お母さんの容態を気にしながら、さきほど放り出した箱から新品の売掛帳と取り出し、他の帳面と一緒に並べます。



私「やっぱり、小宮先生の売掛帳作っておこ…。

アレ?レシートが無いな?

お母さん、どこにしまっちゃったんだろう?」



と、普段、母がしまう場所をあれこれ探しますが、うまく見つけられません。

いつもはレジの小銭入れの下にしまうのですが、見当たりません。


近くをあれこれ探しましたが見つけ出せませんでした。



私「お母さん、エプロンのポケットにでもしまっちゃったのかな…。

う~ん、いくら買ったのか分からなければ、入金だけ書いても仕方ないか…。」



その日はお店に誰もお客さんがいなかったので、レジを離れて、商品の陳列棚へと向かいます。


スカスカに抜けたスペースはきれいに整えて、他のお客さんがきても見苦しくないようにするのも私の仕事でした。


肉や、野菜、卵に果物、惣菜に缶詰やインスタント食品。

本やパンにトイレットペーパーなどの日用品もこの店では扱っていたのでした。


あちこち見て回って、ふと違和感を覚えます。

妙な場所の商品が消えているのです。



しばらくすると母が戻ってきました。

まだ顔色が悪いです。



私「お母さん、頭痛いなら、無理しないで…。」



母「もう、いいから。

少し休んだら、ちょっと楽になったわ…。」



私「そう?

無理しないでね?

あ、そうそうお母さん、また万引きされてるよ!」



母「え…。」



私「昨日、一昨日は確かにあったのに、文房具売り場からごっそり小物が消えている。」



母「そ、そうだったかしら…。」



私「うん、つい2週間前にも消えていたからお父さんに仕入れてもらったのに、全部消えているよ。

あんな買い方する人いないよ!

絶対万引きだって!」



母「お母さん、気付かなかったわ…。」



私「そうなんだ…。

でも、レジから一番近い棚なのに、気づけないものなんだね…。

ちょうど真後ろだから、棚に隠れるように立たれたらレジからは見えないか…。

大胆だな!」



母「そうね、忙しい時に、こっそりやられたのかもしれないわ…。」



私「でも、犯人はハイヒールを履いた背の高い大人の女の人か」



母「なぜ分かるのっ!」



私「?背の高い男の人だね。

え?

だって、文房具なんて、子供がくすねやすいからってこないだ棚を上の方に変えたでしょ?

だから、背の高い大人だろうと思ったのよ。」



母「あぁ…。」



私「だって、私、ビールのケースを足場にして、並べたもの。」



母「でも、万引きとは限らないじゃない?」



私「だって、何度も消えているし。

私、見えにくい場所だし、子供が取りにくくするように、わざとぎゅうぎゅう詰めに並べといたんだもの。

商品を縦に奥に細く並べたの。

なにか取ろうとしたら、ガサガサ音が出て、目立つようにしたんだから。」



母「でも、犯人は子供かもしれないじゃない?

肝試しみたいに、たくさん盗みたかったとか…。」



私「子供が取ろうとしたら、手前の一個か二個しか手が届かないよ。

棚の奥まで40cmぐらいあるのにごっそり消えている。

これは身長が170cm以上ある人でないと、腕が届かなくて取れないよ。

犯人は大人か、背の高い男の子かだね。」



母「そう…。」



私「…不思議だ。

万引きとかだったら、普通はお菓子とか。

逆に高いものを狙ってくる気がするんだけど。

それか、現金を盗むとか。

なんで、文房具なんだろう…。」



母「そう…。」



私「だって、ボールペンとかサインペンとか消しゴムとかノリとかホッチキスは残っているんだよ?

そっちの方が日頃から使いそうなものじゃない?


なぜ、画鋲がごっそり消えるんだろう。

それに画鋲一箱に何十個も入っているじゃない?

50個だっけ?

それを何十箱も盗むなんて、犯人はいったい何に使うんだろう?

今回だけでも50個×40箱で2000個の画鋲…。」



母「さぁ…。」



私「これ、多分、私が気づいていないだけで何回も盗まれているよ。

あ、絆創膏もふた箱とカッターの刃も盗まれているな…。


画鋲をたくさん必要とする人って…ポスターをたくさん張る必要のある人って…。

それって、政治家を応援している人で、選挙とかで働いている人とか。

そんな人が万引きするかなぁ…。

なんか、ちがうなぁ。


それに、ひと箱、ふた箱で十分だよなぁ。

なんだろ、忍者ハットリ君みたいに、まきびしに使うんだろうか…。

分からん…。」










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