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私たちに友達ができた。



それは麻町唯一の中学校、麻町中学校のすぐとなりの児童館前の道路での出来事だった。

ひろみちゃんの家と、伊藤さんの家が程近く、私の家と、小島ちーちゃん(仮名)の家が近いということで、ここで二手に分かれた。



以前、ヨっちゃんにお腹を蹴り飛ばされた、あの道をすこし北側に向かったところに、小島ちーちゃんの家があったのだ。

同じクラスにいても、会話もなければ、知り合うこともない。



ほんの少しのきっかけで新しい扉が開いたような感動を覚えた。





翌朝、学校に行くと、小島さんと伊藤さんが挨拶をして、そばによってきてくれた。

それを見て、クラスの子は、はっとした表情をしたが、そのまま構わずに見守っていた。



中には、昨日、私の後頭部のケガを見て、心配して声をかけてくれる子もいた。

それまでは近藤さんたちグループに遠慮して声をかけづらかっただけで、気になっていたという。



四季子ちゃんはじめ、近藤さんたち女子グループはその様子をいまいましげに睨んできていたが、私の後頭部を見た子供たちには、もう通用しなかった。



なんのことはない、いじめをした、しないという水掛け論より、私のケガを目の当たりにしたほうがインパクトが大きかった。

論より証拠である。



男子からの無視は、ほぼ解除されている。

小島さんが親しげに私に声をかけてくる様子を見ても、文句をつけてくる児童はいなかった。



小島さんは、自分にはクラスでの発言権がたいしてない、というようなことを言っていたが、そうでもないらしい。

あの独特の言い回しは、やはりかなり頭の回転のいい子で、受け答えもそつがなく、先生方にもウケがいい。



基本的にほがらかな性格で、クラス内に敵がいるわけでもなく、フェアな立ち位置にいたこともあって、余計な摩擦を生まなかったようで、私も安心したものだ。





それに反比例するように、担任の赤木先生の顔色が冴えなくなっていった。

そして、数日後、私は赤木先生に、放課後に職員室に来るようにと言い渡された。



私はひろみちゃんに先に家に帰るようにと伝えておいて、職員室へと向かっていった。



特になにかをした覚えはないが、一つだけ心当たりがある。

四季子ちゃんに突き飛ばされた事件の、しばらく後、赤木先生に指導室に呼び出されたことがあった。

作文の再提出が終わったぐらいのできごとだったのだが。



そこで、先生と二人きりで面談を行ったのだが、内容は上田四季子という児童になにをしたか?と尋ねられたのだったが、自分としてはなにも心当たりがない、なぜあそこまで嫌われるのか、皆目検討がつかない、というもので、10分か15分ほどの問答の後に、先生はため息をついて、私を開放したのだった。



赤木先生としは、四季子ちゃんの異様な怖がり様に、原因を求めての事だったと思うが、私にもわけが分からない。

正直に、そう伝えると、そうなんだよな…しんじゅがウソをついているとも思えないんだけど、あぁまで怯えられてしまうと、こちらとしても困るんだよな…というため息をつかれたものだった。





まだ人の出入りが激しい職員室のドアを開いて、一礼すると、赤木先生の机の方へと向かって歩いて行った。



先生は自分の席に着席しており、そばにある、空いているキャスター付きの丸い椅子を自分の前に押し寄せて、私に着席するようにとうながしてきた。



赤木先生の正面にすわるようにして、私が丸椅子に腰かけると同時に、ジャージ姿の赤木先生は驚く程低姿勢になって、私に謝ってきた





赤木「すまない!しんじゅ、本当に申し訳なかった!」



私「え?」





赤木先生は大きく股をひらいて座っていたが、自分のひざの下に自分の頭が来るぐらいまで深々と頭を下げてお辞儀をしていたのだった。



私は目上の人が自分にそこまで頭を下げられたことがなかったので、度肝を抜かれてしまったのだった。












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