ランドセルにおでこをあずけながら、つぶやきます。


私「…なに、コレ。

なんの試練?え?上げて落とす的な?

え、実はこれ、ビックリっていうオチじゃね?」





顔を横向けて教室内を見渡します。

当然、カメラなんてありません。


今度は逆向きに窓側に顔を向けてしばらく伏せってしまいます。



涙が後から後からこぼれてきました。




サ『しんじゅちゃんは、特別なのよ…。


しんじゅちゃんであるだけで、周りの子を傷つける…。』



私「ま、ホラ、アレだな?

こう、学校教育のヘイガイって奴か?


相対評価で有り続けるってことは、クラスメイトは結局、全員ライバルってことだな?

絶対評価に切り替える時期に来てんだな?


子供も大人もずっとこの相対評価の中で育ってきちゃってるから、その考えから抜け出せないんだな。

ホラ、誰かが突出すると、ホラ、誰かが損するって。

誰かがうまいことをやると、自分の取り分が少なくなるっていう無意識の思い込みが染み付いちゃってるんだな?


もっとダイナミックな変換の時期にきてんだな?

アメリカ的な、子供の個性に対応した教育制度に切り替えるべき時期にとっくにきてんだな?


その方が、個人の才能を伸ばしやすいって兄貴言ってたもんな?

あんま意味分かってねーけど、そのせいもあるってばよ、多分…。」





(きっとサヨちゃんなら、困っている時に傘を差し出される。

雨カッパっていうお父さんの知恵と、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんの優しさが守ってくれる。



アタシなんて、雪混じりのみぞれの中、丸腰で歩いてけって言われてるようなもんじゃん…。



いいな、サヨちゃんは。

両親に愛されていて。

サヨちゃん、憧れちゃうの、あの育ちのよさそうなところだよね、きっと。)




私「ほらぁ~!

言ってたじゃ~ん、アタシ、モブキャラだって。

ほら、やっぱ主人公タイプじゃないんだって!


今日だけでも、美少女と絡めて、よかったじゃ~ん!

なんか、成長に一役買ったってよ?


マジかしんじゅちゃん、やるね~!!ヒューヒュー!!


って、オッサンか!アタシ、ツッコミがおっさんくさくね?


はぁぁ~…。」





顔を逆向きにして、涙をこぼし続けます。







私「…最初から負け戦だって、知ってたじゃん…。


現実はキビチーのぉ。


小説だったら、アンとダイアナは親友になりました、めでたしめでたし…ってか?

ここはプリンスエドワード島じゃないしな。


翼君、ドライブシュート!岬くん、ナイスアシスト!って、主人公タイプじゃねーって。



なにやらこの世は生きにくいのぉ…。」





パタパタとランドセルに涙がこぼれ落ちていきます。




私「やべっ!目と鼻からお湯が出てきた。

耳ん中入った、くそ。



くそ!憧れの美少女とせっかく話せたっていうのに、これが最後ですって、なんじゃソレ!

アタシ、頭クラクラしてて、気のきいた事全然話せなかったよ!

あぁ、とか、うん、とかばっかりだったよ!


やたら、ヨッちゃんとか言ってただけだよ!

ヨッちゃん押しかっ!

あ~、もう、どうでもよくなってきた。」





涙がこぼれ続けています。



私「魔女って言われたときは頭ぶん殴られた気分だったよ。

あとのセリフ、なんだか、頭がぼんやりしちゃってて、あんま覚えていないな。

サヨちゃんが、アイちゃんに悪口言われたのとどっちがショックだ?

比べる意味もないか、ふへぇ。」



兄『…異能の上に、知能が高い。

お前、他人の考えが読めるってことを周囲にバレるなよ?

ここは閉鎖的な田舎なんだ、優れていると思われるだけでやっかまれる。

出る杭は打ってくるんだよ…。』



私「彼女と友達になりたかったから嘘をつきたくなくて正直に言っちゃったけど。

これからは何か見えているって聞かれても答えないようにしよう。

サヨちゃんは気にしなかったけれど、ミオちゃんは許してくれない。


それが、きっと普通で、サヨちゃんは内緒にしてくれる、優しい子だから。

それは良かったよね。

勉強になりました。」



顔を起こして、手のひらでグイグイと拭います。

のそっと、頭をおこして、ランドセルのふたを開けて、机の中にある教科書やノートを片付け始めます。

筆箱を手にとると、違和感を覚えます。

プラスチックでできた定規がへしおられていました。



私「やるねぇ!ミオちゃん、鉛筆じゃなければいいってか!?

怪力だな~、この努力をどっか他のところへ向けりゃいいのに…。

手ェ怪我するぞ?大丈夫だったか?

それより、定規は金属製のを買わんといかんか?

あぁ、もう…。」



立ち上がって、一番後ろに置いてある、教室のゴミ箱のふたを開けます。

ふと、これをいじめの証拠として保管しておいた方がいいだろうか、と立ち止まったまま、しばし考えます。



担『いじめを受けるのはいじめられる側の人間性に問題がある。

自己責任だ。自分で解決しろ。』



(…こういうのって器物損壊にあたらないかな?

学校がダメなら警察に…って文房具なんかじゃ、相手にしてもらえないか…。)



母『お前はどうして、そう賢いっていうことを前に押し出そうとするのかしらね?

みっともない。

女は出過ぎた真似すると嫌われるのよ、お前が先生に注意されるのはきっと生意気だからね…。

お前の好きにしなさい、その変わりお母さんは助けないわよ?

お前がいたらないから悪いんです。

先生にしかられてきなさい。』



(はぁ?女だから?賢そうに思われるからダメ?

論点すり替えてんじゃねーよ、どんな理屈だ。

大人とか子供とか女とか男とか関係ないだろ。

人が人を踏みつけていい道理なんてねーよ。

なら、子供に嘘をつくなとか、正直になれとか教育してんじゃねーよ。


お前は先生の手先かっ!って怒ってやりたいけど、そうしたらご飯食べられなくなるもんなぁ。

なんで、こう、アッチもこっちも敵だらけなんだ、私…。


はぁ、お母さん事なかれ主義だもんなぁ。

どうしてもお母さんは私とお姉ちゃんに厳しい。ガクっ。


こっちが子供だと思って馬鹿にしているよな…。

やんなっちゃうな。

アタシもサヨちゃんみたいに、お母さんとかに助けてもらいたかったな。

アタシ、この気持ちいつまで持ちこたえられるんだろう…。)




ポスっと小さな音を立てて、ねじ切れた定規がゴミ箱の中に落ちていきました。






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