ゴミ箱のフタをして、もう一度自分の席に戻ります。

ガチャガチャと音を立てて、ランドセルのふたをして、机の上においたランドセルの背に今度は顔を横向きにして、頭をあずけました。

また、静かにパタパタと涙がこぼれ落ちていきます。


誰もいない、ひとりで静かに椅子に腰かけています。


もしかしたら、ドアをあけて、サヨちゃんが戻ってきて、さっきのはウソで、友達になろうって言ってくれないだろうか、と、ふと想像していまい、じっとドアを見続けてしまいました。

いくら待っても誰も来ませんでした。



私「…ヨッちゃんも話しかけてくれなくなったし、さみしいな…。」


自分の頬をさわります。

ひとり、つぶやきました。


私「『下人の行方は、誰も知らない。』」(芥川龍之介:羅生門より)



(盗人になった下人は、もう面皰(にきび)も気にしなくなっただろう。

私、まだ、ニキビもないな…。

『正義』の反対語は『不正』かな?それとも『悪』?一文字なのはちょっと違う気がする。

後で辞書で調べないと…。

『期待』の反対語は『未練』かな?それとも『裏切り』?)



先月ヨッちゃんの家の前のガレージで話していたセリフが脳裏によみがえります。



私『たとえ私が裏切られても、私は人を助ける。

私は、私がいいと思うことを信じる。』)




私「負け戦だってのは、承知していたんだ。

学級崩壊をあきらめた私に、サヨちゃんを責める資格なんてねーよ。


自分の言葉は曲げねぇ。

それが私の信じることだから。

強く信じること…念じる…信念…。


そう、嘘をつかない、それが私の『信念』だ。

期待したから、裏切られたと感じるんだ。

それなら、期待も未練もいらないよ。

サヨちゃんが、元気でいてくれれば、それでいいんだから…。


お、コレって愛っぽくね?


サヨちゃんのお父さんに、宝石みたいな子だって、言われたし。

美少女の真心もらったんだ、十分じゃん!」


うんっと背伸びをします。

涙をぬぐいます。


私「しかし、アイツなんだ?

ヨッちゃん、アイツ食い意地はった、ぽっちゃり男子のクセして男気みせやがって!

好感度高いなっ!

惚れてまうやろ!サヨちゃんがっ!

だがしかし、ヨッちゃんとサヨちゃんがくっつくのは認めん!

ぐわぁ~これがきっかけで二人が付き合うようになったら、アタシキューピッドかっ!

完全なピエロかっ!

無い無い!それは絶対許さん!


くぅ~、このまま成長していってくれぇい。

男は中身で勝負だ、ヨッちゃん、今のままいってくれたらナイスガイになってモテモテだぞ?」


首をこきこきと鳴らします。



私「…ヨッちゃんのこと、チキンとか言えないな。

ほんとは、主人公キャラじゃないって言って、保険かけてただけなんだもん。

私なんて、相手にされるわけないって予防していただけなんだ…。


だって、ひとりってさみしいじゃん。

魔女だってよ、アタシ、普通にしているだけなんだけどな…。


ホラ!あれだな!

現実はそううまくいかなかったけれど、あれだよ、想像だよ!

アタシ、空想するの好きだし、想像してみよう!


しんじゅちゃんには、そう、ちょっと年上の男の子の友達が似合うんだなっ!

なんでか、しんじゅちゃんの普通は、みんなの普通とちがっちゃうんだな!


でも、ホラ、狭い日本っつっても、北は北海道から、南は沖縄まで。

この日本のどこかに、ピッタリな友達がいるってばよ、絶対。」


ぐいぐいと背伸びをします。

そのまま左右に体を揺らしてリラックスします。


私「うん、そうだ、きっとちょっとお兄さんだと思う。

しんじゅちゃん、魔女って言われたけど、気にしない気にしない!

だって、分かっちゃうんだもん。


なんで、みんな人の気持ち分からないんだろう。

どうして、気づかないの?どうして見えたり聞こえたりしないんだろう。


どうして、植物や動物にも意識があるって思わないんだろう。

どうして、みんな分からないんだろう。

どうして、心の声が聞こえないんだろう。

どうして、動物の気持ちが分からないんだろう。

どうして、植物の声が聞こえないんだろう。

どうして、みんな仲良くしようとしないんだろう。


分からなくても、ちょっとの想像力と思いやりがあれば、みんな仲良くできると思うんだけれど。

人は一人では生きていけないんだから、協力しあって生きた方が合理的だと思うんだけど。


分かんないのかぁ~分かんないんだろうなぁ。

だから、しんじゅちゃんの友達はきっと、この気持ちわかる子。


あ~、それ分かる分かる~って言ってくれる子。

多分、どうやら、残念ながら、あまり数は多くないみたいだけれど。

しんじゅちゃんみたいな子がいるってことは、よそにもいるよ、きっと。


そしたら、友達になるんだ。

そんでね、その子はねきっと頭がいいんだ~。

たくさん本を読んでいると思うんだ~。


それで、しんじゅちゃんと同じだとつまらないから、逆のタイプがいいの。

運動ができて、スポーツが好きで、お出かけたくさんしてて、友達が多くて、にぎやかで、口が達者で人気者。

アレレ?こんな子私みたいな友達いらなくね?^^;


え、でも、きっと趣味が同じかなんかで仲良くなれるよ、うん。

きっと、その子は友達作るの上手だから、私みたいなのも友達になってくれる。

そんで、いつも冗談を言い合ったり笑ったりするんだ。

一緒に実験したり、昆虫採集…は、無理か。


きっと、大人っぽくて、ちょとイヤミなんだよ?

頭いいから、アタシの事、小馬鹿にして冗談ばっかり言うんだ。

でも、物事をまっすぐ見て、いつも真実を言ってくれる。

そんで、フェアな目線の、公平な感じの子なんだ。

きっと、今、どこかにいてさ。

今、小学生かな、中学生かな、高校生かな?あまり年離れてないといいな。


きっと会えるって。

しんじゅちゃん、普通じゃない、オカシイって言わない、心の広い、優しい子。

そんな子と友達になれるっていう予感がする。


…しかし出会えるの、きっと大人になってからだな。

19、20とか、そんな若くない。

それも、相当大人になってからだな。


ぐぎぎ、アタシの予感って、外れたこと無いのよねぇ~。


出会えるにしても、だいぶ先かぁ。

でも、予感がする、きっと将来出会える。

きっとだ。

よいせっ!」


ランドセルを背負って、教室の電気を消して鍵を閉めます。

鍵を手に持って、職員室へと向かう廊下をちょっと小声で歌い始めました。



私「よし、ちょっとさみしいから歌でも歌おう。

あっれっはーダレっだ~ダレっだ~ダレっだ~♪

あっれっはーデビッル♪デビッルマァ~ン♪デビルマァ~ン♪

うっらっぎっりものの~名を~か~りて~♪

すっべって~を捨てて~♪たーたかうおっとっこぉ~♪

デビルウィングは空を飛びっ♪

デビルビームは熱光線ッ♪

デビルアイは千里眼♪

デビルイヤーは地獄耳っ♪

あ~くまぁのちっからぁ~♪身~に~つ~けたぁ~♪

正義のぉ~ひぃろぉ~♪デビルマァ~ン、デビルマァ~ン♪


って、なんで、デビルイヤーだけおばはんくさいんだ?

ナゾだ…。」






おしまい。









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