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私がきょとんとした表情をして、赤木先生を見上げていると、ふぅと、ため息をついた。





赤木「お前、知ってるか?

通信簿の成績ってのは、相対評価になるっていうのを。」





私「あ、はい。

評価には絶対評価と相対評価があるって聞いたことあります。

学校の成績は相対評価で決めているから、周りの子がライバルになるという話をお兄ちゃんから聞いて知っています。」





赤木「そう、それで、クラス編成の時に、成績が偏らないように児童を集めて編成されるんだ。

つまり成績のいい子ばかりのクラスや成績の悪い子供ばかりのクラスにならないようにならされて作られている。」





私「聞いたことあります。

どのクラスも平均的になるって。」





赤木「だから6クラスあっても、結果的にどれも同じくらいの学力の子供が同じくらいの人数に組み込まれて作られているんだ。

成績の平均点もどのクラスもおんなじくらいでどのクラスに入っていても、公平に評価できるようにな。」





私「はい。」





赤木「いとこ同士とか、特別な事情がない限り、クラス編成にテコ入れはされないことになっている。

それで通信簿の成績で児童が割り振られることになるんだが、俺は今年違和感を感じたことがあった。」





私「なんですか?」





赤木「相対評価でクラス編成されている割に、ウチのクラスだけ実力テストの平均値が高い。

おかしいなと思って調べてみたら、お前が原因だった。」





私「え?」





赤木「通信簿の成績は普段のテストの点数で評価される。

だから、テスト前にやっつけで勉強してテストの点数だけがよくて、本当に内容を理解していなければ、実力テストではボロが出る。



そういう児童は結構多いからな、今年の受け持ち児童はどうだろうかと調べたら、結果は逆。

通信簿の評価に対して、実力テストの評価が下がるのは当たり前なんだが、お前の場合は逆だった。

つまり評価は低いが実力の方が上という逆転現象が起きている。



最初は、まぁ、テストの点数が悪くても、追試を受けるか、復習をして実力が後からついたタイプなんだろう、不器用な子供だな、と思っていたくらいだったんだ。



それでもお前は学年で70位で、ちょっと妙だなとは思ってたんだ。

お前の通信簿の評価はとても低かったから…。」





私「はぁ…。」





赤木「それが5年生の時は学年14位。

これは確実に学力が高いと言える。



どういうことかと驚いて、四年生の時の成績を見たら、テストでは高得点ばかりなんだ。

しかし、評価が異様に低い。

なんだか、頭が混乱してきた。」





私「はい…。」





赤木「それは小林先生も疑問に感じていたらしくて、前年の担任の先生に話を伺おうとしたらしいが、なにかと邪魔がはいってうまくいかなかったそうだ。

しかし、事件絡みで資料を色々手に入れていらっしゃって、4年生当時に受けたお前の知能指数のテストの結果をみて俺は愕然としてしまった。」





私「?」





赤木「お前、知能指数が高かったんだ…。

これなら実力テストの評価が高いというのもうなずける。



この数値は珍しい…。

自分の知能指数を知らないが、おそらく俺より高い…。

この職員室の中でも、これだけの数の教員がいても、お前より知能指数の高い人間がいったいどれだけいるのか…。



おっと。



そう、ここでも鏡合わせなんだ…。

上田の引っかかる点、それが知能指数だった。



お前たち、二人合わせて二で割ったら、ちょうど平均になるのにな…って残念に思ってしまったくらいだった。

いや、それでも平均以上か…。



やはりお前一人がクラス全体の平均値を引き上げてしまっていたんだ。」





私「はぁ。」





赤木「それで、やっと得心がいった気がした。



お前があまりにも淡々とものを言うからふざけているのかと勘違いしてしまっていたんだ。



普通なら泣きわめいて、自分の不満をもらすなり、文句を言うなり、ぐちを言うなりするのが普通の子供の態度だ。



お前が妙に冷静で冷めた風だったのは、演技でもなんでもなく、お前の精神構造がすでに成人と変わらなかったからだったと気づいた。



そうして、俺は上田に再び問い詰めてみたんだ。

いったい、しんじゅがお前になにをしたのかを、なにをされたのかの事実を教えて欲しいと。」





私「はい。」





赤木「結果は散々だった…。

俺の教師人生で最も最悪な一日となってしまったよ…。」(T_T)












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