私「戦闘力…。」


兄「あぁ。
お前の置かれている状況は特殊で、かつ異常だ。
いつ、お前が発狂してもおかしくない状態でありながら、誰の手助けも期待できない。
教室という完全なる治外法権に暴君が鎮座している。
教師が狂っているからな。」


私「……。」


兄「お前、こないだのテスト、どうだった?」


私「全部平均点以上あったけど…。」


兄「減点されてもか?」


私「うん…。」


兄「それで、二学期の成績はどうだった。」


私「ほぼ3ばっかり…。音楽と図画工作は5だったけど…。あと家庭科は4。」


兄「主要科目はすべてそんなものか。」


私「そう…。」


兄「お前がいくら鉛筆を折られても、テストを受けても、平均点以上取得しても、それでも評価は3。
つまり、お前の教師はお前をまったく正当に評価していない。

お前の教師は完全に職務を逸脱して担当する児童を個人的な感情から不当に貶めている。
完全に職務規律違反にあたるが、それを裁定する機関も人間も存在しない。
完全なる治外法権。
どんな横暴もまかり通る、理不尽な世界だ。」


私「私、どんなに頑張っても、こうなるんだよ…。」


兄「泣くな。
お前は頑張っている。

この際通信簿の評価は気にするな。
お前が高得点をいつも取得しているという事実が重要なんだ。

これだけ劣悪な環境で、それだけの成績が維持できている。
それはつまりお前はどの児童よりも学力が高いということになるんだよ。

お前が学年が変わった時には評価がひっくり返せる。
名より実を取れ。
今は虐げられている時期だが、いずれお前が返り咲くのは間違いない。
それだけの実力がお前にはある。

普通なら、それぐらいの圧力を受けたら、無気力になって勉強どころではない。
それどころか、もう、学校に通うこともできなくて、当然の状態なんだ。

それを、いつも踏ん張っている。
お前は誰よりも強いんだよ。」


私「うん…。」


兄「教師からの圧力もさることながら、同級生からの嫌がらせにも耐えている。
お前がどんなに苦しんでいるのか、それを誰も理解しない。
俺はそれが耐え難いくらい悔しいんだ。

本当にいっその事、サヨという児童の服でも切らせれば、完全な法律違反として警察に突き出せたものを…。
そうすれば、教育委員会からも免職をくらうことになって、お前が解放されたのに…。

俺は、それが悔しい。」


私「それは!
それは、サヨちゃんが、かわいそうだよ!」


兄「なにがだ!
お前が普段からいじめられていたのを他人事として、見て見ぬふりしていた児童だぞ?

それが、たまたま標的になっただけで、何を甘えているんだ!と俺は思う。
そいつにしたって、一週間学校を休んで自宅でぬくぬくしていただけだ。

それが、自分を馬鹿にしていた児童と仲良く元サヤに収まって、お前一人標的のままでいてくださいとぬけぬけと!」


私「そんな事!
サヨちゃんだって、好きでそうなったわけじゃない!
誰だって、そうなっちゃうよ!」


兄「そうだ!
お前の言うとおりだ!
そのサヨという児童一人が悪者なんじゃない!

お前の担任が全ての元凶だ!
しかし、誰もお前をかばうものがいない!

お前一人、いつも標的にされて、お前一人苦しむばかりだ!
俺はそれが、どうしようもなく、腹立たしいんだっ!」


私「そんなこと!
そんなこと…私にだって、どうしたらいいのか、分かんないよ…。」


兄「…ふぅ、すまん。
お前が一番理不尽な思いをしているというのに、つい感情的になってしまって…。」


私「うぅん、いいよ…。
いつも、お兄ちゃんは私の味方になってくれている…。」


兄「あぁ、姉ちゃんも、あの一件以来、お前を避けるようになってしまっているしな…。
完全に蚊帳の外だ。」


私「うん…。
お姉ちゃんを怒らせちゃったから、口きいてもらえないんだ…。」


兄「それが、あの教師の目的だろうがな。
お前の口を使って、家族内部の分裂を目論んでいる。
本当にゲスで、こずるい、どうしようもないことにだけ頭が働くクズなやつだ。」


私「うん…。」


兄「お前のクラスメイト。
いじめを見て見ぬフリをするだけなら、まだ許せる。
だが、教師の口車に乗って、お前を痛めつける奴らは俺は許せん。」


私「もう、訳が分からないよ…。
私がいったい何をしたのか、理由もなにもなく、悪口を言われるんだ…。」


兄「あぁ、悪質な嫌がらせの数々。
もはや、いじめの枠を超え、完全なる犯罪行為だ。
それが、すべて、うやむやのうちに、全てもみ消される。

それら全てが教師の指示でやっていることだから、完全に黙殺される。
こんな不条理なことがあっていいのか?」


私「…わかんない…。
わかんないんだよ、もう…。」


兄「となりの家のアイにしたって、そうだ。
アイツは保育園から、毎日一緒に通っていた。
今だって毎朝通学団では一緒なのに、いつもお前を竹箒で痛めつけて、お前の腕はアザだらけだ。」


私「…うん…。」


兄「サヨとかいう、児童の悪口も聞くに耐えないな。
『頭が悪いからせめて服装でカバーしようとしてチャラチャラしている。』
『たいしてかわいい顔でもないのに、派手な服装で学校に来ること自体、かんちがいしている。』
『みっともない足をさらして恥知らずな真似をして、人目をひこうとする。
ヒンシュク買っているのに、周りの迷惑に気づけない位頭が悪いし、勉強の邪魔になるから先生の言うとおり服を切るべき。』

どこからどうみても、ヒガミ丸出しの下品な発言だ。
ナンバーワンになるために、ここぞとばかりに他人を蹴落とす発言をしている。
どこが、どうみたら、それが天使のやることなんだ?

勘違いもはなはだしいぞ!」


私「…アイちゃんは、サヨちゃんが自分より人気者だったのが嫌だったんだよ…。」


兄「そんな性根だから、人から好感を持たれないんだ!
上品ぶっているが、かなり下品な人間だぞ!
今後、アイツとつきあう必要性はまったく無いからな!」


私「…アタシの方が相手にされていないよ…。」


兄「忌々しい。
近所の子供じゃなかったら、俺が殴っているところだ。」


私「…私も我慢しているよ…。
こないだ、アイちゃんのお母さんがやってきてお詫びしてくれたから。
それからは、だいぶ嫌がらせが減ったよ…。」


兄「だが、暴言は続いている。
お前の精神はズタボロだ!
ほんの幼い時からの友だちに毎日毎日罵詈雑言を浴びせられる。
それがどれだけ辛い事か…。
なぜ、母ちゃんや父ちゃんは学校に文句を言わないんだっ!」


私「…分かんない…。」


兄「父ちゃんはともかく、なぜ母ちゃんが動かないんだ!」


私「いつも、私が悪いからって相手にしてくれないんだ…。
私が女の子なのに、生意気だから、いじめられるんだろうって…。
女の子のくせに賢いと思っているなら、自分でなんとかしなさいって…。」


兄「理不尽な!
くそ。
今度俺から、母ちゃんに強く言ってみる!
完全に犯罪レベルなんだから、保護者から学校に申し入れしないと、ラチがあかない!

くっ!こないだのトイレに閉じ込められた事件だって、そうだ!
あの時、救急車なり消防車を呼んで、レスキューされていればっ!
そうすれば、事件沙汰になって、教育委員会も動かざるを得なかったのにっ!

なぜ、宿直の教師がいなかったのかっ!
なぜ、あんな手の込んだ嫌がらせができたのかっ!
子どもの悪知恵だけでは不可能なんだよっ!

必ず、教師の手が加わっている!
それが、みすみすつぶされているっ!
気温0度の中、ずぶ濡れで5時間も閉じ込められたお前の苦痛や恐怖や絶望感を思うと俺は発狂しそうになるっ!」


私「ん…。」


兄「くそっ!あの用務員も保身に走りやがってっ!
さっさと消防を呼んでいればっ!」


私「用務員のおじさんも、ずっと嫌がらせを受け続けていて。
今度なにかあったら、首にするって言われてたんだよ…。
だから、お父さんに待ってって頼んでいた。」


兄「お前、それで、追加一時間閉じ込められていたんだぞ?
俺がお前に緊急事態の対処法を教えていなかったら、死ぬかもしれなかったんだぞ!?
馬鹿な父ちゃんになにができるっ!
さっさと警察なり消防を呼べばっ!
クソッ!」


私「お父さんも、用務員さんも必死だったよ…。」


兄「当たり前だっ!
俺の妹になにかあって、悠長に構えていられてたまるかっ!」


私「でも、お父さん助けてくれた。
それでお医者さん連れて行ってくれた。」


兄「そして、母ちゃんに死ぬほど嫌味を言われてたな。」


私「お父さん、ものすごくお母さんのことを怒ってたよ?
しんじゅは死ぬほどつらい思いをしたのに、医者代がかかって迷惑だとか、手間がかかって面倒だとか。
お前はいったい何を言っているんだっ!ってめちゃくちゃ怒ってた。」


兄「…父ちゃんが珍しく真っ当な事を言っている…。
いや、まあ普通か。
父親として、娘の惨状を見て、平静でいられるわけがない…。

あいつは頭の中がスカスカの馬鹿だが、しんじゅの事は一応かわいがっている。
いつもトンチンカンなことばかり言って、周りに迷惑をかけまくっているだけの迷惑な人間だが、珍しくまともだ…。

いや、この場合母親の言動の方に問題がありすぎるのか…。」


私「私、お母さんに嫌われちゃったのかな…。
できそこないの女の子だし、体弱くて小さいころから、面倒をかけっぱなしだし。
お兄ちゃんやお姉ちゃんみたいに、いろいろうまくできないから、迷惑なのかな…。」


兄「お前、母ちゃんに嫌われるようなことをした覚えがあるのか?」


私「うぅん、無いの…。
用務員のおじさんから、お母さんは私の事を心配して、見回りを頼んでいる位、私のことが好きなんだって言ってたけど…。
お母さん、私の事を見ると、ためいきついて、いつも辛そうなの…。
私、訳が分からなくて、悲しいの…。」


兄「もう一度聞くが。
お前、母ちゃんに嫌われるような事をしたか、言ったかした覚えがあるのか?」


私「うぅん、全然思いつかない…。
きっと、しんじゅの事、嫌いなんだ…。」


兄「なぜ、自分が嫌われていると思うんだ?」


私「だって、私は兄妹の中で一番できそこないだから…。
なにも取り柄がない女の子だから、いつもお母さんはがっかりしているんだと思う。」


兄「何を根拠に?」


私「だって、お兄ちゃんとお姉ちゃんはいつもオール5だったって、ため息つかれるんだよ?
どんなに一生懸命頑張っても、お母さんは私の事を残念そうな目で見るの…。
私、辛くて…。」


兄「待て。」


私「?」


兄「お前、言ってる事、変だぞ?」


私「え?」


兄「お前自身に落ち度がないと自覚している。
なのに、自分が原因で人に嫌われていると思い込んでいる。
おかしくないか?」


私「おかしくても、現実はそうだし…。」


兄「いや、おかしい。
俺から見ても、客観的に見ても、お前はいい子だ。
それがなぜ、お前がそこまで卑屈にならなければいけないのか?」


私「え?だって、私できそこないだし…。」


兄「だから、そこがおかしい。
なぜ、お前ができそこないなんだ?」


私「だって、お父さんとか、お母さんがいつも言うし…。」


兄「待て。
まず、父ちゃんの言う事は除外しろ。
あいつは馬鹿なんだから、まともに受け取るな。
問題は母ちゃんの発言だ。」


私「え?」


兄「なぜ、母親である母ちゃんが、お前を馬鹿にする発言をするんだ?」


私「私が馬鹿だからじゃないの?」


兄「だから、そこがおかしい。
お前はかなり優秀な子供だ。
それが、母親である母ちゃんに分からないはずがない。」


私「え?」


兄「…お前…。
お前、俺以外に暗示をかけられているな…。」


私「なんのこと?」


兄「お前、自分が女の子だから能力が無いと言わんばかりの発言を繰り返していたぞ?」


私「え?」


兄「無自覚か…。
お前を洗脳していたのは、母親と担任の教師だ。

二人共、同時期に生まれた同世代だ。
女であるということで、多大な負荷を受けて育った世代だと言える。
まるで女たちの呪縛だ。
お前が子供で、未来が明るい、それを妬んでの発想にしか思えないな。

くそ、こんなところにも伏兵がいたとは…。
お前はいったいどれだけ周りに敵を囲っているんだ…。








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