カテキョできるな!しかもズル込みなんてレベルたけぇぞ!」



私「今日だけだよ!ズルはほんとはいけないんだからね!

アタシのために時間を使ってもらっているから、そのお礼で特別ね!」



ヨ「はえぇ。もう宿題終わった。

お前の脳みそ、サンキュ!」



私「どんなお礼の仕方してんだか!」



ヨ「ふぃ~、アイんとこの大学生よりお前の方が実力あんじゃね?」



私「あはは、同時進行に勉強しているからね、意外と大学生よりうまく教えれるかもね?

それにもう分かりきっちゃった人が、分からない人に教えるのって意外と難しいかもしれないよ?


私、頭のいい人って、難しい事を、難しいまま教えるんじゃなくて、簡単な言葉で分かりやすく教えれる人だと思うんだ。」



ヨ「ん~、同感!そのほうがこっちも楽だしな!」



私「アハハ!楽することばかり考えちゃって!」



ヨ「しっかし、アイ、どうなるんだ?うしし!」



私「クスクス、来年の新学期以降だね、問題は。

一年間家庭教師がついていたのに、5年になったら、ガクンと成績が下がるから、カテキョはクビになるかもね?」



ヨ「親の金ムダにしやがって!」



私「あはは、でも、まぁ、お姫様扱いされるのは、あこがれちゃから、浮かれちゃうのも分かるけどね?」



ヨ「じゃ、カテキョも女にしとけばよかったんだよ。」



私「あ、確かに!

まぁ、でもそれでも難しい気がするなぁ、アイちゃんなら。

きっと、年上のお姉さんからお化粧とかおしゃれをいろいろ聞きたがると思うし、結局勉強が手がつかない気がする。」



ヨ「それ、最初からやる気ねぇじゃん。(苦笑)」



私「ま、そだね。

アイちゃんのお兄さんは秀才らしいから、きっと勉強も頑張らないとって思っているんだよ。」



ヨ「実力が追いついてないのに?」



私「アイちゃんは二年前から突然社長令嬢になった訳だし。

なにか、優秀な兄を持つ、妹として気になるんじゃない?

末っ子だし、もっと注目して欲しいとか、かまって欲しい、さみしいとか…。」



ヨ「それ言ったら、お前んとこもそうじゃん。

お前の兄ちゃん、キレキレじゃん。

学校で知らない奴ないレベルの。」



私「あぁ、そういえば、そうだね。

そうか、一緒か。」



ヨ「アイんとこの兄貴も優秀だけど、秀才タイプだろ?

それなら、お前んとこの兄貴は天才タイプだ。

お前の方がプレッシャーキツイと思うぜ?」



私「あぁ…そうか、ん、でもウチは兄弟仲いいから、あんま気にならないなぁ。」



ヨ「アイんとこが、兄弟仲悪いみたいじゃんか(笑)」



私「いや、それは分からんけど(笑)

アイちゃんのお兄さん、礼儀正しくていい感じの人じゃんね。」



ヨ「あぁ、兄貴は上品だよな…。

なんでアイツあんなスレてんだろうなぁ…。

なにが天使だか…。」



私「自称天使かな。(笑)

でも、見た目が白っぽくて、キレイだから天使っぽいっちゃ天使っぽいね。」



ヨ「お嬢様のわりに、やってることが下品なんだよな…。

ん?

お前、確か本家があそこってことは、お前もお嬢なんじゃね?」



私「あはは、世が世ならお姫様らしいよ!って昔お母さんが冗談で言ってた!」



ヨ「え!?」



私「あはは!そこまでじゃないよ!

江戸時代から続いているらしいけど、お城とかあったわけじゃないし。

今はいとこ達が本家の跡取りだし、あたしンちは新家(しんや)だし、お嬢様ってガラじゃないよ!」



ヨ「ふぅ~ん、でもちょこっとはお姫様っぽい訳だ。

それなら、アイ、お前のこと見下してんのおかしくね?

お前の方がずっと前からお嬢だってことじゃん。」



私「え?あ、そうかな…。」



ヨ「なぁなぁ、世が世ならお姫様って奴。

男だったら若君とかになるのかな?」



私「え…、あ、そう、かな…。」



ヨ「それとも、若殿?若様か?

女なら姫君とかか?」



私「え…、あ……。」



ヨ「姫様、姫君かぁ、あんみつ姫とかか?

うしし…。」



私「あ………。」



ヨ「なに?お前どうした?

そんな変な顔して?」



私「あ…姫君……。

昔、そう呼ばれてた気がする…。」



ヨ「誰に?」



私「え…誰だっけ…。

えっと、もう、ずいぶん前のことで…。

銀色の…真っ直ぐな…長い髪の毛の男の人に…。

そう、呼ばれて、抱っこされたような気が…。」



ヨ「は?銀色の髪の毛?

シルバーグレーって奴?」



私「…そう、シルバーの長い…長い…。

優しい男の人がいて…。

しんじゅちゃんの事をニコニコして抱っこしてくれた…ような…。」



ヨ「おじいちゃんとか?」



私「や、おじいちゃんじゃない…。」



ヨ「へ?シルバーグレーの髪の毛つったら、お年寄りだろ?

それとも中年の人か?親戚かなにか?」



私「え…思い出せない…。

あれ…なんか、すごく大切な人だった気がする…。」



ヨ「だから、おじいちゃんとか親戚のおっちゃんとか?」



私「分からない…。

でもおじいちゃんは二人共真っ白な髪の毛だし、そんな長くない…。

糸みたいな、真っ直ぐでキラキラした髪の毛の人…。」



ヨ「じゃ、覚えてないだけで、どっかの親戚のおっさんじゃね?」



私「…分からない…。

なんで、覚えていないんだろう…。」



ヨ「がきんちょの頃なら、仕方ないんじゃね?」



私「え…あ、そう、かな…。」



ヨ「それより、それって、お前、本物のお姫様ってこと?」



私「え!あ、違うよ(笑)

きっと記憶違いだよ!

ウチは庶民!」



ヨ「ちぇ~、お前の方が、実はお嬢だったってなったら、アイの鼻をあかせるかと思ったんだよ!」



私「あはは!実はお嬢様だよ!

アタシは家族経営の零細企業の社長令嬢だよ!


いつもニコニコ現金払い!

明朗会計のしんじゅ商会をどうぞごひいきに!」



ヨ「お前、ホント商売人向いてんなぁ~(笑)」











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