私「恩人だったら、なんで…。

なんで、私を避けるように言うの…!?」



サ「うぅん、違うの。

お父さんが悪いんじゃなくて、私が弱いから悪いの…。

お父さんのせいにしているように聞こえるけれど、そうじゃない。

私が、しんじゅちゃんと付き合うのがムリだと感じているからなの…。」



私「え…。」



サ「お父さんはね、ずっと考えてくれていたの。

サヨが学校を休んでいる間に、今もしんじゅちゃんが追い込まれている。

どうにかして、助けてやれないかと考えた結果が、学校に苦情を申し入れて、おじいちゃん、おばあちゃんにも協力してもらって、教育委員会にも報告する、ということだったの…。」



私「え…学校や教育委員会へ報告する…?」



サ「お父さんはね、サヨをこの学年、不登校にさせるかっていう事も考えていたの。

でも、それじゃ、しんじゅちゃんが救われない。


学校に楯突く真似をしたら、自分たち保護者の立場が弱くなる。

いちかバチかの賭けで、学校や教育委員会から、先生に処罰が下るようにと、担任の先生の行動を報告してみたんですって。」



私「私のため…。」



サ「そう、保護者として、学校は子供を預かってもらう、託す立場だから、苦情は本来言いづらいものだって。

学校内の出来事には、親の目が行き届かない、その分先生の横暴がまかり通ることになる。

苦情を言えば、余計に自分の子供が学校にいずらくなるだろうから、大抵の親は口をつぐむ。

でも、今回のはあまりにひどすぎるし、警察に言ってもいいぐらいの事件だ。

風通しのよい教育環境を作るためにも、直訴してみたって言ってたわ…。」



私「…サヨちゃんのお父さん、すごいね…。」



サ「…でも、まるで話にならなかったって。

謝罪の一言もない、サラリーマンごときに、なぜ頭を下げなければいけないのか?って言われたらしいわ…。

そばで聞いていた、学年主任の先生や教頭先生は慌てたみたいだけれど。」



私「は?」



サ「それで、学校だけでなく、教育委員会へも申し入れしたの。

おじいちゃんが、教育委員会に知り合いがいたらしいから、特に強く言ってもらったみたい。」



私「…。」



サ「でも、結局同じだったって。

担任は形だけの謝罪をしたけど、反省している様子は感じられなかったって言ってた。

先生は、なぜ自分が謝らなければならないのか、理解していない様子だったって話よ…。


そして、何も特別な処罰はくだされなかった…。

教育委員会でも、前例がないから、何もしないのが通例なんだって言われたらしいわ…。」



私「はぁ…。」



サ「お父さんはがっかりしていたわ。

旧態依然の体質には、うんざりしたって。

だから、どこの親も苦情を言えない、言わされない状況に追い込まれているんだろうって…。


サヨの回復を待って、サヨを学校に行かせて、しんじゅちゃんの様子を見守ることにしたんですって。」



私「……。」



サ「私からの話を聞いて、お父さんはしんじゅちゃんが、自分の考えた通りの子供だと確信していったっていう話だわ。


そして、悔しそうに言っていた。


『なぜ、その子をそんな風にするんだ。

特に母親はなにも子供に指導していないように感じる。

まるで子供が自滅するのを待っているように思える』って。


…しんじゅちゃんのお父さんとお母さんは学校でのことはなんて言ってるの?」



私「ウチは、何も…。

お父さんは何も気にするなっていうだけで、学校は絶対行けっていうし。

お母さんもまともにとりあってくれない…。」



サ「…そう。

お父さんは、しんじゅちゃんの家庭はしんじゅちゃんのご家族が考える事だから自分が口出しできないけれどって言ってたわ。


しんじゅちゃんの話を聞けば聞くほど、お父さんはしんじゅちゃんを助けてやれないと感じていったそうよ…。」



私「えぇ?」



サ「しんじゅちゃんはね、自分の学力に絶対の自信がある子なんだろうって、言ってたわ…。

だから、先生に内申を下げるぞって脅されても、教室を出て行ってしまう…。


大切なのは学校の成績より、自分の考えや、『誇り』を持っている子だって言ってた。

この学年がダメでも、これから先、どうにでもできるという自信と実力がある子だって…。


そういう子は特別だ、誰でもなれるものじゃないって…。」



私「……。」



サ「でも、こういう子は存在しているだけで、周りを打ちのめすって。」



私「え?」



サ「この子と同等か、それ以上の人間でないと、劣等感に苛まれて、打ちのめされる…。」



私「えぇ?言ってる意味が分からないよ…?」



サ「しんじゅちゃん、いつも周りから声をかけてもらえないでしょ?

みんなしんじゅちゃんと仲良くするのを、避けている。」



私「それは私のせいじゃない…。」



サ「そう、しんじゅちゃんと仲良くすると、先生から制裁があるから、怖くて近寄れない。

でも、それだけじゃない。」



私「どういう事?」



サ「みんな内心では、できることなら、しんじゅちゃんを助けたいって思っていると思うのよ。

でも、それ以上にしんじゅちゃんのことを考えたくなくなってしまうの。


だって、しんじゅちゃんの言うことは、実は正しいのよ?

でも、このクラスにいると、異端扱いされてしまう。


しんじゅちゃんの感覚を持ってしまうと、このクラスにはいずらくなる。

しんじゅちゃんの言う事が正しいとするなら、それを放置している自分はなんなんだって気づかされる。


いたたまれなくなって、しんじゅちゃんのことを考えたくなくなってしまうのよ…。


しんじゅちゃんが、正しければ正しいほど、しんじゅちゃんが、優しければ優しいほど、それが際立つ。

先生に感化されただけじゃない、自分の弱さを見せつけられて辛くなるのよ…。」











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