私「れこーど・きーぱー?

え、れこーどってコレ?」



と、私は手を両手を弧を描くように丸く動かして見せました。



兄「そう、レコードはレコード盤のレコードでもあるんだが、記録とか記憶という意味で俺は使っている。」



私「え?キーパー?」



兄がうなづくのを見上げて、今度は両手を素早く上につき出す仕草を繰り返します。



兄「あぁ、サッカーのキーパーの真似か。

キャッチするという意味ではそうなんだが、今のは保ち続ける、保持する、という意味で使っている。」



私「ん?記録保持者?ギネスみたいな?」



兄「あぁ、ギネスの事を知っているのか。

お前意外と物知りだな…。」



私「前テレビでやってた。

生ガキを一度にどれだけ食べれるかって記録更新したとか。」



兄「あぁ、記録更新の方に主眼が置かれているな、ギネスは。

そうじゃない、俺が言いたいのは、記録、いや記憶保持者、という意味で言っている。」



私「記憶保持者…。

ん、でも、普通じゃない?」



兄「あぁ、人間の頭脳は本来、物事を一度記憶したらそのまま永久に消えたりはしない。

ただ、再度同じことを思い出そうとしても、うまく引き出しが開けられない。

それが忘れた状態として通常言われている。」



私「うん。私も忘れるよ?」



兄「いや、人間は一度体験したことを、忘れたりはしない。

ただ、思い出せないだけ、と言ったほうが正確なんだ。

この思い出せない頻度が多いか少ないか、それが個人差があるというだけなんだよ。」



私「ふぅん?」



兄「通常の人間の記憶力では、反復することで記憶が強化される。

ただ、一度体験しただけでなく、その後も思い出して感情を味わったり、どんな意味があったのかと因果関係を思索するなど、繰り返し思い出すことで、記憶の引き出しに瞬時につながりやすくなるものなんだ。

これが一般的な記憶の強化、いわゆる勉強の成果にもなるんだが…。」



私「あぁ、復習ってことね?」



兄「そうだ。予習復習することで、授業の内容を強く印象づけて記憶に長時間留めるように努力する。

それが一般的な記憶力の強化となるんだ。

だが、お前の記憶の仕方はこの枠にとどまらない。

お前は俺が言ったセリフを一言一句違えずに何度もスラスラと答えることができる。

それも一日、二日にとどまらない。

何ヶ月、いやあるいは何年も前の事も、まるで昨日のことのように話しだしたりする。

例えるならお前の脳をコンピューターとするならば、ケタ外れの容量を持っているようなものなんだよ。」



私「容量…体積が大きいって事?」



兄「イメージとしての話だ。

実際にお前の脳みそがでかいってわけじゃない。

おそらくミューロン細胞の結合が複雑でいくつもの経路を複数備えている。

だから、瞬時に必要な情報にアクセスが可能で、一瞬で過去の出来事をまるで今、見てきかたかのように再現する能力を備えているんだ。」



私「う、うぅん…。

それが何か?」



兄「『それが何か』か…。

それがどれほど貴重なことなのか、自覚がないんだな。」



私「うん、だって、それが当たり前だから。」



兄「そうだ、お前にとっては当たり前だし。

お前のまわりの人間にしたって、コイツはちょっと物覚えがいい人間なんだなってくらいにしか感じていないから、誰にも騒がれない。」



私「あぁ、うん。」



兄「違うんだ。

お前のような能力を持った人間はおそらく全人口の数パーセントしか存在しない。」



私「そうなの?」



兄「あぁ、お前が今はまだ子どもだから余計に目立たないだけだが。

お前が成長し、大人になればもっとその確率は低くなる。

おそらく1%未満、いや千人に一人ぐらいになるだろう。」



私「んん?麻小学校に一人いるかいないかぐらいになっちゃうの?」



兄「そう、お前の記憶力はそれだけ稀有な才能なんだ。

今、俺がお前に話している内容も、大人になったお前が再現することは可能だ。

お前は今10才だが、おそらく10年20年30年経っても可能だろう。

俺はそう、予測する。」



私「?へぇ~?」



兄「お前は自分のすごさがまるで分かっていない。

それは誰もお前が稀有な才能の持ち主だと認めていなかったからだ。」



私「うん、ちょっとよく分かんないや。」



兄「お前の才能を理解しているのは、ごくわずかな人間のみ。

それは俺と、俺たちの母親、実質この二人だけなんだよ。」








いつも最後まで読んで下さりありがとうございます。
↓応援よろしくお願いいたします↓
ポチッと押してもらえると励みになります♪
  
スポンサーサイト

モルモット(少女時代84ー15)

レコード・キーパー(少女時代84ー13)

comment iconコメント ( 0 )

コメントの投稿