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職員室のドアに向かって歩いている私は、

とっさに振り返りました。



私「えぇ?

お母さんの病気が治る?」



犬宮「そうだ?

いい方法を知っている。

知りたくはないか?」



私「はい、知りたいです。

教えてください。」



犬宮「それには、

まずお前の母親の秘密を知る必要がある。」



私「…先生、私をからかったんですね。」



犬宮「いいや?

真実だ。

お前の母親は、どうせ、

普段から頭が痛いとか、

胃が痛いとか言っているんだろう?」



私「どうしてそれを!」



犬宮「くくく。

容易に想像がつく。

それは精神的なものから来る病気だ。


つまり心因的な悩みを取り除けば、

病気は平癒する。

簡単な理屈だ。」



私「それで、何をすればいいんですか?」



犬宮「だから、お前の母親の真実を暴け。

それで万事解決する。」



私「お母さんの悩み相談に乗れっていう話ですか?」



犬宮「まぁ、端的に言えば、そうなるかな。」



私「先生!ありがとうございます!

先生、いいところあるんですね。

では帰ってお母さんに聞いてきます。」



犬宮「ダメだ!

容易に語ることができないから、

悩みを抱えるんだ。

しかも、子供のお前に母親の相談に乗れると思うのか?


そうそう語ることができないから、

深く悩んで体を蝕んでいるんだ。


そこで、相談なんだが、

私から真実を知りたいとは思わないか?」



私「あ、はい。

先生教えてください。」



犬宮「そうそう、そうやって可愛くしていれば、

可愛がってやるよ。


まず、お前の母親の悩みを解決する方法。

一ついいのがある。

悩みの種をなくすことだ。


つまり、お前が死ね。

そうすれば、悩む必要もなくなる。


できれば子供たち全員死ぬのが望ましいな。」



私「…先生、なんていうおっしゃりようなのですか…。

失望いたしましたわ…。」



犬宮「はっ!

お前、何様のつもりだっ!


私を上から目線で糾弾できる玉だとでも思っているのかっ!

卑しいメスがっ!」



私「はっ!つい。

でも、先生、ヒドイです…。」



犬宮「お前の母親を救いたいというから、

方法を教えてやったまでだ。


お前の母親が死ぬか、

お前たち子供が死なない限り母親の苦悩は解放されないぞ?


母親思いの子供なら、

まず、お前が死ね。


そうすれば、心の重荷が軽くなる、

病気がよくなること、間違いなしだ。」



私「…今度こそ、失礼します。」



犬宮「なにが、シツレイします、だ。

お前もお前の母親がシツレイなんだよ。


生きている価値ないんだよ、

卑しい低脳のメス豚どうし、

傷を舐め合っていろ!


なに、小賢しい口のききかたをしているんだよ!


みゃーみゃー鳴いて、方言を使え!


精神レベルが低いから、

周りの人間につけこまれてカス呼ばわりされるんだよ!


目障りなんだよ、母親共々死ねっ!」



私「先生、私の事はともかく、

お母さんの悪口は言わないでください。

お母さんはいい人です、

訂正してください。」



犬宮「はぁ?

あのメス犬がいい人ぉ?


バカが、子供を産むしか脳がない、

ケモノじゃないか。


なに上品な人間のフリしてんだ、

失敗作もいいところだ。


私の目の前にまさに証明されている。


こんなガラクタを世に送り出しておいて、

なにも責任をとろうとしない。


自分の責任を感じているなら、

この失敗作を抹殺しろ!


浅ましい人間だから、

こんな失敗作を生かしておくんだ。


それも四人もポコポコ産んで、イヤラシい。


男に媚びるしか脳がないから、

子供をたくさん作るんだよっ!」



バアン!!

ガシャァ!!



大きな物音がして、

背後を振り返ると木嶋先生が怒りをあらわにしていました。



木嶋「犬宮先生!

いい加減にしてください!


それが教師の言うセリフですか?

いいえ、教師以前のセリフです。


あなたは人としておかしい!


どこまでこの児童を侮辱しているんですかっ!」













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