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職員室の中は大勢の人の出入りがあって、ざわざわしていた。



私と赤木先生のやりとりに気を止めるような人はとくにいなくて、ただの教師と児童の指導の様子にしか見えない。



実際には赤木先生は顔面蒼白で私に向かって謝罪をしていたのだが、なんだか、私は話の展開に頭が付いていかない思いで先生の話を聞いていたのだった。





赤木「上田はあぁいう調子だろ?

俺は上田がしんじゅを突き飛ばしたすぐ後に、上田と面談したんだ。

なにがどうしてどうなったと尋ねても、感情的にお前のことを悪く言うだけ。



理屈もなにもあったもんじゃなくて、とにかくお前の悪口を言い続ける。

俺は、きっと上田には説明がうまくできないだけで、きっとしんじゅとなにかがあったんだと思ったんだよ。



それで、お前に作文の提出を命じて、それで解決の糸口を探ろうとしたんだが、お前の作文を読んでもさっぱりだ。

俺は苛立ってしまって、お前が本当のことを言っているという事実を見落としてしまったんだ。」(><;)





私「あぁ…。

上田さんと、話にならなかったんですね…。」





赤木「あぁ…。

俺の教師人生で、上田四季子という女子児童はまったくの初めてのタイプだった。

俺は多分、頭が混乱していたと思う…。



あ、すまない、それでお前が責められてもいいという理由にはならないからな、それは俺自身のいいわけだ。

すまない、お前はなにも悪いことをしていなかったし、最初から正しいことを言っていたのに、俺は聞き逃してしまっていた。

すまなかった。」(><;)





赤木先生は再び頭を垂れた。





私「いいですから…。

私も誤解がとけて、なによりです…。」





赤木「はぁ…。

すまない、やっぱりお前、小林先生の言っていたとおりの人間だったんだな。」





私「え?小林先生ですか?5年の時の担任の?」





赤木「そうだ、小林先生に話を聞いてもらっていたんだ。」





私「小林先生が、どうして関係してくるんですか?」





赤木「まぁ、待て。

順を追って、説明させてくれ、しんじゅ。

俺もただ、手をこまねいていたわけじゃない。



俺は、最初クラスの児童にそれとなく、お前たちのトラブルについて、なにか知らないかと尋ねたんだ。

しかし、お前が上田をいじめたという証言は出なかった。

しかし一部の感情的な女子児童からは、きっとお前がなにかをやったに違いないという。



それで、俺はお前が上田に謝罪すればことが足りると思っていたのだが、なかなかそうはいかない。

そうこうする内に、一部の児童から意見があったんだ。



本当に上田がしんじゅにいじめられたという事実があったのか。

それを調べたほうがいいんじゃないか、自分はしんじゅがなにかをやったとはとても思えないという風な。」





私「はい…。」

(広岡くんが言ってくれたんだな…。)





私がそう思って、小さくうなづくと、赤木先生はちょっとはずみがついたようで、話を続けていった。





赤木「俺はことは単純なことだと思ってた。

しんじゅがしらばっくれているだけで、意地になって謝らないだけだろうと。



それで、証言を取ろうとしても、誰もなにも目撃していないという。

試しにまた上田に話を聞くと、感情的になって、なぜあの子を学校にこさせるのかと俺をなじりはじめる始末だ。



よほど精神的に追い詰められていると感じた俺は、重ねて子供たちに尋ねてもやはり証言はとれない。



これはよほど狡猾にいじめを行っている、被害者が肉体的にダメージを負って、自分に訴えてきている以上、見過ごすことはできないと踏んで、徹底的に調べようとしていたが、手詰まりになってしまった。」(;´ω`)





私「はい。それで?」





赤木「それで、ふと気づいた。

二人共、人物像が浮かびあがってこない。

どちらも親しい友人がいないからだ。



そこで、俺はそれぞれの前年、前前年の担任の先生方に二人の様子を伺いをたててみた。

あ、しんじゅの場合は前年の方だけだったがな、都合がつかなくて。



最初に上田の元担任の先生に伺いを立てたら二人共微妙な表情をしたんだ。」





私「というと?」





赤木「俺の見立てでは、上田四季子という児童はそれほど問題を抱えている子供には見えなかったんだ。

勉強はやや不得意だが、挨拶もきちんとするし、清潔感のある態度に積極性も感じられる。

運動もやや苦手だが、それほど気にすることもなかろうという印象だったんだ。



ところが前年の先生も、前前年の先生も、上田四季子には違和感を覚えていた、と、おっしゃられた。」





私「というと?」





赤木「おおむね、俺の見立てと変わらないんだ。

明るく、積極的で前向きな性格で、やる気もあるし、勉強や運動がやや苦手だけどそれほど問題はない、と、最初は思っていたらしい。



しかし、ちょこちょこ同じクラスの児童とトラブルを起こす。

たいした問題には発展していないので、気にならないくらいだったのだが、とにかく何度もこぜりあいがおこる。」





私「えぇ。」





赤木「子供の人数も多いし、多くの児童がいれば、小競り合いは当たり前だと考えて、最初は問題視していなかったそうだ。

しかし、3学期に入ったあたりに、気になりだした。



どうも、こちらの意図したことをうまく理解していない様子だ。

テストの点数も、本人の頑張りでカバーできるくらいで、そこまで問題ではないと思っていたが、どうも、なにか様子が妙らしい。



会話がうまく成立しない、おかしいな、と感じたあたりで、学年が変わってしまって、そのままになってしまったという話だ。」





私「なるほど。」





赤木「俺は上田の資料を見せてもらっていた。

今と成績はあまり変わらずで、特に目立った欠点はないが、特に優れているところもない、いわゆる普通の子供に思えた。



感情的になりやすい性格はそのままで、それが原因で友達が少ないんだろうという予測がついたわけだ。

ただ、一つ、気になるところといえば…まぁ、それはあとで。



俺は今度はしんじゅのことを調べてみた。」





私「はい。」





赤木「小林先生に、相談をもちかけてみたんだ。



どうも、ウチのクラスでいじめがあるらしい。

被害者が訴えてきているので、状況証拠的にしんじゅが犯人なのは間違いないが、本人も認めないし、クラスの誰もいじめを目撃していないという。

しんじゅがどのような児童だったかを教えて欲しいと声をかけさせてもらった。」





私「はい。」





赤木「すると、小林先生は目を丸くして、俺の話を詳しく聞くこともなく即答した。



『しんじゅはそんなことをする児童ではない。

証拠がないというのなら、その被害児童が勘違いしている可能性が高い。

きっと誤解だ。』と。」











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