用務員のおじさんは、手をとめてこちらを振り返りました。

そして、にこにこしながら、私を眺めています。



用「ほぉほぉ!なんか目つきが鋭くなって、また表情が変わったわ!
目ぇがすわっとる。
これはまた面白いモンを見せてもらったな!(笑)」


私「茶化さないで。
真実が知りたい。
疑問点は原因を追究して、解明したいのよ。」


用「クスクス、怒った顔も、ベッピンさんや!
こん子は将来、どんな風に化けるんやろ(笑)」


私「質問に答えていないわ?」


用「くすくす、勘や!
なんかここに嬢ちゃんがいるっていう気がしたんや(笑)」


私「質問の答えになっていない。
そんな不明確なものでは、この現象の説明がつかないのよ。」


用「ほぅほぅ、これはまた科学的なお言葉。
オッチャンは正直に答えたけどな?

質問者さんは、ご不満らしい。(笑)

では、名探偵さんの推理をお聞かせ願いましょうか?」


私「私が不可解だと言った理由は二つある。

体育倉庫でのことがただの勘だというのは、まだ説明がつく。

けれど、今日もまた、助け出してくれた。

二回も続くとなると、偶然では片付けられない。

何か理由や事情があるはずなのよ。」


用務員さんは、背中を向けて、ブロックを片付けながら話を続けてくれました。


用「クスクス。それでもう一個の理由は?」


私「さっき、ここから助け出してくれた時、おじさんは私を持ち上げてくれた。

偶然、大人の背の高さの目線を体感させてもらえたのよ。

その時に見た光景が異様だったから、おじさんを疑っているの。」


用「ほう!あの状況でよく覚えとるの!?
どこがじゃ?」


私「おじさんが私を助け出してくれたとき、おじさんはアゴを土の上に乗せていた。

それは、おじさんが建物の外側で腹ばいになってくれていたという事よ。」


用「そうじゃなぁ(笑)」


私「私が軒下に閉じ込められた時、側溝のフタで私は内部に閉じ込められて遮断されていた。

その上、ブロックを並べて、側溝のフタが被さって見えないように細工されている。
もちろん、内部にいた私も腹ばいの状態で、いくら頑張っても20個ものブロック塀を押し崩すことができない。」


用「そやから、別んとこからのぞいたんや。」


私「そう、おじさんはもともとこの建物に設えられた金格子の前に顔を置いて、内部を観察していた。」


用「どこに疑問点があるんや?」


私「大人の目線で見下ろした場合、私が遮断されていたブロック塀は軒下に隠れて見えないハズなのよ。
死角になっている。」


用「ほぉ!」


私「よしんば、ブロックが見えたとしても、なんかここにあるなぁぐらいにしか見えないぐらい自然に積み上げてあった。

もし気になったのなら、なんでここにあるんだろうとしゃがむぐらいが普通なのよ。」


用「ふむ。」


私「それなのに、おじさんは最初から腹ばいになって、軒下をのぞき込んでいた。」


用「それは、嬢ちゃんの声が聞こえたような気がしたからや(笑)」


私「いいえ、おじさんが私を見つけた時、私は声を出していなかった。

意識を失っていて、おじさんが地面に体をこすりつける音で目が覚めたのよ。

だから、私から物音は聞こえないはず。」


用「そやったかいのぉ!(笑)」


私「だから、最初からおじさんは、私が軒下にいると知っていたとしか思えない。」


用「ん~、こうは考えられんか?
いつもここをすみずみまでくまなく見回っている。

その結果、嬢ちゃんを見つけられた。」


私「いいえ、それも不自然な話なのよ。

ここの見回りの頻度は低い。

それなのに、なぜ今日に限ってここを見回っていたのか、そこも疑惑が増している原因になっているの。」


用「ほぉ!なぜ、おっちゃんがここの見回りの頻度が低いと知っとるん?」


私「四日前偶然聞いちゃったの。

体育の授業のあとの片付けて、体育倉庫に白線引きをひとりで片付けていたら、渡り廊下の下で私の担任と、おじさんが話しているのが聞こえたの。

先生は、この学校の中で、一番見回りが手薄なところはどこかとおじさんに尋ねていたわ。」


用「それで、この建物のところだと答えたとして?(笑)」


私「そう、おじさんがここを見回るのは2週間に一回か10日に一回ぐらいだと答えていたわ。

そして、先生は最後にいつそこを見回ったかと質問したら、おじさんはつい昨日だと答えていた。

つまり、次の見回りは10日後か6日後になる計算なのよ。

それが、なぜ、今日に限ってここを見回っていたのか、それが不思議に感じているの。」


用「ほぉ!そうか、嬢ちゃん、あの話、聞いとったんか。

しかも、それをよう覚えている。

そんでなかなかの名推理や。

シャーロック・ホームズも顔負けやな!(笑)」


私「冗談でごまかさないで。

質問にこたえてちょうだい!」


用「クスクス。
質問には正直に何度も答えているけどな。(笑)」


私「全て勘だとでも言うの?」


用「そうや?」


私「どういう事?意味が分からないわ?」


用「…ん、でも…。
ワシにも説明がつかんわ…。
なぜか、今日、ここに来たほうがいいような気がして、ここに来たんや…。

ここは取り壊し予定の家屋で、子供たちも全然こん。
普段からノーマークな場所やったんやけど…。

まるで、何かに呼ばれるような感じでここに来てたなぁ…。」


私「ここに来ただけでは、通常では私を発見できないハズだと説明したわよ?」


用「だから、言うたやろ?
オッチャンはエスパーだって!(笑)」


私「説明がつかないわ。
通常では考えられない。
明確な説明を求めるわ。」


用「クックック。
ごまかされへんか。

しかも、ぜんぜんワシの言うこと信用せぇへん。
なかなかの現実主義やな!

ほな、他に可能性は考えられんのか?」


私「…考えられることといえば…。

私をいじめる人間とおじさんが通じていたとしか…。」


用「くく。おっちゃんといじめっこがグルやったって話かもしれへんやろ?

子供たちに頼まれて、救出しに来たとは考えられへんのか?」


私「理屈は通る。
でも、体育倉庫にいた私をおじさんは、『まるでサウナみたい』と、驚きながら私を助け出した。
さっきも、『どこまで性悪なガキ共だ』と驚いていたわ?

あれが演技とは思えない。

私が感情的になって判断を誤っているとも思えないの。

すると、おじさんといじめっ子は通じていないと考えるのが妥当。

だとすると、結局説明がつかない、迷路にハマる…。

だから、聞かせて欲しい、私を見つけ出せた本当の理由を。」


用「だから言ったやろ?
オッチャンには超能力がある。
オッチャンには、嬢ちゃんが光って見えるんや。(笑)」










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