私が放心して、東玄関を出てくると、ニコニコしながら、用務員のおじさんが、ゆっくりとトラックを移動してきているところだった。

私は、パタパタと彼のそばに駆け寄った。


私「おっちゃん…。」


用「やぁ!嬢ちゃん、今日もクラスのモンにいじめられたんか?」


私「おっちゃん、おっちゃんがおらんかったら…。」


私は顔をくしゃくしゃにして、涙をポロポロと流し始めました。


用「あぁあぁ、嬢ちゃん、綺麗な顔が台無しやで?
髪の毛も顔も服も泥だらけや。

こりゃ、灰かぶり姫、シンデレラやな?(笑)

大丈夫か?お母さんに怒られんか?
服もボロボロやな。」


私「うん、大丈夫や。
最初はずぶ濡れやったけど、だいぶ乾いてきてる。

まだ9月で暑いくらいやったし、助かったわ。」



用「ほうかぁ。
元気やなぁ。
でも、嬢ちゃん、ちょっと顔洗ってきいや?
鏡もあるし、トイレで済ませてもよかったんやないか?」


私「すぐに、おっちゃんとこに行きたかったんや…。」


私は心細そうに、つぶやいていたと思う。


用「ほうかぁ。
そら、そこの洗い場で顔を洗ってきぃ?」


私「うん。」


東玄関のすぐ北側に水飲み場があった。

足や顔も洗えるスペースがある。

顔を洗い、腕や足も泥を流す。

水は少し冷たかったが、ガマンできないくらいではなかった。

真っ赤な夕陽を浴びた私の体も真っ赤に染まっていた。


再び、用務員のおじさんのところに戻った。

おじさんは、にこにこ笑いながら、自分の首にかけているタオルで私の顔を拭いてくれた。



用「ほうら、綺麗になった。
ベッピンさんが現れたで!
おっちゃんの手ぬぐいでごめんな?」


私「うぅん。」


用「ちょっと風が出てきたさかい、このまま首にかけとき?
嬢ちゃん、この服、お母さんに叱られるなぁ…。」


私「うぅん、大丈夫や。
これ、だいぶつんつるてんになっとるんや。

もう捨てるくらいやで、そんなでもない。」


用「そうかぁ?」


私「うん、これ、お姉ちゃんのお古なんや。

アタシ、体が小さいから、お姉ちゃんが3年生の時の服やで、もう5年も前のや。

ぽつぽつ(毛玉)もできとるし、もうすぐ衣替えやし、これ、処分するところの奴やってん。
かまわへんわ。」


用「そうかぁ、どうしても下の子ぉは、上の子ぉのお古着ることになるなぁ?(笑)
それに、嬢ちゃん、3年生やったんか?」


私「ちゃう、4年生や!来月10才や、もう大人やで?
子供扱いせんといて!」


用「ぷぷ。
なんとも可愛らしいこと言うて!
よし、そらっ!」


私「わっ!」


用務員のおじさんは、私の両脇に両手をいれて、再び持ち上げた。

ぐぅんと視点が高くなり、普段とは違う風景が目に映った。

グラウンドが赤く染まり、柳の枝もキラキラと赤く輝いていた。



用「ワシは今日は面白い経験をさせてもらったわ!

こうして、シンデレラを救出して、ワシ、王子様気分やわ!

嬢ちゃん、ありがとうな!」


私「おっちゃんが王子様か?」


用「そうや、ワシ、正義の味方、ヒーロー気分やで!?(笑)」










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