ヨッちゃんと二人コロコロと笑って、私はとても気分が良かったのでした。



ヨ「なぁ!マジメな話、お前の母ちゃん、なんか…。

ちょっと問題あるみたいだからさ、父ちゃんに頼んでみたら?

なんか、子供の手に負えない問題のような気がする。

お前の父ちゃんから、学校に言ってもらえよ。」



私「うん…。

そ、そうだよね、多分、大人じゃないとダメだよね…。

もう一回お父さんに頼んでみるよ。」



ヨ「ん!それがいいよ、きっと。

学校の先生と話つけるの、やっぱ保護者じゃないとって思うし。

オレ、お前のこと、学校の外では守ってやるからさ。

ミオなんかに、付け狙われねぇように、しっかり見張っててやるよ!」



私「うん…ありがと。

こういう時、頼りになるのは遠くの親戚より近くの他人って感じだね?」



ヨ「なんだ、そりゃ。」



私「ん、血のつながりより、仲良くしている友達の方が頼りになるっていう意味らしいよ?

だから、友達は大事にしなさいって、昔お母さんが言ってた。」



ヨ「そっか、そりゃ、大事だな。

でも、家族がいるじゃん、お前。」



私「うん…。

でも、お母さん、最近元気ないんだ…。

よく、頭痛いって言って、すぐに休むようになっちゃって…。

ごはんもお味噌汁とお惣菜のコロッケとかで、料理する元気もないみたい。」



ヨ「え?だからじゃないか?

調子悪いから、お前のこと、気にかけてやれなかったんじゃね?

余裕が無いっての?

ウチのオカンでも時々、頭痛がするっていって、ぐったりしてる時あるよ。

大人でもそういうのってあると思うよ。」



私「あ…そうか、うん。」



ヨ「お前、母ちゃん、大事にしてやれよ。

それで、元気になったら、きっとお前のこと守ってくれるよ!

それが親ってものだろ?」



私「う、うん…。」



ヨ「なんだ、なんか問題でもあるのか?」



私「う、うん…。

最近、ウチのお店でドロボウがあって…。

お父さんもお母さんもピリピリしてるの…。」



ヨ「えっ!?ドロボウ?って盗みかっ!?」



私「うん…。

秋口からちょこちょこ商品が消えていたみたいで、ずっと続いているの…。

月に何度も盗みに入られるから、お父さんカンカンで…。

今度、警察を呼ぶって言ってた。」



ヨ「えっ!それって、どのくらい?」



私「よく分からないけれど…。

最初は数万ぐらいだったのが、今では月に10万から15万円ぐらい商品が盗まれているの…。」



ヨ「えっ!?なんで、お前の店でそんなっていったら、商品全部消えちゃうんじゃね?」



私「そうじゃないよ、野菜とか卵を盗まれるんじゃないの。

贈答品とかの高級品だけ盗まれているの…。


それも、一つ、二つじゃなくて、突然、棚からゴッソリと消えてて…。

お父さん、アメ横で赤外線センサーとか買ってきて、チャイムが鳴るようにして、入口に取り付けてもどんどん盗まれていくの…。」



ヨ「えっ!そんなの万引きできるのか?」



私「ううん、洗剤の詰め合わせとか、お菓子の詰め合わせとか、缶詰とか高級メロンとか…。

一個で数千円から7~8千円の箱詰めされたかさばるものがごそっと消えてるのよ。


それも、毎週のように…。」



ヨ「えっ!?それって近所の奴?」



私「分かんないけど…。

ガラスのショーケースに鍵かけてあるのまで盗まれている…。

でも、誰もそれを目撃していないのよ…。

お父さんはものすごく不機嫌だし、とても私のこと構ってくれる余裕がないみたいなの…。」



ヨ「そっかぁ…。

それは、警察に頼むんだな!

きっと、犯人を捕まえてくれるよ!

それからだよ!」



私「う、うん、そうだね?

きっとおまわりさんが助けてくれるよね?」



ヨ「そうだよ。」



ガラリとドアが開いて、ヨッちゃんのお母さんが入ってきました。



お「しんじゅちゃん、もう、かなり遅くなっちゃったわ!

ウチに泊まってく?」



ヨ「え。」



私「あ!それじゃ私、帰ります!」



お「じゃ、ヨシ、しんじゅちゃんの家まで送ってって!」



ヨ「分かったよ。」



お「しんじゅちゃん、寒いし、暗いから気をつけてね?」



私「はい!おばさん、今日はご馳走になりました。

手作りのコロッケおいしかったです!

遅くまでお世話になりました。」



ヨ「……。」



お「きゃっ!ホント、ウチの子になっちゃえばいいのにっ!

しんじゅちゃん、バイバイ!」



ヨ「行くぞ!」



ヨッちゃんは、私の分のランドセルを背負って、一緒に私の家まで歩いて送ってくれました。



ヨ「なぁ、さっきの話…。

お前の母ちゃん、だいぶ悪いのか?

お前、手作りのが美味しかったって…。」



私「…分かんない。

大丈夫だって言うけど、こっちに来るなって言われてて…。

とても元気なくて、料理作る体力もないみたい…。

お店の商品が盗まれて、すごく気落ちしているみたいなんだ…。」



ヨ「そうかぁ…。

商売屋さんも大変だな…。」



私「うん…。

あ、そうだ、でも先生もいいところあってね?

いつも、ウチの店で買い物をしていってくれるの。」



ヨ「へ?あの担任が?」



私「うん、わざわざ隣町から車で買い物に来てくれてね?

いつもダンボールで買い物して行ってくれているの。

中身は見たことないんだけどね?

だから、売上に貢献してくれているんだなって思うと、そんなに悪い人じゃないのかもね?」



ヨ「う~~~ん、よく分からん。

なんか、妙な気がするけどな。

それで、お前んちが潤えばいいんだけどな。」



私「う~~ん、どうなんだろ。

いつもツケで買っていくみたいで、先生がどれだけ買っているか、私には分かんないんだ。

でも、あの感じだと、月に2万円は買っていってるみたい。

だから、助かるよね?」



ヨ「そっか!アイツもたまには役に立つな!

じゃ、また明日!

うぉ~あさって試験だ!

明日は勉強しようっと!」




吐く息が白くなり、お互い肩をすぼめて、おもわず手をこすります。



私「アハハ!ヨッちゃん、ありがとう!

今日はたくさんお話できて嬉しかったよ!

また明日!

おやすみ!」



ヨ「うぃ~さみぃ、また明日!おやすみ!」



ヨッちゃんからランドセルを受け取り、そのまま腕にかけて背負わずにいました。

私は胸の中がポカポカとして、なんとも幸せな気持ちになっていました。


12月の夜空は澄み切って星がキラキラと瞬いていて。


大きく手を振ると、少年は何度もこちらを振り返りながら、手を振り返してくれたのでした。










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