憧れの女の子が、笑顔を見せてくれたことで、少し安心しつつも、彼女の語る『お父さん』の発言にどこか、不吉な予感を抱いている私がいたのでした。



私「…難しい…どういうこと?」



サ「ん、まず、順番にお話させてもらうわね?」



私「あ、うん、どうぞ、お願いします。」



サ「はい。


あのね…。

お父さんは、私が学校に戻ってからのことでいくつか注意点を言ってきたの。


まず、きっと、まわりの子供たちが私を心配して声をかけてくるから、注意深く相手を観察しなさいって。」



私「?…うん。」



サ「…お父さんはね、悲しそうに私に言ったの。


『自分たち親は、サヨが周りから愛される子供になるように、きちんと育ててきたつもりだ。』って。



私「うん…。」



サ「『それで、お前が周りから嫌われたりしないように、きちんとしつけをしてきた。

そうして、周りに気遣いができる女の子になるように育ててきた。

自分たちは、それなりに自信を持って、お前を育ててきたつもりだったが。』」



私「うん…。」



サ「『お前はそれで、それなりにうまく学校生活を送れるような女の子になってくれた。

しかし、今、お前がいる状況は、とても特殊なものになっている…。』

あ、特殊の意味、分かる?」



私「うん、大丈夫。」



サ「そうよね、しんじゅちゃんなら、心配いらないわね。

それで、お父さんはこう言ったの。


『お前が今いるクラスはとても特別だ。

これからの人生でも、あまりそうはない状況になっている。

それがどういうことかと言うと、子供を教育する先生が異常なんだ。』って…。」



私「うん。」



サ「『かわいそうだが、そういう環境にお前たちはいる。

そんな中にいては、子供たちもおかしくなってしまう。

それは、しかたのないことなんだ』って…。」



私「うん。」



サ「『そんな中、お前はその教師に目をつけられてしまった。

そんな状況では、他の子供たちも、怖くて手出しできない。』」



私「うん…。」



サ「『お前にとっては、非常に厳しい体験になってしまったが、ただ苦しむだけではない。

これを糧に、成長してもらいたいと、私たちは考えている。』」



私「うん…いいお父さんだね…。」



サ「うん、ほんとうに素敵なお父さんなの…。


それでね、まだ話は続くの。

『それで、ここからが本番だ。

お前がクラスに戻ったとき、お前をとりまく環境はすっかり変わってしまっている事に気づくだろう。』」



私「?…うん…。」



サ「『それは、お前自身が、お前をとりまく人間をよく知ることで変化する…。』」



私「?…。」



サ「『いいかい、サヨ。

お前がクラスに戻ったとき、相手の言動を注意深く観察しなさい。

お前はきっと打ちのめされるだろう。

だが、きっと、いい経験になる。

しっかりとクラスメイトの姿を見極めるんだよ?

それが、お前を守る事になる』って…。」



私「…分かったような、分からないような…。」



サ「『具体的に言うと、こうだ。

お前に対して、友達が声をかけてきたとする。

その相手に心を開くかどうかを先に判断してから、自分の本音を話してもいい…。』」



私「…?」



サ「『お前の事を、かわいそうと言ってきた友達には、まず用心しなさい。

それは、お前を心配しての発言ではない可能性があるからだ。』」



私「……。」



サ「『かわいそうと言ったあと、あの先生はヒドイと言ったとしても、まだ心を開いてはならない。』」




私「……。」



サ「『それだけでは、本当にサヨのことを心配しているかどうかは分からない。

その後にきっと、お前の友達たちは、こう言うだろう。

自分もあの場にいて、辛かったと…。』」



私「?…それは、普通に言いそうに思えるけれど…?」



サ「うん、私も、そう言ったの。

なにが問題なの?って。

そしたら、お父さんは、こうも言ったの。


『それは、お前が辛い思いをしていた時に、自分も苦しかったんだとアピールしているだけだ。

本当にお前を気遣ったわけじゃない。』」



私「あ…。でも、つい、そう言っちゃうんじゃない?

それだけでは、自分のことだけ言っているかどうかは、わからないじゃないかな…?」



サ「『そう思うのが人情だ。

相手をいいふうに解釈している。

けど、考えてもみてごらん?

一番辛い思いをしたお前に対して、自分も辛かったとアピールしているのは、お前に慰めてもらいたいからなんだ。

話を聞かされたお前は疲れるだろう。

相手はただ、お前を見殺しにした、罪悪感を隠すために、わざわざお前にかわいそうな自分だと印象づけようとしている。

それは、我が身かわいさからの発言であって、それは友達思いな態度ではない。』」



私「あ。」



サ「『お前が心を開いてもいいのは、お前のことをどう思ったかを言う子だけにしなさい。

先生の悪口や、自分のことだけを言う子には、表面上の付き合いだけにしておきなさい。


そういう子には、お前を疲れさせるだけだから『今、ちょっとその話題はやめてほしいの』とでも言っておきなさい。


お前が心を開いてもいい子は、『助けてあげられなくてごめんなさい』と言ってくる子だ。


もしくは、『あの時なにもしてあげられなかったけれど、これこれこういう事をしたかった』と具体的な行動を説明出来る子だけ。


そういう子が、本当にお前の身になって、考えられる子なんだよ。』



私「え…。」



サ「お父さんは、こうも言ってたわ。


『もしくは、悲しそうな眼差しを向けて、お前に何も言ってこない子だけ。

お前を気遣って、そっとしておいてくれる、おとなしい子だけ信用しなさいって…。」



私「…それで、あの質問をしたの…。」



サヨちゃんは、目に涙を溜めながら続けました。



サ「お父さん、こうも言ってたわ。


『サヨ、お前はきっと失望することになるだろう…。

おそらく、誰一人、お前を気遣う事が出来る子がいないだろうから…。


でも、まわりの子供たちを責めてはいけないよ?

そんな状況では、どんな気丈な子でも、自分を守るために、必死になっていて、相手を気遣う余裕は消えてしまっているから…。

まだ、みんな子供なんだから』って。」



私「え…え…でも、サヨちゃん、たくさん、周りに人がいて、慰めていたように見えたけれど…。」



サ「うぅん、誰も、いなかったの…。

誰一人、私の事を気遣ってくれる子はいなかったのよ…。」



私「えぇ!?そんな…。」



サ「あ、うぅん、ちょっとだけ。

3~4人だけ、私に声をかけてこなかった子がいたの…。」



私「え・・・誰?」



サ「新橋くんと、黒木くんと、馬場くんと…しんじゅちゃん…。」



私「あ…。」



サ「それでね、お父さんはこうも言ってたの。


『きっと、そのしんじゅという子は、サヨの事を気遣って、『助けてあげられなくてごめん』と言う事が出来るただ一人の子供だろう…』って。


『きっと、サヨを助けるために、いろんな算段を頭の中で考えていたハズだ』って。


『そして、きっと、サヨの気持ちを思って、話しかけてこないだろう』って…。


『もし、この三つの内の一つだけでも該当する子がいたら、それはサヨにとって、本当の友達になれるとても大切な人になるだろう』って…。


とても悲しそうにお父さんは言っていたわ…。」












いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  
スポンサーサイト

友達(少女時代83ー6)

予想(少女時代83ー4)

comment iconコメント ( 0 )

コメントの投稿