私「ふぅん?」



兄「あぁ、おそらくは、という注釈付きだがな…。

俺は気づいているが、姉ちゃんも、父ちゃんも気づいていない。


母ちゃんは何も言わないけれど、きっと気づいている。

一番身近で見守っている存在なんだ、母親が気づいていないとは思えない。

しかも、父ちゃんみたいにマヌケな頭脳の持ち主でもないしな、ワザと黙っているんだろう…。

くくく…。」



私「わざと?なんでかな?」



兄「それはもちろん、母ちゃんなりに、なにか考えがあってのことだろう。

おそらく周りが大騒ぎして、まだ幼いお前の人格に悪影響を与えかねないのを危惧してのことと思われる。」



私「大騒ぎして、きぐ?」



兄「あぁ、心配しているって意味だよ。」



私「心配されるようなことなの?自分ではよくわからないけれど。」



兄「あぁ…。心配いらないよ?(笑)」



私「なぜ?」



兄「だって、家族で黙っているから。」



私「そう?それじゃ安心なのね?」



兄「そうだよ?安心していいんだよ?しんじゅは。」



私「?ではなぜ、さっきお前は騒がれないんだ?なんて言ったの?」



兄「くすす。

よく覚えているなぁ(笑)」



私「うん。」



兄「お前は何も心配いらないんだ…。

俺たちがしっかり守ってやるからな?」



私「…うん。うん?なんか変な感じがするけど?」



兄「何も心配いらない。」



私「???なんか、ひっかかるような気がするけれど…。」



兄「なぁんにも、心配いらないよ?

だって、お前は俺の大事な妹なんだもの。」



私「???うん?」



兄「そう、お前はごく普通の女の子だ。

何も気にしなくていい。」



私「うん。」



私は手元に持っているさきいかの袋に手をいれて、一つつかみ、自分の口にほおりこみます。



兄「そう、例え相手が30歳年上だろうと。

例え相手が教育免許を取得できる大学を卒業している高学歴者だとしても。

例えそれが自分を担当している教諭だとしても。

それを論破する小学生なんて、この世の中にそうそういない…。」



私「……。(むぐむぐ。)」



兄「そう、未だかつてこれほど論理構成力と言語能力の優れた小学生がいただろうかっ!(笑)」



私「……。(むぐむぐ。)」



兄「くすす、家庭教師も塾にも通っていない無学な小学生が。

たかだが10年の歳月しか生きていない無力な子供が。

極端な言いがかりに差別的扱いで無闇に圧力をかけられても、それを乗り越えて論破する。」



私「……。」



兄「そんな小学生がこの世の中のどこにいるっ!」



私「……。」



兄「これだけの能力を持った子供なら然るべき機関へと預ければきっとその才能を開花させ、華々しい未来は約束されたも同然だっ!」



私「……。」



兄「それを黙って見過ごすのか?

いいや、そうじゃない。

俺は、神に感謝したい気分だ!」



私「……。」



兄「これだけの才能を持った、まっさらな状態の生物を俺の前に与えてくれた!」



私「なまもの?」



兄「いや、神ではなく、両親に感謝しよう!

こんなおもしろい生物を俺の妹として与えてくれた!」



私「せいぶつ?」



兄「こんな面白いモルモットを公的機関などに渡してたまるものかっ!」



私「もるもっと?」



兄「こんなおもしろい生物を自分好みに染め上げて、洗脳するっ!

こんな楽しい生身のオモチャ、他にはないっ!

神よっ!感謝しますっ!!!」









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私「れこーど・きーぱー?

え、れこーどってコレ?」



と、私は手を両手を弧を描くように丸く動かして見せました。



兄「そう、レコードはレコード盤のレコードでもあるんだが、記録とか記憶という意味で俺は使っている。」



私「え?キーパー?」



兄がうなづくのを見上げて、今度は両手を素早く上につき出す仕草を繰り返します。



兄「あぁ、サッカーのキーパーの真似か。

キャッチするという意味ではそうなんだが、今のは保ち続ける、保持する、という意味で使っている。」



私「ん?記録保持者?ギネスみたいな?」



兄「あぁ、ギネスの事を知っているのか。

お前意外と物知りだな…。」



私「前テレビでやってた。

生ガキを一度にどれだけ食べれるかって記録更新したとか。」



兄「あぁ、記録更新の方に主眼が置かれているな、ギネスは。

そうじゃない、俺が言いたいのは、記録、いや記憶保持者、という意味で言っている。」



私「記憶保持者…。

ん、でも、普通じゃない?」



兄「あぁ、人間の頭脳は本来、物事を一度記憶したらそのまま永久に消えたりはしない。

ただ、再度同じことを思い出そうとしても、うまく引き出しが開けられない。

それが忘れた状態として通常言われている。」



私「うん。私も忘れるよ?」



兄「いや、人間は一度体験したことを、忘れたりはしない。

ただ、思い出せないだけ、と言ったほうが正確なんだ。

この思い出せない頻度が多いか少ないか、それが個人差があるというだけなんだよ。」



私「ふぅん?」



兄「通常の人間の記憶力では、反復することで記憶が強化される。

ただ、一度体験しただけでなく、その後も思い出して感情を味わったり、どんな意味があったのかと因果関係を思索するなど、繰り返し思い出すことで、記憶の引き出しに瞬時につながりやすくなるものなんだ。

これが一般的な記憶の強化、いわゆる勉強の成果にもなるんだが…。」



私「あぁ、復習ってことね?」



兄「そうだ。予習復習することで、授業の内容を強く印象づけて記憶に長時間留めるように努力する。

それが一般的な記憶力の強化となるんだ。

だが、お前の記憶の仕方はこの枠にとどまらない。

お前は俺が言ったセリフを一言一句違えずに何度もスラスラと答えることができる。

それも一日、二日にとどまらない。

何ヶ月、いやあるいは何年も前の事も、まるで昨日のことのように話しだしたりする。

例えるならお前の脳をコンピューターとするならば、ケタ外れの容量を持っているようなものなんだよ。」



私「容量…体積が大きいって事?」



兄「イメージとしての話だ。

実際にお前の脳みそがでかいってわけじゃない。

おそらくミューロン細胞の結合が複雑でいくつもの経路を複数備えている。

だから、瞬時に必要な情報にアクセスが可能で、一瞬で過去の出来事をまるで今、見てきかたかのように再現する能力を備えているんだ。」



私「う、うぅん…。

それが何か?」



兄「『それが何か』か…。

それがどれほど貴重なことなのか、自覚がないんだな。」



私「うん、だって、それが当たり前だから。」



兄「そうだ、お前にとっては当たり前だし。

お前のまわりの人間にしたって、コイツはちょっと物覚えがいい人間なんだなってくらいにしか感じていないから、誰にも騒がれない。」



私「あぁ、うん。」



兄「違うんだ。

お前のような能力を持った人間はおそらく全人口の数パーセントしか存在しない。」



私「そうなの?」



兄「あぁ、お前が今はまだ子どもだから余計に目立たないだけだが。

お前が成長し、大人になればもっとその確率は低くなる。

おそらく1%未満、いや千人に一人ぐらいになるだろう。」



私「んん?麻小学校に一人いるかいないかぐらいになっちゃうの?」



兄「そう、お前の記憶力はそれだけ稀有な才能なんだ。

今、俺がお前に話している内容も、大人になったお前が再現することは可能だ。

お前は今10才だが、おそらく10年20年30年経っても可能だろう。

俺はそう、予測する。」



私「?へぇ~?」



兄「お前は自分のすごさがまるで分かっていない。

それは誰もお前が稀有な才能の持ち主だと認めていなかったからだ。」



私「うん、ちょっとよく分かんないや。」



兄「お前の才能を理解しているのは、ごくわずかな人間のみ。

それは俺と、俺たちの母親、実質この二人だけなんだよ。」








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兄「お前には予知能力があるな。」



私「うん。」



兄「俺もあるが、さらにおまえには動物や植物の声が聞こえる。」



私「鉱物も聞こえるよ?」



兄「そう、さらにサイコメトリーも使える。」



私「使いこなせるわけじゃないよ。

勝手に見えてしまうだけだもの。」



兄「そして、他人の考えている事も分かる。」



私「これも自分で選べないよ。

勝手に頭に浮かんでくるんだもの。」



兄「読心術みたいなものだ。

ふぅ~む、面白い。」



私「心を読んでいるわけじゃないよ。

その時のその人の気分や気持が分かるだけで、それが本当にその人の本心とは限らないんだからアテにできないよ。」



兄「そして基本、お前は現実主義だ。

まぁ、俺がそう、仕向けたのもあるが。」



私「うん、用務員のおじさんにも同じこと言われた。」



兄「そして、その記憶力。

ふぅ~む、おもしろい…。

ざっくり言えば、霊能力がそなわっていて、かつ、言語能力の高い現実主義者か。

そうそういないキャラクターだ。」



私「ふぅん?」



兄「しかしお前の最大の特徴は、その記憶力だ。

その他のはただのオマケに過ぎない。

まぁ、今の時点では、という意味で、今後、どんな伸び代があるかは未知数だがな…。」



私「うん?」



兄「霊感や霊能力なんていう、あやふやなものは成長期を経て消えてしまう可能性があるからな。

しかし、お前の記憶力はおそらく加齢に関係なく持続されることが予想される。」



私「そうなの?」



兄「あぁ、お前の記憶の仕方は、通常とは異なる。

なにかに関連付けて記憶する、紐づけ記憶、という方法があるのだが。

どうもお前を見ていると、それとは性質が異なるように思えるんだ。


まるで、鯨が大きな口をあけて海水を飲み込んで、プランクトンを摂取するように、膨大な量の情報を丸呑みしているように見える。


お前はきっと、レコード・キーパーなんだよ。」






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兄「…しかし、お前、ほんとに言葉のセンスがいいよな…。

これは完全に俺の想定外だ…。」



私「ん?」



兄「いや、俺が小学四年の時に、お前ほどしゃべりが達者じゃなかったんだよな。

今でもお前と比べて俺の語りが上手だとは言えないし。

これはやっぱり脳の男女差があるからなのかな…。

おそらく、しんじゅは俺より言語の処理能力が高いと思われる…。」



私「ん?褒められているのかな?」



兄「あぁ、冗談なく褒めている。

これは驚異的な事だと思うぞ?」



私「えへへ、褒められちゃたぁ!」



兄「いやいや、無邪気に喜んでいるがな?

お前、どうして誰にも注目されないんだ?

こんな小学生、普通いないぞ?」



私「ふぅ~ん?特に、だれからも、何も。」



兄「だよな!でなけりゃ、俺とこうして話なんてしてないだろうし。

ふぅ~む、こいつ育てようによったら、将来タレントとかできそうなんだけどな。

司会業とか、アナウンサーとか報道とか、そういう方面の才能ありそうな気がする。」



私「おぉ~、テレビに出る人だね!かっこいい!」



兄「まぁ、テレビに出るタレントと言ったら、しゃべりが達者なだけじゃダメだろうけどな。

運とかコネとか才能がもっと求められるだろうし。」



私「そうだろうねぇ。」



兄「ま、あんまり現実的じゃないか。

でも、さっきの『ライ麦畑でつかまえて』のタイトルを聞いただけで、違和感を覚える感性の鋭さはかなりのものだ。

う~ん、文章を作らせたら、きっとうまいと思う。

記憶力もいいし、意外と多才だな、お前。」



私「たさい?」



兄「才能をたくさん持っている、という意味だ。

なかなかいないタイプの人間だ。」



私「おぉっ!さらになんかかっこいい言葉をちょうだいしましたっ!(笑)」



兄「…いや、う~ん…。」



兄は腕組みをして考え込んでいました。



私「ん?どうしたの、お兄ちゃん。」



兄「いや、う~ん…。もうちょっと待て。

今、考え中。」



私「?うん?」



私はそこらへんの床の上に落ちていたさきいかの袋を拾って、また兄のそばに戻り、がさがさと音を立てて袋の中に手を突っ込みながら、兄の様子を見守っていました。




兄「う~ん…。」



私「………。(むぐむぐ。)」



兄「う~ん…。」



私「………。(むにゅむにゅ。)」



兄「…ん、よし、分かった!」



私「ん~?」



兄「よし、今からお前にいくつか質問をするぞ?」



私「はい?」



私は口のはしからさきいかをはみ出させながら兄を見上げたのでした。










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私は自分の頭を撫でながらすぐ隣に座っている兄を見上げていました。



兄「何言ってんだろ!俺。

これじゃ『ライ麦畑でつかまえて』じゃないか!(笑)」



私「はぁ?何?」



兄「そういう名前の小説があるんだよ。」



私「ふぅ~ん?なんだか妙なタイトルね?」



兄「あぁ、そうだな。

これも主人公がタイトルを間違えて覚えているからそのセリフになってて、そのままのタイトルになっているんだよ。

さすがだな、そこに気づくセンスの良さは。」



私「そう?」



兄「あぁ、現代社会の汚らしさに辟易している少年の物語でさ。

結局、実家にいた妹の愛情に触れて、落ち着くっていう話なんだけど。」



私「ふぅん?」



兄「なんだか、兄と妹の精神年齢が逆転しているみたいな話なんだよ。

随分年下の妹の懐の深さに、年長の兄の心が癒される…。

子供の純粋な愛情が、傷ついた少年にとって、一番の薬になった…っていうだけの話なんだけどな。」



私「他に理解者がいなかった、という意味なの?」



兄「あぁ、その通りだ。

少年はさ、多感な年頃でまわりの大人の嫌らしさに嫌悪感を抱いてさ。

不器用なんだけど、ナイーブでもあってさ。

そういう一切合切をなにも事情を知らないハズの妹が全て埋めてくれるのさ…。

まるで母親みたいなんだよ。」



私「そうなの…。」



兄「あぁ、推薦図書でいずれお前も読むことになると思うよ?

社会風刺がきいていて、名作と言われている。」



私「うん、分かった。

でも、今、あらすじを聞いちゃったから、読書感想文を書くのは楽そうね?(笑)」



兄「くすくす、俺のセリフ、真似するなよ?(笑)」



私「くすくす、未来のことですもの、その保証はできないわ?」



兄「こいつ!要領いいな!」



私「クスクス、それは賢い兄を持つ、妹の特権です!」





私は頭をわやくちゃにされて、困ってしまいました。



私「やぁ~ん!何するのぉ~!」



兄「はっ!つい!」



いつも無表情な兄にしては珍しく顔を赤くしていたのでした。



私「もぉ~、すぐイタズラするぅ~!」



兄「いやいや、なんていうか…。

つい、ずっと俺に頼ってろって思っちゃったよ!

それじゃお前がマズイんだけどな?(笑)」



私「えぇ~?意味が分からないよぉ!」



兄「いや、なんつーか、ホラ。

そう、コイツはそういう奴だって分かっててもな!


なんで、こんないい子をまわりのクソガキはいじめるんだって腹が立つんだよ!

アイなんて、特にそうだ!

しんじゅと保育園からの付きあいで何をコイツ見下してくるんだって殴ってやりたい気持ちになるよ!」



私「手を出した方の負けでしょぉ?」



兄「そうなんだけどな!

そうなんだけど、そうじゃないんだよ!

そう割り切れない感情があるんだよ!」



私「もう、よく分かんないよ?」



兄はまた私の頭を乱暴にぐしゃぐしゃとなでてきました。



兄「よしよし。」



私「よしよしじゃない!頭くちゃくちゃ!」



兄「あ~、もう、コイツ可愛いなぁ~。」



私「可愛くなくなってるってば!」



兄「なんだかな~?

コイツはな~、なんか雰囲気が可愛いんだよなぁ?」



私「悪かったわね!雰囲気だけでっ!?」



兄「何言ってんだ、雰囲気だけでもかわいいってスゴイと俺は思うぞ?

そういうのが、一番男子にウケがいいんだから。」



私「そうですかぁ。」



兄「はぁ。

なんつーかな、父ちゃんもしんじゅの事をかわいいって言うけどさ。


それはさ、どっちかっていうと、女の子は顔が命的な感じでさ。


目がくりっとしてかわいいとか、家の手伝いをやってかわいいとか、利発でかわいいとか。

父ちゃんの『かわいい』はあくまで自分目線なんだよな。


俺のはそういうんじゃないんだよな。」



私「なにが?」



兄「なんていうのかな、雰囲気というか、お前の持つ心根?

俺はそういうのが一番大事でさ。


お前の事かわいいって思うのは性格のことなんだよ。

役に立つとか、頭がいいとか顔がかわいいっていうんじゃないんだ。


俺はお前の事が好きなんだ。


俺は自分の妹を愛しいと感じるんだよな。」









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私「私が癒しねぇ…。」



私が口をぽかんとあけて兄を見上げると、兄は私の頭に手をかざす仕草をしたかと思ったら髪の毛をくしゃくしゃとしだしました。



兄「ふふ。俺の特製空気清浄器だ!」



私「やん!もぉ!」



兄「いい感じ!髪の毛ツヤツヤで天使の輪っかができてるぞ!」



私「もぉ!スズメのお宿みたいになっちゃったじゃないっ!」



兄「あはは!ほんとだ!もじゃもじゃだっ!」



私「何してんのよっ!」



兄「スマンスマン!なかなか綺麗な黒髪でついイタズラしたくなった!(笑)」



私「ふぅ~、で、もういい?」



兄「もういいぞ?(笑)」



私「まったくもぉ!単にイタズラしたかっただけなんじゃないの?」



兄「いやいや、違うって。

お前の霊能がどんなものかを検証したかったんだってっ!(笑)」



私「もう畳に降りるよ?」



兄「いいぞ。(笑)」



しかし、今度は兄が黒いテーブルに長い足を投げ出すようにして腰掛けたのでした。



私「もぉ!お行儀悪いわね!」



兄「あはは、たまにはいいだろ?」



私「ほんとうにもう!お母さんに見つかっても知らないからねっ!」



兄「大丈夫、今日は母ちゃん下で寝てるから!

しばらく起きないよ。」



私「そっか、お母さん調子悪いみたいだもんね。」



兄「そうだな…。」



私「最近ずっと調子悪いわよね、お母さん…。」



兄「あぁ、そうだな…。」



私「どうしたら調子良くなるかしら…。」



兄「まぁ、お前が心配かけないようにするかだな!」



私「私だって、心配かけたくてかけてるんじゃないもの。」



兄「あぁ、はいはい、分かってるよ。」



私「もう、本当かしら?

お兄ちゃんってば、時々いい加減だから。」



兄「お前ほどじゃないけどな?(笑)」



私「…ねぇ、お兄ちゃん。

この間お母さんが言っていたんだけどね?」



兄「あぁ。」



私「家族の間でも、きちんと言葉に出して、感謝の気持ちを伝えたほうがいいって言ってたの。」



兄「あぁ。」



私「お母さんね、家族だから当たり前だっていう気持ちだと、感謝やお礼の言葉を出し惜しみしちゃうから。

それはお互いの気持がすれ違ってしまうことにもなりかねないから危険だというのよ。」



兄「あぁ、そうだろうな。」



私「私ね、いつもお兄ちゃんが、私の話を聞くのが当たり前だとどこかで思っていたのよ。」



兄「あぁ…。」



私「こないだヨッちゃんとお話した時ね?

お前の家族の中で、お前のことを心配しているのは、お前の兄貴だけだって言われたの。」



兄「…。」



私「それでね、ヨッちゃんは、私の話を聞いて、聞いているだけでしんどいって。

それを普段から聞いているお前の兄貴は辛抱強いやつだって言ってたわ。」



兄「あぁ…。」



私「私、ヨッちゃんに言われるまで、それに気づいていなかったのよ。」



兄「お前が気にすることじゃない。」



私「私ね、お兄ちゃんのお話、難しくて時々、よく分からないところがあるけれどね。

私が理解しているのは、お兄ちゃんのお話してくれているものの、一部分だけだと思うけれど。

お兄ちゃんがよく怒っているのは、きっと優しいからだと思うの。」



兄「何?」



私「お兄ちゃんはね、とても頭がいいから。

世の中や、大半の大人の人たちが見過ごしたり、見なかったことにするようなズルいところにも気がつくから。

それが不公平な事だと気づいているから、怒っているんだと思うの。」



兄「……。」



私「普通の人なら、気にしなかったり、気づかないフリしちゃうところに気づいてしまって。

それを周りの人が理解してくれなくても、きちんと本当のことに気づいて正しくしたいと思うから、お兄ちゃんは怒っているんだと思うの。

それはお兄ちゃんが、どこかで誰かが不公平な思いをするということに気づいているから。

だから怒っている。

お兄ちゃんは賢いだけじゃなくて、優しいから怒っているんだと私は思うのよ。」



兄「…!」



私「私ね、いつもお兄ちゃんにお話を聞いてもらって、気持ちの整理をしてもらっているの。

それが、どれだけ私の助けになっているかってことに全然気づいていなかったの。

だから、きちんと感謝の気持ちを言葉にして伝えなくちゃって思ったのよ。


いつも助けてくれてありがとう。

お兄ちゃん。

これからも頼りにしています。」



兄「もう!お前は一生いじめられてろっ!(照)」




兄は顔を真っ赤にして私の髪の毛をくしゃくしゃにしてきたのでした。









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私「えぇ?そうなの?学校では私いつも貧乏人ってバカにされているわ?」



兄「くすくす、それもヒガまれないためのいいカモフラージュなんだよ?(笑)

ま、金持ちって言っても、そこまでじゃない。


これだけの家を建てて、そこそこレベルだけどな。

家具なんかはかなりいい品を使っているし、調度品も高級品ばかりだ。

外側からはうかがい知れないレベル、というだけの話だよ。」



私「そうなの…。

ねぇ、それで、私をここに座らせた目的はなんなのかしら?

それが気になるわ?」



兄「あぁ、ちょっとした検証をしたかったんだ。

ちょっとそこにじっと座ったままにしていてくれ…。」



私「いいわ。」



すると兄は少し目をつむった状態で、手のひらを私の方へとかざすような真似をして。

10畳ほどある仏間の中で、私の周りをウロウロとしているようでした。



兄「ふむ。

やはりな。

お前の周り2m位になると空気が変わる。」



私「え?」



兄「以前からちょっと気になっていたんだ。

お前の側に来ると、空気が変わるんだよ。」



私「なんのこと?」



兄「お前の体に近づくと、俺は涼しく感じるんだ。」



私「え?涼しい?

寒いじゃなくて?」



兄「季節は関係ない。

お前のすぐそばに寄ると、涼しい気配がするんだ。

そして、近づけば近づくほど胸が温かく感じる。」



私「涼しくて温かい?

矛盾するような言葉だけれど…。」



兄「あくまで感覚的な話だ。

霊感のある人間にしか感知できないだろう。

お前の体をとりまく空気感の話をしているんだよ。」



私「???」



兄「気のせいかなと思っていたんだが、やはりそうだ。

今日の俺の霊感はかなり感度が高い。

だから、検証に適していると考えていたんだが、間違いない。

お前の体をとりまく空気にはなんともいえない清浄なものが流れている。」



私「セイジョウ?」



兄「あぁ、この空気、雰囲気は一度だけ覚えがある。

たまたま修学旅行で観光に行った先で、とても高い徳を持つ、僧侶とすれ違ったことがあったんだ。

その人がまとっている雰囲気とよく似ている。


お前はちっぽけな体なのに、なぜか清浄な気をまとっているんだ。

そして、近づけば近づくほど、胸の奥がほぐれて温かく感じる。


なんていうのかな、心のトゲとか雑味が外されて、温かな飲み物を頂いたような気持ちになるんだ…。

そう、癒し…。


お前は癒しの気配をまとっているんだよ…。」








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