私は夕飯をもぐもぐと口の中で咀嚼しながら兄の話を聞いていました。



私「ん、で?お兄ちゃんは何を悩んでいるの?」



兄「なんだか、気持ち悪くないか?」



私「いい話だと思うけれど。」



兄「前半だけならな?後半が奇妙な感じがする。」



私「例えば?」



兄「どうして、西町、東町にこだわるのか?」



私「カニ缶の数が限られていたからなんじゃ?」



兄「いや、それも無い。

実はやんちー(兄の親友:近所に住んでいるが通学団は別の子)がその老婆に遭遇しているんだ。

それでその老婆は自転車の後部にダンボールをくくりつけていて、その時にチラっとみた感じだと何十個も持っていたそうだ。」



私「はぁ。それじゃ、助けた子が東町の子だったから、近い子を狙ったとか?」



兄「それも奇妙な話なんだよ…。

それを説明する前に、ちょっと俺の話を聞いてくれ。」



私「うん、いいよ?」



兄「まず、俺に声をかけてきたのは、上級生がほとんどだが、実は大勢の生徒がこの話題で持ちきりなんだ。」



私「そりゃ、そうだろうね。

タダでカニ缶がもらえるのなら、みんな期待しちゃうだろうし。」



兄「それでな、実際にカニ缶をもらった奴が何人いるのか気になって追跡調査をしたんだ。」



私「どうやって?」



兄「話を振って、実際にもらったやつを探し出すんだ。

でも、誰から聞いたか、どうかはよく分からない。

実態がつかみづらいんだ。

でも、なんとか20人はいることが判明した。

おそらく、カニ缶をもらった生徒は40人以上いる。」



私「そんなに、いるんだ。」



兄「あぁ、おそらく、実際はもっといる。

80人位いてもおかしくないと、感触としては思っている。

しかし、担任の教師に、生徒会の選挙も近いからと余計な事をするな、と釘をさされて、調査を断念していたんだ。」



私「お兄ちゃん、生徒会に立候補するの?」



兄「俺は大勢の人前であれこれするのは好きじゃない。

辞退したかったんだが、今の担任は自分の点数稼ぎしか考えていない。

勝手な理想や期待を押し付けてきて、迷惑なんだが、断りきれなかったんだ。」



私「お兄ちゃん、優秀なんだから、今まででも生徒会に入れたと思うのに。」



兄「俺は指導者タイプじゃない。

好きな事を、気の合う少人数の人間であれこれ追求するのが好きなタイプなんだ。」



私「お兄ちゃん、指導者向いていると思うけれど?」



兄「俺は自分の意図することを的確に汲み取る能力のある人間しか、指導したくない。

人に引っ張ってもらって楽することばかり考える図々しい人間は嫌いだし、怠慢な人間とも時間の無駄だと感じて付き合いを遠慮したいんだ。」



私「孤高タイプだね。」



兄「あぁ、それなのに、めんどくさいことになったもんだ…。

それより、さっきの話の続きなんだが。」



私「あぁ、カニ缶をもらった人数がかなり多いってやつね。」



兄「そう、そして、実際に老婆に会った人物に質問をしてみたくて…。

たくさん探し出したかったんだが、噂が噂を呼んで、どこで誰がどうやってもらったかが判然としなかったんだ。」



私「なるほど。」



兄「それで、やっとこさ、十数名の人物に質問をすることができた。

そこで、抽出した老婆の証言が、さっきお前に説明した都市伝説という訳なんだよ。」



私「うん。」



兄「なぁ、奇妙だと思わないか?

なぜカニ缶を見知らぬ男子中学生にプレゼントすることが、助けてくれた女の子への恩返しになるんだ?」



私「そこは伝言ゲームみたいに、話が歪んでいるんじゃないの?」



兄「それも考えたが、やはり、だいたいそういう話なんだ。

ほぼ、間違いない。」



私「なるほど。

お姉ちゃんはどうなの?」



兄「姉ちゃんも同じく、カニ缶の話を持ちかけられたらしい。

男女の中学生の姉弟+小学生妹。

この組み合わせの家族は、そうはいない。

いくら麻中の生徒が600人以上いるといっても、そんな数はないと思うんだ。」



私「それじゃ、兄弟の組み合わせとかが間違っているんじゃないの?

男男+小学生女子とか、男+小学生女子とか。」



兄「それも考えうるんだが、やはりこの組み合わせで間違いがないらしい。

直接老婆に出会った人物から裏を取ったから真正だと考えて問題ない。」



私「なるほど。で?」



兄「それで、一番信用ができ、かつ信頼できる情報源としてやんちーの証言が重要になってくるんだ。」








いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  
スポンサーサイト

サンタは挙動不審である(少女時代82ー4)

サンタがカニ缶を配るわけ(少女時代82ー2)

comment iconコメント ( 0 )

コメントの投稿